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第一話 「緊急事態?」 (1)
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匿名ユーザー
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『オルニア、聞こえていますか?』
頭の中の声が、紫の瞳を開かせた。
「……何? 唐突に」
腰まで届く茶の長髪をまとめ、タオルで封じている。寝ぼけ眼の女は、自分以外誰もいない宿屋の部屋の中で声をあげた。上体を起こし、外を眺める。
「……まだ真夜中じゃない」
窓の外は暗く、覆われた雲の隙間から少し星が瞬いている。まだ空が明らむ様子は無い。
『仕方ないでしょう。緊急事態なのですから』
男の声はどこまでも明瞭に女の頭に入る。夢心地に漂う意識がクリアになっていく。
「緊急事態……誰にとって?」
『決まっています。あなたにですよ』
声はとても平静。会話のテンポも淡々としている。ただ、内容は違っていた。
女は頭のタオルをほどいた。髪がさらりと流れ、ベッドに広がる。立ち上がり、洗われた簡素なタンクトップとジーンズを着、腰の後ろに短剣を鞘ごと取り付ける。
「今、その『緊急事態』とやらはどこに?」
『ここより真東です』
すぐに返された答えにうなずき、女は扉を開けた。
頭の中の声が、紫の瞳を開かせた。
「……何? 唐突に」
腰まで届く茶の長髪をまとめ、タオルで封じている。寝ぼけ眼の女は、自分以外誰もいない宿屋の部屋の中で声をあげた。上体を起こし、外を眺める。
「……まだ真夜中じゃない」
窓の外は暗く、覆われた雲の隙間から少し星が瞬いている。まだ空が明らむ様子は無い。
『仕方ないでしょう。緊急事態なのですから』
男の声はどこまでも明瞭に女の頭に入る。夢心地に漂う意識がクリアになっていく。
「緊急事態……誰にとって?」
『決まっています。あなたにですよ』
声はとても平静。会話のテンポも淡々としている。ただ、内容は違っていた。
女は頭のタオルをほどいた。髪がさらりと流れ、ベッドに広がる。立ち上がり、洗われた簡素なタンクトップとジーンズを着、腰の後ろに短剣を鞘ごと取り付ける。
「今、その『緊急事態』とやらはどこに?」
『ここより真東です』
すぐに返された答えにうなずき、女は扉を開けた。
女の名前はオルニア=トッカ。頭の声の主はシーズ=メルンという。
今は、この二人の名前だけ記憶してもらうだけで構わない。
今は、この二人の名前だけ記憶してもらうだけで構わない。