私の事はリーザと呼んで。私をそう呼ぶ人間は、家族以外にはもう誰もいなくなってしまったから……

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私の事はリーザと呼んで。私をそう呼ぶ人間は、家族以外にはもう誰もいなくなってしまったから…… - (2020/05/23 (土) 15:28:49) のソース

発言者:[[エリザベータ・イシュトヴァーン]]
対象者:[[秋月 凌駕]]


#center(){
&color(#D75276){&size(23){ねえ……私が今考えてる事、当ててみない………?}}


&color(#103AD1){&size(23){俺達、ずっとこのまま&size(21){───}}}
}



回復を続ける[[ネイムレス]]から逃れ、脱出路を見つけ出す為……
機兵との戦闘で共に深手を負っていた凌駕とエリザベータは、一時休戦し墜落した都市の地下道を探索していた―――

凌駕は出口を探し当てる事は出来ていなかったものの、
三度出会った[[“兵士”>兵士とは、“私”が全うすべき役柄なのだ]]とは異なる顔のエリザベータと、穏やかな対話の時を持つことができていた。


&bold(){“淑女”}としての彼女は語る―――

&color(#D968CA){&size(13){&bold(){連続していない“私”という歪な存在、切り替えの度に揮発する想いの数々。}}}

&color(#D968CA){&size(13){&bold(){この在り方を当然のものと受け入れたはずが、どこかの誰かさんのせいで迷ってばかり。}}}

&color(#D968CA){&size(13){&bold(){そう、現実と等身大の自分で向き合える&ruby(あなた){凌駕}は強い、本当に妬ましく、羨ましいと。}}}

&color(#81698C){&size(13){&bold(){そして……向き合えない自分は、なんて}―――}}


&color(#81698C){&size(18){&bold(){「自分自身を二つに裂いて、二つの顔を演じ分けて……}}}
&color(#81698C){&size(18){&bold(){挙句の果てに得たものは、断面しかない瞬間の人生だけ。}}}
&color(#81698C){&size(18){&bold(){二つを繋ぎ合わせても、完全な一人にはなれない。片面だけの不完全な&ruby(・・){二人}がいるだけ」}}}

&color(#81698C){&size(18){&bold(){「自分の演じる役柄に、人生を支配される女優……}}}
&color(#81698C){&size(18){&bold(){&ruby(・・){彼女}に、もう本当の自分なんていうものは認識できないの」}}}

&color(#81698C){&size(14){&bold(){だから}―――&bold(){こんな得体の知れない、&ruby(・・・・・){顔のない女}なんて、誰も愛せないし、愛されるわけがない。}}}


自嘲する&ruby(少女){エリザベータ}を放っておけず、凌駕は&bold(){何かを言わなくてはと……}拙くも言葉を紡ぐ。


&size(16){&color(#103AD1){&bold(){「そんな事はないよ、エリザベータを……&size(14){その、なんだ}&size(12){……きな奴}だって、きっといると思うし」}}}

&color(#D968CA){&size(17){&bold(){「私を………何?」}}}

&size(17){&color(#103AD1){&bold(){「いや、だから……今、言ったその……人を好きになったりなられたりって奴さ。}}}
&size(17){&color(#103AD1){&bold(){エリザベータは自分に出来ないって言ったけど、そんな事もないだろって……それだけの話だよ」}}}


&bold(){照れ臭さと、居た堪れなさと……そして自分でも輪郭の掴めない想いを吐き出し、}
自分は一体何を言っているのかと、冷静さを必死に取り戻そうとする。


&color(#D968CA){&size(17){&bold(){「}―――&bold(){もしかして、私……今あなたに慰められているのかしら?」}}}

&size(16){&color(#103AD1){&bold(){「悪かったかな……ちょっと上手く言えなくて」}}}

&color(#D968CA){&size(17){&bold(){「うぅん……そんな事なくてよ。嬉しいわ」}}}


そうした中、彼の言葉を受けた彼女は、体と心を再び、少年の元へと近づけていく。
凌駕を一人の“男”にした二度目の出会いの時の様に、
エリザベータの纏う雰囲気が、雄を誘い込む甘ったるい蜜のように蕩け始める。

しかし、凌駕は告げる――&bold(){「待ってくれ」}と。

流れを断ち切られ戸惑う女に対し、彼は制御できない自分自身に困惑し、
自棄になりながらも、切れ切れの感情を言の葉に乗せてゆく。


&size(15){&color(#103AD1){&bold(){「だからっ&size(15){───}嫌じゃないけど嫌というか!}}}
&size(15){&color(#103AD1){&bold(){エリザベータとこういう風にこういう事をするのは、なんかこう……個人的にしっくり来ないというか……」}}}

&size(15){&color(#103AD1){&bold(){「どうしてか、判らないけど……とにかく、おざなりは駄目だろう?}}}
&size(15){&color(#103AD1){&bold(){いや、重たいのが良いというわけではないんだが………」}}}

&size(14){&color(#103AD1){&bold(){「………不思議と、何だ、変に気まずい」}}}

&size(17){&color(#103AD1){&bold(){「仮面や化粧は、無い方がそれらしい、というか……&size(15){ああ、ったく}」}}}


そうして、混乱しているはずなのに、妙にスッキリした感覚を覚えて……
情けない姿を晒したのではと、凌駕は視線を逸らしてしまう。
&bold(){だが、その想いの芯は、目の前の女性には届いていたらしく……}


&size(19){&color(#D75276){&bold(){「ぷっ}&size(18){───}&bold(){&size(20){うふふふ……ああ可笑しい}」}}}

何か変だったのか――&bold(){笑う彼女に問おうとした少年の唇は人差し指で封じられていた。}


&size(16){&color(#D75276){&bold(){「いいから、もうお黙りなさい? 口下手さん」}}}

&size(16){&color(#D75276){&bold(){「あなたの言いたい事なら、ちゃんと私には伝わってるから……」}}}

&size(17){&color(#D75276){&bold(){「本当に、こんなの反則だわ……素顔がいいなんて言われた日には、ね」}}}


&size(21){&color(#D75276){「だから&size(21){───}お願いがあるのだけど、凌駕」}}


&size(13){&color(#D75276){そうして、琥珀色の瞳で少年をしっかりと見つめて、「素顔」のエリザベータは、囁いた。}}



&size(25){&color(#D75276){「私の事はリーザと呼んで。&size(22){私をそう呼ぶ人間は、}}}
&size(22){&color(#D75276){家族以外にはもう誰もいなくなってしまったから……&size(24){」}}}



&size(14){&color(#D75276){そのまま、二人の唇は遮るものなく、優しく触れ合ってゆく………}}


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- ニヤニヤが止まらねぇ…  -- 名無しさん  (2019-05-06 08:17:02)
- (二人の関係の進展に)ワクワクが止まらねぇ!  -- 名無しさん  (2019-05-06 09:03:51)
- (二人のぐっちょりねっちょりイチャラブックス)にムラムラが止まらねぇ!!  -- 名無しさん  (2019-05-06 15:03:38)
- イヴァンさん特攻後ですもんな。  -- 名無しさん  (2019-05-11 06:33:06)
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