200X年Y月Z日、夜(ファイト開始から五日後)
「フラン……もうすぐ貴女のためのレミリア十字稜は完成する……」
「……死んでないから」
「……死んでないから」
とってもダサ……もとい、前衛的な屋敷の中で寛ぎながら呟くレミリア。
周囲にはモヒカンの群れが整列している。その数、およそ100。
周囲にはモヒカンの群れが整列している。その数、およそ100。
「ともかくレミィ、もうすぐ偵察部隊がモリヤ王国の国境ラインに到着するわ」
「よろしい……そろそろ私達も出撃するわよ。あそこを制圧すればもはや西側は敵なし。
反転してそのままサヴァ王国とブランカ王国を制圧し、この世界を私色に染め上げる。
国という財を私の元に集めてしまえば、どう足掻こうとも私の勝ちは確定する。
そして国の住民全てを奴隷として作り上げるものこそレミリア十字稜!
これこそまさにスカーレットディスティニー!」
(もう友達やめようかしら……)
「れ、レミリア……様……!」
「よろしい……そろそろ私達も出撃するわよ。あそこを制圧すればもはや西側は敵なし。
反転してそのままサヴァ王国とブランカ王国を制圧し、この世界を私色に染め上げる。
国という財を私の元に集めてしまえば、どう足掻こうとも私の勝ちは確定する。
そして国の住民全てを奴隷として作り上げるものこそレミリア十字稜!
これこそまさにスカーレットディスティニー!」
(もう友達やめようかしら……)
「れ、レミリア……様……!」
パチュリーが頭痛を感じ始めた頃、先遣隊として出立していたモヒカンの一人が泡を食ったように戻ってきた。
まるで、何か恐ろしいものでも見たかのような狂乱振りである。顔を顰めて問いかけるレミリア。
まるで、何か恐ろしいものでも見たかのような狂乱振りである。顔を顰めて問いかけるレミリア。
「どうしたの?」
「 ち に ゃ !」
「!!?」
「 ち に ゃ !」
「!!?」
二人の前で爆裂四散するモヒカン。
それだけではない、そのモヒカンを皮切りに整列していたモヒカンたちが病に犯されたかのごとく次々と倒れていく。
それだけではない、そのモヒカンを皮切りに整列していたモヒカンたちが病に犯されたかのごとく次々と倒れていく。
「こ、これはいったい!?」
「まるで祟られているように……ま、まさか!?」
「力こそ正義! いい時代になったものね……
神は心おきなく好きなものを自分のものに出来る」
「まるで祟られているように……ま、まさか!?」
「力こそ正義! いい時代になったものね……
神は心おきなく好きなものを自分のものに出来る」
突如響いた声に釣られて、二人は天井の突貫工、もとい、ステキなシャンデリアを見上げた。
そこにあるのは……その上で黒い笑みを浮かべて蛙座りしている諏訪子の姿。
そこにあるのは……その上で黒い笑みを浮かべて蛙座りしている諏訪子の姿。
「あんたらに蹂躙された人間たちの恨みを込めた祟りよ。気分はどう?」
「許さない……神の皮を被った悪魔め、あんたらの血は何色だぁー!
ぬーんレミリアストレッチ!」
「 レ ミ ィ が 言 う な 」
「許さない……神の皮を被った悪魔め、あんたらの血は何色だぁー!
ぬーんレミリアストレッチ!」
「 レ ミ ィ が 言 う な 」
怒りのまま突っ込んでくるレミリア(とパチュリーのツッコミ)を完全に無視して、トランシーバーで諏訪子は通信を入れた。
「早苗、もう準備はできた?」
『そろそろそちらに到達する頃です。諏訪子様は本当に頭のよいお方』
「ん、何かしらこのお……み、水……!」
『そろそろそちらに到達する頃です。諏訪子様は本当に頭のよいお方』
「ん、何かしらこのお……み、水……!」
決壊していたダムから氾濫した流水が、壁を叩き壊して国の、そして屋敷の中に突入する。
その中を見事に流されていくレミリア。そしてモヒカン部隊が辿った末路も同様だ。
残ったパチュリーの指揮と魔法も功をなさず、レミリアが作り上げた国は一夜にして壊滅したのだった。
その中を見事に流されていくレミリア。そしてモヒカン部隊が辿った末路も同様だ。
残ったパチュリーの指揮と魔法も功をなさず、レミリアが作り上げた国は一夜にして壊滅したのだった。
- 翌日、朝
「ぷひゅー……」
「レミィ、いい加減起きないと日光で死ぬわよ」
「え、何……うわ!」
「レミィ、いい加減起きないと日光で死ぬわよ」
「え、何……うわ!」
口から水を噴いていた言葉はパチュリーの言葉ではね起き、自分の体から微妙に灰が舞っているのに気付いた。
諏訪子のダム決壊で国中の建物が壊滅しているため、レミリアが日光から身を隠せる場所はほとんどない。
諏訪子のダム決壊で国中の建物が壊滅しているため、レミリアが日光から身を隠せる場所はほとんどない。
「どうする? 私はリタイアして帰ったほうがいいと思うんだけど。
その体じゃ戦うどころか動くことすら難しいでしょ」
「まだよ……私は誇り高き吸血鬼! 地に決して膝は付かない……」
(心底どうでもいい……この世界、全然本がないし帰りたい……)
その体じゃ戦うどころか動くことすら難しいでしょ」
「まだよ……私は誇り高き吸血鬼! 地に決して膝は付かない……」
(心底どうでもいい……この世界、全然本がないし帰りたい……)
碌に歩くことも出来ない状態で世紀末覇王張りに虚勢を張るレミリアにパチュリーが呆れていると、突然通信機(地霊のアレ)から声が響いた。
『もしもし、聴こえていますか二人とも?』
「閻魔まで私にギブアップしろって命令するわけ? お前、私の名前を言ってみろ!」
『……いえ、そういうことではなく、貴女達の勝ちが確定しました』
「へ?」
「どういうこと?」
「閻魔まで私にギブアップしろって命令するわけ? お前、私の名前を言ってみろ!」
『……いえ、そういうことではなく、貴女達の勝ちが確定しました』
「へ?」
「どういうこと?」
<回想>
「後は早苗がこの水に毒を入れて汚染すれば、レミリアエンパイアは完全壊滅ね。
ふふん、国を治めるのに手っ取り早いのはやっぱり恐怖よ。
さなえー、毒入れたー? さなえー? もっしもーし」
『貴様らのような悪党に掛ける慈悲はない。北斗神拳の前には死、あるのみ』
『よく分かんないですけどくらえ! ……あ、あれ?』
『無想転生の前にはいかなる攻撃も無意味!
あーたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたホゥワチャー!!
北斗百裂拳……お前はもう、死んでいる』
『 う わ ら ば 』
「早苗ー!?」
</回想>
「後は早苗がこの水に毒を入れて汚染すれば、レミリアエンパイアは完全壊滅ね。
ふふん、国を治めるのに手っ取り早いのはやっぱり恐怖よ。
さなえー、毒入れたー? さなえー? もっしもーし」
『貴様らのような悪党に掛ける慈悲はない。北斗神拳の前には死、あるのみ』
『よく分かんないですけどくらえ! ……あ、あれ?』
『無想転生の前にはいかなる攻撃も無意味!
あーたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたホゥワチャー!!
北斗百裂拳……お前はもう、死んでいる』
『 う わ ら ば 』
「早苗ー!?」
</回想>
『ということがあって、現人神が洒落にならない状況になったので急遽回収、
あなた方の勝ちです』
「これが運命! 救世主が私を助けてくれるのが定めだったのよ!」
「レミィ……ちょっとレミィ!」
「何よ、せっかく私が勝利の喜びに浸ってるのに」
「あれ」
あなた方の勝ちです』
「これが運命! 救世主が私を助けてくれるのが定めだったのよ!」
「レミィ……ちょっとレミィ!」
「何よ、せっかく私が勝利の喜びに浸ってるのに」
「あれ」
ふらつく体で、パチュリーが指差す方向を見るレミリア。
そこに立っているのは、まさしくモリヤ王国の野望を食い止めた世紀末救世主・ケンシロウだった。
そこに立っているのは、まさしくモリヤ王国の野望を食い止めた世紀末救世主・ケンシロウだった。
「貴様が住民を奴隷にして苦しめていたという女帝か。
そのような外道、俺が生かしておくと思うか」
「パ、パチェ、助け……って逃げてるし!」
そのような外道、俺が生かしておくと思うか」
「パ、パチェ、助け……って逃げてるし!」
テーレッテー