吸血鬼だと……化物だと…………許さん、許さんぞぉォ――――ッ!!

「吸血鬼だと……化物だと…………許さん、許さんぞぉォ――――ッ!!」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

吸血鬼だと……化物だと…………許さん、許さんぞぉォ――――ッ!! - (2020/05/01 (金) 09:27:28) のソース

発言者:[[トシロー・カシマ]]
対象者:[[ヴィクトル・シュヴァンクマイエル・クラウス]]

シェリル√――朽ち果てるのを待つだけだった恋人達を待ち受けていた、破滅の瞬間―――そして。
&color(black){&bold(){黝き水底より、[[狂気の同族殺し>三本指]]が生み出された始まりである―――。}}


#center(){
&size(26){&color(darkslategray){&bold(){「朽ちて滅びよ──吸血鬼」}}}
}



戦後間もない日本に潜入した若き日の白い杭は、混乱する状況を密かに監視しながら、
直接排除すべき、特に危険である&ruby(えもの){縛血者}を、冷徹に見定めていた。
&size(13){&bold(){そして、巨大で無骨な白木の杭がその命を吸ったのは―――}}


&size(26){&color(#000011){&bold(){「美影……美影──ッ!!」}}}


降りしきる雨の中、トシローは必死に胸を貫かれた彼女に、血を吸わせようと試みる。
その心は、彼女の命が失われる事と……自分を[[今日まで生かしてきた>いいのだ……これで俺は、お前を生涯離さずにいられるのだから]][[「夢」の灯火>https://w.atwiki.jp/vermili/pages/862.html]]が消し去られる事への恐怖に染め上げられた。

&bold(){しかし、愛しい&ruby(ひと){女性}の顔を見つめた先で……彼は気づいてしまった。}

&size(15){&color(#565954){――&bold(){傷口は開いたまま、血だけが&ruby(・・・・){止まって}いた。}}}
&size(15){&color(#565954){――&bold(){薄く開かれたままの瞼に流れ込んだ雨滴が、&ruby(・・・・){光のない}眼球を覆い尽くしていく。}}}
&size(15){&color(#565954){――&bold(){美影は、すでに、単なる&ruby(・・){物体}と化してその重みを伝えるだけだった。}}}


&size(20){&color(#000011){&bold(){&tt(){&italic(){「う……あ……あぁ……ッ、ああぁ………」}}}}}


&size(15){&color(black){──&bold(){真の絶望とは、全ての感情を奪い去る。}}}
&size(15){&color(black){──&bold(){躰が虚脱感に支配されゆく中、ただ無感動に己が心が死んでゆく様を傍観していた。}}}


&size(20){&color(darkslategray){&bold(){「その女吸血鬼には、さしたる手応えを感じなかった。}}}
&size(20){&color(darkslategray){───&bold(){ならば、俺の獲物とは貴様の方だったか」}}}

&size(21){&color(#000011){&bold(){&tt(){&italic(){「………&ruby(・・・){吸血鬼}、だと?」}}}}}


&size(15){&color(#260026){―――&bold(){その聞き逃せぬ単語が、死にゆく身体に内なる灼熱の怒りを呼び覚ました。}}}


&size(22){&color(#000011){&bold(){&tt(){&italic(){「貴様……美影を……吸血鬼と、言ったのか……?」}}}}}


&size(20){&color(darkslategray){&bold(){「だが構わぬ、順序が前後したに過ぎん。為すべき事に変わりはない」}}}


&size(23){&color(#000011){&bold(){&tt(){&italic(){「……吸血鬼だと……化物だと………」}}}}}


&size(22){&color(darkslategray){&bold(){「俺の使命は、&ruby(きさまら){吸血鬼}を根絶やしにする事だ。この&ruby(ホワイト・パイル){白木の杭}の名に賭けて」}}}


&size(17){&color(#9d0707){―――&bold(){瞬間、何かが弾けた。}}}



&italic(){&tt(){&font(35,b){&color(#260026,#BF0909){「許さん、許さんぞぉォ―――ッ!!」}}}}



&size(16){&color(#260026){&bold(){悪意が暴走する。鋼の狩人は、それを人外の域に達した意志力と技巧で迎え撃ち}―――}}
&size(15){&color(#9d0707){&bold(){トシローは、心の臓に銀の弾丸を受け。}}}
&size(15){&color(#9d0707){&bold(){クラウスは、左の顔面を深く切り裂かれた。}}}


&size(22){&color(darkslategray){&bold(){&tt(){&italic(){「――貴様ァ……なんだ、その眼はァッ!」}}}}}
&size(22){&color(darkslategray){&bold(){&tt(){&italic(){「俺の&ruby(まなこ){眼}を奪いながら、濁る眼を向けるかッ。}}}}}
&size(22){&color(darkslategray){&bold(){&tt(){&italic(){石の&ruby(つぶて){礫}を眺めるような―――穢れた視線を向けるかァァアアアアアアアッ!!!」}}}}}


&size(24){&color(#160016){&bold(){&tt(){&italic(){「ク、クク…………いい面構えになったではないか」}}}}}

&size(24){&color(#160016){&tt(){&italic(){&bold(){「愚鈍な狩人には似合いの姿だ。喜べ}―――}}}}
&size(24){&color(#160016){&bold(){&tt(){&italic(){その傷が、貴様の無能の証明だよ。&ruby(なまくら){白木の杭}め」}}}}}


&size(14){&color(#260026){醜く傷ついた痕を抱えた狩人は、己を侮蔑するような「怪物」の視線に激昂するも……}}
&size(14){&color(#260026){トシローは、その有様が心底滑稽に思え―――生まれて初めて、&bold(){他者を見下すためだけの……歪んだ嗤いを浮かべた。}}}


&size(22){&color(darkslategray){&bold(){&tt(){&italic(){「吼えたな、&ruby(ヴァンパイア){吸血鬼}。その侮蔑、万死に値すると知れ……ッ!!」}}}}}


&size(25){&color(#260026){&bold(){「もういい……耳障りだ、終われ」}}}

&size(15){&color(#260026){──&bold(){ここで、俺も消えてやる。だから醜い俺と共に、おまえも散れ。}}}



&size(16){&color(black){両者は最後の力を振り絞り、激突したが……&bold(){ついに勝者なきまま、激流に呑まれてゆくのだった……。}}}



----
- 伝説の同族殺し「お前ら殺し尽くして俺も死ぬ!」の誕生である  -- 名無しさん  (2018-11-04 19:05:42)
- 其れだけ聞くと迷惑以外の何物でもないな  -- 名無しさん  (2018-11-20 18:36:17)
#comment