逃亡
「バイバ!!」
どこからともなく聞こえてくる主催者の声。
はじめのほうこそ恐怖によって上手く聞き取れなかったが、ある単語にメルディは反応した。
〈禁止エリア〉 そしてそのあとに続いた〈B4〉 というエリアを指す単語。
そして………死亡者の中にいた〈ヒアデス〉という名前。
「ヒアデス……どうしてか……」
メルディには、ヒアデスが死んだと信じられなかった。
自分を殺そうとしていた男であったが、それはネレイドの所為であるところが大きい。
本来の彼は、セレスティア総領主である彼女の父バリルを補佐し、また仕事に追われる
バリルの代わりに父親代わりをしてくれる優しい男で、メルディはそんなヒアデスを好いていた。
年若い娘が、自分の父をスーパーマンだと錯覚するようなある種の感覚。
自覚しないまでも、彼女はヒアデスに対してそんな感情を抱いていた。
そんな彼が死んだ。あっさりと死んだ。
誰が殺したのか? いや、誰が殺せたのか?
メルディには見当もつかなかった。考える分だけ、恐怖は大きくなった。
自分がこの参加者の中で一番弱いのではないか。そんな考えが頭の中をよぎる。
《ならば誰にも負けぬ力をやろうか?》
まただ。ぶんぶんと頭を振って、少女はその声を追い出した。
ヒアデスの死をしばらく悼んだ後、慌てて地図を開く。
遠くになった塔と、徐々に見え始めてきた絶壁にかかる橋。そこから、自分がまさにエリアB4にいるのだと分かった。
本当ならその区域は午前0時をもって禁止エリアになるのだが、恐れる少女にそこまで考える心の余裕もなかった。
このエリアから離れないと、死ぬ。
それが少女の頭の中を占領し、そして行動に移させた。
塔と、橋。とりあえずここから見えるシンボルはそれだけ。
つねに薄暗いセレスティアで育っていなければ、この二つも見えなかったかもしれない。
どこからともなく聞こえてくる主催者の声。
はじめのほうこそ恐怖によって上手く聞き取れなかったが、ある単語にメルディは反応した。
〈禁止エリア〉 そしてそのあとに続いた〈B4〉 というエリアを指す単語。
そして………死亡者の中にいた〈ヒアデス〉という名前。
「ヒアデス……どうしてか……」
メルディには、ヒアデスが死んだと信じられなかった。
自分を殺そうとしていた男であったが、それはネレイドの所為であるところが大きい。
本来の彼は、セレスティア総領主である彼女の父バリルを補佐し、また仕事に追われる
バリルの代わりに父親代わりをしてくれる優しい男で、メルディはそんなヒアデスを好いていた。
年若い娘が、自分の父をスーパーマンだと錯覚するようなある種の感覚。
自覚しないまでも、彼女はヒアデスに対してそんな感情を抱いていた。
そんな彼が死んだ。あっさりと死んだ。
誰が殺したのか? いや、誰が殺せたのか?
メルディには見当もつかなかった。考える分だけ、恐怖は大きくなった。
自分がこの参加者の中で一番弱いのではないか。そんな考えが頭の中をよぎる。
《ならば誰にも負けぬ力をやろうか?》
まただ。ぶんぶんと頭を振って、少女はその声を追い出した。
ヒアデスの死をしばらく悼んだ後、慌てて地図を開く。
遠くになった塔と、徐々に見え始めてきた絶壁にかかる橋。そこから、自分がまさにエリアB4にいるのだと分かった。
本当ならその区域は午前0時をもって禁止エリアになるのだが、恐れる少女にそこまで考える心の余裕もなかった。
このエリアから離れないと、死ぬ。
それが少女の頭の中を占領し、そして行動に移させた。
塔と、橋。とりあえずここから見えるシンボルはそれだけ。
つねに薄暗いセレスティアで育っていなければ、この二つも見えなかったかもしれない。
メルディの決断は、意外なほど早かった。
その決め手となったのは、あのとき塔で見たふたりの男。
あれらの所為で、彼女には塔がひどく不気味なものに思えた。
クイッキーの代わりであるかのように、鉱石を一層強く抱きしめながら、彼女は橋を目指した。
その決め手となったのは、あのとき塔で見たふたりの男。
あれらの所為で、彼女には塔がひどく不気味なものに思えた。
クイッキーの代わりであるかのように、鉱石を一層強く抱きしめながら、彼女は橋を目指した。
【メルディ】
状態:弱パニック。ネレイドの干渉は押さえ込んでいる
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
行動方針:仲間と合流、元の世界へ帰る
現在地:B4の海岸部寄り
状態:弱パニック。ネレイドの干渉は押さえ込んでいる
所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
行動方針:仲間と合流、元の世界へ帰る
現在地:B4の海岸部寄り