我は一振りの刀にて、主君を守る誉れ高き武士と成らん

発言者:鹿島杜志郎



「俺は……君にこそ仕えたい」



トシローがまだ人であった時、少年の時分から持ち続けていた理想像にして、今なお彼の裡で燻る未練。

過ぎ去りし日々――
一人の少年は、眠りに落ちる泡沫……稽古で潰れた手豆を握りしめながら、“こう在りたい”と願う未来の姿を思い浮かべていた。

“我は一振りの刀にて、主君を守る誉れ高き武士(もののふ)と成らん”

それは、子供の見る夢であったが、同時に彼にとって何よりも貫き通したい理想だった
道場にて木刀を手に、汗水を垂らす時間が心地良かった。手の皮膚が厚みを増し、剣筋が切れ味を増していく瞬間が誇らしかった。
それは、葛藤の果てに情を選んだ結果、家を閉ざされ剣による栄達の道も失い、重罪人となった後も捨てきれず胸に有り続けた。

「だからこそ、俺は取り戻したかった。身勝手な未練を捨てきれず、期待を傲慢にもその背へ積載した」

「俺自身が、真に剣を預ける覚悟もないままに……」






  • 後の侍に“成ろう”とした隼人君が払った対価は……うん…… -- 名無しさん (2021-03-26 23:28:34)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年10月14日 23:31