妖怪の山を越えたところに、人間や妖怪が寄りつかず、しかもいろいろな花が咲き
蝶やバッタなどがたくさんいるというゆっくりたちにとって夢のような世界があるらしい、
ということがゆっくり達の間で話題になっていた。最近森の近くでは食用のために野生の
ゆっくりが日々捕まえられており、森に住むゆっくりはおびえながら生活していた。

「このままじゃゆっくりできないよ!!!」
そんなある日ゆっくり霊夢はこう叫んだ。ゆっくりらしくないその若干の焦りを
含んだ声を聞きまわりのゆっくりたちが集まってきた。
「わかるよわかるよー!」
「ちんちんちーんぽっ!」
「はやくゆっくりできる場所にいこうね!」
集まってきたのはゆっくりちぇん、ゆっくりみょん、ゆっくり魔理沙だった。
4匹とも夢の世界のうわさは知っていた。ならば話は早い。4匹は満場一致で
妖怪の山の先の夢の世界を目指すことにする。
「ゆっくり目指そうね!!!!」
かくしてこの4匹の旅が今始まった。


妖怪の山は不気味な雰囲気に包まれていた。人間は物好きなやつ以外は積極的に
入ることはないし、妖怪同士でも縄張りがあり、あまり奥にはいると危険である
と認識されている。この山の危険さは、あまりものを知らないゆっくり達にもそれ
となく感じ取れるものであった。
「ゆっくりさがそうね!!!」
そう声を掛け合いながら、いつ妖怪に襲われるかわからない恐怖を紛らわせつつ
4匹は川沿いに山の奥へと進んでいった。実際には、その恐怖よりも理想の場所への
期待のほうが大きかった。無論その場所は本当にあるかはわからないのだが・・・。


山の旅は予想外に順調であった。
「これメチャうま!」
ゆっくり魔理沙が飛んでいる蝶をほおばる。
「ぜんぶたべないでね!」
「ちーんぽ!」
「わかるよわかるよー!」
4匹の楽しそうな会話が聞こえる。食料には困らなかったし川のせせらぎは心地よかった。
そして何よりまだ妖怪に出くわしていない。4匹はもうこのあたりに住んでしまおうか
という気にさえなった。しかし次の瞬間そんな気分は打ち砕かれることとなる。
「ゆ”っゆ”っっ!!!」
ゆっくり霊夢が声を震わせた。川辺に自分と同じ種類のゆっくりが真っ二つになって
捨てられているのを発見してしまったのだ。中の餡はかき混ぜられグチャグチャになっている。
他の3匹もゆっくり霊夢の異変に気づき、その遺体を発見し、同じように絶句した。
涙目になっている一同に追い討ちをかけるかのように背後から何者かが迫る音が聞こえてくる。
ザッザッザッザッ・・・
足音が近づくにつれ4匹の脳裏に不安がよぎる。今近づいてきている者によって自分達も
あのゆっくり霊夢のようにされるのではないかと・・・。しかし、後ろを振り返る
ことも逃げることもできなかった。恐怖で体が動かないのだ。次の瞬間ゆっくりちぇんの
体が宙に浮いた。
「わからないよわからないよー!」
しっぽを掴まれたゆっくりちぇんは完全にパニックに陥っている。
「ゆっくりおろしてね!!!」
3匹が必死にお願いをする。しかし大きなリュックを背負った少女はそんなことお構いなしに
ゆっくりちぇんを胸の位置まで上げ、両手で抱いた。
「こんなところでゆっくりが見られるとはな・・・。どうしたんだ?」
その少女は河童のにとりであった。
「ゆっくっ!ゆっくり離してね!」
河童の質問にも答えようともせずゆっくりたちはひたすらお願いした。
「大丈夫大丈夫。かっぱはゆっくりを食べたりなんてしないよ。私は通りすがりののエンジニアさ。」
河童はゆっくりちぇんの頭を撫でながら言った。
それを聞いてゆっくりたちは安心した。どうやらあの犯人はこの河童ではないようだ
とゆっくりたちは感じた。
「えんじにあ?わからないよー!」
今度は逆にゆっくりちぇんの方から質問を投げかけた。
「エンジニアってゆうのはね、人間や妖怪がゆっくりできるような物を作る仕事さ。」
「じゃあかっぱさんもゆっくりできるひと?」
「そうだよ。」
ゆっくりたちの顔から笑顔がこぼれる。完全にこの河童を信じたようだ。
「けどそんなことよりここから先は危険だ。もしよかったらウチでゆっくりしないか?」
妖怪の山で唯一信頼できる相手の誘いを断る理由もなかった。4匹のゆっくりは遠慮なく
河童の家に行くことにした。


ほどなくして河童の家に着いた。家というよりは研究所といったほうがいいだろう。
4匹のゆっくりはもともと野生だったためこのような建物に入るのは初めてだった。
「すずしー!」
「これならゆっくりできるね!」
「ちんぽー!」
あまり広くはないが空調の効いた部屋、ところ狭しと並べられた実験器具などが
ゆっくりたちの興味をそそった。
ゆっくりたちと河童はきゅうりを食べながら楽しいひと時を過ごした。
「実はわたしはゆっくりのための機械を発明している最中なんだ。」
話の途中でそう切り出した河童は、広いテーブルの上にその機械を置いた。
四角い上の開いた箱があり、その箱から数10センチ上のところにアームが設置してあり、
先端には何か金属製の網のようなものがたくさん複雑に構成されていた。
「これでどうやってゆっくりするのー?」
もともと大自然で生活していたゆっくりたちは何の機械なのか想像もつかない。
「ひひひ。これはまだ完成していないからね。教えられないけど体験させてあげてもいいよ。」
河童はそう言い笑みを浮かべた。
「やるーやるー!ゆっくりするー!」
真っ先にそういったのは好奇心旺盛のゆっくり魔理沙であった。
そうすると河童はゆっくり魔理沙を抱え、さっきの機械の箱のほうにゆっくりの顔を
上向きにして入れ、動かないように固定した。次いで口は閉じないように固定した。
「ひょっほいたいよ”ー!」
自由を奪われたゆっくり魔理沙は少し不安であった。他の3匹は興味津々にそれを眺めている。
「じゃあ今からスイッチを入れるからね。あんまり暴れないでね。」
「ゆっふひおしへね!」
カチッ!
スイッチが押される音がした。ウィーンとアームが下がってくる。アームの先端が
開かされた口に入ったところでいったんとまった。
その瞬間河童の表情が変わった。笑っている。いや、今までも笑顔であったが何か
方向性の違う笑みであった。そして2番目のスイッチが押された。
カチッ!
「ゆ”ゆ”ゆ”ゆうううう”!!!!あ”あ”あ”あああ!!!」
ゆっくり魔理沙の表情が激変した。
この瞬間、アームの先端の複雑な機構がゆっくり魔理沙の口の中で開き暴れだした。
ゆっくり魔理沙から声にならない悲鳴が漏れる。自分の中の”餡”がかき混ぜられて
いるのだ。
「が”っ”ば”ざ”ん”も”う”や”め”でえええええ!!!!」
おそらく幻想郷に存在するゆっくりの中でこのような経験をしたのはゆっくり魔理沙が
初めてだろう。ゆっくり魔理沙は混乱していた。得たいの知れないものが自分の中に
入り、自分の中身が混ぜられている。理解できない。ただただ恐怖が襲う。
ゆっくり魔理沙の目からとめどなく涙が流れる。
他の3匹はというと全く状況が掴めない。ゆっくり魔理沙の表情は確認できないし
あのアームがどんな働きをしているのかもわからない。ただゆっくり魔理沙の叫び声に
不安がつのる。
「も”う”い”い”で”す”う”ううううう!!!!」
「いや、もう少しだ。」
河童はいたって冷静だった。
スイッチが押されて2分後やっとアームの動きが止まり、箱から出ることができた。
ゆっくり魔理沙にとってその2分間は何時間にも感じられた。
他の3匹が心配そうにゆっくり魔理沙の元へ駆けつける。
「こ・・こん”な”ひどい”こ”と”するか”っぱさんとはゆ”っく”りできないよ!!!」
ゆっくり魔理沙が涙目でゆるんだ口でこう言い放った。明らかに恨みをもった
言い方であることは他の3匹にも察しがついた。
「ひどいよかっぱさん!!!しんじてたのに!!!」
3匹が河童に言い寄る。
「うるさいよ!!わたしはまださっきの黒いゆっくりに用があるんだよ!!」
興奮気味にそう言うと河童は光り輝くものを右手にかざし、一気にゆっくり魔理沙へとそれを
振り下ろした。
バーーーーンッ!
河童がにやける。
テーブルに衝撃が走ったときにはもう遅かった。
「ゆ”っ・・・・」
他の3匹が見たときにはすでにゆっくり魔理沙は真っ二つであった。
「幽霊の鍛えた包丁は切れ味が違うな。うんうん。」
河童は再び冷静さを取り戻した。一方で3匹の脳裏には河童と出会うすぐ直前の
出来事が思い浮かんだ。真っ二つで餡の出ていたゆっくり・・・。あの犯人が
まさかこの河童だったとは・・・。
「ま”り”さ”ああああああ!!!!!」
涙を流しながら3匹が駆け寄るが無論すでに意識はない。
「おかしいなぁ。今度こそ完璧にこし餡になる予定だったのになぁ・・・。」
そう、この機械、つぶ餡種が大多数を占めるゆっくりを無理やりこし餡にしてしまおう
というもので、例のゆっくり加工場から依頼されていたものなのだ。
「よしっ!」
河童がつぶやくと残った3匹のゆっくりへ目をやる。3匹は恐怖に打ちひしがれている。しかし
そうとばかりもしていられない。3匹は河童のその普通ではないまなざしを感じ取り、急いで
出口へ向かい逃げ出した。ゆっくりもがんばればこれくらいの速度は出せるのかと河童は
感心した。部屋が狭かったしドアも開いていたため3匹はすぐに外へ出ることができると
考えた。
「まだ実験は成功してないんだよ!」
河童の声が聞こえたがもうそんなことは関係ない。涙を堪え、前をしっかり見て外へ飛び出した。
(もう妖怪の山に入るのはよそう・・・)
しかし、その想いは叶えられなかった。河童の腕がのび、開いていたドアは外へ飛び出す直前に
閉じられた。
グシャ
という鈍い音が3回ほどドアから聞こえた。
「ゆ”っっ・・・!!ゆ”っっ・・・!!」
3匹は床に落ち、泣いた。これからされるであろうことを想像し・・・。
「実験材料に逃げられちゃ困るんでね。」
河童は今度は3つの箱にそれぞれ1匹ずつ入れ、ゆっくり魔理沙と同じように固定した。
もう3匹は動くこともできなければお互いの顔を見ることはできないし、
言葉を掛け合うこともできない。
「つぎは熱しながらやってみようかな・・・。それとももっと口を裂いて・・・。」
河童のつぶやく声が聞こえる。エンジニアの魂があらゆる方法を提案しているのだ。
3匹は箱が涙に満たされて自分が溺れるのではないかというほど泣いた。
カチッ
ウィーン
「ち”っち”ん”・・・!!」
河城研究所に機械音が響く。また1匹のゆっくりが実験台にされてゆく・・・


~数日後~

[こしあん派にうれしいニュース 河城研究所の発明でこしあんゆっくりが身近に]
新聞の見出しに大きく出されたこの話題はたちまち幻想郷中に広がった。

「霊夢ー!例のこしあん買ってきたぜ★」
「あら魔理沙奇遇ね。わたしもあなたと食べようと思って・・・。」

「幽々子様!今日はうわさの饅頭がおやつですよ!」
「あら妖夢。気が利くようになったわね。」

「橙。今日はうわさのこしあんゆっくりを買いに行こう!」
「はい!藍しゃまぁ!」

今日も饅頭屋は大賑わい。加工場で行われることも知らずに・・・。


                 BAD END NO.1 河童は信じずゆっくり妖怪の山を越えよう!


/*--------------------あとがき------------------------*/
最後まで読んでくれた人ありがとう。
これが私の始めての作品です。
今までの設定とか(ってあるのかな)ほぼ考えずに書いてしまいました。(勝手につぶ餡種が多いとか)
あとちょっとでもいいので感想を書き込んでもらえたらうれしいです。

P.S.
 みょんには「ちーんぽ!」って言わせたいがために出演してもらいました。
 どうもすみませんでした。
 続編はきっとないです。

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最終更新:2022年04月15日 23:58