東方ファイトスレ @まとめウィキ

7スレ第13戦

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匿名ユーザー

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 着衣遠泳……読んで字の如く服を着たまま遠泳を行う競技である。
 例えば、不慮の事故などで乗っている船が沈むなどして海に投げ出された場合、これができるか否かによって生死を分かつこともある。
 もっとも、幻想郷に海はないのだが……。
 さて、妖怪の山にある諏訪湖へと集まった競技者は、泳ぐ勝負だというのになぜか揃って可愛らしいフリフリのドレスっぽい服を着ていた。

「だって……これを着ろって言われたし……」
「お嬢様から頂いたこの衣装なら、泳ぐことぐらい楽勝です!」

 慣れない服に戸惑うリグルと、謎のテンションでポーズを決める咲夜ちゃん。
 格好は似たり寄ったりなのにテンションは対照的な両者が、勝負を見届ける小町から説明を受ける。

「今回は服を着たままこの湖を泳いで、向こう岸にある自分の名前が彫られた石を持ってここに戻ればゴールだ。
 ちゃんと往復しても石を持ってなかったらゴールとして扱わないから注意しなよ」

 それだけ言うと小町は渡し舟に乗り込んで芝刈り機のようなものを水面に差し込む。
 小町が仕事を楽にこなすため、河童に注文してた『渡し舟用小型スクリュー』である。

 スタートの合図とともにリグルと咲夜ちゃんは湖へと飛び込む。
 当然と言えば当然だが、フリフリな衣装は水の抵抗が大きいため泳ぎにくいしスピードも出ない。
 ……なんと言うか、服は派手なのに地味な勝負である。
 競技者を先導する小町は芝刈り機のようなものを片手で操りながら酒を飲んでるだけだし、肝心の競技者も水面の下でもがいているためにチラリとかポロリとかのアクシデントが発生することもない。
 もっとも、発生したところで揺れる水面で像が歪むから見えないだろうが……。

 スタートからどれだけの時が流れただろうか……。あまりにも変化に乏しい状況に観客は沈黙し、小町に至っては舟の上でうとうとしかかっている。
 そんな中、元が妖怪だけに根本的な体力で勝るリグルが先に向こう岸へと辿り着き、自分の名前が刻まれた石を見つける。
「うわ! なにこれ!?」
 なんと、そこに置いてあった石はサイズが大人の頭ほどもあったのだ。
「それでこそ東方ファイトだ!!」
 無茶な展開に観客が盛り上がる。
 抱えるべきか背負うべきか? それとも足で挟む……いや、それで落とせば水底から引き揚げるという重労働をする羽目になる……。
 リグルが石の運搬方法を思案している間に咲夜ちゃんが追い付く。
「これはまたシュールね……」
 疲労が原因か、テンションがいつもの咲夜さんに戻っている。
 少し考えた後、咲夜ちゃんは服の内側に空気を取り込み、片腕で石を抱える。
 水を吸って通気性が殺された服を浮き袋代わりにして泳ぐ作戦のようだ。
「その手があったか!」
 リグルもそれに倣って空気を取り込んで石を抱える。
 そして咲夜ちゃんを追うために身を翻した直後、リグルの体は水中へと沈んだ。
「あー……背中の結び目から空気が漏れたか」
 舟から見ていた小町が一人で納得する。

 即席浮き袋によって浮力を増した咲夜ちゃんは、ゆっくりながらも確実にゴールへと近づき、その健闘に観客が沸きあがる。
「ところでリグルが浮いて来なくね?」
 唐突に誰かがぽろっと漏らした一言で観客席が静まり返る。
 ざわ……。ざわ……。
 そんな様子には全く気付かず、舟の上でのんびりとくつろいでいた小町に緊急事態の発生を意味する合図が送られる。
「うわっととと……」
 慌てて起き上がったために芝刈り機を水中に落としそうになる。
 周囲を見渡して事態を把握した小町は水中に手を突っ込み、水底との距離を縮めてリグルを探す。
 十数秒の後に引き揚げられたリグルは思いっ切り水を飲んでおり、一刻も早い処置が必要な状態だった。
「悠長に運んでる時間はないか……そぉい!」
 呟くと、小町はリグルの足首を掴んで逆さ吊りにし、その腹に強烈な前蹴りを叩き込む。
 一体どのような力で蹴ったのか、リグルは水と一緒に別のものも勢いよく吐き出した。
「気の毒だけど、こりゃドクターストップ……いや、死神ストップだね」

 結果:リグル脱落により、まじかる☆咲夜ちゃんの勝利。



 後日談:それから数日の間、蹴りの後遺症でリグルはまともにモノを食べることができなかったとか……。



















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