翌朝、子ども達が目を覚ますと両親がにんっしんしていた。
れいむは植物型の妊娠をしており、額のやや上辺りから緑色の蔦が生えている。
一方のまりさは動物型の妊娠(通称にんっしん)をしており、昨日よりも少しだけ下あごが膨らんでいるように見えた。

「ゆゆっ!おきゃーしゃん!あかちゃんができりゅの?」
「ゆゆっ!あきゃちゃん、あきゃちゃん!」
「れいみゅたちおねーしゃんになりゅんだね!」

初めて見る子を宿した両親の姿に興奮しているのはまだまだ幼い赤ゆっくり達だ。
自分たちも姉になれると言う喜びから本当に嬉しそうに跳ね回って喜びを表現している。
勿論、可愛い妹が出来ることを喜ぶものも居れば、自分より下の存在が出来ることを喜んでいるものも居る。
しかし、どちらにせよ新しい家族の誕生を祝福していることに違いはなかった。
もっとも、もう少し大きな子ども達はその傍らで浮かない表情をしているのだが、浮かれる赤ゆっくり達がそれに気づくことはない。

「餌だ」

そんな風に喜んでいる一家に水を差すように入ってきたのはいつもの虐待をする男。
その手には平凡極まりない風味の練り餌と、1日1回の水分補給用のホースが握られていた。
ホースを見たゆっくり達はすぐさま三列に並び、思いっきり口を開いた。

「おみずさんのじかんだよ!」
「ゆっくりごくごくするよ!」
「ほふぃふぁん、ふぁふぃふぁ・・・ふふゅ!?」
(おじさん!まりさ・・・ゆぎゅ!?)
「ちゃんと飲めよ」

まず一番最初に水を飲ませて貰ったのは昨夜舌と歯を使い物にならないようにされてしまった子まりさ。
それから、他のゆっくりにもこれといった法則性もなく適当に水を飲ませてゆく。
そして頭に蔦を生やした成体れいむに水をやる時、もしやと思いつがいのまりさを注意深く観察する。
彼女が動物型にんっしんしていることを把握すると一旦放水をとめて、成体まりさを自分の傍へ呼びつけた。

「ゆゆっ!な、なあに・・・おじさん」
「ルールに基づいて動物型は見つけ次第処理する」

男はそう言うや否やまりさの下あご付近を指で探ると、産道を見つけ人差し指を潜り込ませる。
そして、更に親指を潜り込ませて2本の指で産道を開いた。

「ゆびぇ!な、なにするのっ!?そんなことしたらあかちゃんがしんじゃうよおおおおおお!」
「・・・・・・・・・」
「やめてね!ゆっくりやめてね!まりさのあかちゃんいじめないでね!」
「・・・・・・・・・」
「どうしてなにもいわないの!?まりさおこるよ!ゆっくりしないでやめてね!」

まりさの叫びには一切耳を貸さず、男は産道にホースをねじ込むと二本の指でホースの口を押さえ、再び放水を開始する。
結果、まりさの産道の中で勢い良く放たれた水が暴れまわり、彼女の産道内のまだ未形成の薄皮と餡子を傷つける。
そして、胎内を傷つけてまりさをいたぶりながら、徐々にれいむ種の形になりつつあった赤ちゃんを飲み込んだ。

「ゆぼおおおおおおおおお!?やべでえええええ!いぎゃあ゛あ゛あ゛!!ぢぬ゛うううううう!!?」

それを続けることおよそ20秒、まりさの産道からどろりとした黒いものが溢れ出して床を汚した。
黒い溶けた餡子の海の中で小さな塊が溺れていたが、それに存在を気に留めるものは誰も居なかった。
そう、まりさは動物型のにんっしんっ時のルールをすっかり失念していたのだ。

「ゆっぐ・・・ゆぎぃ・・・いぢゃい゛・・・いぢゃいよ゛ぉ・・・」

想像を絶する痛みに呻くまりさを省みることもなく、男は餌を置いてさっさとその場を後にした。



「みんな、ごはんをわけるよ!」
「「「「「「ゆっくりたべりゅよ!」」」」」」
「ふっふひはふぇふふぉ!」
(ゆっくりたべるよ!)

蔦を生やした母れいむの一声に従って子ゆっくり達が彼女の前に練り餌を運ぶ。
そして、このときばかりは家族の一員であっても、そうでなくても大きさ相応に平等に餌を分けあっていた。
勿論、同じゆっくりだからなんていう大層な理由ではなく、ある程度体力を付けてもらわないと不都合だからに過ぎない。
死なれてしまっては家族に虐待の魔の手が及ぶ・・・要するにそういうことなのだ。
しかし、それでもこの食事の時間だけはみんな揃って本当の意味でゆっくり出来た。

「れいむはたくさんだよ!あかちゃんがいるからとうぜんだね!ゆっくりりかいしてね!」

が、今日ばかりは事情が違っていた。
母れいむが赤ちゃんが居ることを理由に全体の1/3近い餌を独り占めしてしまったのだ。
そのため食料が不足し、お腹いっぱいになることが出来ず、ゆっくりすることが出来なくなってしまった。

「ゆぅ~・・・おきゃーしゃん、おにゃかしゅいたよ!」
「おきゃーしゃんにょをわけちぇもらうよ!」
「ゆゆっ!だめだよ!そんなことするこはゆっくりできなくするよ!」
「ゆぅ・・・ゆえーん!おきゃーしゃんだけじゅるいよおおおおお!」
「なにいってるの!?あかちゃんがいるんだよ!あかちゃんがしんでもいいの!?そんなことはゆっくりできないよ!」
「ゆえーん、ゆえーん・・・」

結局、赤れいむは痛みで動けない成体まりさと歯を失った子まりさの世話をしていた成体れいむが餌を分けてくれるまで泣き止まなかった。
そのせいでこの成体れいむは餌を食べることが出来なかったのだが、誰もそのことに気づかなかった。
そして、それがれいむ達一家の予定や計算を全て狂わせることになるとは知る由もなかった。



夜・・・・・・絶賛虐待中だったが親れいむはとてもゆっくりしていた。
この部屋では子どもを宿したゆっくりは虐待ルームへ行かなくて良い決まりになっている。
だから、いつもの何倍もの餌を食べてお腹いっぱいの親れいむは小部屋で一匹だけゆっくりできたのだ。

「ゅぅ・・・ゅぎぃ・・・」

向こうの部屋から、虐待されているゆっくりの嗚咽が聞こえてくる。
そのせいでゆっくり眠ることが出来ないが、あまり文句を言っても仕方がない。
れいむは我慢して目を瞑り、何とか眠りにつこうとする。
そうしているうちに隣の部屋の騒音にも慣れてきて、徐々に心地よい眠気が彼女を包み込む。

「・・・もっと、ゆっくり・・・したかったよ・・・」
「ゆゆっ!れいむ、しんじゃだめだよ!しんだらまり・・・ゆぎゃあああああああああああああああ!!?」

しかし、せっかくの眠気もつがいのまりさの悲鳴によって吹き飛ばされてしまった。
驚きにあまりに跳ね起きたれいむが檻の向こう側を覗くと、もう一匹の成体れいむが床に打ち捨てられていた。
そして、つがいのまりさが「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・」と嗚咽を漏らす傍らで、昨日口を潰された子まりさが虐待されている。
まりさの悲鳴しか聞こえなかったことを考えると、どうやらあの成体れいむは既に死んでしまっているらしい。
偶然にも昨日あの子まりさの口を使い物にならないようにした子ども達の判断は大正解だったようだ。

「う゛っ・・・あ゛っ・・・ぅえ・・・」

今、喋れない子まりさが受けている虐待は頭部の皮を切り取り、そこから2本の細い金属棒を突っ込んで餡子を掻き回すというもの。
男の手の動きに合わせて何の意味も成さない音声を発する餡子を露出させた子まりさの姿は現実感に乏しく、どこかそういう形のおもちゃのようでもある。
しかし、彼女の丸い体をぬらす脂汗のような粘液が、血走った白目とそこから零れる涙が紛れもない一個の生命であることを雄弁に語っていた。

「う゛っ・・・い゛っ・・・ぅあ゛・・・」

れいむは気づいていないが声には一定の法則性があり、男の思うがままに子まりさは呻き声を発する。
まるで楽団を束ねる指揮者のような手さばきで、思い通りの音楽を奏でる。

「う゛ぁ・・・い゛ぎぃ・・・う゛ぉ・・・」
クチュクチュ・・・クチュクチュ・・・
「ぁぎぃ・・・い゛ぃ・・・えぐっ・・・」
クチュクチュ・・・クチュクチュ・・・
「ぎゅ・・・う゛ぁ・・・お゛ぇ・・・」
クチュクチュ・・・クチュクチュ・・・

1匹は死に、1匹は虐待され、残る14匹が怯えた目で静かに子まりさのむき出しの餡子と彼女の表情を凝視している。
その静寂の中で男は無心に、一心に子まりさの餡子をかき混ぜる。部屋の中に甘い臭いと、粘着質そうな音が充満する。
男の表情は相も変わらずの鉄面皮で、虐待趣味の者特有のサディスティックな笑みなどは一切垣間見えない。

「・・・・ぅあ・・・・うぎぃ・・・」

そんな行為を続けているうちに、子まりさの呻きが徐々に小さくなっていく。
口からは餡子交じりの泡を吹き、相変わらず白目をむいたままの双眸は涙すらも枯れ果てていた。
あと少し、あと少しで子まりさは楽になれる・・・はずがなかった。

「・・・・・・」

子まりさの危険信号をきっちりと受け取った男はおもむろに片方の金属棒をあんこの中から引き抜いた。
それから、もう一方の金属棒を握る手を緩めると、がんがんと2つの金属棒をぶつけ合う。

「うう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁう゛ぁ・・・!?」

すると、虫の息だったはずの子まりさの体がぶるぶると震え、それに呼応するように奇声を発する。
金属棒の振動と響きあい、空気を伝って部屋中に響き渡る鋭い音と二重奏を奏でる。

「ふぁ・・・ふぁふぇへふぇ・・・ふっふふぃ・・・」
(や・・・やめてね・・・ゆっくり・・・)

息を吹き返した子まりさは男に命乞いをするが、彼は耳を貸すことなく淡々と虐待を再開した。
子まりさはその日の虐待を何とか耐え抜いたが、翌朝の男が餌を持ってくる時間には物言わぬ饅頭になっていた。



翌日、一匹の子れいむが虐待されていた。
彼女もつがいの成体夫婦の子どもではなく、昨日の子まりさと同様に舌と歯をつぶされている。
そのため、どれだけ酷い目に遭わされても悲鳴を上げることが出来なかった。

「ふひぃ・・・ひふぃい!ふぁふぇふぇ・・・ふぁふぇふぇへ!?」
(ゆぎぃ・・・いたい!やめて!やめてね!?)

それでも子れいむなりに必死に悲鳴を上げているものの、虐待を中止させるには及ばない。
今日の虐待は糸のちゃんと取り付けられた裁縫用の針をただひたすら縫い付けていくというものだった。
足にあたる部分から出発し、ゆっくりと時間をかけて並縫いを黙々と繰り返す。
針は右頬を経由して頭頂部に達し、それから玉止めされた糸の端がある出発点へと戻るために左頬へと移動し始めた。
台座の金属棒によって上手く動けない子れいむの向きを巧みに変えながら針は徐々に下へと下って行く。

「ふふぁ!ふぁへへ!ふぁへへほ!?」
(ゆぎゃ!やめて!やめてよ!?)
「・・・・・・・・・」
「ふぃふー!ふぇいふふぃんはふー!?」
(しぬー!れいむしんじゃうー!?)
「・・・・・・・・・」
「ふふぇーん・・・ははひーへいふひほーひ、ふへぇ!?」
(ゆえーん・・・かわいいれいむにどーし、ゆげぇ!?)

子れいむは針が引く抜かれて、再び刺されるまでの間に男に何か言っているが聞こうとする気配さえ見せない。
ただ機械的に刺しては引き抜き、刺しては引き抜を笑み一つ浮かべずに繰り返す。
裁縫が得意と言うわけでもないらしく、その手つきはいささか危なっかしい。

「ふひゃ!・・・ひゅぐぅ!?」
(ゆぎゃ!・・・ゆぐぅ!?)
刺しては引き抜く。
「ふひゃ!・・・ひゅぐぅ!?」
(ゆぎゃ!・・・ゆぐぅ!?)
刺しては引き抜く。
「ふひゃ!・・・ひゅぐぅ!?」
(ゆぎゃ!・・・ゆぐぅ!?)
刺しては引き抜く。刺しては引き抜く。
「ふひゃ!・・・ひゅぐぅ!?」
(ゆぎゃ!・・・ゆぐぅ!?)
刺しては引き抜く。刺しては引き抜く。
「ふひゃ!・・・ひゅぐぅ!?」
(ゆぎゃ!・・・ゆぐぅ!?)

刺しては引き抜く。刺しては引き抜く。刺しては引き抜く。
そうして針が足の裏の出発点に到着したところで、男の手は止まった。
が、虐待は終らない。いや、これまでの裁縫は次の虐待のための準備に過ぎなかった。
男は糸の両端を掴むとそれを引っ張りながらゆっくりと上に持ち上げていった。
すると、子れいむの皮が徐々に切り裂かれていき、頭頂部に達する頃には皮が前と後ろに両断されてしまっていた。
もっとも、餡子の粘着力のおかげでどちらかが剥がれ落ちるというような事態は避けられているが。

「ふふぁあああああああああああああああああああああああ!」
(ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!)

その日一番の子れいむの絶叫に重なり合うように、虐待終了のベルが鳴り響いた。



翌朝、男が餌とホースを持ってきたときに子れいむは死んだ。
いつも通り水を貰うために列に並ぼうとした際に昨夜切り分けられた後ろ半分が餡子から剥がれたのが原因だった。
ぺりっ、というどこか間の抜けた音を聞いた子れいむが強烈な痛みで悲鳴を上げながらも振り返った先に彼女の後ろ半分があった。

「ふひゅ・・・っ!?ひゅ・・・・・・?」
(ゆぎゅ・・・っ!?ゆっ・・・・・・?)

それを見た彼女は残っていた前半分で体をくっつけるために跳躍した瞬間にその衝撃で餡子を落として息絶えた。
ありえない光景を目の当たりにし、驚愕と焦燥と恐怖を混ぜ合わせたこの世のものとは思えない死に顔だった。
成体れいむがにんっしんっしておらず、昨日の朝にいつも通りの餌を口にすることが出来ていればそれまでに癒着していたかもしれない。
が、そんなことは彼女もまわりにいたゆっくり達も知る由の無いことだった。

「ゆげえええええ・・・ゆべぇ、うぇ、ぶぉぉおぉお・・・!?」
「ゆぎゃああ・・・ゆぶっ、げぇ、ぐぼぼぼ・・・!?」

普段、餡子を見たからと言ってゆっくりが嘔吐することはあまりない。
それは人間が食品として加工されたレバーやそれに付着した血を見ても平気なのと同じことだろう。
が、目の前で仲間の体から大量の餡子をぶちまけられた時などに嘔吐を催すものが時々いる。
恐らく、普段内臓を平気で食べられる人でも屠殺の映像を見せられると嫌悪感を催すのに近い感覚だろう。

「な゛に゛ごれ゛ええ゛ええ゛え゛!!?」
「ぎぼぢわ゛る゛い゛よおお゛おお゛お゛おお!?」
「ゆげぇ・・・う、ゆぐぼぉ・・・!?」

あまりに常軌を逸した死を前にして錯乱するゆっくり達。
しかし、男は平然としていた。

「早く並べ」

命じるが、恐慌状態にある今のゆっくり達の耳には届かない。
それから2度、この言葉を繰り返したがゆっくり達が従わないことを確認した男は子れいむの死体を回収して、餌だけ置いて立ち去った。



「ゆっ・・・まりさいたいのいやだよ!やめてね!ゆっくりやめてね!?」

その日も、いつもの時間に男の手によって虐待が行われる。
まりさは虐待されたらすぐに悲鳴を上げて子どもに押し付けるつもりだったが・・・

「おかーしゃん、がんばってね!」
「れいむ、いたいのいやだよ!?」
「おかーしゃんはまりさをゆっくりさせてくれるよね!?」
「「「「おきゃーしゃん、ゆっきゅりがんばっちぇね!」」」」

ようやく我が子以外のゆっくりがいないことに気づいて、驚愕するしかなかった。
親として何とか耐えようと決心したが、先日死んだ成体れいむに事実上守られていたまりさは悲しいほど堪え性がなかった。
男が持参してきていたものはハエ叩き。痛いが成体ならば命に関わるようなことのない一撃にまりさはあっさりと屈した。

「ゆぎゃああああああああああ!いだいいいいいい!いだいいいいいいいいいいいっ!?」
「ゆゆっ・・・どほぢでがばんでぎないのおおおおおおおおお!?」

その様子を鉄格子越しに伺っていた成体れいむの怒りの叫びが聞こえるが、今のまりさにそれに応じる余裕はなかった。
そういうわけで、すぐに子ゆっくりが虐待される羽目になったが、その際にも成体まりさに恐怖の時間が訪れる。
虐待される子ゆっくりは成体が決める。れいむがにんっしんっ中で決定権を失っている今、全ての責任がまりさに委ねられていた。

「さあ、誰を虐待してほしい?」
「ゆゆっ!そんなのきめられるわけないでしょ!?」
「「「そーだよ、おかーしゃんがそんなゆっくりできないことするわけないよ!?」」」
「なら、赤ん坊を虐待することになるが?」
「ゆゆっ!?そんなことしたらあかちゃんがしんじゃうよ!ゆっくりやめてね!?」
「ならさっさと誰を虐待してほしいか決めろ。言っておくが媚びても無駄だ」

逃げ道を失ったまりさは可愛い子ゆっくり達を見つめる。
彼女達は今にも泣き出しそうな表情で、無言ながらも「自分を選ばないで」と訴えかけてくる。
どの子ゆっくりとも特別な思い出があり、みんな自分が産んだ子どもか、自分のつがいが産んだ子どもだ。
そんなに簡単に決められるわけが無い。

「すぐに決めろ。嫌なら赤ん坊を虐待する」

が、鉄面皮の男はそんなまりさの親心を平然と踏みにじり、ついでに逃げ道も踏みにじる。
大人しく子ゆっくりの中から生贄を差し出すか、子ゆっくりに生贄選びの役割を押し付けるか・・・。
苦悩の末にまりさが導き出した答えは・・・・・・

「やっぱりまりさにはきめられないよ!おちびちゃんたち、ゆっくりきめてね!」

逃げの一手だった。

「ゆゆっ!れいむたちがいぢめられるいもーとをきめるの!?」
「まりしゃそんなかわいそうなことしたくないよ!」
「おかーしゃんひどいよ!」
「どぼぢでぞんなごどい゛うの゛おおおおおお!?」

成体まりさは肉体的にも精神的にも相当打たれ弱かったらしい。ついでにかなりの餡子脳。
我が子に責任を押し付けたことも忘れてぼろぼろと涙を零し、家庭内暴力に遭う可哀想な母親面している。

「・・・誰を虐待してほしいか決めろ」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
「れーみゅ、いちゃいのいやだよーっ!」
「まりしゃはやめちぇね!」
「ゆえーん、きょわいよおおおおお!」
「そんなのきめれないよ!」

怯える妹達を守るためか、ただの見栄か姉として至極真っ当な発言をしたのは1匹の子れいむ。
しかし、その子れいむの強気も結局はただの虚勢に過ぎず、次の男の一言で脆くも崩れ去った。

「出来ないなら赤ん坊を全員殺す」
「「「「ゆゆゆっ!?!」」」」
「「「「「「ゆえーん、どほちちぇしょんなこちょいうにょおおおおおおお!?」」」」」」
「・・・・・・」

しばらく子ども達も親の成体まりさも、鉄格子の向こうの成体れいむも男に色々話しかけてきた。
が、男がそんなことで温情をかけてくれるはずがないことを理解すると、すぐに子れいむ達は一番小柄な一匹の赤れいむを指名した。


男が赤れいむめがけてハエ叩きを振るたびにビシィッ!と鋭い打撃音が室内に響き渡る。
そして、一撃ごとにハエ叩きは赤れいむに暴力の証を、赤黒いミミズ腫れ刻んで行く。
器具によって固定された小さすぎる体はハエ叩き全体を使って叩くには小さすぎる。
しかし、小さすぎるその体にはハエ叩きの端のほうを利用した打撃でも十分すぎるほどの苦痛だった。

「やめちぇええええええ!」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!
「いぢゃい!いぢゃいよおおおお!」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!
「ぢぬぅ!ぢんぢゃうううう!?」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「おきゃーぢゃん!だしゅげっ!?」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!

赤れいむは必死に泣き叫びながら男に許しを乞い、そして家族に助けを求める。
しかし、家族は怯えきった表情で虐待の光景を見守るばかりで、誰一人として助けようとするものは居なかった。
きっと内心では「自分じゃなくて良かった」と思っているのだろう。

「どほぢで・・・!だしゅげでよぉ・・・!?」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「ゆびぃ・・・!?」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「ゆぅ・・・ゆぐぅ・・・!?」
「・・・・・・・・・」
ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!
「もっと・・・ゆっく、ち・・・ちたかったよ・・・」

ゆっくり達は気づいていなかったが打撃の間隔は10秒に1発とガイアな感じ。
そして、不幸な赤れいむは100発を少し超えた時点で、つまり17分ほどで息絶えた。
最初に述べたルールに則れば虐待中の個体が死亡した場合、同じサイズ分類の別個体を虐待することになっている。
男は速やかに手近に居た別の赤ゆっくりにハエ叩きを打ちつけ始めた。



結局、その日の虐待で3匹の赤ゆっくりは数多のゆっくり達が目指したゆっくりらへと旅立って行った。
そして、彼女達と入れ替わるように、真夜中に成体れいむの子どもが無事に誕生した。
子どもの数はれいむ種6匹、まりさ種4匹の計10匹。
最近死んだのは成体れいむに子れいむと子まりさ、そして3匹の赤ちゃん達。
現在、小部屋には成体れいむが1匹と成体まりさが1匹。子まりさが2匹と子れいむが2匹。
そして、赤れいむが8匹と赤まりさが6匹。

「おねーしゃん、ゆっきゅり~♪」
「ゆっくりちていってね!」
「ゆっきゅりちちぇいっちぇね!」
「ゆゆーっん!」
「れいむ~、ゆっくりしたこだよ~」
「おねーしゃん、はやいよー!」

ある赤れいむは姉の子まりさに頬ずりをしている。
ある赤まりさは自分より少しだけ大きい赤れいむと追いかけっこをしている。
ある赤れいむは同じく生まれたばかりの赤まりさと一緒にお歌を歌っている。
ある赤れいむはちょっとだけ臆病な性格だったらしく、母親に甘えている。
何にせよ、赤ちゃんも含めた家族全員がそれぞれのゆっくりを満喫していた。
しかし、赤ゆっくり達はまだ知らない。
それが辛い現実を忘れるための逃避行動に過ぎないことを。
赤ゆっくり達はまだ知らない。
しばらく家族と遊び、遊び疲れたところで姉妹に寄りかかり、安らかな寝息を立て始めた。
その直後に恐ろしい計画が練られていたことを。



その日、昨日産まれた子ども達は始めての虐待を目の当たりにし、それと同時に体験することになる。
しかも・・・そんな日に限って男は壮絶な虐待道具を持って来た。

「ゆきゅ!やめちぇ!やめちぇね!?」

台座に固定されて動けない赤れいむの視界に映るのは既に事切れた昨日生まれたばかり姉妹の亡骸と奇妙な道具を持った男。
男の持っている道具は鉛筆くらいの太さの金属棒の先端に親指大の洋梨状の金属の塊を取り付けたもの。
成体れいむも子れいむもこれをまむまむ、もしくは産道にねじ込まれた瞬間に悲鳴を上げた。
そして、姉妹のれいむはそれを口にねじ込まれた瞬間に餡子を吐き出し、それからも執拗な責め苦を受けてあっという間に息絶えた。

「やめちぇくれたらおじしゃんもゆっきゅちしゃせてあげりゅよ!だからやめちぇね!」

そんな凶悪な代物を持った無表情な男が、眉一つ動かさずに赤まりさの前へと近づいてくる。
必死に距離を取ろうと跳ねてみるが、金属棒が食い込んで痛いだけだった。
が、赤まりさがありもしない手をこまねいているうちにも男は距離を詰めてくる。
数秒後、頭を乱暴に掴まれる感触に顔を歪めた赤まりさの口に、金属の塊がねじ込まれた。

「ゆびぃ!ゆべぇ・・・ぐぅ・・・」
「やめちぇにぇ!やめちぇあげちぇにぇ!いちゃぎゃっちぇるよ!?」
「「「ゆぴぇええええええん!」」」
「おきゃーしゃん、たしゅけちぇあげちぇよ!?」

生まれたばかりの赤ん坊達の目の前で同じ日に生まれた姉妹が嬲られている。
ぬちゃぬちゃと唾液と餡子をかき混ぜながら金属の塊は赤まりさの口内を蹂躙し、彼女の表情を恐怖と苦痛で染め上げる。
口内の奥、人間で言えば喉に当たる部分へ金属の塊を潜り込ませるたびに赤まりさは嗚咽を漏らし、餡子を吐き出した。

「ゆびょ・・・!ゆきゅ・・・?ゆぶぅ・・・!?」
ヌチュヌチュ・・・ヌチュヌチュ・・・
「ゆぼぉ・・・!ゆぎぃ・・・?ゆぼぁ・・・!?」
ヌチュヌチュ・・・ヌチュヌチュ・・・
「ゆげぇ・・・!ゆぐぅ・・・?ゆばふぅ・・・!?」
ヌチュヌチュ・・・ヌチュヌチュ・・・

永遠に続くんじゃないかと思えてくる恐ろしい虐待。
しかし、赤まりさの意識は徐々に遠のいて行き、苦痛も和らいで行った。
ああ、これでゆっくりできる・・・赤まりさがそんな都合のいいことを考えたとき、それは起こった。

「ゆっ・・・うばあああああああああああああ!?」

先ほどまでとは比べ物にならないほどの痛みによって赤まりさの意識がこちらに引き戻される。
男が指を動かす度に赤まりさの口内でサクっだのドスッだのと何かが刺さるような音がする。
さっきからあれだけ吐いたにもかかわらず、漏れ出す餡子の量もさっきまでの比ではない。

「ゆばっ!ばっ!?べっ!?ゆがあ゛!あ゛!あ゛!あ゛!あ゛!」

苦悶の梨。それが男が手にした道具の名称で、手元のレバーを操作することで先端の梨状の金属が開き、中に隠された刃が露出する。
中世ヨーロッパで誕生した拷問器具で、肛門用や膣用が有名だが当初は相手の口内をずたずたに引き裂くためのものだったという。
再生力のある大人ならともかく、そんなところを無数の刃でぐちゃぐちゃに掻き回されて生きていけるはずがない。

「もっちゅ・・・ゆっく、ぢぃ!?」

赤まりさは生後一日目を無事に終えることも出来ず、断末魔さえもあげさせてもらえずに息絶えた。
それからも赤ちゃが次々に虐待を受け、結局その日一日で4匹もの小さな命が奪われることになった。
そして、それが両親と姉たちの目論見どおりの結末であることなど彼女達は知るはずもなかった。



両親や姉たちの目論見を簡潔に説明するとこんな感じだった。
とにかく今は子どもサイズの個体を成体になるまで守ることを最優先する。
赤ちゃんは埋めよ増やせよであくまで“弾除けのような”存在として産み続ける。
勿論、赤ちゃんはすぐに死ぬのだからあまり餌を与えてやる必要は無い。
彼女らの分も子ども達や両親が食べることで自分たちの栄養にする。

やがて子ども達が大人になれば赤ちゃんを生産する能力も上がる。
3日で10匹前後殺されるのならばそれが追いつかない速度で子どもを産めばやがて子どもサイズまで成長するものがいるはず。
そうして成長したものをちゃんと育てていけば更に赤ちゃん生産能力が向上する。
こうして大量生産が出来るようになった赤ちゃんを身代わりにし続けていればいつかは1年が経過し、外に出られるだろう。

実に気の狂った発想ではあったが、最小限の苦痛で確実に外に出ることを考えるならばかなり有効な手段だと言える。
しかし、彼女達は大きな間違いを犯していた。それは自分達ゆっくりの心のあり方についての無頓着。
当然といえば当然のことだが、我が子は可愛いのだ。
自分と比較するならばどちらが大事と考えるかは個体差が現れる。
しかし、そこに自分以外の、たとえば親子や姉妹の子どもがいたとしたらどうなるだろうか?



2ヵ月後。
ここに達するまでに両親が産んだ子どもは300匹あまり。
生まれたての子どもの体力では3日で10匹の生産ペースでは厳しかった。
れいむもまりさも一緒に蔦を生やしたり、れいむが2,3本の蔦を同時に生やしたりもした。
尋常ならざる苦労の末に、産まれた数より少し少ない赤ゆっくりの犠牲の元に4匹の子どもが成体サイズと呼べる大きさに達した。
そして、当然のように自分と異なる種とつがいになり、すぐにふぁーすとすっきりを経験した。
どちらもれいむ種が初めてのにんっしんっをし、頭の蔦では可愛らしい果実が揺れている。

「ゆゆっ!おねーちゃんのあかちゃんとってもゆっくりしたあかちゃんだね!」
「れいむのあかちゃんもとってもゆっくりしてるよ!」
「ゆへんっ!れいむのこどものあかちゃんだよ!ゆっくりしていてあたりまえだよ!」
「「「あかちゃん、ゆっくりしていってね!」」」

母性が強く、母体を引き受けることの多い3匹のれいむは集まってとても嬉しそうにお喋りをしていた。
一方、まりさ種は2匹が現在20匹いる赤ちゃん達の相手をしながら、健康そうな個体を選別し、残る1匹が5匹の子ゆっくりに色々と教えていた。

「「あかちゃんたちはまりさたちとゆっくりあそぶよ!」」
「「「「「「「「「ゆっきゅりあしょぶよ!」」」」」」」」
「まりさたちがおにさんになるから、おちびちゃんたちはゆっくりにげてね!」

どうしてなかなか巧みなもので、こう言った上で身ごもっていることの多い成体れいむの傍に1匹のまりさが待機する。
当然、鬼役である成体まりさがれいむ達の傍にいる以上、赤ちゃん達はよほどのことがない限りれいむ達の傍には行かない。
これならば赤ちゃんが有り余る元気を持て余して何かの拍子に蔦を折ってしまうような事態を避けられる。
この2ヶ月の間に2,3度あった悲劇を繰り返さないために立てられた作戦だった。

「おちびちゃんたち、まりさのおはなしをゆっくりきいてね!」
「「「「「ゆっくりきくよ!」」」」」

そうやって赤ゆっくり達が何も知らずに遊んでいる傍らで子ゆっくり達にこの部屋で生き延びるための術を教える。
もっとも、この場所で教えることなど知れていて、せいぜい・・・
  • 虐待されたらすぐに叫べ
  • 男性には逆らうな
  • 赤ちゃんに執着するな
この3つさえ守っていれば問題ないのだが、最初の1つ以外は心理的な抵抗があるものばかり。
2つ目は生まれた頃からしっかりと教え続けてきたことで、それを破るとどうなるかは彼女達も理解していた。
しかし、最後の一つは【資質:ゲス】を持っていない限りはなかなか納得できないものだろう。
それでも成体まりさは粘り強くその必要性を説き、自分たちがどういう想いで赤ちゃん達を見捨ててきたかを話す。
ようやく理解してもらえた頃、あの時間の始まりを告げるベルが鳴り響いた。



ゆっくり達が気にしたことはないがこの部屋における虐待方法の採用基準は「成体ゆっくりが死なないか否か」である。
大抵の虐待は成体が耐えられるが、子ゆっくりは死ぬ、赤ゆっくりなら3~4匹は死ぬ・・・そんな塩梅の虐待になっていた。
が、先に述べた採用基準を用いる場合、成体ゆっくりが耐えられても、赤ゆっくりだと数分で死ぬような虐待が採用される可能性もある。
その日の虐待は不運にもそんな虐待だった。
更に不運なことに成体ゆっくりも子ゆっくりも1匹たりともその事実に気づくことが出来なかった。

「ゆ゛ぼぉ゛ぉぉぉ゛ぉ゛おお゛ぉおぉ゛おぉぉ゛おお゛ぉおぉ!!?」

あっという間に自分の番が回ってきた赤れいむは口内空発せられる熱によって赤ちゃんらしからぬ汚らしい悲鳴を上げていた。
今、赤れいむを苦しめる熱の正体は彼女の口の中に倒れないように固定されたライター。
赤れいむの口内を炙り、餡子までも焼き、焦げ臭いにおいを発するそれは赤れいむにとっては致命的なものだった。

「ゆ゛ぁ・・・ぁぐぁ・・・ぼっほ・・・う・・・」

まともな断末魔さえあげることがかなわずに、僅か6分で赤れいむは息絶えた。
これがもし成体のゆっくりであればライターの火が口を焼くこともなく、篭もる熱さえ何とかすれば助かったろう。
これがもし子ゆっくりであれば思いっきり口を開いたままにしていれば口が焼かれることはないだろう。
しかし、口の大きさどころか、体そのものがライターとさほど差のない赤ゆっくりにとっては致命的なほどに危険な虐待だった。
焼かれ、焼かれ、ひたすら焼かれ・・・気がつけば床には9匹もの赤ゆっくりの死体が転がっていた。

「ゆびょ・・・おぼぉぼおぉぅ・・・ゆ゛・・・」

恐らく本日最後の一匹になるであろう赤れいむ。
口の中に取り付けられたライターの発する熱で口内を焼かれ、声にならない悲鳴を上げる。
が、誰一人として助けようとはせず目をそらして赤れいむの凄惨な最期を見届けないようにしていた。
もっとも、白目を剥き、痙攣している赤れいむにそんなことを気にする余裕はないだろうが。

「ゆぼっ!?」

衰弱し、徐々に声の小さくなっていた赤れいむが少しだけ大きな悲鳴を上げたかと思うと、頭部に穴が開いた。
そこからゆらゆらと揺れる赤い炎が姿を現し、更に容赦なく赤れいむを熱し続ける。
台座を見てみると、どう見ても手遅れの赤れいむの体中から噴き出す脂汗と涙が小さな水溜りを作っていた。



20匹いた赤ゆっくりが10匹にまで数を減らした虐待の翌朝。
親ゆっくりは両方ともにんっしんっし、さらに初めてのにんっしんっをした若い成体ゆっくりの赤ん坊が無事誕生した。
産まれた子どもの数はどちらも10匹ずつ、合わせて20匹。

「ゆっくりしていってね!」
「「「「「「「「「「「「ゆっきゅりちちぇいっちぇね!」」」」」」」」」」」

生まれたばかりの小さな命は小さく脆そうな体全体を使って誕生の喜びを表現していた。
とってもゆっくりした笑顔にぷるぷると震える瑞々しい皮。
初めて母になるれいむ達は思った。何があってもこの可愛い子ども達を守ろう、と。

「みんな、おかーさんとゆっくりしようね~」
「「「「「「「「「「ゆっきゅりしゅるよ!」」」」」」」」」
「す~りす~り」
「「「「「「「「「「「しゅ~りしゅ~り・・・」」」」」」」」」」
「ゆふふっ、あかちゃん、くすぐったいよ!」
「「「「「「「「「おきゃーしゃんもくちゅぐっちゃいよ!」」」」」」」」」

初めて触れる我が子のあまりの柔らかさに涙がこぼれた。
それは彼女が生まれて初めて体験する本当のゆっくりだった。
そういえば遠くでこの光景を見守る母とすりすりしたことがないなぁ・・・なんてことを考えながら、飽きることなく頬ずりを続けた。

「す~りす~り・・・す~り・・・す~り・・・ゆっぐ・・・」
「「「「「しゅ~りしゅ~り・・・ゆぅ?」」」」」
「「「「「おきゃーしゃん、どうちてにゃいてりゅの?」」」」」

その涙にはいろんな意味がこめられていた。
ゆっくりの思考能力では言葉にし尽くせないほどのいろんな意味が。
たとえば母に愛されていなかったことへの悲しみがあった。
たとえば可愛い我が子に虐待の光景を見せる、あるいはそれを体験させるかもしれないという恐怖があった。
たとえば我が子の可愛さに感極まった究極の喜びがあった。
ゆっくりの単純な感情や情緒のすべてがその涙にこめられていた。

「「「おきゃーしゃん、なきゃないでにぇ」」」
「「「ゆえーん、ゆえーん」」」
「「おきゃー、しゃんが・・・ゆっぐ・・にゃいてるとまりしゃたちもかにゃちいよ!」」
「「おきゃーしゃん、ゆっきゅちちてにぇ・・・!」」

生まれたばかりの我が子の優しさに思わずまた涙を零してしまった。
そして、絶対にこの子達を守ろうと堅く決心したのだった。




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最終更新:2022年05月21日 22:13