理外学
魔法の歴史 - Vicipaedia
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概要
近代以前、科学、魔法、迷信の境界が曖昧であった頃に魔法/妖術などと呼称された各現象は必ずしも現代の魔導工学で説明されず、奇跡や神格現象に類されることもある。こうした"ごちゃ混ぜ"状態を鑑み、近代以前の魔法は超自然学/魔法史で取り扱う。
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Fig.1 「魔女に与える鉄槌」 |
古代の魔法、妖術、呪術、奇跡、占星術などは現在でも未解明な領域が存在し、その再研究がもたらす利益は大きい。
魔法の成り立ち
人類が最初に手にした魔法は「自然現象の模倣」のようなものであったと考えられる。有史以前のことであり、詳細は考古学的にしか判明していないが、道具、毒や薬の知識、動物の行動パターンの知識、天気、星を読む知識や、まじない、儀式、儀礼等を習得、継承し、生存率を高める事に直接的に役立てていたと考えられている。やがて人々が信仰を持ち始め、生贄やタブーが出来たことで社会的な結束が増し、より大きなコミュニティを作り始めた。
魔法の分類
魔法/呪術にはいくつかの類別が存在する。
類感呪術は、類似の原理に基づく呪術である。求める結果を模倣する行為により目的を達成しようとする呪術などがこれに含まれる。雨乞いのために水をまいたり、太鼓を叩くなどして、自然現象を模倣する形式をとる。
感染呪術は、接触の原理に基づく呪術である。狩の獲物の足跡に槍を突き刺すと、その影響が獲物に及んで逃げ足が鈍るとするような行為や、秋津洲での藁人形に釘を打ち込む呪術などがこれに含まれる。感染呪術には、類感呪術を含んだものも存在するとフレイザーは述べている。呪術を行使したい対象が接触していた物や、爪・髪の毛など身体の一部だった物に対し、類感呪術を施すような場合などである。
また、呪術は医療としても用いられていた。
また、呪術は医療としても用いられていた。
白魔術(良い魔術)、黒魔術(悪い魔術)といった区別も存在し、かなり早い時期から黒魔術の違法化などが法律として明文化されていたようである。
魔法史
西洋魔法史
ここでは、主に近代までの西洋魔法の歴史を記述していく。
古代
古代世界での魔法は、主に自然哲学や宗教的営みの中に見出すことができる。自然哲学の、世界を構成する基本要素/基本法則を見つけ出そうとする試みは多くの成果をもたらし、特に古代ギリシャで提唱された四元素説は各時代で修正されながら現代に受け継がれている(西洋五元素)。
古代ローマやアルビオンには数多くの魔法使い伝説が残っている。その多くはドラゴン退治などのお伽話だが、中には黒魔術師を打ち倒したというものもあり、最初期の法律には既に黒魔術の違法化が明記されていたようである。
古代ローマやアルビオンには数多くの魔法使い伝説が残っている。その多くはドラゴン退治などのお伽話だが、中には黒魔術師を打ち倒したというものもあり、最初期の法律には既に黒魔術の違法化が明記されていたようである。
中世、近世
中世は黒魔術が大きく進展した時代である。血の伯爵夫人伝説に見られるように、血を燃料とする魔法技術(血液魔法)が盛んに研究され、教会による魔女狩りが行われるなど魔法使いにとっての暗黒時代でもある。
この頃は現代のような魔力保管技術やアストラル放射に関する理解が進んでおらず、大量の魔力を如何にして手に入れるかというのが当時の魔法使いたちの悩みの種であった。血や幼少児が燃料として優れた特性を持つことは古くから知られており、ハーメルンの笛吹き男に代表される誘拐事件や惨殺事件が数多く発生したことが記録に残されている。
中世の魔女狩りは教会や国家の主導によって行われたのに対し、近世の魔女狩りは社会不安に突き動かされた民衆によって行われた。また、前者は黒魔術の取り締まりという性格が強かったのに対し、後者は陰謀論に基づくリンチが多い。魔女伝説はこの頃広まったものの要素を多く含んでいる。
この頃は現代のような魔力保管技術やアストラル放射に関する理解が進んでおらず、大量の魔力を如何にして手に入れるかというのが当時の魔法使いたちの悩みの種であった。血や幼少児が燃料として優れた特性を持つことは古くから知られており、ハーメルンの笛吹き男に代表される誘拐事件や惨殺事件が数多く発生したことが記録に残されている。
中世の魔女狩りは教会や国家の主導によって行われたのに対し、近世の魔女狩りは社会不安に突き動かされた民衆によって行われた。また、前者は黒魔術の取り締まりという性格が強かったのに対し、後者は陰謀論に基づくリンチが多い。魔女伝説はこの頃広まったものの要素を多く含んでいる。
近代
近代には近代以前の宗教性を帯びた魔法から脱却し、人間の理性の下に魔法学を体系化し直そうとする研究が盛んになった。近世までの魔法技術の再評価や再研究が活発に行われ、これが総合魔法学につながっていくのである。
黄金の夜明け団に代表される魔術秘密結社が多数生まれ、古今東西の魔法技術を収集し、体系化していった。このとき近代総合魔法学の概念が生まれ、今日の魔導工学の基礎となった。
古典魔法の再評価が魔法使いらによって行われる傍ら、科学革命と産業革命の時代でもあった近世〜近代までの時代は、民衆の魔法に対する意識の変革の時代であった。近代科学によって解明されない"不気味さ"が科学者の間に広まるのに時間はかからなかった一方で、近代の初めまでは科学も魔法も民衆にとって同じくらい"ちんぷんかんぷん"なものであった。民衆の間にも"不気味さ"が共有され、ついに近代魔導排斥運動へと繋がったのは、当時の魔法使いの秘密主義的な性格が原因の一つだったと言われている。
黄金の夜明け団に代表される魔術秘密結社が多数生まれ、古今東西の魔法技術を収集し、体系化していった。このとき近代総合魔法学の概念が生まれ、今日の魔導工学の基礎となった。
古典魔法の再評価が魔法使いらによって行われる傍ら、科学革命と産業革命の時代でもあった近世〜近代までの時代は、民衆の魔法に対する意識の変革の時代であった。近代科学によって解明されない"不気味さ"が科学者の間に広まるのに時間はかからなかった一方で、近代の初めまでは科学も魔法も民衆にとって同じくらい"ちんぷんかんぷん"なものであった。民衆の間にも"不気味さ"が共有され、ついに近代魔導排斥運動へと繋がったのは、当時の魔法使いの秘密主義的な性格が原因の一つだったと言われている。
旧時代の魔法の未解明領域
今日の魔導工学における魔法と近代以前の時代に言う魔法は必ずしも一致しない。前者は魔力によって発動される現象の総称であるのに対し、後者は超自然現象一般に使われる。超自然学では、後者の魔法、つまり旧時代の超自然技術を研究対象とする。
用語集
- 教会魔道士、国家錬金術師
- 生来的に魔法の素質を持つものは少なく、また当時魔導工学技術が未発達であったため、魔法使いは公的にも重用された。彼らは教会/国家のために働く公務員のようなものであったと考えられている。前者は黒魔術師狩りや教会医療、後者は錬金術研究の他に占星術や兵役を主な役目としていたようである。