「よーし!皆集まったな!」
「はーい!」
「さぁバスに乗って~!出発するぞ!!」
「いえーい!!」
先生も生徒も大盛り上がり。何故なら林間学校だからだ。
鬼井先生は小学校5年生の担任の1人である。
向かう先は名前通り自然豊かなキャンプ場だ。
「今年も楽しみましょう!」
「テンション高いですねぇ、鬼井先生…。」
他の先生と比べても鬼井先生は格段に盛り上がっていた。
理由は2つ。1つは自然が大好きな理科の先生だから。
そしてもう1つは…。
…バスで数時間、トイレ休憩を細切れに繰り返し続け、
ようやく目的地にたどり着いた。
とても広いキャンプ場だ。躍起になる生徒たち。
「よっしゃー!探検しようぜ!!」
「こらこらー。まずは全員整列だぞ。」
いきなり行方不明になろうとする生徒たちを並ばせ、
鬼井先生は自分たちの生徒の人数を確認する。
「よし!皆は先週実習したカレー作りをしてくれ。
先生はちょっと用事があるから。」
「はーい!!」
素直な生徒たちに感動しつつ、鬼井先生は森の奥に姿を消した。
何故?どんな用事?それはこのキャンプ場の周辺を見れば分かる。
「あっ、鬼井先生来ましたか。」
「ずいぶん早いですね~、虐山先生。」
「生徒たちが安全にカレー作りをできるように頑張りましょう!」
2人の先生はパトロール役なのだ。
生徒たちの安全を守るのも先生の務めだ。
何から守る?それは当然…。
「いたいた…。こっちに向かってますな。」
「きっと野菜を奪う気なんでしょう。」
「ゆ~ん♪とってもいいてんきだね~♪」
「ゆっゆっ♪あかちゃんしっかりついてきてね!」
「ゆゆ~!とっちぇもゆっきゅりできりゅよ!」
「ゆゆゆ~ん♪はっぴゃしゃんおいちいよ!」
そう、この近辺はゆっくりが多数生息しているのだ。
もうお分かりだろう。鬼井先生が楽しみにしていた2つ目の理由が…。
「ゆ!?にんげんさん!?めずらしいね!」
「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!!」
2匹の赤れいむと赤まりさは初めての人間に怯え、親の背後に隠れている。
しかし親のれいむとまりさは至ってフレンドリーだ。
どうせ以前ハイキング中の人にお菓子でももらったのだろう。
だが先生2人はすでに鬼のような形相をしていた。
「お前ら…。ここで何をしている…!?」
「ゆ?れいむたちはおさんぽしてるだけだよ!!」
「嘘吐き饅頭め…!野菜を盗むつもりで来たんだろう…!!」
野菜という言葉を聞き、隠れていた赤ゆたちが色めきたった。
「ゆ~!おやしゃい!?おかーしゃん!おやしゃいたべちゃいよ!」
「やっぱりな…!生徒たちを脅かす奴は殲滅する!!」
「ゆ?おにーさんなにいって…。」
刹那…
鬼井先生の鋭い蹴りが親まりさを吹き飛ばした。
その蹴りは目にも止まらぬ速度で、食らったまりさは粉々に四散した…。
鬼井先生の靴は特殊な改造が施されており、強い衝撃を加えると先端が爆発する仕組みになっている。
爆竹程度のしょぼい爆発だが、ゆっくりを破裂させるには十分な威力だ。
「くく…くくく…!ひゃはははははははははっ!!」
「あ~あ、鬼井先生スイッチ入っちゃいましたね…。ていやっ!」
虐山先生も負けじと2匹の赤ゆを両手で掴んだ。
「おしょらをとんでるみちゃい!」
一方、粉々になったまりさを見て固まっていたれいむがやっと動いた。
「ゆああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!ばでぃざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!
…ゆ…ゆがあああぁぁぁぁっ!!!!あがぢゃんがえじでぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
「よーく見てろよ赤ゆども。鬼井先生の本性をな…。」
「よぐもばでぃざをぉぉぉぉぉぉぉ!!!じねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
突っ込んできたれいむを鬼井先生は右足で押さえつけ、そして左足を口にねじ込んだ。
そして、そのまま左足を口の中で強く振り、靴に衝撃を与えた…。
ボンッ!!!!
「ゆげげぇぇっ!!!!」
靴の先で小爆発が起き、れいむの口の中を焼き尽くす…!
「お…おがあぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「ゆえぇぇぇぇぇぇん!!」
「ひゃはははははははははははっ!!やっぱりゆっくりを殺すのは楽しいぜえぇぇぇっ!!!」
鬼井先生は笑い狂いながら森の奥に消えてしまった…。
「ああ…行っちゃった。仕方ない…。赤ちゃんはこの虐山先生と遊びましょうね~♪」
「いやぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ちなみに、虐山先生も虐待鬼意山である。
1時間後…、生徒たちは無事にカレーを作り終えていた。
「おお、皆ちゃんとできたみたいだね!」
「先生おかえり~。」
「どこ行ってたの~?」
「と言うか、どうして服汚れているの?」
鬼井先生は疲れ切った顔で、ズボンを黒くしていた。
「はは、色々とね…。さあ!お昼ご飯にしようか!」
「やった~!!」
鬼井先生はたった1時間で50匹のゆっくりを爆殺していた。
あれだけ邪悪だった先生も生徒の前では天使のよう。
まるで多重人格者のようである。
…昼食が終わり、片づけを済ませた頃、すでに時間は夕方4時半であった。
キャンプ場は夏にも関わらず、すでに薄暗くなっていた。
そんな中、やはり鬼井先生はハイテンションだった。
「夕食は各自配られるが、皆まだお腹が空いてないだろう?
これから面白いことをしようと思うんだけど、どうだろう?」
「やるやるー!」
「面白い事って何~?」
「実は先生花火を持ってきていたのだ!やりたい子は集合~!」
花火が嫌いな子供などそうはいないだろう。
遊び足りない生徒たちは皆ホイホイ付いていってしまった。
鬼井先生が向かったのはさっき見つけたゆっくりのおうちだった。
この時のためにあえて残しておいたのだ。
「むきゅ~!おかえりなさい!」
「わかるよー。いっぱいあつめてきたよー。」
「むきゅ♪おにゃきゃしゅいたわ!」
「わきゃりゅよー。いっぴゃいとっちぇきちゃんだねー。」
とても幸せそうな家族だ。
ちぇんとぱちゅりーに、子ちぇん3匹と子ぱちゅりー3匹だ。
だがすぐには手を出さない。
生徒の前で何の比も無いゆっくりに手を出せば印象が悪くなる。
まず鬼井先生は普通に巣の近くで花火を開始した。
生徒たちも楽しそうに線香花火を見つめている…。
「綺麗だろう?いっぱいあるからどんどん使っていいぞ。」
「はーい!」
「誰が1番長持ちするか競争しようぜ!」
「よっしゃ!負けないぞ~!!」
楽しく花火をしていると、鬼井先生の計算通りあの家族がこちらに興味を抱き始めた。
「わかりゃにゃいよー…。あのぴかぴかしゃんにゃにー?」
「むきゅ!あれは『はなびさん』といって、すごくきれいでゆっくりできるものよ!」
「さすがぱちゅりーだねー。ちぇんははじめてみたよー。」
「むっきゅぅ…。おかーしゃん、おとーしゃん、あのぴかぴかさんちきゃくでみちゃいわ!」
「ちぇんもみちゃい!みちゃいよー!」
「ぱちゅりーもみちゃいわ!」
子ゆたちは花火の美しさに夢中だ。実を言うと親ももっと近くで見たいと思っていた。
少し相談した後、ぱちゅりーとちぇんは子供を連れて花火に近づくことにした。
人間さんは少し怖いけど、お願いすればきっと許してくれるだろう。
近くで見ればきっとゆっくりできるはずだ。
「むきゅぅ…。あの…おにーさん…。」
「やぁ!ぱちゅりーじゃないか!どうしたんだい!?」
「わかるよー。ちびちゃんにはなびをみせてあげてねー。」
一方家族のゆっくりを見て生徒たちははしゃいでいた。
「家族単位を生で見たの初めてー!」
「なぁ、1匹パクってみねぇ?」
「こらこら!悪戯はダメだぞ!
…わかった!見たいなら近くまで来て好きなだけ見ればいい!」
「むきゅ!ありがとうおにーさん!!」
「わかるよー!すごくやさしいんだねー!」
すると親の許可を得た子ちぇんと子ぱちゅりーはうんと近づいてきた。
「ほーら、ぴかぴかで綺麗だろう?」
「むきゅ~ん…。しゅぎょくゆっきゅりしちぇるわ!」
「何なら、もっと近くで見ないかい?もっとゆっくりできるよ!」
鬼井先生は上手いこと6匹の子ゆを近くに来るよう誘導した。
ここまで全て計算通り、後は生徒たちが引き金を引けば…。
「なぁ…。ごにょごにょ…。」
「面白そう…。事故に見せて…ぶつぶつ…。」
早速、悪さが大好きなやんちゃボーイたちが密談を始めた。
そんなことも知らず子ゆたちは花火に見とれている…。
鬼井先生は絶好のタイミングを見計らい、こう言った。
「先生トイレに行きたくなっちゃった!各自、自由に花火で遊んでくれ!」
鬼井先生は演技をしてその場から立ち去り、さりげなく近くの草むらに隠れた…。
そして、先生の思惑通り、無邪気で残酷な生徒たちは行動を開始した。
「よし!チビどもを皆こっちの空のバケツにブチ込め!」
「むきゅぅ!?」
「おしょらをとんでるみちゃいだよー。」
親は状況が分からず混乱したが、子供が楽しそうだったので何故か安心していた。
だが、そんな根拠の無い安心感も間もなく崩れ去る…。
「まずはこのバケツに3匹ほど移して…。」
生徒に掴まれた子ぱちゅりー3匹が小さめのバケツに放り込まれた。
3匹とも危機感が無くひんやりしたバケツの中でゆっくりしていた。
悪ガキ2人が手に持ったのは『ものすごい勢いで噴き出すタイプの花火』だ。
それに火を付け、その先端をバケツの中に向けてあげた。
「ほ~ら!ぴかぴかを浴びてもっとゆっくりしようねぇ~♪」
「レーザービーム♪」
その瞬間、バケツの中から耳をつんざく様な悲鳴が響き渡った…。
それは火花をモロに浴びた子ぱちゅりーたちの声だった。
「むぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!?」
「あぢゅい…あぢゅいわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「やべぢぇぇぇぇぇぇ!!おがあぢゃんおどうぢゃんだじゅげでぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
だが親の助けは来ない…。何故なら他の悪ノリした生徒たちが蹴って遊んでいたからだ。
「サッカーボールみたーい!」
「先生には内緒だぞ!おらおらぁっ!!」
げしっぼぐっどごっ!!!
「わぎゃりゃなっ!!!やべでびっ!!!どびじでごんなっゆげひっ!!!!」
「むぎゅぎゅぎゅぎゅ…!!エレエレエレ…。」
一方残された子ちぇんたちは…。
「ほーれ!ネズミ花火投入~♪」
「いぢゃいぃぃぃぃぃ!!!わぎゃりゃにゃいよぉぉぉ!!!」
「たぢゅげで…ゆべぎっゆびゃっわぎゃりゃなっあぢゅいぃぃっ!!!!」
「ネズミ(花火)に追っかけられる猫(子ちぇん)とか爆笑だな!!
ほれほれネズミ花火追加~!!」
ネズミ花火は尻尾部分から激しく火を噴きバケツの中を走り回る…。
子ちぇんはバケツから出ようと跳ねまわるが大きさ的に脱出は不可能だ。
たまにすごいジャンプをして脱出しそうになる場合があったが、
バケツを取り囲む生徒たちがデコピンで撃ち落としてしまうので問題なかった。
ばちばちばちばちっ
「あぢゅいよぉぉぉぉ!!ごないで…ゆぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「わぎゃりゃな…ゆべべべべ…ゆげふっ!!!」
「いぢゃいよ…あぢゅいよ…。」
全てのネズミ花火を使い終わった時、子ちぇんは3匹中1匹しか生きていなかった。
1匹は投下した新しいネズミ花火に潰され激しい火花で焼けて死んだ。
もう1匹は火傷で動きが鈍くなっていたところをネズミ花火のタックルを受け、
中身を撒き散らして苦しんで死んだ。
最後の1匹もすでに虫の息だ。もう直死ぬことは目に見えていた。
目に見えていたので、蹴られて瀕死の親ゆに見せながら握りつぶしてあげた。
「た…たしゅけ…わきゃら…にゃ…。」
「ぐしゃ♪」
「ゆぴ…っ!」
親ゆはそれを見ると叫びもせず、虚ろな目になってしまった。
精神がいかれたのだろう。つまらないので生徒たちは親ゆに関心を無くした。
「あー!楽しかった!おい、むきゅきゅ野郎はどうなった?」
「すぐにゲロ吐いて死んじゃったよ!つまんねーの。」
「オレも猫チビの方で遊べば良かったぜ。」
子ぱちゅりーの方は放射状の火花であっけなく焼け死んだ。
「まぁ、きらきらな花火に包まれて死ねたんだからいいんじゃねーの?」
「虫を殺すより楽しいな!!」
「おい、虫は殺すなよ。蚊は別だけどな。」
…その間、鬼井先生はずっとその様子を見ていた。
叱るためではない。むしろ褒めてあげたい気分だった。
「子供の初々しい虐待は心癒されるなぁ…。」
鬼井先生は子供たちに虐待させたかった。
自分でするよりも見ていた方が楽しいと気付いたのだ。
子供たちが無邪気に、笑顔で、『遊び』として虐待すること…。
それを見ていると童心を取り戻した気分になるのだ。
無論世間では虐待は悪いこととして認知されている。
それを生徒たちも知っているのでバレないように楽しむ。
そのドキドキ感を、鬼井先生は求めていたのだ。
生徒たちが親ゆを巣穴にぶん投げ証拠隠滅をしたのを見計らい、鬼井先生は戻って来た。
「皆お待たせ~…。あれ?あの家族は?」
「せ…先生…!えっと…その…。」
「か…帰っちゃいました!!」
「そうかい。じゃあ皆も戻ろうか。夕食後はキャンプファイヤーだ!」
「わーい!!」
クリームやチョコがこべり付いたバケツを必死に隠す仕草が何とも可愛らしい。
この子たちは将来、きっと素敵な虐待鬼意山、悪姐山になるだろう。
鬼井先生はそう確信し、夕食を食べに戻るのだった…。
毎年林間学校を終えた時期、この小学校の付近ではよくゆっくりが死んでいる。
皆潰れたり、焼けていたり、死に方は様々だ。
理由は簡単、この林間学校を通して虐待に目覚める生徒が少なくないからだ。
当然鬼井先生の仕業であるが、何故か誰も責めたりはしない。
ゆっくりはゴミ捨て場をカラス以上に汚く漁る害獣だからだ。
ボランティアと称して、町に紛れたゆっくりを駆除する団体がいるぐらいである。
覚醒した子供たちは親の制止も聞かず、今日もゆっくり狩りに精を出している。
そして、そんな光景を見ながら鬼井先生はニコニコするのだった。
「来年の林間学校が楽しみだなぁ…。」
来年もゆっくりはゆっくりできそうにない。 完
何か林間学校の意義が無いような…。
ただ花火ネタを書きたかったんです><
花火は生き物に向けてはいけません!!
最終更新:2022年04月14日 23:32