理外学
形而工学 - Vicipaedia
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概要
形而工学は、形而上物理学、概念工学などの形而上学を基礎とした応用学問であり、形而上と形而下、形相と質料を横断した工学である。
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Fig.1 フラクタル型ミーム媒体の一種(ミーム効果は取り除かれている) |
形而上物理学や概念工学といった学問は元々形相と呼ばれる形を持たない対象の振る舞いを考える学問であったが、その再現性や検証可能性の乏しさから理学的アプローチは徐々に下火になっていき、代わりに経験則と実用性に基づく工学的アプローチが取られるようになっていった。
詳細
形而工学と基礎的な概念
形而工学は、形相と質料を横断した工学技術を研究する。物の在り方を変容させ、"舞台装置"のからくりを改造し、社会に役立てるのが形而工学の目標である。形而工学の基礎である形而上学は未だ詳しい事がわかっていないが、形而上学の進展はそのまま形而工学の発展を促すものであり、基礎研究の重要性はかなり大きいと言える。
形相は、「そのものが何であるか」を決定する概念的対象である。形而上学のイデアと同一視される存在であり、クオリア劇場説では、脚本や舞台装置に該当する一次概念的存在である。質料と合わせて存在を構成する二大要素である。
質料は、「存在の物質的な部分」であり、標準的な科学で論じられる零次概念的存在である。クオリア劇場説では登場人物や小道具に該当し、形相よりも詳しく研究されている。
作用因と目的因は、「物質の変化の原因と存在する理由」であり、クオリア劇場説ではシナリオに該当する二次概念的存在である。
クオリア劇場説は、クオリア問題の考察の過程で生まれた哲学的な仮説である。検証性が乏しく実証はされていないが、基礎形而上学の説明によく用いられる。
クオリア劇場説は次のようなことを主張する。
- 各人のクオリアとは、劇場を眺める観客である。観客は舞台上の"自分"の視点で進む劇を見ている。(※)
- 世界は劇場である。
- 世界に在る物は小道具や登場人物である。
- 世界に在る物の在り方は脚本や舞台装置である。
※クオリア劇場説は二元論的であるが同時に物理主義的な性格を持ち、物理的領域の因果的閉包性を認めている。また、クオリアの立ち位置(where)について言及しているもののクオリアの仕組み(how)については言及していない。
クオリア劇場説に立てば、世界は究極的には一つの脚本にまとめることができる。その意味においては、形相と質料は同じように在るものといえる。
形而上学は世界の舞台裏にある舞台装置の"からくり"の仕組みを知る学問であり、形而工学は"からくり"を改造する学問であると言える。
応用分野
ミーム学は、形而工学の中でも特に発達した分野である。ウイルス的な特性を持つよう作られた情報(ミーム)に関する学問であり、近年の広告活動、情報伝達技術には欠かせない技術となっている。
情報精神生理学は、視覚/聴覚/文章情報のもたらす精神的影響と生理学的影響を研究する分野である。特にミームなどの自己拡散性を持つ情報の精神的影響を研究することは精神医学研究においても大きな意義を持つ。サブリミナルなどを用いて無意識的にもたらされる影響についても研究が進んでおり、情報機密保持や超常テロ対策活動に役立てられている。
ミーム媒体とミームの仕組み
Fig.1にあるようなミーム媒体は、媒体の形相に新たにミーム的な知覚情報を追加することで作られている。媒体が持つ知覚情報(それを見た、聴いた、触った時に得られる情報)の枠を拡張することで、本来知覚される以上の情報を詰め込むことができるのである。
ミームは、情報の持つ作用因と目的因をコンピュータウイルスのような振る舞いをするように改変して作られる。ミームの構造は自然発生したミームやコンピュータウイルスを参考にしながら設計されている。
ミームは、情報の持つ作用因と目的因をコンピュータウイルスのような振る舞いをするように改変して作られる。ミームの構造は自然発生したミームやコンピュータウイルスを参考にしながら設計されている。
用語集
- ミーム
- ウイルスのように人に感染、伝染、拡散していく情報のこと。リチャード・ドーキンスが提唱し、後に異常な情報伝達/記憶保持性を持つ異常ミームが発見され、その仕組みが研究された。現在ではいずれもミームと呼ばれる。
- 語りえぬもの
- クオリア劇場説に対する反論の一つ。クオリア劇場説では、世界のすべては最終的に脚本にまとめることができるとして、暗に世界の全ては言語化可能としている。「語りえぬもの」は劇場に存在せず、しかし世界に存在するというのが反論である。