用語解説など
(か行)
- 【歌唱魔術】
- 音を媒介として対象聴覚を通じて体内に直接術式を送り込み効果を発する魔術の通称。広義的には精神操作系・範囲魔術に分類される。
歌唱に限らず聴覚に"音"として認識されれば良い為、楽器の音が用いられることも多い。催眠術同様、通常の"言葉"を用いることも可能であるが音律に乗せた方が、より高い効果が得られることが実証されている。
- 【元素魔術】
- クレディグナにおける魔法・魔術のうちでも最も広く普及している術式体系の一つ。その骨子は術者が体内で精製する内錬魔力によって世界の"状態"に干渉・励起し、限定的に世界の理を変化・維持・制御することである。四大元素と称する土水風火をそれぞれ世界の"状態"(固体・液体・気体・運動/変化)に当てはめる為、属性魔術とも呼ばれる。なお、これら各属性の持つ特性を混合融和することで、複数の属性特質を持った変革を作り出す術はより高位の元素魔術として体系付けられ、一般に属性融合術、融合術式等と称される。
その発動時の威力は術者が構成に費やす内練魔力に比するが、発動から目的達成に至るまでの維持・制御にも術者の内錬魔力は常時消費し続ける為、制御力が伴わなければ、一瞬の発動によって術者自身を傷つける危険性をも孕む為、流派にもよるがその要諦は制御力にこそあるというのが定説である。
- 【賢者の塔】
- 【大陸魔道協会】の項参照
(さ行)
- 【呪詛魔法】
- 最も古い魔法・魔術の一つ。雨乞いや豊作祈願に起源をもち、術者の意・願いを形に表すシンプルさからあえて魔術ではなく魔法と称される。術式構成はシンプルであるが発現内容によってその対価となる魔力量の幅が大きく、対象の抵抗によってその発現を無効化されることがある。また、天候や事象といった因果律への介入は因果の抵抗を受けることから非常に困難かつ膨大な耐価魔力を要することから、一介の術者による発現は事実上不可能とされる。広く流布する呪詛魔法の使用例としては、特定対象への制限賦与が一般的であり、極東において発展を遂げた呪禁術(特定対象の特定行為を禁ずる魔術)なども呪詛魔法の派生であると大陸魔道協会によって体系付けられている。訓練を受けた魔術士よりも、微力な魔力を有した非魔術士などによる妬みや嫉み、憎悪といった負的感情による無意識下発現は古くから問題視されており、現代において呪詛魔法を操るものはその解呪法のエキスパートでもあることが多い。前述の負的感情による呪詛の無意識化発現は、その対価として死霊魔術で定義する負の想念が生み出す"生霊"を生み出しやすいという研究結果が報告されており、呪詛魔法と死霊魔術の関連性と呪詛被害への連携した対応法の研究が注目を浴びている。
「呪詛の専攻が暗いって?まぁ世間のイメージ的にはそうかもね。担当教導師がアレだし確かに暗いわね。でも元々呪詛は『願う力』で原初の魔術の一つよ。日照りを呪い、病を呪い、他者の不幸を呪う。いつしか願いは妬みに変わってしまったけれど、少なくともココで教えるのは、妬みを呪う願いのチカラよ」
「ふむ呪詛担当のリヒターが近寄り難いと? まぁ顔色悪いし、授業以外は研究室篭りっ放しだし、服も髪もくたびれてるし…コホン。ま、まぁアレよ。見た目はともかく、一度授業見学してみるといいわ。あれほど呪詛に苦しむ人達の為の術を教える授業はちょっと他ではないんだから」
「じゃあアタシも一つ呪詛をやってみせてあげようかしらね。……汝の悪しき夢見が呪われてあれ、今宵浴す、瞬く休息に深き安息と癒しがあらんことを、呪われてあれ、汝が望み、汝が探求がいかなる道を経ようとも、既に引き寄せし星々の笑顔が汝から離れず汝を迎え入れんことを。誓願せしは汝の痛みと嘆きを呪いたる者なり、我が願い叶えたまえ。…おやすみ、ニール♪」
- 【親和属性】
- 産まれ落ちた土地、季節、時間帯などによって術士がその肉体に宿す魔術的資質の一つ。術士が内然する魔力である内練魔力には属性という概念は存在しないが、術士の意識・無意識下いずれにおいても構成と呼ばれる出力術式を介して現界に『力』として変換される際、術士にとって親和性の高い属性の影響を若干ながらに受けてしまう現象から発見された。あくまで資質の一つであり、火の親和性が高いゆえに水の属性変化を苦手とするということはなく、せいぜいが水よりも火への属性変化の方がより効率的に行えるといった程度の影響である。※但し精霊からの好かれやすさに影響するとする学説も存在する。
また稀にこの資質を備えない術士が存在することも確認されている。前述した通り、親和性という特性上これは必ずしも欠点ではなく、全属性への制御を同一バランスで行える点に於いて術式の汎用性は高まることから、むしろ長所と捉える向きもある。親和属性の無特性がいかなる条件によって身に宿るかについては現在も解明されていない。
余談であるが魔道学院の寮塔には四大属性の名が冠されており、生徒の親和性によって入寮先が決定していると思われがちであるが、全くの無関係である。
また親和属性と個人の性格なども全くもって無関係であるものの、体質的に暖かい環境を好む、寒い環境に慣れやすいなどといった個人差程度には影響しているのかも知れないが、一般的には体質的なものとされる。
- 【精神操作系魔術】
- 内錬魔力を『力』として体現する物体操作系魔術に対して、これを『波動』と化して生物の精神作用に影響を与える術の総称。
人(人間種族に限定しない)の知覚力・生命活動力などに作用する為その扱いは非常にデリケートである。人の心を操ることで意思に反した行動の強制も可能であるが、これは魔道協会によって厳重に禁止される事項であり、人と信頼によって世界を分け合い、共生を望む全ての有魔力人にとって自己の利益の為にこの技術を用いる術士は最も愚劣かつ唾棄すべき存在として忌み嫌われるばかりか、魔道協会の異端摘滅対象の指定を受けることとなる。魔道協会の定める運用ガイドラインにおいて最も細やかな規約が存在する魔術が精神操作系魔術である。
代表的な派生術としては対象の知覚力に関与する幻惑術(護身・危険への対処、犯罪的副次的要素が無いと認められる場合に限定して使用が許されている)や、術者の知覚力を限定的に増大する知覚賦与系魔術、対無機/有機物への探査・走査魔術などもこの系統術である。
また、一部の肉体賦与系魔術についても身体機能を統御する精神への作用であるとして精神操作系に体系付けしている場合がある。
- 【精霊魔法】
- 自然物に宿る精霊の力を召喚・解放することによって、自然物に起因した不思議の力を行使する魔法・魔術。
効果こそ元素魔術に似るが、元素魔術が術者の内練魔力によって威力~制御全てを賄うのに対して、精霊魔法は召喚した精霊の格によってその行使威力は異なり、精霊を使役するという意味合いで制御は精霊に託される。
但し、精霊を召喚するのに必要となる精霊門を開く際には術者の内錬魔力を要し、この内練魔力如何によって呼び出せる精霊の格も異なるといわれる。さらに高位の精霊である場合、精霊を限界に顕現させ使役し続けるには精霊門を開き続ける必要がある為、やはり内錬魔力の消費を伴う。
また精霊門を開くことができるのは自然物上に限られる為、行使環境の影響を受けやすく、環境によっては行使不可能な場合もあり、元素魔術に比べて制御に魔力を消費し難い利点と環境によって制限を受けるという欠点を備える。
地下では風の精霊門は開けない、切り出し加工された石や岩、精錬された鉄鉱石から土の精霊門を開くことができない、元素魔術で作り出した炎から火の精霊門は開けないが、松明に移せば可能...等、の制限が存在する。
(た行)
- 【大陸魔道協会】
- 1099年に、その前身である魔道士互助組合を基に設立。
当初その主たる役割は、魔力保有者について正しい理解を世界に求めること並びに、基本的人権の獲得に向けた列国との交渉が主眼として置かれ、その為の手段として有魔力者への魔力制御教育の支援、魔道技術の研究・開発と、その商品化による権益獲得が進められた。
魔道協会による働きかけや、右肩上がりに伸長する有魔力人比率が高まる世情の他、有識者である魔術士以外によって扱われたことによる古代遺産の暴走事故の頻発化等により、有魔力人種との共存共栄が国を富ませる事に繋がるとの見解の基ではあるものの、大陸中央部において有魔力人の人権が一般の人々との間にほぼ差異を見受けられなくなった1200年代には、その主要な活動は魔道技術の研究・開発、商用化統制、魔道遺跡・遺産の管理の他、手に入れた共存の権利が危ぶまれることのないよう有魔力人=魔術士を管理・監督することに重きが成されている。
大陸魔道協会はその本部をウィスタリア帝国版図内南東部に置いているが、その敷地並びに周囲一帯は独立都市として、政治的独立性を認められている。あくまで治外法権の認められた学研都市であり、国家ではないが、対外的には11人からなる理事会によって選出された理事長を頂点に置く合議制によってその運営はなされている。
各地にはその活動を円滑に行うために各国家によって認められた支部が置かれているが、これはあくまで出向施設であるため、領事館のような治外法権を有してはいない。
協会の本部である都市は、大陸中央部を流れる大河ナイアスの支流を跨るようにして位置し、高い城壁と都市内にひかれ縦横に走る水路によって難攻不落の要塞ともいえる立地をなす。
その中央部には七層の塔を有することから、魔道協会本部は通称を『賢者の塔』と呼ばれる。
- 【誓い】
- 魔術補助式である『誓約術式』の通称。通常享受出来るはずのものを意図的に封じる・特定の行為を自身に課す等の自らに枷となるものを与えることを対価として特定魔術の行使において限定的にその威力などを増す継続的魔術式。
誤解されがちであるが、対価として差し出す物の価値が高ければ高いほどその効力が大きいことを安易に捉え、眼を潰す、腕や脚を切り落とすといった肉体欠損行為に走る者もいるが、それらは内練魔力の練成能力を減じることに繋がる為、総合的には差し出したものに見合う効果を得られることは無い。また命を差し出す・生命機能の根幹に関わる能力や器官を差し出す・寿命を対価とするといった行為についても、術者の生命維持を対価とすること自体が矛盾契約となることや、寿命自体が自身で制御可能ではない為、効果を得ることはない。
何より考えて頂きたいのは、世界と魔術士の共生を願う魔道学院が子供たちに知識として伝授する項目にこれを含むのは、生徒に危険な技術を教える為でも、大きな悲しみと引き換えに力を得る為でもない。食事に感謝を捧げることを忘れない、ある行為に対して利き手の使用を禁じたりといったお呪い程度のことで、伸ばしたい指先をほんの少しだけ遠くへと届かせる方法、その知識を与えているだけである。
この技術を生徒が自身や同じ学生に対して、肉体を欠損したり命に関わるような危険な行為に及ぶことがないよう、正しく理解を促す為である。もしもそのようなことに生徒が知識を用いることがあれば、それは教導師たちにとってどれほどに悲しいことであるのか、想像に難くないでしょう。
- 【天賦の才】
- 個人が身に宿す独自の魔術構成や、魔術的資質、傾向等を指す。魔道学院で授受される技術の中には含まれない(道義的に授受すべきでない技術)ものもあれば、そもそも授受不可能(一定の血族にのみその再現方法が伝えられている場合、または体質で固定される魔術)なものも含まれる。
(な行)
(は行)
- 【物体操作系魔術】
- 内錬魔力を純粋な理力、『念動』として放出、操作する魔術の総称。念動をそのまま加速し、衝撃力として用いることから、術者の腕の延長として物体に運動を促す作用力として用いる術など派生術が数多く存在する。魔道学院でも最も初歩的な実技として訓練を受けるが、そのその奥は深く、念動を自在に操ることは全ての魔術の骨子に通ずる。
元素魔術などはこの念動によって世界の状態=理に作用することで『念動』に属性を与える術である。
(ま行)
- 【魔核結晶】
- 魔晶を利用した動力発生装置の一種。
- 【魔眼】
- 瞳に宿った能力、またはその能力を宿した眼球自体を指す。生まれ持った能力の場合は先天性、そうでない場合を後天性魔眼と称するが、先天性魔眼には、後天的には取得不可能なものが数種存在することが確認されている。
概ね先天性魔眼は後天的に同様の能力を持たせたそれよりも高い能力を秘めるが、反面制御が難しく、一部の後天性魔眼では可能な能力の自由切断(on/off)が不可の場合が多い。
- 【魔晶】
- 石英が地脈からの魔力影響を得て変質した結晶。結晶自体に魔力を帯びる他、親魔力反応を持ち、魔力の充填・蓄積の他、加工を施すことで魔術術式自体を記録することができる。
- 魔術発動対価である術者の内錬魔力の代替とすることが可能かつ、魔晶自身に蓄積された魔力との触媒反応を見込んだ術式構成を立てることで、魔術出力の変化・増幅、内錬魔術の消費を抑える。
魔晶の発見・動力源としての普及に伴い、魔道技術の一般社会への浸透は一気に加速することとなり、社会生活に欠かせぬ技術として重きを成している。
- 【魔術と魔法】
- 両者を明確に分かつ定義は正式には存在しないが、一般的に自らの内に発生する魔力(内練魔力)を変換・出力する技術を『魔術』、自らの外側のエネルギーを操ったり解放する不思議の技を『魔法』と称する場合が多い。
~とある魔術教導師とのやりとり~
そうねぇ……一番分かりやすい例は、内練魔力を変換して炎や風を起こす元素魔術などが前者、精霊を召喚使役することで炎を風を起こす精霊魔法などが後者……かしら。ま、精霊を召喚する過程などでやっぱり内錬魔力は消費されるし、精霊門を開くこと自体は技術だから、広義的にはどっちも魔術だ~って議論もあるんだけどね。少なくとも記述考査で『元素魔法』とか『精霊魔術』って書いたからってバッテン貰うことは無いわ♪
- 【魔道機関】
- 魔晶を動力源として利用した駆動装置、主に複数の魔晶による連動駆動を行う大型装置を指す。
(わ行)
補足など
最終更新:2019年05月03日 19:43