バーナード・エドワーズ(Bernard Edwards)
アメリカ合衆国のベーシスト。70年代を代表するファンクバンドChicの主要メンバーである。
元々ジャズ畑の彼らは1977年にChicを結成し、それまでの単純なディスコの世界に洗練された雰囲気と強烈なリズムを持ち込んだ。確かな演奏テクニックと切れのあるストリングアレンジなどで「Le Freak」「Good Times」を全米一位に送り込むが、ベーシスト的には「Dance, Dance, Dance」 , 「Everybody Dance」 , 「I Want Your Love」などどの曲も聴き逃せないだろう。
ファンクベーシストの本能に訴えかけるフレーズを彼の指は常に産み出してきたのである。
演奏
基本的には2フィンガースタイルの伝統的R&Bベーシストである。
フレーズは基本的に低音部がメインのシンプルなもの。ただ実際に弾いてみると運指が独特で音符休符が細かい。
あの独特のタメとノリを引き出して弾きこなすのは至難の業である。
なお指を置いてる位置はかなりブリッジに近い。
chucking
chuckingはバーナード特有のテクニックである。
この特殊な奏法はずっとネット上でも論争の種であり、このテクニックが理由で残念なことにバーナードがピック弾きのベーシストという誤った情報を日本に蔓延させる原因となってしまった。
ChuckingはEverybody Danceのイントロで確認できる。動画でも確認できる。
まるでギタリストがコード・カッティングするようなストロークで親指と人差し指の爪を中心に弦を弾く。
確かに一見するとこれはピックを使っているようにしか見えない。
動画ではイントロでChucking、その後2フィンガー。間奏部(3:00)あたりでまたChuckingで弾いている。
機材
愛用していたのはミュージックマン・ステイングレイのナチュラルの初期モデル。
スティングレイというとスラップ系の
フリー や
ルイス・ジョンソン の名前がよくあがるが、彼もまた代表的なスティングレイ弾きの一人である。
彼の弾いていた初期モデルはボディ裏通しの弦と、ハイ・ローしかない2EQが特徴である。
EQはハイを少しカットし、ローを分厚くするとバーナードの雰囲気に近くなるだろう。
アーニーボール買収後の3EQのスティングレイではこの雰囲気は残念だけど出ない。
ファンならぜひオールドスティングレイを手に入れてほしい。
弦はフラットである。
Stingrayの工場出荷時の弦をそのままずっと使ってたという話もある。
晩年のインタビューでは長くROTOSOUNDのSWINGBASSの弦を使っているとも話していた。スラップサウンドを強調するためにCHICの最初の2枚のアルバムの後は長くラウンドワウンド弦を使っていたそう。
アンプは Ampeg SVT と 810。
ただ彼の音を特徴づけているのはあくまでも2EQのスティングレイである。
最期のライブでも使っていたそれは、彼の死後、デュラン・デュランのジョン・テイラーに贈られたそうな。
1996年4月18日
VIDEO
【R.I.P. Bernard Edwards】
武道館公演のため、ナイルとともに来日。
しかしこの時体調は最悪だったらしく、点滴を打ちながらプレイしていたという。
ナイルはキャンセルも検討したが、バーナードは拒否。
結果、最終公演まで行った。
そしてその数日後、急逝。肺炎だったらしい。
余談だが、海外だと黒人ミュージシャンが死ぬと
「あーはいはいどうせドラッグだろドラッグ」と死因特定は適当にやるらしいが、
日本の警察は「すごく丁寧」でナイルもバーナードの家族も感謝してる、らしい。
この出来事のため、ナイルはこの時期になるとちょくちょく来日してくれる。
震災直後で自分が癌の治療を受けた後にも関わらず。
日本への、というか相棒への愛を感じます。
トニー・トンプソンも2003年に死去。
Chicオリジナルメンバー再集結は天国へ持越しとなった。
バーナードとトニーには申し訳ないが、
ナイルをそっちに呼ぶのはもう少し待ってほしいものだ。
VIDEO
【THE MiDNiGHT SPECiAL 1978 Chic Live】
ご存じ「おしゃれフリーク」だが、
この曲はナイルがグレイス・ジョーンズのライブに呼ばれたはずなのに
係員に「Fuck Out!」と言われ門前払いされたのを
家に帰ってムカつきながら作った曲なんだってさ。
VIDEO
【(1978) Chic - Everybody Dance HQ】
デビューアルバム収録。
イントロからエンディングまで、このベースラインで飯が食える。
VIDEO
【CHIC Live at Budokan 1996 Good Times】
バーナード最後のライブ。
この時のドラムはオマー・ハキム。笑顔で凄いグルーヴ叩き出す禿のオッチャン。
Queenのジョン・ディ-コンはChicのレコーディングスタジオに顔出した後、
セッションに参加したくてしたくて堪らない様子だったそうな。
そんなメンタルから生まれたのがフレディー以外から超絶不評だった「
地獄へ道連れ 」。
たしかにChicっぽい。
記事作成乙! -- 名無しさん (2014-12-23 18:37:25)
すごく愛に溢れたいい記事だ -- 名無しさん (2014-12-31 16:33:54)
大好き。めちゃくちゃオシャレでセンスあるライン作るよね -- 名無しさん (2015-10-19 00:51:10)
ベースにとって一番大切なのが音価のコントロールだと思うが、この人はそこが常に完璧だった。最高のタイミングで消音するから、ベースの音がバスドラに粘っこく張り付いているように聞こえる -- 名無しさん (2019-03-13 21:23:12)
最終更新:2021年09月20日 17:09