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第一話 「緊急事態?」 (4)

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匿名ユーザー

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  棒の反対側から、光を鈍く返す刃がそれぞれ出現。片刃のそれらは、少年の腕の動きに忠実に従い、切っ先を獣へ向ける。
  そして――獣が到達した。
  オルニアは見た。獣はかなり大きく、切り株の高さを含む少年の身長とほぼ同じ高さ。横の長さはその倍程か。四本足で、長い尾がなびいている。これの突進をそのまま受ければ、まず間違いなく生涯を終える。
  その突進の的となった少年は――宙を舞っていた。弾き上げられたのかと思ったが、違う。彼は並外れた跳躍でかわしたのだ。切り株の周りの草がなびく。対象を見失った獣は、すぐにどこにいるかを体で感じる。
  少年が不自然な体勢ながらも斬ったのだ。力の入らない一撃のはずだが、獣は激痛の方向を上げた。どうやら、切れ味は恐ろしい――むしろあり得ないほどに鋭いらしい。刃の動きに停滞がなかった。獣はそれでも勢いのままに走り抜け、かなり先で止まる。まだ力はあるらしく、向きを変えて、華麗に着地した少年を見据えている。痛みと怒りで興奮しているのかもしれない。
  対して少年は、二対の刀を前に差し出す。「前にならえ」のように。そして、先程オルニアに見せたのと同じ、ニコリとした笑いをする。
  そして、獣が突進した。脇目もふらず――実際には光で見えなかったが、オルニアはそう感じた――少年を目指す。
  彼は接触する寸前、ほんの少し横にステップした。獣に当たらないギリギリの所まで。刀の刃先は固定したままで。刃の方を獣に向けて。
  圧倒的な質量と思われるものの勢いを受けても、刃は押されなかった。力を完全に受けず、刃はただ獣の体を抜けた。
  獣はしばらく走り抜けて――横倒しになった。あとは全く動かない。
「大丈夫だった?」
  少年が声をかけてくる。先程まで戦っていたというのに、緊張感は全くない。オルニアはただ頷いた。
  少年はまたニコリと笑い、棒に付けた球を外し、腰のベルトに戻す。
「はじめまして。僕の名前はアイド=モレイト。君は?」


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