舞台袖の笑い
城から出たものの、何処に行けばいいのかは検討がつかなかった。
とりあえず、クレスは仲間もしくはこのゲームを願わぬ参加者を見つける事を最優先とサレとコレットに提案し、南へ長いこと突き進んでいた。
周囲も暗く、敵も何処からやってくるかわからない。注意を払って進むがクレスは頭を傾げて眉をこらし、何か考える素振りをする。
「うーん、よし!ダジャレ大会第二幕でもしようか!」
「本当ですか~賛成です!クレスさんの頭にはダジャレ育成成分が入ってるんですね。凄いなあ!」
「……」
この二人は相変わらずだった。
呆けた奴らだ。
サレは溜め息を吐いた。
しかしこの様な事をクレスがするのはコレットを気遣っての事だった(しかし彼の密かな楽しみでもある可能性は拭えない訳ではあるが)。
この二人を殺すのは簡単だろう。しかしそれではつまらない。折角の素敵なステージだ。どうせなら大勢の観客の為にも素晴らしいショーにしなくてはね。
サレはダジャレに興じる二人の背後で密案を練っていた。
とりあえず、クレスは仲間もしくはこのゲームを願わぬ参加者を見つける事を最優先とサレとコレットに提案し、南へ長いこと突き進んでいた。
周囲も暗く、敵も何処からやってくるかわからない。注意を払って進むがクレスは頭を傾げて眉をこらし、何か考える素振りをする。
「うーん、よし!ダジャレ大会第二幕でもしようか!」
「本当ですか~賛成です!クレスさんの頭にはダジャレ育成成分が入ってるんですね。凄いなあ!」
「……」
この二人は相変わらずだった。
呆けた奴らだ。
サレは溜め息を吐いた。
しかしこの様な事をクレスがするのはコレットを気遣っての事だった(しかし彼の密かな楽しみでもある可能性は拭えない訳ではあるが)。
この二人を殺すのは簡単だろう。しかしそれではつまらない。折角の素敵なステージだ。どうせなら大勢の観客の為にも素晴らしいショーにしなくてはね。
サレはダジャレに興じる二人の背後で密案を練っていた。
サレはふと耳を澄ました。
―――どこからか人の声がする。
人物によっては面白いことになるのかもしれない。
「ちょっと待ってくれないかい?」
サレは二人を呼び止めた。
「どうしたんですか、サレさん」
「…敵の気配がする気がするんだ。僕は少し見回りをしてくるから、クレスはコレットちゃんを守っていてくれないかい?」
深刻そうなサレの顔を見て、クレスにも緊張が走る。
「…わかった。何かあったらすぐに呼んでくれ。駆けつける」
「気を付けてくださいね」
「ありがとう。じゃあ見てくるよ」
サレは踵を返すと
「待ってくれませんか」
コレットが呼び止めた。 「あの…、私も危なければ全力で戦います。仲間を失いたくないから」
そう言うと不安そうに俯く。
「うん、頼りにしているよ。それじゃあ」
サレは笑みをたたえ、東へと歩きだした。
―――どこからか人の声がする。
人物によっては面白いことになるのかもしれない。
「ちょっと待ってくれないかい?」
サレは二人を呼び止めた。
「どうしたんですか、サレさん」
「…敵の気配がする気がするんだ。僕は少し見回りをしてくるから、クレスはコレットちゃんを守っていてくれないかい?」
深刻そうなサレの顔を見て、クレスにも緊張が走る。
「…わかった。何かあったらすぐに呼んでくれ。駆けつける」
「気を付けてくださいね」
「ありがとう。じゃあ見てくるよ」
サレは踵を返すと
「待ってくれませんか」
コレットが呼び止めた。 「あの…、私も危なければ全力で戦います。仲間を失いたくないから」
そう言うと不安そうに俯く。
「うん、頼りにしているよ。それじゃあ」
サレは笑みをたたえ、東へと歩きだした。
仲間、ねえ。
サレは薄笑いを浮かべながらくくくっと咽を鳴らす。どこまで馬鹿で気に障るのだろう。
裏切ったら二人はどんな顔をするのか…そう考えると体を駆け巡る血がぞわっとサレを揺さぶり、それが心地よかった
彼はそれが奇異な事とは思わない。
今まで生きている内に築かれた、どうしようもない性だった。
理不尽が支配する場ならば僕はそれに乗ってあげようじゃないか。
サレは欲求に忠実にそれを楽しんでいた。
やがて、森の入り口に差し掛かると何者かの気配が近づいてきた。
太い木の幹に身を隠し、半身を乗り出して様子を伺う。それは二人いた。
髪を一つに束ね、巻き布の様な服を着た若い女と…あれは―――
サレは思わず喜びに眼を細めた。
ティトレイだ。
どうやら二人は地面に座り込んで深刻な話をしているらしく、何か憤慨している女を彼が宥めているようだった。
張りつめた空気。
サレの脳裏にひとつ考えが浮かんだ。
サレは薄笑いを浮かべながらくくくっと咽を鳴らす。どこまで馬鹿で気に障るのだろう。
裏切ったら二人はどんな顔をするのか…そう考えると体を駆け巡る血がぞわっとサレを揺さぶり、それが心地よかった
彼はそれが奇異な事とは思わない。
今まで生きている内に築かれた、どうしようもない性だった。
理不尽が支配する場ならば僕はそれに乗ってあげようじゃないか。
サレは欲求に忠実にそれを楽しんでいた。
やがて、森の入り口に差し掛かると何者かの気配が近づいてきた。
太い木の幹に身を隠し、半身を乗り出して様子を伺う。それは二人いた。
髪を一つに束ね、巻き布の様な服を着た若い女と…あれは―――
サレは思わず喜びに眼を細めた。
ティトレイだ。
どうやら二人は地面に座り込んで深刻な話をしているらしく、何か憤慨している女を彼が宥めているようだった。
張りつめた空気。
サレの脳裏にひとつ考えが浮かんだ。
「あたしはなんとしてもあの女の子を殺した奴を殺す」
「だから今は落ち着けって!!」
「うるさい!!」
しいなは立ち上がった。 「…きっとこんなこと終わらせてやるって思ったよ。だけどもうあんなの見ると…」
しいなは拳を握りしめた。
ティトレイは少し考えてしいなに言う。
「だけど殺した奴が誰かわからねえんだ。気持ちは分かるけど…今は我慢するしかねえ…」
ティトレイも悔しげに顔をしかめた。
すずとセネルの死亡は大きく二人の心理を揺り動かせた。
ティトレイも沸き上がる今は行き場のない気持ちに耐えていた。
ひどく不安定な空気が二人の間に流れていた。
そのときだった
「だけど……っ… ――――!!!」
一瞬、反応したが遅かった
「だから今は落ち着けって!!」
「うるさい!!」
しいなは立ち上がった。 「…きっとこんなこと終わらせてやるって思ったよ。だけどもうあんなの見ると…」
しいなは拳を握りしめた。
ティトレイは少し考えてしいなに言う。
「だけど殺した奴が誰かわからねえんだ。気持ちは分かるけど…今は我慢するしかねえ…」
ティトレイも悔しげに顔をしかめた。
すずとセネルの死亡は大きく二人の心理を揺り動かせた。
ティトレイも沸き上がる今は行き場のない気持ちに耐えていた。
ひどく不安定な空気が二人の間に流れていた。
そのときだった
「だけど……っ… ――――!!!」
一瞬、反応したが遅かった
しいなの胸を、ブロードソードが深々と差し貫いた。
その背後には…闇に紛れて接近したサレの姿。
「……あ…」
「しいな!!!!!」
サレは素早く剣を抜き取り、また宵闇に紛れてその姿を消した。
致命傷は外してしまったようだがまあいい。サレの目的は別の所にあった。
「しいな!!しいな!!!!」
ティトレイが慌てて駆け寄る。しいなは虫の息だった。
「誰だ…!!誰だ!!!出てこい!!!!」
既に手を下した者はその場になく、ティトレイの恫喝が森の中を虚しく木霊するだけだった。
しいなを脚の上に抱き寄せると、溢れる鮮血で己が体も濡れてゆく。生暖かく、そしてその血は怒りと共にティトレイの心臓に染み入ってゆく様だった。
体が震える。
「何で…なぜだ…」
ティトレイの髪がざわざわと揺れる。
眼には血にも焔にも似た赤い光が宿る。
草木が張りつめた大気の中震え、ティトレイの感情に呼応する様に擦れ合った。
「これが、このゲームの答えかよ…」
ドッ!!とティトレイから本来なら人に有らざる力――――フォルスが凄まじい勢いで放出される。
「うおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!」
ティトレイは絶叫を上げた。
足下や周囲の植物が爆発的に異端な成長を遂げ、ティトレイの周囲に豪風と共に巻きあがる。
「うわあああああああ!!!!!!」
既にティトレイの理性は失われていた。
そう、サレの目的はティトレイのフォルスを暴走させる事、そして――――
その背後には…闇に紛れて接近したサレの姿。
「……あ…」
「しいな!!!!!」
サレは素早く剣を抜き取り、また宵闇に紛れてその姿を消した。
致命傷は外してしまったようだがまあいい。サレの目的は別の所にあった。
「しいな!!しいな!!!!」
ティトレイが慌てて駆け寄る。しいなは虫の息だった。
「誰だ…!!誰だ!!!出てこい!!!!」
既に手を下した者はその場になく、ティトレイの恫喝が森の中を虚しく木霊するだけだった。
しいなを脚の上に抱き寄せると、溢れる鮮血で己が体も濡れてゆく。生暖かく、そしてその血は怒りと共にティトレイの心臓に染み入ってゆく様だった。
体が震える。
「何で…なぜだ…」
ティトレイの髪がざわざわと揺れる。
眼には血にも焔にも似た赤い光が宿る。
草木が張りつめた大気の中震え、ティトレイの感情に呼応する様に擦れ合った。
「これが、このゲームの答えかよ…」
ドッ!!とティトレイから本来なら人に有らざる力――――フォルスが凄まじい勢いで放出される。
「うおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!」
ティトレイは絶叫を上げた。
足下や周囲の植物が爆発的に異端な成長を遂げ、ティトレイの周囲に豪風と共に巻きあがる。
「うわあああああああ!!!!!!」
既にティトレイの理性は失われていた。
そう、サレの目的はティトレイのフォルスを暴走させる事、そして――――
「クレス!!コレットちゃん!!!」
サレは息を切らして二人の元に駆けつけた。
「何があったんですか!!?」
二人の間に並々ならない緊張が走る。
「早く来て欲しい。森の中にいる男が凄まじい勢いで暴走している」
「何だって!!」
三人は森に向かい、走り出した。
とてつもない力が森から放たれている。
クレスは頬がぴりぴりとするのを感じた。
サレは息を切らして二人の元に駆けつけた。
「何があったんですか!!?」
二人の間に並々ならない緊張が走る。
「早く来て欲しい。森の中にいる男が凄まじい勢いで暴走している」
「何だって!!」
三人は森に向かい、走り出した。
とてつもない力が森から放たれている。
クレスは頬がぴりぴりとするのを感じた。
森に着くとそこには怒りと憎しみで猛り狂った男がいた。そしてその数メートル先には誰かが倒れている…周囲が暗く、蔦が覆っているのもあり、誰かは確認できないが。
この男がやったのだろうか?
男の燃える眼とコレットの眼が合った。
「ああああああ!!!!!!」
すると叫びと共に男の周りで蠢いていた蔦がコレットを目掛け襲いかかる。
「きゃあ!!!」
しかし間一髪でクレスがその蔦を斬り落とす。
クレスは男を真っ直ぐに見据えた。
この男には既に正気がない。
「…すごい殺気だ!!やるしかないのか!!!」
クレスは剣を構え、男に向けて走り出した。
この男がやったのだろうか?
男の燃える眼とコレットの眼が合った。
「ああああああ!!!!!!」
すると叫びと共に男の周りで蠢いていた蔦がコレットを目掛け襲いかかる。
「きゃあ!!!」
しかし間一髪でクレスがその蔦を斬り落とす。
クレスは男を真っ直ぐに見据えた。
この男には既に正気がない。
「…すごい殺気だ!!やるしかないのか!!!」
クレスは剣を構え、男に向けて走り出した。
もうひとつの目的は――――この男と戦わせる事であった。
「おおおおおおお!!!!」 更に蔦が幾重にも重なり、クレスを包み込もうとする。
「クレスさん!!」
するとコレットが支給品の短剣を器用にチャクラムの様に投げ蔦を斬り刻んで道を拓く。
「クレスさん!!」
するとコレットが支給品の短剣を器用にチャクラムの様に投げ蔦を斬り刻んで道を拓く。
単純な男だ。暴走するティトレイを眺めて思う。そもそも殺し合いの場で馴れ合う方が愚かなんだよ。
君の様な腐った理想を抱いた大根役者には無様に死んでもらうよ。それがお似合いだ。
フォルスが暴走しているとはいえ三対一だ。
勝機は明らかにこちらに有るだろう。
フフ、と思わず笑いが込み上げる。
君の様な腐った理想を抱いた大根役者には無様に死んでもらうよ。それがお似合いだ。
フォルスが暴走しているとはいえ三対一だ。
勝機は明らかにこちらに有るだろう。
フフ、と思わず笑いが込み上げる。
そしてこの二人は戦いの後真実を知るとなると、どんな顔をするのか――――
尤も、そんなお楽しみはまずこの男を殺してからずっとずっと後だけれどね。
尤も、そんなお楽しみはまずこの男を殺してからずっとずっと後だけれどね。
クレスとコレットはゆっくりと…しかし確実にサレの用意したステージの上で踊りだした。
それが仕組まれた脚本とも知らずに。
それが仕組まれた脚本とも知らずに。
【クレス 生存確認】
状態:無傷
所持品:ダマスクスソード ????
行動方針:ティトレイを倒す
現在位置:F4の森入り口
状態:無傷
所持品:ダマスクスソード ????
行動方針:ティトレイを倒す
現在位置:F4の森入り口
【コレット 生存確認】
状態:無傷
所持品:忍刀血桜 ????
行動方針:ティトレイを倒す】
現在位置:F4の森入り口
状態:無傷
所持品:忍刀血桜 ????
行動方針:ティトレイを倒す】
現在位置:F4の森入り口
【サレ 生存確認】
状態:無傷
所持品:ブロードソード ???
行動方針:ティトレイを倒す、コレットとクレスを利用する】
現在位置:F4の森入り口
状態:無傷
所持品:ブロードソード ???
行動方針:ティトレイを倒す、コレットとクレスを利用する】
現在位置:F4の森入り口
【ティトレイ 生存確認】
状態:フォルス暴走
所持品:不明
行動方針:理性がない為眼に付いた者を倒す
状態:フォルス暴走
所持品:不明
行動方針:理性がない為眼に付いた者を倒す
【しいな 生存確認】
状態:胸を深く刺され重傷
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ????
行動方針:瀕死の為不明】
現在位置:F4の森入り口
状態:胸を深く刺され重傷
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ????
行動方針:瀕死の為不明】
現在位置:F4の森入り口