Cross Books
第一話 「緊急事態?」 (5)
最終更新:
匿名ユーザー
-
view
「……自己紹介に意味はあるの?」
「え?」
オルニアの言葉に、少年――アイドは表情を変える。
「だって、私はただの通りすがりよ? 無駄に親密になる必要性が無いじゃない」
すると、アイドは少し申し訳なさそうにしながら言ってくる。
「いやあの……ちょっと路銀がなくなっちゃって。雇ってもらいたいなー、と思って。剣の扱いは見ての通りなかなかだと思うし。自画自賛だけど」
「それは認めるわ。でも残念ながら、今は私もいうほど持ってないの。収入源が賞金首だから」
「じゃ、パーティー組まない?」
突然の提案に、オルニアは目を丸くする。
「話からすると、お姉さんは賞金稼ぎなんでしょ? それなら、護衛にするよりパーティーの一員にしたほうが仲良くなれそうじゃない! 効率もアップ! 山賊狩りだってできるし!」
「いや、それはちょっと無理じゃない?」
「そんなことどーでもいいんだよ!」
控えめなツッコミを切り捨て、アイドは期待するような――実際期待している目でじっと見て、
「パーティー組もう? ね? ね?」
「…………」
オルニアは多少たじろぎ――結局。
「……いいわよ。組みましょ」
「やった!」
アイドは跳んで喜び、後方を向き、
「リラー! よかったね、これで生活できるよ!」
「え?」
理解することができず、一瞬オルニアが固まる。
唐突に、アイドの後ろに男が現れたのだ。光にも白まぬ漆黒のローブ。それが体を首から足まで覆っている。
ちなみに、アイドはアルビノらしく白髪に赤眼、リラーと呼ばれた男はローブと同じような漆黒の目と漆黒の長髪。まったく似ていない。兄弟ではないだろう。
「俺はリラー=ドルーヴ。魔呪なら使える。これからよろしく」
端的な自己紹介をしてきた。アイドが詳しく説明する。
「リラーの魔呪はすごいんだよ! 難しいって言われてる二元魔呪(デュアルマジック)を使いこなせるんだから! さっきもお姉さんが狙われないように“気薄(スパース)”を自身とお姉さんにかけてたんだから」
“気薄(スパース)”は、姿と気配を薄れさせ、他の生物に気づかせなくさせる高度魔呪の一つである。“不可視体(インビジビリティ)”とは違い、完全に消えるわけではないが、使う者が使えばほぼ姿を消すことができ、気配もなくなるので、使い勝手は良い。ただし、かなり習熟は難しく、ある程度の実力が無ければ何も起こせない。それを使いこなすということは、リラーもかなりの戦力であろう。
「イヤだなんて言わないよね? ぬか喜びはしたくないし」
懇願の目でじっと見るアイド。その押し返せない力に負けて。
「……私はオルニア=トッカ。これからよろしく」
小さくため息をついた。
「え?」
オルニアの言葉に、少年――アイドは表情を変える。
「だって、私はただの通りすがりよ? 無駄に親密になる必要性が無いじゃない」
すると、アイドは少し申し訳なさそうにしながら言ってくる。
「いやあの……ちょっと路銀がなくなっちゃって。雇ってもらいたいなー、と思って。剣の扱いは見ての通りなかなかだと思うし。自画自賛だけど」
「それは認めるわ。でも残念ながら、今は私もいうほど持ってないの。収入源が賞金首だから」
「じゃ、パーティー組まない?」
突然の提案に、オルニアは目を丸くする。
「話からすると、お姉さんは賞金稼ぎなんでしょ? それなら、護衛にするよりパーティーの一員にしたほうが仲良くなれそうじゃない! 効率もアップ! 山賊狩りだってできるし!」
「いや、それはちょっと無理じゃない?」
「そんなことどーでもいいんだよ!」
控えめなツッコミを切り捨て、アイドは期待するような――実際期待している目でじっと見て、
「パーティー組もう? ね? ね?」
「…………」
オルニアは多少たじろぎ――結局。
「……いいわよ。組みましょ」
「やった!」
アイドは跳んで喜び、後方を向き、
「リラー! よかったね、これで生活できるよ!」
「え?」
理解することができず、一瞬オルニアが固まる。
唐突に、アイドの後ろに男が現れたのだ。光にも白まぬ漆黒のローブ。それが体を首から足まで覆っている。
ちなみに、アイドはアルビノらしく白髪に赤眼、リラーと呼ばれた男はローブと同じような漆黒の目と漆黒の長髪。まったく似ていない。兄弟ではないだろう。
「俺はリラー=ドルーヴ。魔呪なら使える。これからよろしく」
端的な自己紹介をしてきた。アイドが詳しく説明する。
「リラーの魔呪はすごいんだよ! 難しいって言われてる二元魔呪(デュアルマジック)を使いこなせるんだから! さっきもお姉さんが狙われないように“気薄(スパース)”を自身とお姉さんにかけてたんだから」
“気薄(スパース)”は、姿と気配を薄れさせ、他の生物に気づかせなくさせる高度魔呪の一つである。“不可視体(インビジビリティ)”とは違い、完全に消えるわけではないが、使う者が使えばほぼ姿を消すことができ、気配もなくなるので、使い勝手は良い。ただし、かなり習熟は難しく、ある程度の実力が無ければ何も起こせない。それを使いこなすということは、リラーもかなりの戦力であろう。
「イヤだなんて言わないよね? ぬか喜びはしたくないし」
懇願の目でじっと見るアイド。その押し返せない力に負けて。
「……私はオルニア=トッカ。これからよろしく」
小さくため息をついた。