咲夜「……ちょっと、これどうすればいいのよ」
映姫「わ、私に聞かれても……私だって、選手として呼ばれるまでは何も知らなかったのです」
映姫「わ、私に聞かれても……私だって、選手として呼ばれるまでは何も知らなかったのです」
咲夜と映姫は戸惑っていた。今回、二人は天子と組んでファイトに臨むように聞いていたのだ。
なのに、勝負方法は「天子を慰めること」。
気まずいことこの上ない。
なのに、勝負方法は「天子を慰めること」。
気まずいことこの上ない。
星「すいません聖、トナカイと間違えて黒猫の着ぐるみを用意してしまいました」
聖「大丈夫よ星、西洋の暖炉と黒猫は結構似合っているから、煙突から入るサンタさんとの組み合わせは悪くないわ」
美鈴「咲夜さんと戦うのは久しぶりだわ、まあ勝負方法はアレだけど……」
聖「大丈夫よ星、西洋の暖炉と黒猫は結構似合っているから、煙突から入るサンタさんとの組み合わせは悪くないわ」
美鈴「咲夜さんと戦うのは久しぶりだわ、まあ勝負方法はアレだけど……」
続々と集まってくる参加者。天子はまだ来ない。
咲夜たちは困った。落ち込んでる天子が来たら何と説明すればいいのか。しかし来なければ来ないで、こちらから天子の家に向かうのも怖いし……
そこに現れる六人目の参戦者。
咲夜たちは困った。落ち込んでる天子が来たら何と説明すればいいのか。しかし来なければ来ないで、こちらから天子の家に向かうのも怖いし……
そこに現れる六人目の参戦者。
藍「すまない、遅れてしまった。マヨヒガのパーティの準備を終わらせてから来たものだから」
咲夜「…………ああ、なるほど」
映姫「良かった。来てくれてありがとうございます、本当に助かります」
藍「む? な、なぜ私は遅刻して感謝されているのだ……?」
咲夜「…………ああ、なるほど」
映姫「良かった。来てくれてありがとうございます、本当に助かります」
藍「む? な、なぜ私は遅刻して感謝されているのだ……?」
テンコーさんが来てくれたので、六人は改めて天子宅へ向かうことに。
天子「…………まっかなおーはーなーのー……ひっく、えぐっ。誰も……誰も来てくれない……
誰か一人は来てくれるって思ってたのに……ゲームとかご馳走とか、いっぱい用意したのに……
この日のためにお料理の練習頑張ったのに、一発芸とか考えてたのに。
せめて衣玖とか萃香とかさ……やっぱり嫌われてたのかなぁ……」
誰か一人は来てくれるって思ってたのに……ゲームとかご馳走とか、いっぱい用意したのに……
この日のためにお料理の練習頑張ったのに、一発芸とか考えてたのに。
せめて衣玖とか萃香とかさ……やっぱり嫌われてたのかなぁ……」
さて天子宅。そこには、落ち込み真っ最中の天子の姿。
天子の周りには、冷めた料理、使われずじまいのクラッカー、誰も見てくれなかった飾りつけ、
ケーキはいっぱいの人が食べられるように何個も用意されている。立てられる予定だったロウソクは、天子の手に握りつぶされていた。
天子の周りには、冷めた料理、使われずじまいのクラッカー、誰も見てくれなかった飾りつけ、
ケーキはいっぱいの人が食べられるように何個も用意されている。立てられる予定だったロウソクは、天子の手に握りつぶされていた。
咲夜「……これはとんでもない落ち込みっぷりね」
美鈴「欝のオーラが目に見えるくらいですね」
星「ところで聖、パーティの招待状なんて届いてましたか?」
聖「えっと、お寺の前までは自分で持ってきてたんだけど、宗教の違いとか気にしたのか、結局帰っちゃって……」
藍「悪魔の館や神社には招待状を送っていたのになぁ……ちなみにうちにも届いていなかった」
映姫「おそらく、命蓮寺の方々とは付き合いの短さなどもあるため、気兼ねしてしまったというのもあるのでしょう。
八雲の家は、単純に場所がわからなかったんじゃないでしょうか。
ちなみにうちにも来ていません、さっき聞いてみたら、小町が預かっていたけど渡すのを……というか、もらったことさえ忘れていたそうです」
美鈴「欝のオーラが目に見えるくらいですね」
星「ところで聖、パーティの招待状なんて届いてましたか?」
聖「えっと、お寺の前までは自分で持ってきてたんだけど、宗教の違いとか気にしたのか、結局帰っちゃって……」
藍「悪魔の館や神社には招待状を送っていたのになぁ……ちなみにうちにも届いていなかった」
映姫「おそらく、命蓮寺の方々とは付き合いの短さなどもあるため、気兼ねしてしまったというのもあるのでしょう。
八雲の家は、単純に場所がわからなかったんじゃないでしょうか。
ちなみにうちにも来ていません、さっき聞いてみたら、小町が預かっていたけど渡すのを……というか、もらったことさえ忘れていたそうです」
小町は尻に卒塔婆をぶち込まれても、めげずに神社の宴会のほうに向かったらしい。
ちなみに幻想郷の面々にとってクリスマスとは、何か騒げる日、という程度の認識しかない。
だいたいは、博麗神社の宴会か、紅魔館のパーティーか、人里でのんびり過ごすか、という風に、過ごし方が例年決まっていた。
ちなみに幻想郷の面々にとってクリスマスとは、何か騒げる日、という程度の認識しかない。
だいたいは、博麗神社の宴会か、紅魔館のパーティーか、人里でのんびり過ごすか、という風に、過ごし方が例年決まっていた。
美鈴「何はともあれ、励まさないといけません! 一番、紅美鈴、行きます!」
美鈴吶喊。
美鈴「Jaooooooooooooooooooooh!」(バターン! と勢い良く扉を開いて登場)
天子「(びくっ)……な、何、あなた。こんな惨めな私に何の用?」
美鈴「こんなところに閉じこもってないで外に出ましょう! 我慢は体の毒ですよ!」
天子「でも……私嫌われてるし……」
美鈴「大丈夫、嫌われてなんていません! 幻想郷のやつらは、ちょっとうざい程度の人は嫌いません、むしろ押せ押せなくらいでちょうどいいんです!」
天子「そ、そうなの……? でも、家でパーティーやるって言っちゃったし……ここを出ていくなんて……せっかく色々用意したのに……」
美鈴「むぅ、確かにちょっと勿体無いかも……美味しそうですね、一ついただいてもいいですか?」(返事を聞かずにパクリ)
天子「えっ、あ……」
美鈴「うん、美味しい。お料理、いっぱい頑張ったんですね」
天子「う、うん、ありがと……」(照れ照れ)
天子「(びくっ)……な、何、あなた。こんな惨めな私に何の用?」
美鈴「こんなところに閉じこもってないで外に出ましょう! 我慢は体の毒ですよ!」
天子「でも……私嫌われてるし……」
美鈴「大丈夫、嫌われてなんていません! 幻想郷のやつらは、ちょっとうざい程度の人は嫌いません、むしろ押せ押せなくらいでちょうどいいんです!」
天子「そ、そうなの……? でも、家でパーティーやるって言っちゃったし……ここを出ていくなんて……せっかく色々用意したのに……」
美鈴「むぅ、確かにちょっと勿体無いかも……美味しそうですね、一ついただいてもいいですか?」(返事を聞かずにパクリ)
天子「えっ、あ……」
美鈴「うん、美味しい。お料理、いっぱい頑張ったんですね」
天子「う、うん、ありがと……」(照れ照れ)
藍「やるな門番、だんだん雰囲気が和らいできた」
咲夜「美鈴のほんわかムードは、相手を選ばないものね……ともあれ、おかげで突破口が見えたわ」
映姫「今が好機ですね、一気に畳み掛けましょう!」
咲夜「美鈴のほんわかムードは、相手を選ばないものね……ともあれ、おかげで突破口が見えたわ」
映姫「今が好機ですね、一気に畳み掛けましょう!」
続いて、藍、咲夜、映姫、吶喊。
藍「悪いが話は聞かせてもらった……ずいぶん辛い思いをさせてしまったようだな、もう大丈夫だぞ」
咲夜「あなたがここまで思いつめてたなんて知らなかったわ、気付いてあげられなくてごめんなさいね」
映姫「これだけの頑張り、評価しないわけには行きません。みんなで一緒に、クリスマスを楽しみましょう!」
天子「わっ、急に人が来た……で、でも良かったのあなたたち、こんなとこに来て?
三人とも、他にクリスマスに一緒にいるべき人がいるんじゃないの?」
藍「ぎく」
咲夜「ぎく」
映姫「ぎく」
天子「え?」
藍「だ……大丈夫だ、今日は特別に紫様にも起きてもらっているし、私は後で帰ると約束しているし」
咲夜「紅魔館のパーティーは既に宴もたけなわですし、後は小悪魔がなんとかしてくれてる、はず、たぶん」
映姫「こ、小町は待ってくれるって言ってくれましたし、その……」
天子「……ああ。そう。そういうことだと思った。ファイトだから、わざわざ来てくれたんだ?」
藍「あ、いやその」
咲夜「それは、別にそれだけってわけじゃ」
映姫「いえ、来たくなかったというわけではなくて」
天子「帰れよぉ! そんな無理やり慰めてもらっても嬉しいもんか! みんなして馬鹿にして!」
咲夜「あなたがここまで思いつめてたなんて知らなかったわ、気付いてあげられなくてごめんなさいね」
映姫「これだけの頑張り、評価しないわけには行きません。みんなで一緒に、クリスマスを楽しみましょう!」
天子「わっ、急に人が来た……で、でも良かったのあなたたち、こんなとこに来て?
三人とも、他にクリスマスに一緒にいるべき人がいるんじゃないの?」
藍「ぎく」
咲夜「ぎく」
映姫「ぎく」
天子「え?」
藍「だ……大丈夫だ、今日は特別に紫様にも起きてもらっているし、私は後で帰ると約束しているし」
咲夜「紅魔館のパーティーは既に宴もたけなわですし、後は小悪魔がなんとかしてくれてる、はず、たぶん」
映姫「こ、小町は待ってくれるって言ってくれましたし、その……」
天子「……ああ。そう。そういうことだと思った。ファイトだから、わざわざ来てくれたんだ?」
藍「あ、いやその」
咲夜「それは、別にそれだけってわけじゃ」
映姫「いえ、来たくなかったというわけではなくて」
天子「帰れよぉ! そんな無理やり慰めてもらっても嬉しいもんか! みんなして馬鹿にして!」
天子の欝オーラが復活。その場にいる四人もたじたじになる。
もはやこれまでか、と思ったその時だった。
もはやこれまでか、と思ったその時だった。
聖「そんなことを言わないでください! 頑張った良い子のあなたは、報われなければいけません!」(床板を剥がして登場)
星「クリスマスは楽しむものだと聞きました、そんなに塞いでいては始まりません!」(天井裏から登場)
天子「どわぁ!?」
星「クリスマスは楽しむものだと聞きました、そんなに塞いでいては始まりません!」(天井裏から登場)
天子「どわぁ!?」
驚く天子。そりゃそうだ、なんでそんなとこから。
聖「すいません、この家、煙突が無かったもので」
星「サンタ役は正規の入り口から入ってはいけないと聞いたもので、通路を探していたらこうなってしまいました」
天子「言われてみればサンタと……猫はよくわかんないけど。何、あんたたちも私を馬鹿にしに来たの?」
聖「実はそのサンタのことでお願いがあるのです」
天子「へ?」
星「今日、私たち命蓮寺の面々は、人里でサンタ役を頼まれているのです。
子供のいるご家庭にプレゼントを配り、子供のいない大人たちの宴会のお手伝いをしなければいけません。
ですが、今日は折悪しくファイトに呼ばれてしまい、その役目をナズーリンたちだけに任せることに」
聖「優秀な彼女たちであっても、人手不足は否めません。
他の対戦相手の方々にも力を貸してもらおうかと思ったのですが、それぞれご予定が入っていらっしゃる様子で……
もう、頼める人があなたしかいないんです」
聖・星「お願いします、どうかお力を貸していただけませんか?」
天子「う、うーん……でも、このお料理とかどうしようっていうのもあるし……」
星「サンタ役は正規の入り口から入ってはいけないと聞いたもので、通路を探していたらこうなってしまいました」
天子「言われてみればサンタと……猫はよくわかんないけど。何、あんたたちも私を馬鹿にしに来たの?」
聖「実はそのサンタのことでお願いがあるのです」
天子「へ?」
星「今日、私たち命蓮寺の面々は、人里でサンタ役を頼まれているのです。
子供のいるご家庭にプレゼントを配り、子供のいない大人たちの宴会のお手伝いをしなければいけません。
ですが、今日は折悪しくファイトに呼ばれてしまい、その役目をナズーリンたちだけに任せることに」
聖「優秀な彼女たちであっても、人手不足は否めません。
他の対戦相手の方々にも力を貸してもらおうかと思ったのですが、それぞれご予定が入っていらっしゃる様子で……
もう、頼める人があなたしかいないんです」
聖・星「お願いします、どうかお力を貸していただけませんか?」
天子「う、うーん……でも、このお料理とかどうしようっていうのもあるし……」
元々天子は良い子なのだ。正面からお願いされると、むげには断れない。
しかし、自分のパーティーへの未練もある。
しかし、自分のパーティーへの未練もある。
星「それならご心配には及びません。私の力で、こうすれば」
天子「うわ!? 料理とケーキと飾りつけとその他諸々が、黒猫コスの虎の周りを漂い始めた!?」
星「『財宝が集まる程度の能力』です」
聖「ですが、なんでも操れるわけではありません。
これらが星の周りに集まったのは、あなたが真心を込めて準備した結果です。
これほどの『宝』はそうはありません」
星「さあ、人里の子供たちに、このパーティーという宝をおすそ分けに行きましょう」
天子「わ……わかったわ! 私がいないと始まらないもんね!」
天子「うわ!? 料理とケーキと飾りつけとその他諸々が、黒猫コスの虎の周りを漂い始めた!?」
星「『財宝が集まる程度の能力』です」
聖「ですが、なんでも操れるわけではありません。
これらが星の周りに集まったのは、あなたが真心を込めて準備した結果です。
これほどの『宝』はそうはありません」
星「さあ、人里の子供たちに、このパーティーという宝をおすそ分けに行きましょう」
天子「わ……わかったわ! 私がいないと始まらないもんね!」
ようやく復活した天子、星と聖に連れられて、家の外へと飛び出した。
これから彼女たちは、慌しくも賑やかな、心温まるクリスマスを人里にお届けするのだ。
これから彼女たちは、慌しくも賑やかな、心温まるクリスマスを人里にお届けするのだ。
美鈴「完敗ですね……予定が無ければ一緒に行ってあげたかったんですが」
咲夜「そういうわけにも行かないわね。お嬢様を待たせすぎると後が怖いわ」
藍「私たちも戻るか……橙が寝る前に戻ってあげないと」
映姫「私も小町を待たせていますので……それでは皆さん、良いクリスマスを」
咲夜「そういうわけにも行かないわね。お嬢様を待たせすぎると後が怖いわ」
藍「私たちも戻るか……橙が寝る前に戻ってあげないと」
映姫「私も小町を待たせていますので……それでは皆さん、良いクリスマスを」
結果:天子は人里で楽しいクリスマスを過ごせてご満悦だったそうなので聖と星の勝利。