「そこは、未来であると同時に俺の帰るべき場所だった」
「その資格はもう無いと……永遠に失ったと思っていた。
何故ならばそこは、ただ一度の裏切りさえ許されぬ道であるがゆえに。
“信ずる”という形なきものに、主も従も全てを託さねばならぬ世界ゆえに」
己は、決して曲げられぬ節を守るため、かつてその世界と衝突し……そこに居る資格を失った。
しかし……振り返れば、後には虚しさしか残らなかった。
己にとってのそこは、生まれた時からの“帰るべき場所”であり――他のどんな道も、魂を失った彷徨に過ぎなかったから。
だが、時は流れ……
「脱落者だと、不義者だと、変節した出戻りだと……そう己を罵る心の声は今も聞こえる。
かつての俺は、その声に堪えられなかった」
「だが今は、その声すら掻き消される程に……この血潮が滾る音が止まぬのだ。
為すべき事を為せと、己に命じるもう一つの声が――」