概要
戦闘に至るまでの背景
▲3327年前後の勢力図
一方、
リゼルバの戦略的価値を落とすため、
ソート、
イントス、
レイアルの三国を速攻で孤立化させた
セルカティーナだったが、彼女が戦果をあげることをよしとしない
ガザデルーは、その策を無駄と決めつけ後続部隊を送ることなく、ひたすら
リゼルバ奪還に力を注ぎ込んだ。
三国としても、いつか現れると覚悟していた後続部隊が一向に姿を現さないことから、
セルカティーナの制圧が空洞化していることに気づき始め、奪還の動きを見せていた。
元々時間稼ぎが目的だった為、その成果は十分残したものの、このままでは敵地に孤立してしまうため、
セルカティーナは急ぎ次の手を打たねばならなかった。
それは、
ロンド艦隊と合流し、
アヤクリス国の北部を制圧することであった。
これに成功すれば
ソート、
イントス、
レイアルに領土を奪還されても、
鬼龍軍と合流を果たした
アトレティア国軍南方領土は、飛び地として孤立しているとはいえ、十分自立していくだけの国力を有することができる。
そして、
セルカティーナの真なる目的も、寧ろそちらにあった。
しかし、
ロンドは、
セルカティーナの進言で出陣したものの、
セルカティーナ艦隊を前面に出し、自分たちの盾とした上で、手柄だけはもらっていくという露骨な態度を見せた。
両軍の戦力
戦闘経緯
ラッツヘルト山地にて対陣した両軍。
セルカティーナ艦隊を最前線に配備し、その戦力を盾として利用しようとしていた
ロンド艦隊。
セルカティーナは自らの艦隊を、まるで薄い膜の様に
ロンド艦隊前方に横一列に展開させ、
ロンドの期待通り、いや、それ以上に完璧な盾となった。
この日は、朝から視界を遮るほどの霧が戦場を覆っていたが、それらはすべてあらかじめ土地のことを調べていた
セルカティーナの計算のうちであった。
決戦の火蓋を
セルカティーナの手によって切って落とすと、開戦と同時に
セルカティーナ艦隊は高度を下げ、あっという間に霧深い山岳地帯へ姿を消していく。
これによって、盾をなくした
ロンド艦隊は、
アヤクリス艦隊と真正面から打ち合う事を余儀なくされた。
これに驚いた
ロンドだが、
アヤクリス艦隊からの攻撃は続き、自らの兵力で戦わざるを得なくなった。
両軍共に少しでも優位な陣形をとろうと、細かい移動を繰り返しながら正面から主砲を打ち合うが、肝心の
ロンドが、
セルカティーナを探し出して、再び自分の盾にすることに固執したため、
ロンド艦隊は混乱し、それぞれの部隊が独自の判断で動くしかなかった。
数で勝っていながら、連携を欠いた
ロンド艦隊は、
アヤクリス艦隊の前に損害を重ねていく。
そこに、下降していた
セルカティーナ艦隊が、高速艦のみの部隊を出陣させ、
アヤクリス艦隊の下方向から攻撃を与えた。
霧に包まれた山岳地帯に艦隊を隠す事は困難であり、
セルカティーナ艦隊の数隻は山に激突して戦わずして沈んでいったが、それでもこの行軍を可能としたのは、互いの艦の位置を知らせる発光信号の連携を、
セルカティーナが日ごろから徹底して訓練していた為である。
結果的に
ロンド艦隊、
アヤクリス艦隊はほぼ相殺に近い形で両軍壊滅状態となり、
セルカティーナのみが無傷のまま勝利することとなった。
戦いの結末
最終更新:2024年08月07日 01:06