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003:さいごの皇帝 (2)

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 門は開いていた。
「問題ないようですね」
「そうか?」
 いちいち反発するリラーに対し、アイドは、
「……………………」
もう止める気はないらしく、致命的ではない限り見るだけにしたようだ。その結論は、オルニアはとっくの昔に出している。
「……ま、入りましょうよ。開放されてるなら面倒がなくていいじゃない」
 小さく嘆息し、オルニアは門をくぐる。後ろの三人も後をついてくる。
 王城だけあって、非常に広い。廊下は、大の大人が五人手を伸ばして並んでも、端と端が届くかどうか。ロビーと思しき所には、侍女らしき人が何人か忙しなく動き、所々に騎士姿の男が直立不動に立っている。一般人の姿は見当たらない。
「ねえ、普通に入ってるけど、大丈夫なの? すごく浮いてる気がするんだけど」
 誰かと遭遇するたび、不信感を帯びた目で見られる。後ろめたいことはないが、肩が狭い。
「大丈夫ですよ。そんなに緊張する必要はありません」
(無茶言わないでよ……)
 そう思うのだが、他の三人はいたって冷静である。
(一般人と比較するだけ無駄か)
 この三人が緊張する状況など考えられない。神の前でもその風体は変わらないだろう。一介の王の前では、万に一つも変わるはずがない。
(多少は礼儀を身につけてほしいわ)
 まだ礼儀どうこうは見ていないのだが、容易く創造できてしまうのが恐ろしい。
 傍を通った侍女に王のいる部屋を聞くと、三階の一室にあるらしい。適当に歩き回って階段を見つけ、三階へ。示された通りに進み、言われた部屋の前に到着。
 扉を開ける。
 そこにあったものは、
「……………………!?」
 寝台に横たわる、血を流した男。
「ふぃ、フィルアール様!?」
 背後で悲鳴。見れば、騎士が一人。声を聞きつけて、ぞろぞろと人が集まってくる。ざわめきが広まっていく。
「また厄介なことに……」
 近頃こういうことばかりである。


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