59系電車および63系電車とは,塔野高速鉄道(1979年までは新都環状鉄道)が1958年から1968年まで製造し,1997年まで運行していた一連の通勤型車両の総称。
塔野高速鉄道59系電車 | |
基本情報 | |
運用者 | 塔野高速鉄道 |
製造所 | 船橋重工業豊崎工場 |
製造年 | 1958〜68年 |
製造両数 | 294両 |
運用開始 | 1959年2月22日 |
運用終了 | 1997年8月18日 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1500V(架空電車線方式) |
最高運転速度 | 85km/h |
設計最高速度 | 85km/h |
起動加速度 | 3.3km/h/s |
減速度 | 3.5km/h/s(常用) 4.1km/h/s(非常) |
車両定員 | 本文参照 |
全長 | 20,000mm |
自重 | Mc1車,Mc2車:41.0t M1車:38.2t M2車:38.6t (63系3(0番台) M1車:37.4t M2車:37.8t |
全幅 | 2,800mm |
全高 | 4,050mm |
床面高さ | 1,200mm |
台車 | 軸ばね式ダイレクトマウント空気ばね台車 FHI-MB56 |
主電動機 | 直流直巻電動機 FEI-M57 |
主電動機出力 | 90kw |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン方式 |
歯車比 | 89:16(5.56) |
制御装置 | 電動カム軸超多段式バーニア抵抗制御 弱め界磁・直並列制御併用 |
制動装置 | 発電併用電磁直通空気ブレーキ |
保安装置 | 本文参照 |
全鋼製、20m4扉車体という通勤型車両の基礎を作った車両としても知られている。
車体
20mの大型車体は木製部品を廃した全金属製であり、腐食に対して強くなっている。両開き扉の採用により乗降の効率化を図った。また、これまでぶどう色1色であった新都環状線の車両から、クリーム色1色塗りとすることで車両の外観のイメージ刷新を図った。
形式別解説
59系
新都環状線の輸送力増強用に4連7本28両が導入された。先頭車が59-500系、中間車が59-000系となっており、外回りでの先頭になる側が奇数番号となっている。前面は非貫通型。
←外回り 内回り→
59-500奇-59-000偶-59-000奇-59-000偶
63系
増備車として6連42本252両が導入された。付番規則は59系と変わらない。
←外回り 内回り→
59-500奇-59-000偶-59-000奇-59-000偶-59-000奇-1200偶
63系300番台
59・63系の増結用として14両が導入された。ステンレス車体で製造されたため、銀色1色で異彩を放っていた。後述の10連化では全車が電装解除の上74・80・89系に組み込まれている。
運用上の問題
当形式は全電動車方式であるため、変電所の容量の問題で同時運用できる編成の数に制限があった。1963年より限流値を低める改造が施されたが、これによって荷重(=乗車率)が大きいと起こる性能低下が深刻となった。1974年には電機子チョッパ制御車である74系の導入に伴い変電所が改良されたため、限流値は引き上げられた。
10連化
1984年より10連化が開始された。
a:59系組込み編成の場合
7編成が在籍していた59系は非貫通型の前面であったため、編成の中間への組込みを避けた編成組換えが行われた。
←外回り 内回り→
59-500奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-5000偶+63-500奇-63-000偶-63-000奇-59-500偶
以下の編成がこの改造を受けた。
59系の該当編成 | 63系の該当編成 |
59-501 | 63-509 |
59-503 | 63-563 |
59-505 | 63-551 |
59-507 | 63-583 |
59-509 | 63-511 |
59-511 | 63-505 |
59-513 | 63-565 |
b,c:中間4両組込み編成の場合
63系の6両編成に、別の6両編成のうち中間2両(b編成は3・4両目,c編成は5・2両目)のみを抜いた4両編成を組み込む。各々7編成がこれの対象となった。
b編成
←外回り 内回り→
←外回り 内回り→
63-500奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-500偶+63-500奇-63-000偶-63-000奇-63-500偶
c編成
←外回り 内回り→
←外回り 内回り→
63-500奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-500偶+63-500奇-63-000偶-63-000奇-63-500偶
太字が中間に組み込まれた編成。
d:10両貫通編成の場合
7編成がこれの対象となった。b,c編成の組成の際に余剰となった2両を6両編成に組み込んで10両貫通編成とした。なお、原則として新5・6号車には旧3・4号車を、新7・8号車には旧5・2号車を組み込んだ。
←外回り 内回り→
63-500奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶-63-000奇-63-000偶
以下がb,c,d編成の組み換え対象編成である。
d編成先頭車を含む編成 | 3・4号車の供出編成 | 5・2号車の供出編成 | b編成化された編成 | c編成化された編成 |
63-541 | 63-579 | 63-535 | 63-523 | 63-535 |
63-503 | 63-561 | 63-539 | 63-519 | 63-559 |
63-547 | 63-517 | 63-537 | 63-557 | 63-527 |
63-549 | 63-515 | 63-567 | 63-553 | 63-501 |
63-543 | 63-571 | 63-577 | 63-569 | 63-581 |
63-545 | 63-525 | 63-521 | 63-531 | 63-533 |
63-529 | 63-509 | 63-573 | 63-555 | 63-513 |
機器更新
1986年にd編成のうち比較的車齢の若い車両で構成されている63-541,63-543,63-547Fは制御装置を抵抗制御から界磁添加励磁制御に載せ換え、回生ブレーキの使用を可能とした。この際編成中間に組み込まれる63-157,63-158,63-121,63-122,63-069,63-070
は電装解除の上付随車となっている。
は電装解除の上付随車となっている。
廃車
1989年より89系(VVVFインバータ制御車)の導入により置き換えられる形で廃車が進み、1997年に最後の1編成となった63-541Fが運用離脱したことをもって運行終了となった。なお、廃車は基本的に59系及び中間に組み込まれた先頭車から優先して行われたため、一部編成組み換えをともなった。
保存車両
59-001は柚木検車区で、またステンレス車体の第1号車である63-301(74系への編入後は74-801)は復元が行われた上で船橋重工業豊崎工場で保存されている。