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テラカオスバトルロワイアル外伝
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結束 UNITY

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だれでも歓迎! 編集
(暑いな……)

容赦なく照りつける太陽を仰ぎ見て、ヴェイグ・リュングベルは顔を顰める。
白銀に包まれた寒村スールズで育ったヴェイグにとって、この会場の気候は好ましいとは到底言えないものだ。
これでも殺し合いが始まった直後よりは日差しも弱まっているのだが、それでも暑いことに変わりはない。
それどころか、ヴェイグは今の方が暑くなっているように感じていた。
これは、ヴェイグが冷房器具が作動していた六本木ヒルズの内部にいたのが原因だ。
しかもヴェイグは、一階から展望室までを階段を利用して登り下りしているため、内部にいた時間はそれなりに長い。
エレベーターを使えばもっと早く登り下り出来たのだが、田舎育ちのヴェイグがエレベーターの使い方など知っているはずもなかった。
長時間涼しい屋内にいたヒトが太陽の照りつける屋外に出たならば、体感気温が実際のそれよりも高く感じられるのは当然だと言えるだろう。
だが、それでもかつての旅の道中に訪れたアニカマルや砂漠ほどの暑さではない。この程度の暑さは、ヴェイグの歩みを止める理由には成り得ない。
クレアの元に帰る。その願いがある限り、生半可な障害ではヴェイグの歩みは止められない。
だが、この殺し合いもかつての旅のように生半可なものではないことをヴェイグは承知していた。
この殺し合いを打破するためには、かつての旅がそうであったように仲間の力が必要不可欠だ。
そのためにも他の参加者と接触する必要があることを、ヴェイグは強く感じていた。
先程六本木ヒルズの展望台から見た景色をヴェイグは思い出す。そこからの眺めには、ヴェイグの目から見れば特異な物に見える建物群の中でも、群を抜いて特異だと言える建物がいくつかあった。
あのような目立つ建物ならば、他の参加者が目標物と定めてもおかしくはない。ならばまずはそのような建物を目指すべきだろう。
バルカにあった蒸気機関車の線路のような物も気になるが、それは道中確認すればいい。
ヴェイグはそう考え歩き始める。そして、一歩踏み出したところで視界の隅で何かが動いたのを感じた。
ヴェイグは素早く何かが動いた方向を見たが、そこには誰もいない。だが、たしかにそこには動くものがあった。
その動くものとは影。影があるというのに地上にその影を作り出した者の姿はない。ならば影を作り出した者はどこにいるのか。答えは簡単、空である。
ヴェイグは弾かれたように空を見上げる。そこには、炎の翼を持つ少女が鎧を纏った男の手を引いて飛んでいくという奇妙な光景があった。

(……炎ということは、あの少女もマオと同じ炎のフォルスの能力者なのか? だが、翼を作って空を飛ぶなんてことはマオには出来なかったはずだ。
 火の聖獣によって生み出されたマオよりも練度の高い炎のフォルス使いが存在するとは思えないが……)

ヴェイグの頭を様々な考えが過るが、ヴェイグは首を振ってそれらを頭から追い出す。
今大事なのはあの二人の能力ではなくスタンスだ。二人で行動しているということはこの殺し合いに乗っている可能性は低い。ならば、すぐにでも追って接触する価値は十分ある。
そうこうしている間にも、二人の姿はどんどん離れていっている。少しずつ高度が下がってきているのは、飛行が長時間維持できないからなのか、どこかに降りるつもりだからなのか。
どちらにしても接触するチャンスだ。ヴェイグはそう考え、腰を落とし構えをとる。ヴェイグは剣士であり、剣を持たない今は剣技を使うことはできない。
しかし、ヴェイグはただの剣士ではなく、氷のフォルスを持った剣士だ。故に、剣が無くてもヴェイグには使える技がある。

「絶・瞬影迅ッ!」

ヴェイグの体が蒼き光を放つ。そうして走りだしたヴェイグのスピードは、常人が出せるそれを遥かに超えていた。
フォルスにより自らの俊敏性を増大させる絶・瞬影迅の力を用いて、ヴェイグはビル群の中を疾駆する。
目指すは二人との接触。クレアの元に戻るための重要な第一歩と成り得るチャンスを逃すまいと、ヴェイグはさらにそのスピードを上げていった。


◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆     ◆

藤原妹紅ブロント
混沌の騎士から逃走した二人は、快適とはお世辞にも言えない空の旅を終えて、ビルとビルの間の路地裏に降り立った。
着地するやいなや、妹紅はその場に座り込む。脱衣拳との戦闘を終えた時点で既にかなり疲労していたのだ。その状態からさらに鎧を纏った男一人を支えて飛行した妹紅の疲労は並のものではない。
一方のブロントは俯き、悔しそうに身を震わせていた。自分があの少女――東京タワーを一人で逃したりしなければ、彼女は死ななかったかもしれない。そんな後悔の念に、ブロントは襲われていた。
ナイトの仕事はタゲを集め後衛に攻撃が届かないようにすることだ。
先程の暴走した脱衣拳のような、前衛に見向きもせず後衛を襲おうとする手合いはナイトとしては戦いにくい。
故に、東京タワーを戦闘区域から離脱させてタゲを強制的に自分に集めたブロントの判断は、すべてがすべて間違っていたわけではない。
だが、ブロントは失念していたのだ。この殺し合いの場すべてが戦闘区域であり、ヴァナでいうところの街のような安全な場所などどこにもないということを。
そしてその結果、逃げた東京タワーは混沌の騎士と遭遇し、殺された。
守れなかった。唯一ぬにの盾であるナイトが少女一人を、守れなかったのだ。
いや、守れなかったのは少女だけではない。あの首輪を爆破されて死んだ少年もだ。

『助けを求めていたにもかかわらずとんずらが間に合わなかった俺もまだまだ未熟ナイトだった感だが
 いつまでもネガるよりも前を見て助けられる命を助けるべきだと思った』

この殺し合いが始まった直後にブロントが言った言葉だ。実際、ブロントは助けられる命を助けるつもりだった。だが、現実はどうだ。
助けられたはずの命すら、自分は助けられなかったではないか。
その事実に、ブロントの怒りは有頂天になっていた。
その怒りの矛先が向けられているのは、東京タワーを殺した混沌の騎士と、ナイトとしての役目を何一つ果たせず、混沌の騎士をハイスラでボコることもできなかった自分自身だ。
だが、怒りをぶつけようにも混沌の騎士は今この場におらず、自分自身に怒りをぶつけるというのも無理な話だ。
やり切れない思いの捌け口を求めるかのように、ゆっくりとブロントの拳が持ち上げられる。
だが、その拳は怒りに震えこそしているものの、何時まで経っても眼前に存在するビルの壁面に振り下ろされることはなかった。
ブロントにとって、今ここで怒りに囚われた勢いのまま壁面にメガトンパンチを繰り出すことは至極簡単だ。だが、そんなことをしたら確実に辺りに破砕音が響き渡る。
そうなれば殺し合いに乗った参加者に発見されてしまうかもしれない。
ブロント一人だけならばともかく、消耗した妹紅がいる状態での戦闘は極力避ける必要がある。
一級廃人であるブロントは怒りが有頂天になっていても、冷静さを完全に失うようなことはない。
一時的な感情に流された結果、アワレにも全滅したパーティをブロントはヴァナで何度も見てきた。
謙虚なナイトである自分がそんな貧弱一般人のようなミスをしてはならない。そうブロントは必死に自分に言い聞かせていた。

その光景を見ながら、妹紅の手に握られているディムロスは複雑な心境を抱いていた。
撤退の指示を出したのは自分だ。あの場で混沌の騎士と交戦しても勝算はほとんどない。
そう判断したディムロスは、少しでも損害を減らすためにブロントの意志を無視して撤退を選んだ。軍人として、冷静に、冷酷に。
そして、その選択が間違っていたとはディムロスは思わない。だが、それでも。

(我は軍人の判断という名の下のワガママにブロントを付きあわせ、誇りを傷つけてしまったのではないか。騎士にとって、場合によっては命よりも大事なものとなり得る、その誇りを)

目の前で激しく、それでいて静かに怒るブロントを見ていると、そう思ってしまう。
何か声をかけるべきか、そっとしておくべきか。ディムロスは思案する。だが、その答えはついぞ出ることはなかった。
路地裏に、蒼を纏った一人の男が駆け込んできたからだ。

『ッ!? 妹紅ッ! ブロントッ!』

ディムロスの叫びがコアクリスタルから発せられた時には、既にブロントは動いていた。
滑らかな動きでデイバッグからベルセリオスを取り出し、闖入者に切っ先を向ける。
それに数瞬遅れて立ち上がった妹紅も、ディムロスを片手で持ちながらもう片方の手を闖入者に向け弾幕の発射体制に入る。

「おいィ? 俺は今マジでぶん殴りたくなるほどむかついてるんですがねえ……? もしお前が殺し合いに乗ってるならリアルで痛い目を見ることになる」
「私も、貴方が殺し合いに乗ってるんなら容赦はしないわよ?」

警告する二人に対して、蒼き闖入者――ヴェイグ・リュングベルは、己の叫びをもって答える。

「俺は殺し合いには乗っていない! あんたたちもそうなんだろう!?」

そのままヴェイグはデイバッグを地面に置き、両手を挙げる。降参、もしくは敵意のないことを示すポーズだ。
それを受けて、妹紅とブロントは顔を見合わせる。アイコンタクトによりブロントとの意見が一致していることを察した妹紅は、警戒を解くことなくヴェイグに問いかける。

「その言葉、はいそうですかって簡単に信じられると思う? 言葉だけじゃなくて、証拠になるような物がないと信用はできないわよ」
「証拠か……。一応、見せられないわけでもない。あんたたちが満足するかはわからないがな」
「ほう、経験が生きたなはやく見せるべきそうすべき」
「わかった。……いくぞ」

そう言うと、ヴェイグはビルに向けて手をかざす。それに呼応するかのように、両側の壁面が蒼く光った、その一瞬後。
そこには、美しく輝く氷の柱がビルとビルを繋ぐかのように生成されていた。

『この男もソーディアン無しで術を……!?』
「これが俺の力――氷のフォルスだ。もし俺が殺し合いに乗っていたなら、四の五の言わずにあんたたちを凍らせてから殺していたはずだ。
 ……これでは、満足できないか?」

氷柱の生成を確認したヴェイグは改めて二人に向き直り、そう告げた。
再度顔を見合わせる妹紅とブロント。
ほんの少しの逡巡の末、ブロントは剣を、妹紅は手を下ろした。

「その様子だと、どうやら満足してくれたみたいだな」
「まあね。たしかに貴方の言っている通り、不意打ちであれをやられたら結構厳しいと思ったよ。
 それに、迷いなくここに飛び込んできたってことは、貴方は私達の居場所を知っていたんでしょう?」
「ああ、先程空を飛んでいたのを見たからな。後を追わせてもらった」

暑い中全力で走ってきたからだろうか、額に浮かぶ汗を拭いながらヴェイグは問いに答える。
三人からは、先程までのような緊迫感に満ちた雰囲気はなくなっていた。

「なるほどね。こちらの居場所を知っていて、なおかつ一撃でこちらを無力化できる手段を持っている。
 それだけ揃ってるのにわざわざ姿を晒すのは、私達を殺すつもりだったんなら下策も下策だからね。
 私は貴方を信用してもいい。ブロントさん、貴方も同じ意見と考えていいのよね?」
「ぜんえzん問題にぃブリザド無詠唱で撃てるのは卑怯すぐると思うがそれがとてとてなのは確定的に明らか
 強力なブリザド使いがPT入りすることで総理大臣はアワレにも絶望しひややせかくことになる」
「……つまり、どういうことだ?」
「信用するってことよ。それで、できれば貴方の名前を教えてもらえないかしら?
 ちなみに私は藤原妹紅。それでこっちが――」
「俺はブロントっていう謙虚なナイト謙虚だからさんづけでブロントさんでいい」
「俺はヴェイグ、ヴェイグ・リュングベルだ。……妹紅、ブロントさん。単刀直入に言わせてもらうが、あんたたちに頼みがある。
 ……俺には帰りたい場所が、帰らなきゃいけない場所がある。そこに帰るために、あんたたちに手を貸して欲しいんだ」

ヴェイグは真剣な面持ちで、二人にそう告げる。
それに対して二人は――微笑を返した。

「……何がおかしい?」
「いや、ね。さっきブロントさんが、強力なブリザド使いがPT入りすることでなんとかかんとかって言ってたでしょう?
 貴方が頼みごとをする前から、ブロントさんは貴方と一緒に行動することを決めてたのよ。もちろん、私もそれは歓迎するわ。
 ……それに、私たちにも手伝ってほしいことはあるしね」
「頼られたくて頼られるんじゃない頼られてしまうのがナイトだからなPTメンバーを助けるのはナイトとして当然に決まってるでしょう?」
「ありがとう、二人とも。……よろしく頼む」

その言葉と共に、ヴェイグは両の手を妹紅とブロントに差し出す。
そして妹紅とブロントも、差し出されたその手を、しっかりと握り返す。
その光景を祝福するかのように、先程ヴェイグが作り出した氷柱が、陽光を浴びてキラキラと輝いていた。



「ところで妹紅。その衣服……そういう趣味なのか?」
「私だって好んでこんな格好してるわけじゃないわよ!?」



【港区・路地裏/一日目・夕方】


【藤原妹紅@東方Project】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(極大)左腕骨折(応急処置済み) 混沌の騎士へ怒り
[装備]:ソーディアン・ディムロス、スク水
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:主催者を懲らしめ、幻想郷に帰る
0:脱衣拳……
1:ブロント、ヴェイグと行動する。少し休みたい
2:ミクトランと混沌の騎士は倒す
※再生能力は制限により弱体化しています。
※飛行及び空中での能力連続使用に制限。


【ソーディアン・ディムロスの思考】
1:ブロントに声をかけるべきか……?
2:ミクトランがこの会場に……?


【ブロント@ファイナルファンタジーXI】
【状態】:ダメージ(中)、疲労(中)自己嫌悪、東京タワーの死にショック
【装備】:ソーディアン・ベルセリオス、ガラントアーマー+1(ガントレットのみバッグ内)
【道具】:基本支給品一式、
【思考】基本:主催者をボコる
0:脱衣拳……
1:他の参加者を探し、戦えそうなら仲間に、戦えなさそうなら保護
2:殺し合いに乗ってる奴はメガトンパンチ
3:ミクトランと混沌の騎士は倒す
※制限によりキングベヒんもス等は召喚不可


【ヴェイグ・リュングベル@テイルズオブリバース】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 ニンテンドーDS@現実、PSP@現実、iPad@現実(表面に少々の傷アリ)
[思考・状況] 基本:クレアの元に帰る。
1:殺し合いには乗らない。
2:妹紅、ブロントと行動。
3:同じ志を持つ参加者を探す。出来れば剣も手に入れたい。
4:自分に与えられた支給品を使いこなせる参加者も探す。



068:パロロワ考察 投下順 070:今は悪魔より主婦が微笑む時代なんだ!
時系列順
060:手遅れの後悔 藤原妹紅 :[[]]
060:手遅れの後悔 ブロント :[[]]
047:嗚呼。それにしても剣が欲しい…… ヴェイグ・リュングベル :[[]]

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