第一回放送
「さて・・・そろそろ時間だな」
とても常人が使うとは思えない大仰な椅子に腰掛けながら、
壁にかかった時計を見やり、このバトル・ロワイアルの主催者、ミクトランはそう呟いた。
先程まで見続けていた画面にもう一度目をやり、薄ら笑いを浮かべる。
そこには、まるで劇場の様な巨大なスクリーンと、そこに表示される45の光点があった。
それはこのゲームの参加者達の現在位置を示すものであり、
彼ら彼女らの生死の判別も行う、簡単に言えば超巨大なレーダーであった。
当然参加者の支給品として配られた簡易的なものとは、性能に雲泥の差がある。
とても常人が使うとは思えない大仰な椅子に腰掛けながら、
壁にかかった時計を見やり、このバトル・ロワイアルの主催者、ミクトランはそう呟いた。
先程まで見続けていた画面にもう一度目をやり、薄ら笑いを浮かべる。
そこには、まるで劇場の様な巨大なスクリーンと、そこに表示される45の光点があった。
それはこのゲームの参加者達の現在位置を示すものであり、
彼ら彼女らの生死の判別も行う、簡単に言えば超巨大なレーダーであった。
当然参加者の支給品として配られた簡易的なものとは、性能に雲泥の差がある。
ミクトランはおもむろに右手を前に出した。
突如その場から黒い光が起こり、不気味に蠢く魔力の球体が出現した。
それは次第に歪み、凹み、うねりながら形を変えていった。
そして、やがて放送用に使われる拡声用のマイクが形作られた。
彼はそれを手に取り、何の気なしに右に左に傾けた。
これから自分が行うことによって、残る45人の参加者がどの様な反応を見せるか、彼は非常に楽しみだった。
「あ~・・・」
喉を鳴らす。これから起こる出来事に、誰よりも彼自身が心を弾ませていたのかもしれない。
突如その場から黒い光が起こり、不気味に蠢く魔力の球体が出現した。
それは次第に歪み、凹み、うねりながら形を変えていった。
そして、やがて放送用に使われる拡声用のマイクが形作られた。
彼はそれを手に取り、何の気なしに右に左に傾けた。
これから自分が行うことによって、残る45人の参加者がどの様な反応を見せるか、彼は非常に楽しみだった。
「あ~・・・」
喉を鳴らす。これから起こる出来事に、誰よりも彼自身が心を弾ませていたのかもしれない。
「諸君」
マイクに向かって言葉を投げかける。
彼の言葉はそれを通じて、島全体に設置された拡声器により、参加者全員の耳に届いているはずだった。
「どうだ、調子は?だいぶ時間が経過したが、バトル・ロワイアルには、もう慣れたか?」
自然と彼の内面にある嬉々とした感情が言葉に出てしまう様だった。
この放送を今、参加者達はどのような状況で聴いているだろう?
ある者は戦いながら、ある者は歩きながら、ある者は走りながら、立ち止まりながら、眠りながら、腰を下ろしながら、
怒りに身を焼き、悲しみに身を沈め、歓喜に震え、恐怖に怯え、自我を失いながら。
「諸君も知っての通り、現在時刻は午後六時、すなわち、第一回の放送を行う時間だ。
説明するまでも無いが、この放送を行うまでの間に脱落した者達の名前と、
これから三時間おきに設置される禁止エリアについての発表を行う。
さて、諸君等は自分達の仲間や友人達の安否が気になって仕方が無いだろうが、
まずは禁止エリアについて発表する。一度しか言わないので、よく聞いておけ」
そこで言葉を一旦切り、顔を上げて再びモニターを見る。
既に彼によってランダムに選ばれた禁止エリアが、赤く光っていた。
「まず、今から三時間後、つまり午後九時よりH6、更に三時間後の午前0時よりB4、
次に午前三時よりG1、そして今より十二時間後の午前六時よりE7だ。
時間になるまでは今指定したエリアに入っても問題ないから、各自よく考えて動くがいい」
そこでまた口を止めた。モニターごしに、参加者達の緊張が伝わってくるようだった。
ミクトランは暗い笑みを浮かべてモニターを見た。45の点は、どれも動こうとはしない。
「では全員お待ちかねの、脱落者、すなわち死亡者を発表する。
既に諸君等が知っての通り、ゲーム開始前に散った彼については今更説明の必要も無いだろう。
それでは発表だ。ここまでで死んだ者は彼を除いて九人──
直、今から発表する者達の名前の順序についてはこちらが勝手に決めたものだ。
死亡した順に言ってしまうと、余計な詮索をする輩が出て困るからな。では改めて言おう」
マイクに向かって言葉を投げかける。
彼の言葉はそれを通じて、島全体に設置された拡声器により、参加者全員の耳に届いているはずだった。
「どうだ、調子は?だいぶ時間が経過したが、バトル・ロワイアルには、もう慣れたか?」
自然と彼の内面にある嬉々とした感情が言葉に出てしまう様だった。
この放送を今、参加者達はどのような状況で聴いているだろう?
ある者は戦いながら、ある者は歩きながら、ある者は走りながら、立ち止まりながら、眠りながら、腰を下ろしながら、
怒りに身を焼き、悲しみに身を沈め、歓喜に震え、恐怖に怯え、自我を失いながら。
「諸君も知っての通り、現在時刻は午後六時、すなわち、第一回の放送を行う時間だ。
説明するまでも無いが、この放送を行うまでの間に脱落した者達の名前と、
これから三時間おきに設置される禁止エリアについての発表を行う。
さて、諸君等は自分達の仲間や友人達の安否が気になって仕方が無いだろうが、
まずは禁止エリアについて発表する。一度しか言わないので、よく聞いておけ」
そこで言葉を一旦切り、顔を上げて再びモニターを見る。
既に彼によってランダムに選ばれた禁止エリアが、赤く光っていた。
「まず、今から三時間後、つまり午後九時よりH6、更に三時間後の午前0時よりB4、
次に午前三時よりG1、そして今より十二時間後の午前六時よりE7だ。
時間になるまでは今指定したエリアに入っても問題ないから、各自よく考えて動くがいい」
そこでまた口を止めた。モニターごしに、参加者達の緊張が伝わってくるようだった。
ミクトランは暗い笑みを浮かべてモニターを見た。45の点は、どれも動こうとはしない。
「では全員お待ちかねの、脱落者、すなわち死亡者を発表する。
既に諸君等が知っての通り、ゲーム開始前に散った彼については今更説明の必要も無いだろう。
それでは発表だ。ここまでで死んだ者は彼を除いて九人──
直、今から発表する者達の名前の順序についてはこちらが勝手に決めたものだ。
死亡した順に言ってしまうと、余計な詮索をする輩が出て困るからな。では改めて言おう」
「アミィ・バークライト、チェスター・バークライト、藤林すず、ジェストーナ、
ルーティ・カトレット、ヒアデス、セネル・クーリッジ、モーゼス・シャンドル、マウリッツ、以上九名だ」
言葉を発する最中、モニターとは別に設置している機械から参加者達の多種多様な声が聞こえてきた。
「残りは45人、まだまだだな。もっともっと殺し合え。
ではこれで放送を終わる。これからは夜だ、くれぐれも闇討ちなどに気をつけるんだな」
彼の発表が参加者達にどの様な反応を与えたか、彼は気になって仕様が無かった。
そしてマイクを切り、放送を終えた。ミクトランはふう、と息をつくと、再び椅子に腰掛けた。
その顔には張り付いたままの暗い笑顔があった。彼は完全にこのゲームを楽しんでいた。
ルーティ・カトレット、ヒアデス、セネル・クーリッジ、モーゼス・シャンドル、マウリッツ、以上九名だ」
言葉を発する最中、モニターとは別に設置している機械から参加者達の多種多様な声が聞こえてきた。
「残りは45人、まだまだだな。もっともっと殺し合え。
ではこれで放送を終わる。これからは夜だ、くれぐれも闇討ちなどに気をつけるんだな」
彼の発表が参加者達にどの様な反応を与えたか、彼は気になって仕様が無かった。
そしてマイクを切り、放送を終えた。ミクトランはふう、と息をつくと、再び椅子に腰掛けた。
その顔には張り付いたままの暗い笑顔があった。彼は完全にこのゲームを楽しんでいた。
・・・この発表で奴等がどんな反応を見せるか、楽しみで仕様が無い。