没OP・1 ◆ZZjg6Ldp1U
限りなく白に近いクリーム色の壁に染み一つない赤いカーペットが敷かれた部屋。
天井に備え付けられた電灯が部屋全体に明るい光をもたらし、窓一つない部屋からは外の様子は何一つ分からない。
規則的に立ち並ぶ机や椅子。
厳粛な雰囲気と威圧感を見るのも全てに与えるその部屋の名は議場。
優に百人は収容できるであろう東福山市役所の“そこ”に“彼ら”63名は何も知らないまま集められた。
天井に備え付けられた電灯が部屋全体に明るい光をもたらし、窓一つない部屋からは外の様子は何一つ分からない。
規則的に立ち並ぶ机や椅子。
厳粛な雰囲気と威圧感を見るのも全てに与えるその部屋の名は議場。
優に百人は収容できるであろう東福山市役所の“そこ”に“彼ら”63名は何も知らないまま集められた。
「起きたまえ諸君」
朗々とした重低音が部屋中に響き渡り、集められたメンバーが椅子の上で覚醒した。
ある者は欠伸と共に伸びをしようとし、またある者は一旦立ち上がって目を覚まそうとした。
が、それぞれの動きがは実行されない。
椅子に座った者全員が金縛りにあったかのように椅子の上に固定されているのだ。
それに気が付くと人々の頭から眠気という物は一気に吹き飛んでゆく。
何をされたんだ?
共通の疑問を抱いた彼らは、瞬きのみで必死に視界を回復させてゆき、正面に立つ三人の男女の姿を見た。
若い女が一人に、3・40代程の男が二人。
三人の見た目は極々普通で、町で擦れ違ったとしても一瞬で忘れ去ってしまいそうな風貌。
しかし、この場においては話が違う。
状況から考えて自分たちをこの場へと連れて来たのは彼ら、即ち得体の知れない何かをあの三人組は持っているのだ。
声を出すことすら許されない彼らが持つ権利は、今この場であったことを見ることと聞く事だけ。
部屋は明るいはずなのに陰気な空気が流れて、あまりの息苦しさに耐えかねた人が出てきた頃に三人組の一人が話し始めた。
ある者は欠伸と共に伸びをしようとし、またある者は一旦立ち上がって目を覚まそうとした。
が、それぞれの動きがは実行されない。
椅子に座った者全員が金縛りにあったかのように椅子の上に固定されているのだ。
それに気が付くと人々の頭から眠気という物は一気に吹き飛んでゆく。
何をされたんだ?
共通の疑問を抱いた彼らは、瞬きのみで必死に視界を回復させてゆき、正面に立つ三人の男女の姿を見た。
若い女が一人に、3・40代程の男が二人。
三人の見た目は極々普通で、町で擦れ違ったとしても一瞬で忘れ去ってしまいそうな風貌。
しかし、この場においては話が違う。
状況から考えて自分たちをこの場へと連れて来たのは彼ら、即ち得体の知れない何かをあの三人組は持っているのだ。
声を出すことすら許されない彼らが持つ権利は、今この場であったことを見ることと聞く事だけ。
部屋は明るいはずなのに陰気な空気が流れて、あまりの息苦しさに耐えかねた人が出てきた頃に三人組の一人が話し始めた。
「始めまして、わたしの名前は広川剛志。東福山市の市長をやらせてもらっている。
後ろの二人は田村玲子君と後藤君だ」
後ろの二人は田村玲子君と後藤君だ」
教卓の上に置いてあるマイクをあえて使わずに自己紹介をする広川。
だが、ここに呼ばれた人間にとっては彼らの名前などはどうでもいい。
どのような理由から、どのような方法で自分たちが此処へと連れて来られたかのが気になるのだ。
そのジリジリとした空気を感じ取ったのか、広川は話を続ける。
だが、ここに呼ばれた人間にとっては彼らの名前などはどうでもいい。
どのような理由から、どのような方法で自分たちが此処へと連れて来られたかのが気になるのだ。
そのジリジリとした空気を感じ取ったのか、広川は話を続ける。
「いきなりだが私は常々思っていたんだ。
人間というのは何故このように愚かな種なのだろうかと? 鯨で例えて考えてみろ。
鯨の天敵である人間が捕鯨を止めた結果、世界中で鯨が海産資源を食い荒らし始め、いつかは食糧不足に陥って鯨自身の首を絞めるとまで言われるようになったのだぞ?
そう、天敵というのは害ではない! むしろその種のためにある程度は必要なものだ!
なのに貴様ら人間はそれを理解しようとせずに我々を一方的に悪とし、『パラサイト』なる呼び名で呼んだ。
自らを万物の霊長と呼びながら己の繁栄を考えるのみで、他の生き物の事など微塵も考えない!
我々は真の意味での『パラサイト』ではない! 貴様ら人間こそが地球を蝕む寄生虫! ………いや、寄生獣か」
人間というのは何故このように愚かな種なのだろうかと? 鯨で例えて考えてみろ。
鯨の天敵である人間が捕鯨を止めた結果、世界中で鯨が海産資源を食い荒らし始め、いつかは食糧不足に陥って鯨自身の首を絞めるとまで言われるようになったのだぞ?
そう、天敵というのは害ではない! むしろその種のためにある程度は必要なものだ!
なのに貴様ら人間はそれを理解しようとせずに我々を一方的に悪とし、『パラサイト』なる呼び名で呼んだ。
自らを万物の霊長と呼びながら己の繁栄を考えるのみで、他の生き物の事など微塵も考えない!
我々は真の意味での『パラサイト』ではない! 貴様ら人間こそが地球を蝕む寄生虫! ………いや、寄生獣か」
場の雰囲気は完全に広川の物となっていた。
ここにいるのは一般人だけではない。百戦錬磨の兵もゴロゴロ存在するのだ。
しかし、彼らは皆広川の気迫に飲み込まれている。
強い野望を宿した瞳と、リーダーとしての才気が不思議な説得力と威圧感を植えつけていた。
ここにいるのは一般人だけではない。百戦錬磨の兵もゴロゴロ存在するのだ。
しかし、彼らは皆広川の気迫に飲み込まれている。
強い野望を宿した瞳と、リーダーとしての才気が不思議な説得力と威圧感を植えつけていた。
「広川……お前の言い分は分かったから早く本題に入るべきだ」
「大丈夫だ、すまない田村さん」
「大丈夫だ、すまない田村さん」
興奮して息を荒げる広川の肩に手を置いて冷静さを取り戻すように忠告した田村玲子。
広川はその白い掌に、自身のごつごつとしたそれを重ねて再び演説を始めた。
広川はその白い掌に、自身のごつごつとしたそれを重ねて再び演説を始めた。
「すまないね、ついつい熱くなりすぎてしまったようだ。
では、本題から先に言わせて貰おう。『今から君たちには殺し合いをしてもらう』」
では、本題から先に言わせて貰おう。『今から君たちには殺し合いをしてもらう』」
殺し合い
このキーワードに対する“参加者”達の反応は様々であった。
目を大きく見開いて驚きを表現する者、瞳に怒りの炎を宿した者、無関心そうに広川を見る者。
そして、多数存在する現状を理解できていない者。
各々がそれぞれの反応を見せる中で、冷淡な声で広川が告げる。
目を大きく見開いて驚きを表現する者、瞳に怒りの炎を宿した者、無関心そうに広川を見る者。
そして、多数存在する現状を理解できていない者。
各々がそれぞれの反応を見せる中で、冷淡な声で広川が告げる。
「さて、一応ルールを説明しておこう―――」
広川が告げたルールは大まかに言えば
- 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となること
- 参加者には主催から支給品が配られる事
- 参加者の首に付いた首輪はある条件を満たすと爆発する事。
以上の三点であった。
「以上でルール説明は終わりだ。後藤君、頼む」
「ああ」
「ああ」
広川に促された瞬間参加者の視界から後藤の姿は消えうせた、
いや、正確に言えば彼の動きがあまりにも早すぎたため一部の者を除いて彼の動きを視認することが出来なかったのだ。
そして後藤が再び広川の下へと戻った時、彼の腕の中には一人の少女の姿があった。
いや、正確に言えば彼の動きがあまりにも早すぎたため一部の者を除いて彼の動きを視認することが出来なかったのだ。
そして後藤が再び広川の下へと戻った時、彼の腕の中には一人の少女の姿があった。
「何故です? 何故私達に殺し合いをさせるのですか!?」
「理由か?トリステイン国王女アンリエッタ・ド・トリステイン。
先ほど言ったとおりだ。この星にとって有害な寄生獣を何とかしようと思ってね」
「それだけの為にこれだけの人数に殺し合いをしろと!?」
「理由か?トリステイン国王女アンリエッタ・ド・トリステイン。
先ほど言ったとおりだ。この星にとって有害な寄生獣を何とかしようと思ってね」
「それだけの為にこれだけの人数に殺し合いをしろと!?」
必死な形相で広川を問い詰めるアンリエッタ。
あまりの勢いに清楚なイメージを見る者全てに与えるドレスは完全に乱れ、美しく整った髪形も崩れてしまっている。
あまりの勢いに清楚なイメージを見る者全てに与えるドレスは完全に乱れ、美しく整った髪形も崩れてしまっている。
「それだけ? 確かに君の国はまだ星を傷つけてはいないだろう。
しかし、君達は掴んでしまったのだよ。君たちの星の生物の未来を脅かす物の欠片をな!」
「でも! 未来の事なんて誰にも分からないのでは?」
「いや、人間の本質を私は今まで嫌になるほど見てきた。
お前らは一々飾り立てるのだろうが、本質は結局変わらん」
「でも!それでも」
「黙れ!」
しかし、君達は掴んでしまったのだよ。君たちの星の生物の未来を脅かす物の欠片をな!」
「でも! 未来の事なんて誰にも分からないのでは?」
「いや、人間の本質を私は今まで嫌になるほど見てきた。
お前らは一々飾り立てるのだろうが、本質は結局変わらん」
「でも!それでも」
「黙れ!」
広川は語尾に激しい怒りを孕まして、自身の両手でアンリエッタを突き飛ばした。
尻餅をついて、アンリエッタの体がカーペットの上に倒れこんだのを確認して手を二回叩く。
パン、パンと乾いた音が静まり返った議場に広まった後、
彼女の首輪からピ・ピ・ピという警告音が発せられ―――
尻餅をついて、アンリエッタの体がカーペットの上に倒れこんだのを確認して手を二回叩く。
パン、パンと乾いた音が静まり返った議場に広まった後、
彼女の首輪からピ・ピ・ピという警告音が発せられ―――
ボン
音と熱を伴って小規模な爆発がアンリエッタの首から発せられる。
が、小規模と入っても爆発の威力は折り紙つきだ。
彼女の首はあっけなく胴体から泣き別れ、誇り高き姫の生命は容易く奪われてしまった。
が、小規模と入っても爆発の威力は折り紙つきだ。
彼女の首はあっけなく胴体から泣き別れ、誇り高き姫の生命は容易く奪われてしまった。
「では、これを以ってバトルロワイヤルを開幕したい」
自分が引き金となって彼女が死んだにもかかわらず、広川は何の感慨も見せない。
ゆったりとした広川の宣言と同時にアンリエッタの死に驚きを隠せない参加者達の姿が次々と消えてゆく。
最後に残ったのは広川とアンリエッタの死体。そして田村玲子。
ゆったりとした広川の宣言と同時にアンリエッタの死に驚きを隠せない参加者達の姿が次々と消えてゆく。
最後に残ったのは広川とアンリエッタの死体。そして田村玲子。
「どうした? 早く会場に向かうんだ」
「いや、貴方も実は少し期待してるのでは?」
「期待? 私が何に期待してるというのかね?」
「ふふふ、冗談よ。じゃあ行って来るわね」
「いや、貴方も実は少し期待してるのでは?」
「期待? 私が何に期待してるというのかね?」
「ふふふ、冗談よ。じゃあ行って来るわね」
そう言った直後に彼女の体もかき消されるように存在を消して、この場の生者は広川のみとなる。
「生物の未来を守るためだ」
広川は誰に言うでもなくポツリと漏らし、やがて彼自身の姿も議場から消え去っていった。
【アンリエッタ・ド・トリステイン@ゼロの使い魔 死亡】