始動する天才
さしものミクトランも、よもや参加者全員が自分の元へ襲撃してくることなど予想して居なかった。
油断しきってトイレ掃除をしていたミクトランに、参加者全員が一斉に襲い掛かる。
『な なにをする きさまらー』 情けない断末魔をあげてミクトランは息絶えた。
歓喜に沸く彼ら。そして願いを叶える時が来た。彼らを勝利に導いた天才科学者が一歩前に出る。
さあ、願いを。皆の思いが一つになった。
『んーと、せっかくこれだけいろんな世界から人が来てんだから、
それぞれみんながどんな身体の構造してるか知りたいわ。てなわけで全員解剖ー☆』
彼らの顔色が絶望に変わる。本当の戦いはこれからだ!!
油断しきってトイレ掃除をしていたミクトランに、参加者全員が一斉に襲い掛かる。
『な なにをする きさまらー』 情けない断末魔をあげてミクトランは息絶えた。
歓喜に沸く彼ら。そして願いを叶える時が来た。彼らを勝利に導いた天才科学者が一歩前に出る。
さあ、願いを。皆の思いが一つになった。
『んーと、せっかくこれだけいろんな世界から人が来てんだから、
それぞれみんながどんな身体の構造してるか知りたいわ。てなわけで全員解剖ー☆』
彼らの顔色が絶望に変わる。本当の戦いはこれからだ!!
ご愛読ありがとうございました。
ハロルド博士の次の実験にご期待ください。
ハロルド博士の次の実験にご期待ください。
終
「・・・なんだこれ?」
「あ、読んだ?それ、私の作戦」
ピンク色の縮れた髪の女性、ハロルドは屈託無く笑った。
肩までかかる金色の長髪をした青年、スタンはあきれたように手中の紙をみやった。
参加者全員に配られた筆記用具と紙を使い、熱く書き綴られたそれは、つい数分前、彼女から渡されたものだった。
「いや、しかしこのさしものミクトランもってとこ──」
「あー、ダメダメ。音読しちゃ。返して返して」
ハロルドが小走りに寄ってきて、紙をひったくった。そして手の平から炎を出すと、そのまま燃やしてしまった。
「なんだよおい・・・」
「ま、いいわ。いずれちゃんと教えてあげるから」
「あ、読んだ?それ、私の作戦」
ピンク色の縮れた髪の女性、ハロルドは屈託無く笑った。
肩までかかる金色の長髪をした青年、スタンはあきれたように手中の紙をみやった。
参加者全員に配られた筆記用具と紙を使い、熱く書き綴られたそれは、つい数分前、彼女から渡されたものだった。
「いや、しかしこのさしものミクトランもってとこ──」
「あー、ダメダメ。音読しちゃ。返して返して」
ハロルドが小走りに寄ってきて、紙をひったくった。そして手の平から炎を出すと、そのまま燃やしてしまった。
「なんだよおい・・・」
「ま、いいわ。いずれちゃんと教えてあげるから」
訳が分からない、といった風にスタンは困惑した。
この女性と行動を共にするようにしてからずっとこうだ。
洞窟へ目指していたはずが、時々あらぬ方向へ走り、
何やらごそごそとやっていたかと思うと、明らかに荷物を増やして戻って来るのだ。
聞いても、「実験サンプルなのよ」の一点張りで詳しいことは話そうとしない。
おかげで無駄に時間を費やしてしまった。普通に進めば半分くらいの時間で行けたのではないか?
この女性と行動を共にするようにしてからずっとこうだ。
洞窟へ目指していたはずが、時々あらぬ方向へ走り、
何やらごそごそとやっていたかと思うと、明らかに荷物を増やして戻って来るのだ。
聞いても、「実験サンプルなのよ」の一点張りで詳しいことは話そうとしない。
おかげで無駄に時間を費やしてしまった。普通に進めば半分くらいの時間で行けたのではないか?
しかしようやく目当ての洞窟に辿り着いた。
洞窟の入り口が見えたところで、スタンは思わず安堵のため息をもらした。
「やっと着いたー!」
無邪気にはしゃぐスタンを見て、ハロルドは彼の息子を思い出した。
やっぱり親子、若スタンはカイルに似ている所がたくさんある。
いや、厳密には彼女の目の前に居る人物はまだ父親になってはいないのだが。
「お、おいハロルド!」
突然スタンが慌てた様子で叫んだ。
「あ~い?」
足元の珍妙な植物を観察する為に屈んでいたハロルドは、ゆっくりと腰をあげた。
見るとスタンがこちらを向きながら洞窟の入り口を指差している。
「人が居る!二人だ!」
視線を洞窟に向けると、確かに居た。法衣をまとい、長く美しい髪をした少女と、年配の男性が。
着衣は共にボロボロで、特に男はほとんど半裸だった。
二人とも倒れこんでいて動かない。まさか、と思ったが、
「気を失ってるだけだ、死んじゃいない!」
スタンが近づいて二人の様子を見て言った。
興味無さげにハロルドもゆっくりと歩いて近づいていった。
「こっちのおっさんは少し元気そうだけど・・・こっちの女の子が危ない」
ハロルドが少女と老人を観察した。
「ふむふむ、二人とも雷系の攻撃を受けたようね・・・こっちのおっさんは多分回復晶術を受けたようね。
見た目からしてこの子が回復させたんだろうけど・・・・・・あら、もう力が残ってないのね。
襲ったのは別の誰かかしら?こっちの子はこのマントがダメージを軽減してくれたみたいね。
まー別に命に別状はないみたいね、疲れて眠っているだけ」
「解説はいいから回復を!」
スタンの言葉にハロルドは肩をすくめ、両手を少女にかざした。
神聖な光が少女を包み込んだ。
「ん~、やっぱここ、だいぶ威力が落ちちゃうみたいね~」
あまり代わり映えの無い少女の様子に、落胆したように彼女はつぶやいた。
仕方なしに再度術をかけてやる。少しは顔色がよくなってきた。
「こっちのおっさんも・・・」
「こっちのおっさんは・・・」
言いかけて、ふとハロルドは言葉を止めた。
何かに気付くと、途端に真剣な表情になり、じっくりと老人の様子を眺め始めた。
パッと見、分かり難いが、よく見ると身体の節々に、ヒトあらざる生体が組み込まれている。
洞窟の入り口が見えたところで、スタンは思わず安堵のため息をもらした。
「やっと着いたー!」
無邪気にはしゃぐスタンを見て、ハロルドは彼の息子を思い出した。
やっぱり親子、若スタンはカイルに似ている所がたくさんある。
いや、厳密には彼女の目の前に居る人物はまだ父親になってはいないのだが。
「お、おいハロルド!」
突然スタンが慌てた様子で叫んだ。
「あ~い?」
足元の珍妙な植物を観察する為に屈んでいたハロルドは、ゆっくりと腰をあげた。
見るとスタンがこちらを向きながら洞窟の入り口を指差している。
「人が居る!二人だ!」
視線を洞窟に向けると、確かに居た。法衣をまとい、長く美しい髪をした少女と、年配の男性が。
着衣は共にボロボロで、特に男はほとんど半裸だった。
二人とも倒れこんでいて動かない。まさか、と思ったが、
「気を失ってるだけだ、死んじゃいない!」
スタンが近づいて二人の様子を見て言った。
興味無さげにハロルドもゆっくりと歩いて近づいていった。
「こっちのおっさんは少し元気そうだけど・・・こっちの女の子が危ない」
ハロルドが少女と老人を観察した。
「ふむふむ、二人とも雷系の攻撃を受けたようね・・・こっちのおっさんは多分回復晶術を受けたようね。
見た目からしてこの子が回復させたんだろうけど・・・・・・あら、もう力が残ってないのね。
襲ったのは別の誰かかしら?こっちの子はこのマントがダメージを軽減してくれたみたいね。
まー別に命に別状はないみたいね、疲れて眠っているだけ」
「解説はいいから回復を!」
スタンの言葉にハロルドは肩をすくめ、両手を少女にかざした。
神聖な光が少女を包み込んだ。
「ん~、やっぱここ、だいぶ威力が落ちちゃうみたいね~」
あまり代わり映えの無い少女の様子に、落胆したように彼女はつぶやいた。
仕方なしに再度術をかけてやる。少しは顔色がよくなってきた。
「こっちのおっさんも・・・」
「こっちのおっさんは・・・」
言いかけて、ふとハロルドは言葉を止めた。
何かに気付くと、途端に真剣な表情になり、じっくりと老人の様子を眺め始めた。
パッと見、分かり難いが、よく見ると身体の節々に、ヒトあらざる生体が組み込まれている。
スタンが不思議そうに彼女を見やる。
「どうしたんだ?」
「ねぇスタン」
老人を凝視したまま、彼女はいつになく真面目な口調でつぶやいた。
彼は相変わらず困惑した表情のまま、彼女の言葉を待った。
「この子、もう大丈夫だから、洞窟の中に連れてって休ませてあげて。
誰も居ないことを確認してから、絶対安全な場所に置くのよ。
そしたらすぐにこっち帰ってきて。いい?変な悪戯とかしちゃダメよ」
「え、なんで、ハロルドは?」
「私はこいつの観察・・・看病しとくわ。多分時間はそう長くないから、早く帰ってきてね」
「?」
彼女の言葉の意味が全く理解できないまま、彼は言われた通り少女を抱きかかえ、
洞窟内部へ入っていった。中は伏流水がくりぬいたもので、洞窟内部であるに関わらず水が流れている。
それなりの広さであったが、人は居ないようだった。
スタンは洞窟内に出来ていた適当な小部屋を見つけると、そこにあった台状の岩の上に少女を乗せた。
寝心地が悪そうだ、と思い少女をもっと良い場所へ動かそうと思ったが、ハロルドの言葉を思い出し、
急ぎ引き返すことにした。念の為、もう一度周囲を見回し再度誰も居ないことを確認した。
振り返ったとき何かを蹴飛ばしてしまった。
それは硬質な音を響かせて転がっていったが、彼はただの石ころだろうと思って無視した。
「さて・・・」
ハロルドはスタンが少女を抱え洞窟に消えたのを見ると、すぐに老人の上に屈みこんだ。
最初彼女等が様子を見た時より、明らかに容態が変わってきている。
恐らく激しい体力の消耗で一時的に収まっていたそれが、
少女の法術で回復したことにより蘇ろうとしているようだった。
すばやく老人の身体を撫で回し、右手の甲に小さな窪みを見つけた。
そこをじっくりと見る。微かに、そこに埋め込まれていたものが残っていた。
手早く掻き出そうとしたが、老人の身体が跳ねて阻止された。
老人の身体がビクンビクンと脈打ってきた。
「どうやら・・・」
ゆっくりと後ずさりしながら、彼女はつぶやいた。
「あそこにあったものが取れちゃったせいで、こうなっちゃったみたいね」
老人の身体は今やヒトで無くなっていた。全身が肥大化し、顔面が崩れ、
元より悪い肌の色が更に不気味な青緑色になり、両手両足の爪は既に怪物のそれになっていた。
そしてハロルドの二倍ほどになった巨躯を仰ぎ、咆哮をあげる。
「WRYYYYY!!!」
「せっかく貴重な実験サンプルと言いたいけど・・・状況が状況だし、覚悟してもらうわよ」
彼女はそう言うと落ちていた杖を拾い、構えて、
既に怪物になった──再度エクスフィギュア化してしまったマウリッツ──と対峙した。
「どうしたんだ?」
「ねぇスタン」
老人を凝視したまま、彼女はいつになく真面目な口調でつぶやいた。
彼は相変わらず困惑した表情のまま、彼女の言葉を待った。
「この子、もう大丈夫だから、洞窟の中に連れてって休ませてあげて。
誰も居ないことを確認してから、絶対安全な場所に置くのよ。
そしたらすぐにこっち帰ってきて。いい?変な悪戯とかしちゃダメよ」
「え、なんで、ハロルドは?」
「私はこいつの観察・・・看病しとくわ。多分時間はそう長くないから、早く帰ってきてね」
「?」
彼女の言葉の意味が全く理解できないまま、彼は言われた通り少女を抱きかかえ、
洞窟内部へ入っていった。中は伏流水がくりぬいたもので、洞窟内部であるに関わらず水が流れている。
それなりの広さであったが、人は居ないようだった。
スタンは洞窟内に出来ていた適当な小部屋を見つけると、そこにあった台状の岩の上に少女を乗せた。
寝心地が悪そうだ、と思い少女をもっと良い場所へ動かそうと思ったが、ハロルドの言葉を思い出し、
急ぎ引き返すことにした。念の為、もう一度周囲を見回し再度誰も居ないことを確認した。
振り返ったとき何かを蹴飛ばしてしまった。
それは硬質な音を響かせて転がっていったが、彼はただの石ころだろうと思って無視した。
「さて・・・」
ハロルドはスタンが少女を抱え洞窟に消えたのを見ると、すぐに老人の上に屈みこんだ。
最初彼女等が様子を見た時より、明らかに容態が変わってきている。
恐らく激しい体力の消耗で一時的に収まっていたそれが、
少女の法術で回復したことにより蘇ろうとしているようだった。
すばやく老人の身体を撫で回し、右手の甲に小さな窪みを見つけた。
そこをじっくりと見る。微かに、そこに埋め込まれていたものが残っていた。
手早く掻き出そうとしたが、老人の身体が跳ねて阻止された。
老人の身体がビクンビクンと脈打ってきた。
「どうやら・・・」
ゆっくりと後ずさりしながら、彼女はつぶやいた。
「あそこにあったものが取れちゃったせいで、こうなっちゃったみたいね」
老人の身体は今やヒトで無くなっていた。全身が肥大化し、顔面が崩れ、
元より悪い肌の色が更に不気味な青緑色になり、両手両足の爪は既に怪物のそれになっていた。
そしてハロルドの二倍ほどになった巨躯を仰ぎ、咆哮をあげる。
「WRYYYYY!!!」
「せっかく貴重な実験サンプルと言いたいけど・・・状況が状況だし、覚悟してもらうわよ」
彼女はそう言うと落ちていた杖を拾い、構えて、
既に怪物になった──再度エクスフィギュア化してしまったマウリッツ──と対峙した。
【スタン 生存確認】
状態:軽い疲労
所持品:???? ???? ????
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:ハロルドの救援 ハロルドと共に行動
第二行動方針:仲間と合流
状態:軽い疲労
所持品:???? ???? ????
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:ハロルドの救援 ハロルドと共に行動
第二行動方針:仲間と合流
【ハロルド 生存確認】
状態:TP微消費
所持品:ホーリースタッフ ピーチグミ 短剣 実験サンプル(内容不明)
現在地:G3の洞窟入り口
第一行動方針:マウリッツを倒す スタンと共に行動
第二行動方針:不明
状態:TP微消費
所持品:ホーリースタッフ ピーチグミ 短剣 実験サンプル(内容不明)
現在地:G3の洞窟入り口
第一行動方針:マウリッツを倒す スタンと共に行動
第二行動方針:不明
【ミント 生存確認】
所持品:サンダーマント
現在位置:G3の洞窟内部
状態:TP極小 重度の疲労 洞窟内部で睡眠中
行動方針:不明
所持品:サンダーマント
現在位置:G3の洞窟内部
状態:TP極小 重度の疲労 洞窟内部で睡眠中
行動方針:不明
【マウリッツ 生存確認】
所持品:不明
現在位置:G3の洞窟入り口
行動方針:目の前に居る者の排除
状態:再度エクスフィギュア化
所持品:不明
現在位置:G3の洞窟入り口
行動方針:目の前に居る者の排除
状態:再度エクスフィギュア化