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003:さいごの皇帝 (3)
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匿名ユーザー
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四人は広い一室に集められた。会議室だろう。楕円に並べられた机に椅子。オルニア達を含めて、合計八人がこの部屋にいる。
皇后サルドニア。
侍女長マイティナ。
騎士団長ノデ。
四人を除いた最初の発見者である騎士ポーガル。
ノデが口を開いた。
「フィルアール様は心臓を鋭い物で一突きされておりました。おそらくは騎士が常備している剣であると思われます。その点で、これは騎士の一人が殺害したものと思われます」
「なら、どうして私が呼ばれたの?」
不服そうにマイティナが言う。ノデは淡々と述べる。
「あなたには他の侍女に、不審者を見なかったか聞いていただきたいのです。それだけですので、もう出ても構いません」
マイティナはノデを忌々しげに見てから、会議室を出ていった。
「ねぇ、あの人、騎士団長嫌ってるのかしら」
「ただ単に、あの言い方が嫌なだけだと思いますよ」
オルニアとシーズがひそひそ話しているのとはよそに、話を進めていく。
「不可解な点は、すでに死ぬことが決まったも同然であったフィルアール様を、なぜ今殺したのか、という点です。先の短い人を殺して得るメリットというのは、かなり少ない。自分の手で殺さないと気が済まないという感情の持ち主か、突発的に殺してしまったか、どちらかだと思われます」
ここでノデは、その場にいる六人を見渡し、
「ここにいる方々は、その可能性がある人です」
「ちょっと待ちなさい!」
サルドニアが声を張り上げる。
「ならば、どうして私を呼んだの!? 私が夫を殺すとでも!?」
「あくまでも可能性がある人、です。夫婦間のいざこざによる殺人など、珍しいことではないですから」
サルドニアは顔を赤くしてノデを睨んでいたが、やがて落ち着きを戻した表情に変わった。
「来客であるあなた方は、第一発見者。あなた方が来るまでに死んでいたかどうか、という証拠は今のところないので、いてもらっていますが、構いませんか?」
「別に構わないわよ」
オルニアは軽く言った。他の三人はどうせ意見などないだろうし。
「ポーガル、お前が呼ばれたのは一番近かったからだ。言ってしまえば、殺すことのできる人間だ。お前の立ち位置は皇帝の部屋の前。マイティナに頼むまでもなく、お前が見たかどうかで分かることなのだ。不審者がいたかどうかは。どうだ、誰か部屋に入ったものはいたか?」
「この方々以外にはおりません!」
騎士団長に対するしつけられた言い方なのか、妙に大声でポーガルは言った。自分が一番容疑の有力者だということも気にしていない。
「ふむ……」
少し考え込むようにノデは顔を伏せた。ポーガルの証言の真偽がはっきりしているわけではない。可能性はいくらでもある。
扉が開き、マイティナが入ってきた。オルニア達を示して告げる。
「皆この四人以外には変わった人は見ていないらしいですよ」
そして、返事も待たずに去っていった。
ノデはそれを聞いたのか聞いていないのか、微動だにせず考えている。
それから何分か後。
「自殺ではないのですか?」
静まっていた空間に、その言葉は響いた。すぐにノデが反応し、言葉の主の方を見る。
言ったのはシーズである。ノデに顔を向け、話す。
「皇帝の死は、騎士の剣で心臓を刺されていたためですね?」
「……ああ、そうだ」
「騎士の剣は、別に個人を特定する何かがあるわけではないんですね?」
「それがあれば事件などすぐに解決できる」
「騎士に与えられていない、余った剣がどこかにしまわれていませんか? その数を整理しているかどうかも教えてください」
「倉庫にある。数も毎日確認している」
シーズは頷いて、
「では、調べたときの数を確かめた後、今ある数を調べてください。一本減っていれば、その可能性があります」
皇后サルドニア。
侍女長マイティナ。
騎士団長ノデ。
四人を除いた最初の発見者である騎士ポーガル。
ノデが口を開いた。
「フィルアール様は心臓を鋭い物で一突きされておりました。おそらくは騎士が常備している剣であると思われます。その点で、これは騎士の一人が殺害したものと思われます」
「なら、どうして私が呼ばれたの?」
不服そうにマイティナが言う。ノデは淡々と述べる。
「あなたには他の侍女に、不審者を見なかったか聞いていただきたいのです。それだけですので、もう出ても構いません」
マイティナはノデを忌々しげに見てから、会議室を出ていった。
「ねぇ、あの人、騎士団長嫌ってるのかしら」
「ただ単に、あの言い方が嫌なだけだと思いますよ」
オルニアとシーズがひそひそ話しているのとはよそに、話を進めていく。
「不可解な点は、すでに死ぬことが決まったも同然であったフィルアール様を、なぜ今殺したのか、という点です。先の短い人を殺して得るメリットというのは、かなり少ない。自分の手で殺さないと気が済まないという感情の持ち主か、突発的に殺してしまったか、どちらかだと思われます」
ここでノデは、その場にいる六人を見渡し、
「ここにいる方々は、その可能性がある人です」
「ちょっと待ちなさい!」
サルドニアが声を張り上げる。
「ならば、どうして私を呼んだの!? 私が夫を殺すとでも!?」
「あくまでも可能性がある人、です。夫婦間のいざこざによる殺人など、珍しいことではないですから」
サルドニアは顔を赤くしてノデを睨んでいたが、やがて落ち着きを戻した表情に変わった。
「来客であるあなた方は、第一発見者。あなた方が来るまでに死んでいたかどうか、という証拠は今のところないので、いてもらっていますが、構いませんか?」
「別に構わないわよ」
オルニアは軽く言った。他の三人はどうせ意見などないだろうし。
「ポーガル、お前が呼ばれたのは一番近かったからだ。言ってしまえば、殺すことのできる人間だ。お前の立ち位置は皇帝の部屋の前。マイティナに頼むまでもなく、お前が見たかどうかで分かることなのだ。不審者がいたかどうかは。どうだ、誰か部屋に入ったものはいたか?」
「この方々以外にはおりません!」
騎士団長に対するしつけられた言い方なのか、妙に大声でポーガルは言った。自分が一番容疑の有力者だということも気にしていない。
「ふむ……」
少し考え込むようにノデは顔を伏せた。ポーガルの証言の真偽がはっきりしているわけではない。可能性はいくらでもある。
扉が開き、マイティナが入ってきた。オルニア達を示して告げる。
「皆この四人以外には変わった人は見ていないらしいですよ」
そして、返事も待たずに去っていった。
ノデはそれを聞いたのか聞いていないのか、微動だにせず考えている。
それから何分か後。
「自殺ではないのですか?」
静まっていた空間に、その言葉は響いた。すぐにノデが反応し、言葉の主の方を見る。
言ったのはシーズである。ノデに顔を向け、話す。
「皇帝の死は、騎士の剣で心臓を刺されていたためですね?」
「……ああ、そうだ」
「騎士の剣は、別に個人を特定する何かがあるわけではないんですね?」
「それがあれば事件などすぐに解決できる」
「騎士に与えられていない、余った剣がどこかにしまわれていませんか? その数を整理しているかどうかも教えてください」
「倉庫にある。数も毎日確認している」
シーズは頷いて、
「では、調べたときの数を確かめた後、今ある数を調べてください。一本減っていれば、その可能性があります」