理外学
現実力学 - Vicipaedia
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概要
現実力学は、空間の現実性の強さを定める現実力場の振る舞いと現実改変/現実歪曲現象について解析する学問である。
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Fig.1 現実力場が平衡化する様子 |
近世から初期近代にかけて主張された唯物論的、機械論的な世界観と異なり、現代では心身二元論、ないしは唯心論的、汎神論的な世界観に基づく仮説が有力になってきている。
「世界があり、観測され、認識され、世界がある」という言葉の通り、世界と観測者の関係は少なからず鶏と卵の問題と似通っている。世界の現実性はほとんどの場所で一定であるが、観測意識の指向性により多少の偏りが生じる。理論上、観測者の意識が及ばない場所の現実性は極端に低下/不安定化することになるが、これは観測事実と整合しない(現実力学の未解決問題)。
現実力場がより弱い現実を侵食し改変することで、超自然的な現象が発生する。これを現実改変/現実歪曲と呼び、力場強度の上昇と現実の"押し付け"によって行われる。このような特殊能力を持った者を現実歪曲者と呼ぶ。彼らは脳構造の先天的な変容によってこれを可能にしていることがわかっているが、後天的に現実歪曲能力を得る試みは部分的にしか成功していない。
理論の詳細
Fig.1のように、現実力場の振る舞いは、流体方程式や拡散方程式で記述される現象との類似が確認されている。そのため、現実力場強度はどこでもほとんど一定である。
平常時の現実力場強度φを0Hm(力場強度単位Hm,ヒューム)と定め、0以上なら超現実性状態、0以下なら非現実性状態と呼ぶ。特に、力場強度の絶対値が大体10を上回る場合は超現実性非平衡状態、非現実性非平衡状態と呼ぶ。これはおおよそ|φ|>10あたりに臨界点が存在し、通常の意味での現実性を論じることができなくなる"非常識的な"状態へ移行するためである。実際に現実力場強度が極端な値をとることは少なく、また実験室環境で再現するにも困難が伴うため、なぜ自然発生的に現実性が非平衡的になるのかはよく理解されていない。
力場強度φ | 人体、周囲への影響 |
>+10 | 物理法則など、根幹的な法則さえ書き換えうる |
+5〜+10 | 知性、認識が歪みはじめる |
+1〜+5 | 周囲の現実を侵食 |
-1~+1 | 通常の現実性強度 |
-5〜-1 | 実在の不安定化 |
−10〜−5 | 多臓器不全に陥る可能性 |
<−10 | 存在が曖昧になる |
Fig.2 力場強度の目安 |
多くの研究者は現実力場強度には上限/下限が存在するだろうと考えているが、理論的にも実験的にも検証はされていない。
現実力場は、十分に振幅が小さいときは(|φ|<1)、ケーリー方程式に従う。

現実力場強度が±1を上回ることは稀であるため、ケーリー方程式は非常に広範な状況で当てはめることができ、簡易的な力場の振る舞いの予測が可能である。
現実歪曲について
現実改変能力を手にしてスーパーヒーローのように街を飛び回り、困っている人を助けたいと思うのならーー夢を壊すようで悪いがーーやめたほうがいい。現実改変能力者というのは君が思うほど楽しい人生を歩んでるわけじゃないし、「何でもできる」というのはーー単に僕が未熟ってだけかもしれないがーー理論上の話だ。
(中略)
現実改変というのは、僕が思うに、「世界はこうであるべきだ」という思い込みの強さがもたらすものだと思う。実際、僕が現実改変能力者だったころは今よりも思い込みが激しい性格だったし、現実改変は強く念じなきゃ起こせなかった。ー「現実改変のハウツー」序文
「世界があり、観測され、認識し、世界がある。」という言葉の通り、現実歪曲は極度に偏った観測意識指向性と歪んだ認識によってもたらされるという仮説が、現在最も有力である。
用語集
- スクラントン現実錨
- ロバート・スクラントンが開発した現実力場強度の維持装置。効果範囲内では現実力場強度が一定値に保たれ、内部の現実歪曲を阻害する。
- シャンク・アナスタサコス恒常時間溝
- 現実力場の時空間的不連続面を作り出し、効果範囲内を因果律異常から保護する装置。
- カント=モーリー計数機
- 力場強度の計測装置。基準はアルビオンの現実性原器である。
- 現実歪曲能力者の脳構造
- 彼らの脳は共通した一部分が変容しており、これが彼らの認知に大きな変化をもたらし、力場強度を上下することを可能にしていると考えられている。
- 非現実性
- 力場強度を人為的に下げることは難しく、大掛かりな装置で現実真空を作るか、自然発生した非現実性領域の探索によってしか調査することができない。非現実性が強い領域は、存在の不安定化、固有イデアの変質/融解が発生するため、ある意味現実歪曲現象よりも危険である。