『最終章・ふたり』より、ついに明かされる神代直とナーラの接点。
ただ磨り減っていくだけだった幼い少女が、こんな風に救われたいと願った優しい日々の光景。
―――
真実は明かされる。神代直は、震災直前に本物の古雅幸を自らの手で殺していた。
やり場のない怒りと悲憤に苦しむ直は、ナーラの言葉により自分は一度震災に巻き込まれた後、再生させられたのだと知る。
それに対し彼は、「なぜ俺を生き返らせた、なぜ死なせたままにしてくれなかったのか」と激しい怒号を浴びせるも―――
知性群体の巫女となった褐色の少女は、表情一つ変える事無く、ひどく穏やかな声でその答えを告げる。
『ナオとサチに、人類のお手本になって欲しかったからだよ』
『ずっと、二人を見ているのが好きだったから。この世で一番、幸せそうな二人だったから……』
薄汚いアパートの一室で、養親からの過酷な性的虐待に曝される、ナーラという少女が経験した地獄の日々。
───それでも、彼女には部屋の窓から見える景色の中で大好きなものが一つあった。
“それは毎日決まった時間に、土手の上の通学路を自転車で通る男の子と女の子の姿”
『それが、ナオとサチだったの。まるで、天国の景色を見ているみたいだった。
“私”と同じ世界に生きている人間だとは思えなかった』
“自分の現実では、決して見ることも触れることもできない、心の底から善なるもので満たされた人間の優しい笑顔”
“それがこの世にあると確かめられることが、地獄の日々の中で唯一の慰めだった”
そして、虚空からの使者とリンクしたナーラは……祈った
『だから、人類を融合同化する基準点を選ぶなら、あの二人こそがいいと思った。
“私”の大好きだったあの笑顔なら、きっとこの星すべての心を幸福で染め上げてくれるだろうから』
だが、時計の針は、もう戻る事はない。致命的なものを掛け違ったままに。
- この作品ひたすら間が悪すぎるんだよなぁ -- 名無しさん (2020-07-06 18:48:31)
- 間に合ったな -- 名無しさん (2020-07-06 19:01:09)
- 全く間に合ってないんだよなぁ -- 名無しさん (2020-07-06 19:48:49)
- ピタゴラスイッチの如く間の悪いの連鎖だからなぁ -- 名無しさん (2020-07-08 17:58:18)
- うんうんこれも綾模様だね♪ -- 名無しさん (2020-07-08 18:49:45)
- 幸先輩も万全の状態で生き返らせてやってよォ -- 名無しさん (2020-07-08 19:47:22)
- ↑ナーラちゃんがガチ百合属性持ちならワンチャン・・・でも今度は直が消えるけど -- 名無しさん (2020-07-08 23:58:05)
- ナーラが選んだのは二人だった、だけど基準として設定できるのは一個体のみだった 直が基準として確定できたのは運命の悪戯というか、邪神の采配というか…… -- 名無しさん (2020-07-09 00:28:06)
- 男女に関わる悲劇というと昏式さんぶっちぎってるよね。双血しかりこれしかりマゴベイしかり -- 名無しさん (2020-07-09 10:38:11)
- 確かに。このラインの原点たるヴァーミリアンも相当な気がするなぁ…三本指のオリジン的に -- 名無しさん (2020-07-09 19:44:42)
- 直死んだら死んだで結局最後の独白が私は1人で生きていくに変わるだけなの本当ひどい -- 名無しさん (2020-07-09 19:45:53)
- 実際ホントに「ナーラが見てた」時の二人は幸せだったんだけどねえ…… -- 名無しさん (2020-07-10 03:16:46)
- まあどのタイミングで誰を選ぼうが群体の乱暴さ考えると世界滅ぶというかむしろ人類が人間として生き残れる数少ない状態だったと言えるかも。え、なんの救いにもならない? 俺もそう思う -- 名無しさん (2020-09-12 13:59:54)
最終更新:2024年12月10日 00:13