だから私は、強者に、無様に這いつくばらせてから思い知らせてやると決めてんだよォォーー!

発言者:青砥 美汐


練達の兵士に翻弄され、手を組んでやっている他の面々からの援護も期待できぬ状況下、
余裕を失いつつある美汐が叫んだ、自身の過去に刻み込まれた強者の在り方への怒りであり、彼女の本心を隠す“強がり”である。

凌駕奪還のため、ギアーズの拠点近辺まで接近したジュン、美汐。
だが、その行動もギアーズ側には容易く読まれており、彼らの前にはエリザベータ、そして乱丸の操るが立ちふさがった。
相性差、心理上の優位、そして何より経験、技量の差は、美汐達の精神、体力を確実に疲弊させていった。

「……ちまちま、嬲るみたいに来やがって……その能面みたいなツラの下はとんだ加虐趣味(サディスト)だなッ」

ギアーズ側の中心戦力であるエリザベータは美汐を相手取り、冷徹に、淡々と彼女を追い詰めていく。戦略は定石通り、派手さはないが、相手に逆転の手を打たせずに。

「っざけんなよ、クソッ垂れの女狐が――

苛立ちを募らせる美汐であったが、エリザベータという女兵士は特に、理由も分からないが、気に入らないと感じさせ……
そして、そんな相手に翻弄されている今の自分自身の有様こそそれ以上に腹立たしいものであった。

強大な力による、弱者の轢殺。
歯車は異物を潰しながら平常運転。
彼女が置かれた状況は、青砥美汐という少女に見せ付けられ続けた光景と重なり、この上なく自分の芯を揺さぶるものであったから……

他の二人は当てにならない、頼れるのは己だけ。
そんな想いが正しかったと確信し、それに何故か痛む心を抑え込みつつ、美汐は眼前の敵手いや、より遠くを睨みつけるようにして―――

「テメェらはいつだってそうだ。弱者は弾く。潰す。轢き殺す……
それで残された奴らを嘲笑うかのように、のうのうと普段通り(・・・・)過ごしてやがる。」

「だから私は、強者(テメェら)に」


いつか必ずこの手で以て、己が操るこの兵器(にんぎょう)のように。


「無様に這いつくばらせてから思い知らせてやると決めてんだよォォーー!」


その常なる仮面を崩したような、美汐の叫びに対して……
エリザベータは何か感じるものがあったのか、


「そう、強がりが好きなのね。あなた」

「理不尽を砕くために、理不尽を砕こうと躍起になって……ああ、それは」

もう助からない者に慈悲を向けるようにして、


「……気が変わったわ。少しだけ早く、終わりの時間を与えてあげる」


女兵士は美汐に向けて、さらに苛烈な攻撃の手を加えていくのであった……




  • ここ見ると美汐は星辰滅奏者向きに思える -- 名無しさん (2017-05-20 21:53:28)
  • ただこれ強がりの仮面塗り付けまくってる状態だしな。ぶっちゃけ闇側行けるほどメンタル強くないし -- 名無しさん (2017-05-20 22:42:09)
  • 何かを恨み抜けるってそれはそれで普通の精神じゃ難しいからな。だからこそアッシュやナギサちゃんは半端者なんだし -- 名無しさん (2017-05-21 01:36:51)
  • なんだかんだでゼファーさんもベクトルが違うだけで強者側なんだよねぇ -- 名無しさん (2017-05-21 02:36:58)
  • 光は闇の意味を知って尚進み轢殺し続ける。闇は光の価値を知って尚恨み貶め続ける。やっぱ表裏一体なだけで絶対値は同じなんだね -- 名無しさん (2017-05-21 05:47:58)
  • 美汐は例の事件起きるまでは普通にお嬢様やっていたころのナギサちゃんと同じ愛されお嬢様だった子だしな -- 名無しさん (2017-05-21 08:13:09)
  • ウラヌス「だから、私は英雄を無様に這いつくばらせてから思い知らせてやると決めてんだよォォーー!」 -- 名無しさん (2017-05-21 08:56:22)
  • ↑???「思い上がったな、雑種」 -- 名無しさん (2017-05-21 09:00:49)
  • ↑2 (無言のガンマレイ零式) -- 名無しさん (2017-05-21 09:13:57)
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最終更新:2020年02月28日 12:32