概要
戦闘に至るまでの背景
▲694年2月における勢力図
この頃、
ラディアは再び
リューグ国との国境に駐屯していた。
そこには、かつては夫婦の誓いまでした
キルレイツが、
リューグ国軍を率いて駐屯していた。
これを、偶然や運命の悪戯というにはあまりにも出来すぎている為、これはどちらかが、あるいは双方がお互いの駐屯地を調べた上での行動だったと思われる。
この戦いは、長い間「歴史的に何かを賭けた大きな戦いではないただの小競り合いである。しかし、この戦いは、
ラディアと
キルレイツという二人の男女にとっては、何よりも重い戦い」と言われていたが、近年の研究により、
シルヴァスといった将が参戦していたことが判明、動員された兵数もそれほど少なくはなく、決して
ラディアと
キルレイツの個人的な因縁だけではない、れっきとした大規模な「国境戦」だったことが判明している。
なお、
ラディアはこの戦いの前に、名もなき兵卒たちに自らが酒を振舞い、出陣の舞を披露したという。
このことが、後世において「私情の戦いに兵士を巻き込んだ自責」というイメージをより強くさせ、先述の「個人的な戦いだった」と誤認させていたと思われる。
両軍の戦力
戦闘経緯
2月17日、両軍はにらみ合いから一気に激突。
最初は互角だった戦局も、
キルレイツの指揮により徐々に
リューグ国軍が押し始める。
これに対して
ラディアは、全軍を十二陣にわけ、戦いながら軍勢を徐々に退かせていく。
ロードレア国軍の後退に気づいた
メスリウは、このまま一気に押し込み
ラディア本陣を突くべしと進言するが、
キルレイツはこれを罠と看破、あまりにも用意された退却の仕方からして、追撃したところで反撃され、伏兵によって包囲されると読むと、相手の後退にあわせて自軍も体勢を立て直すために一旦後退命令を下す。
しかし、
ラディアの真の策はそこからがはじまりであった。
彼女は、
キルレイツならばそこまで読むと承知していた為、伏兵の
メシズを、
キルレイツが軍勢を一旦立て直そうと退かせるであろう場所に伏せておいた。
しかし、
キルレイツも並の将ではなかった。
伏兵が東からの攻撃のみだということに気づくと、すぐさま西の森林地帯へ向かうと反撃体勢をとらせた。
この森林地帯は出入り口が一ヶ所しかなく、そこにあえて入り込み、自ら退路を断つことで兵士たちを死地に追い込み奮い立たせ様としたのである。
兵士の覚悟を決めさせるためあえて死地に入った決意は完全に裏目にでて兵士たちは戦意を喪失、既に
キルレイツは、軍勢を維持することすら不可能となっていた。
キルレイツは全ての覚悟を決めると、単身
ラディアに挑むが、もはやそれは一騎討ちと呼べるものではなかった。
殺気だけは消さずに
ラディアに斬りかかるが、実際は
キルレイツは自らの剣を振るうことなく、あえて彼女の反撃の剣を身に受け、かつて愛した女の手によって討たれた。
戦いの結末
そして、ニーグロスの戦いは、名将ラディアが最後に指揮を執った戦いとなった。
最終更新:2024年08月17日 04:02