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  • HAPPY END(20)

HAPPY END(20)

最終更新:2023年07月20日 12:46

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だれでも歓迎! 編集

HAPPY END(20)◆ANI2to4ndE



◇


愉快だ。
どうしようもなく愉快だった。
まるで、あの山小屋の再現だ。
問題は全てクリアされ、意図した通りに事は動き出す。
笑いが止まらなくなりそうだ。

さぁ。
最後の仕上げを、始めようか。

「では交渉に入らせてもらおう、アンチ=スパイラル――」

◇


違和感の正体は分かってみれば簡単だ。髪の色が違う。

「どういうことよ偽者って!」

ルルーシュの髪は間違えようのない黒一色。だがここで寝っ転がる男はそうじゃない。

「どうもこうもあるか。背格好は上手く似せてあるがこいつは別人だ。ルルーシュじゃない」

ねねねが、舞衣が、ゆたかが、それぞれに信じられないという顔をしている。言い様のない不安がそこに共通していた。

「じゃ、じゃあ?」

事実を突き合せてみれば答えは簡単だ。どれだけ不安に駆られようと、続けられるべき言葉は一つしかない。

「どっかで生きてるんだろうよ。ガキがナマやって、こっちまで火傷しなきゃいいんだがな」

◇

ルルーシュ・ランペルージは制服の襟を直すと、のっぺりと立つ人型の影へと向き直った。

例えば至上の音楽を邪魔する不協和音に人としての意思と形を与えたらこのようなものになるのではないだろうか。
確かに目の前にいるのに、一瞬後には別の場所から現れる妄想を抱かせる不安定な存在感。
人の形を馬鹿にするように一定の振れ幅でぶれる茫漠とした輪郭。
実写映画に混じったアニメキャラクターを見るような強烈な違和感。
口元に走った不細工な切れ込みは、あかんべをする子供にも見える。

(なるほど、文字通り次元が違うという訳か……)

ルルーシュは一人思う。
玉座の間ではない。少し離れた所に隠れるように設えられた、名もない殺風景な部屋である。
さっきまで稼動していた転送装置の他には特筆すべきものもない。そもそもが急ごしらえの部屋であるらしかった。
決戦の場として適当かどうかは、まぁそれぞれの判断だろう。

シトマンドラにかけたギアスは有効に機能したようだ。

『ゼロとして振る舞え。貴様が見た、見続けてきたゼロとしてな──』

限界を越えた恐怖の安定剤としてルルーシュへの盲目的な忠誠に走った愚かな畜生だ。隙など、探すまでもない。
最後の瞬間に騙されたことに気づいたような表情を見せた気もするが、知ったことではない。
今はただ、時間を稼ぎこうしてアンチ=スパイラルに接触する機会を与えてくれたことに心から礼を言おう。

(君は餌としては十分に優秀だったようだ。なぁ、ヴィラル)

足元に転がしてある男にルルーシュは心中で笑いかけた。それこそぼろ雑巾のような汚らしい姿に、ルルーシュは愉悦を抑えきれない。
回収に成功したのはフォーグラーの崩落寸前、正に間一髪のタイミングだった。
それ以降であればヴィラルは死に、崩壊する会場に回収装置も機能を失っていただろう。
半開きになった口がだらしない。いやいや、所詮獣に節度を求めるのが酷なのか。

重ねて言おう。親友の仇のどん底に落ちた惨状を見るのがルルーシュには楽しくてたまらない。
ヴィラルは気絶しているのかピクリとも動かない。瀕死の重傷のはずだが、容態は奇妙に安定していた。
死体同然でも天元突破を果たしたという事実は残っている。それがあれば十分だ。
むしろ、ルルーシュにとっては利用価値を保ったまま嗜虐心を満たせる今の状態こそがベストと言えた。

「既にお見通しかも知れないが要求を伝える。使用可能かつ安全に多元世界を移動する術を我々に与えること、以上だ。
 見返りとしてこちらからは天元突破者であるこの獣人ヴィラルを差し出そう」

アンチ=スパイラルは音もなく現れた。ふらりと、ルルーシュが具体的な召喚方法に頭を悩ませるより早くだ。
それはつまり、限りなく死者に近い状態の今のヴィラルでも交渉のためのカードになり得ることを示している。
間違いない。アンチ=スパイラルは確かに螺旋力を恐れている。1パーセントの誤差に拘る科学者のように過敏に、鋭敏にだ。

「どうした。悪い条件ではないと思うが?」

脈ありと見てルルーシュは畳み掛ける。
目と思われる器官は確認できるが相手は全身黒一色のぼうっとした存在だ。表情を読むこともままならないのがもどかしい。
相手の出方を見、一つ一つの行動から思考を読み取ろうと具に観察する。
あの目にギアスは通じるのだろうかと、益体もないことを思った。

『無意味だ』

返答は一言だった。機械処理された音声のような多少の違和感はあったが、深みのある低音は予想外に聞き取り易かった。
まさか直球の否定が返ってくるとは思わず、ルルーシュは僅かに鼻白む。

「無意味……?何が無意味だと言うのだ」

焦るには早い。単純な否定のニュアンスに込められた意図を読み取ろうと言葉を重ねる。
返答は尚も淡々としていた。

『そのままの意味だよ。我々はもはや、君の言う天元突破者を脅威とは認識していない』

ゴクリという大きな音はどうやら自分の喉から発せられたもののようだった。
鼓膜の震えを脳が認識し、その内容を理解するまでにしばしの空白が生まれる。
なに、と渇いた音を洩らした。
次の瞬間、ルルーシュの思考を遮るように背後の無個性な扉が荒々しい音を立てて開いた。

「ふむ。いらぬ手間をかけさせおって」

突如現れた英雄王の深紅の瞳は、ひどくつまらなさそうな色をしていた。
蓄積されているはずの疲労など微塵も感じさせぬ王気にルルーシュは苦々しさを隠しきれない。
所詮シトマンドラ程度の小物に足留めが適う相手ではなかったのだ。降って湧いた災厄に虫唾が走る。
しかし、ギルガメッシュはルルーシュなどまるで無視するようにずけずけと歩を進めると、さも当然とばかりに交渉の席上に割って入った。

「答えよ。これが螺旋王の恐れた外敵か?」

ルルーシュの方を見もしない。一方的な質問だった。
声音に感情の色はない。

「……その通りだ。どこまでお見通しかは知らないが目の前にいるこの存在こそがアンチ=スパイラルだよ、ギルガメッシュ」

威圧感が肌を刺し汗を滲ませる。この感覚に、良い思い出などまるでない。
支離滅裂なようでいてギルガメッシュの行動パターンは明快かつ単純。傲岸不遜な振る舞いへの対処は多少の心得もある。
理由はどうあれこちらと直接敵対する気もないようだ。あとは余計な刺激を与えなければ問題ない。
そのはずだ。
ギルガメッシュはふむと一声呟き。

「つまらぬ茶番を考えたものよな」

そう言ったときだけ蔑むような視線をちらりと寄越してきた。
ルルーシュはただ押し黙るしかない。感情に任せて下らぬ口論などをしている場合ではなかった。

『一度は解き放たれた二重螺旋の鎖に再び囚われる古の王か。憐れだな。この世全ての悪とはよく言ったものだよ』

アンチ=スパイラルは気分を害した風もなく速やかに対話を続ける。
言葉通りの憐憫とも、挑発ともとれる言葉にギルガメッシュはただ愉快そうに笑った。

「我を憐れむだと?貴様のような醜悪な存在がか?
 ククク……滑稽も度を過ぎれば悲劇よな。ならば問おう、貴様は一体何だというのだ?」

さもおかしいと言うように手で顔を覆い、もう片方の指をアンチ=スパイラルに突き付ける。
気紛れな暴君が何をきっかけに爆発するか、ルルーシュは気が気ではなかった。
割って入る、というのも上手くない。

『螺旋の本能に抗えぬ者達を統制しこの宇宙をスパイラル・ネメシスから守るのが我々の役目さ。君が醜悪と言ったこの姿こそ、我々の覚悟の表れだよ』

肉体の成長は螺旋力を増大させる、映像資料の中にも似たような文言はあった。
そのことを頭の隅で思い出しつつ、ルルーシュはアンチ=スパイラルが初めて垣間見せた感情のようなものを脳裏に刻み込んだ。
汗に濡れた手が、力強く握られていた。

「ほう、貴様も守護者を気取るか。スパイラル・ネメシスとは何だ?」

アンチ=スパイラルから感情を引き出したことなど、ギルガメッシュにとってはどうでも良いことのようだった。
ルルーシュの苦慮をよそに、問答は続けられる。

『行き過ぎた螺旋力の果てに待つものがスパイラル・ネメシスだよ。
 留まるところを知らぬ欲望は肥大化し、やがて宇宙そのものをも飲み込んでしまう。銀河の終焉だ。
 何なら見てみるかね過剰に進化した螺旋力の行き着く先を?』

誘惑するようにアンチ=スパイラルが手を伸ばした。
いらん、とギルガメッシュはにべもなく切り捨てる。

下らぬ、と。
そして言った。

「分からんなぁ。真に『世界』とやらを滅ぼす程の力、なぜ我が手に納めようとせぬ?」

それは、この世の全てを手に入れた王の、心の底からの疑問だった。

「脆きものはより強大な力によって滅ぼされるが世の必定よ。惰弱な世界などに構わず好きに使えば良いではないか。
 力こそ、王として君臨する者の象徴なのだぞ?それを振りかざすでもなく誇るでもなく、よりにもよって後生大事に抱え込もうとは。
 ハッ!まったく女々しいことよな。

 そもそも、そんな程度の力で滅びる世界なら、とっとと滅ぼしてしまえば良いのだ!我が治める世界には無用の長物よ。
 疾く滅び行き、せめて一瞬でも輝いて見せるが王に対する礼儀であろう」

晩御飯はハンバーグって言ったのにどうしてスパゲティが出てくるのと怒る子供のような、どうしようもない自分本位の怒りだった。
あまりの身勝手な振る舞いにルルーシュの息が止まる。やめろと叫びたい気持ちを必死になってこらえた。

人類最古の我が儘をぶつけられアンチ=スパイラルは果たしてどうするのか。
ルルーシュの杞憂をよそにアンチ=スパイラルは何も言わなかった。平坦な表情は能面のようにこちらの心象を写しとるだけで、中に潜む感情はもう見えない。
まさか、呆気にとられて何も言えない、という訳でもないだろうが。

「此度の宴、裏を覗けば所詮は負け犬と臆病者の見るにも耐えぬじゃれあいであったか。
 なるほどな、底が知れたのと同時に興も失せたわ。小僧、後は好きにして良いぞ」

ギルガメッシュはルルーシュに向けてそれだけ言うとぷいとそっぽを向き、手近な壁にもたれかかると、腕を組み目を閉じた。
それきり、ぴくりとも動かない。本当に、一切の興味を失くしたらしかった。

『最古の王、か。正に螺旋の本能の権化のような存在だよ君は。ギルガメッシュ』

もう耳を貸す価値もないと言うのか、アンチ=スパイラルの正負の感情入り交じった声にもギルガメッシュは眠るように無反応である。
本当に寝ているのかも知れない。

真実は知れないが、数秒程の間を空けてぱちりと開かれた目は、ひどく気だるだった。

「貴様らも寄り道は程ほどにせよ。後の始末が滞っては幕引きもままならぬ」
「あいにくこっちはアンタ程手際が良くないんでな、ギルガメッシュ」

言葉は明らかにルルーシュに対してのものではなく、そのことを認識すると同時に活動を再開した思考が警鐘を鳴らす。
ルルーシュはそのときになって初めて自分が呼吸を忘れていたことに気付いた。
浮かんだ汗を拭う暇もない。


「よぉ、死んだり生きたり忙しいな。お前は本物か?ルルーシュ・ランペルージ」


振り向いた先では、四人分の瞳が思い思いの感情を浮かべてルルーシュを見つめていた。

◇

(ちぃ……所詮は妄執に囚われた役立たずに過ぎなかったか、ウルフウッド……!)

スパイク・スピーゲル。
菫川ねねね。
鴇羽舞衣。
小早川ゆたか。
会場を脱出した者達は誰一人欠けておらず、かと言って試練が成功したようにも見えない。

「さて……こいつはどういう状況だ?」

ルルーシュと、足元で未だ眠りこけるヴィラルと、その奥にゆらゆらと佇むアンチ=スパイラルとを大体順番に見渡しながら、スパイクが言った。

「たわけたことを。事情はあの木偶が語っておったであろうが。宴など、とうの昔に終わっていたのだ」

天元突破に満たない参加者との接触は多元宇宙の移動技術を手に入れてからのつもりだった。
絶対的優位が確立されるか、そうでなければ接触もせずに単身帰還するかだ。既に無意味になったプランだが。

「螺旋王が逃げたってのは……どうやら本当らしいな」
「その通りだ。そして俺は今彼、と言って良いのかは分からんが、アンチ=スパイラルとの交渉中でね。少し静かにしてもらえると助かる」

値踏みするようなスパイクの視線。憎まれようと嫌われようと構わない。
今はとにかく、ルルーシュに対する物理的な危害と、これ以上の交渉への干渉を阻止することが先決だった。

「俺に言いたいことも色々あるだろうが、他の者も同様にして欲しい。
 ああ、俺が憎くてたまらないと言うのなら構わない、手に取った銃で俺を撃つが良い。抵抗はしないさ。
 但し、その場合は君達だけでこの場を切り抜けてもらう必要があるがな」

最後にスマイルも忘れない。アンチ=スパイラルへの不安げな感情、ルルーシュに対する敵意とも取れる微妙な表情と、他の者も反応は様々だ。
最低だよおまえ、と唸るような憎々しげな声でねねねが言った。
ルルーシュにとって、それはこちらの条件を呑んだということ意外の意味を持たない。

「……もう、騙しはなしで頼む」

スパイクが身を引き、条件は全てクリアされた。
安堵の溜息が出そうになったが何とか押し留める。
複数の聴衆が見つめるなか、ルルーシュは一歩前に進み出た。

「さて、バタバタしてしまってすまない。こちらの事情で時間を取ってしまったことには謝罪しよう」

気を取り直すように首元のホックを外し呼吸を楽にした。
英雄王に掻き乱された頭は既に落ち着きを取り戻している。仕切り直しだった。
依然、問題はない。

舞台の主導権は再びルルーシュの手に戻った。

◇

「改めて説明願おう。天元突破者に価値がないとはどういうことだ?」

アンチ=スパイラルは笑った。
いや、真実それが笑みなのかは分からない。ただ、肩をすくめ目を細めたようにも見える形態の変化が、人間が可笑しなときにする動作に似ていたというだけだ。
しかし、少なくともそのときだけは、アンチ=スパイラルがこの会話を楽しんでいるように見えた。

『そもそもの前提が間違っているのだよ。意味を持たない螺旋の戦士たちよ。
 お前達は我々が天元突破者を恐れていると考えているようだが、ではその根拠はなんだ?』

聞かれてもとっさに回答が出てこない。
1足す1は何故2なのだと聞かれているようなもので、自明すぎることは反って言葉にし難い。

「根拠だと?自分で言っていただろう。強力過ぎる螺旋力はスパイラル・ネメシスの引き金に成り得ると。お前達はそれを阻止するんじゃなかったのか」

くくく、と。
アンチ=スパイラルは今度こそ確かに声に出して笑った。

『少し回りくどかったかも知れないな。では質問を変えよう。そもそも天元突破者とは一体何だ?』
「それは……表現を変えるなら桁違いに強大な螺旋力とでも言うものだろう。
 ロージェノムが渇望し、世界すら創造可能と言われた力だ。もっともどこまで本当かは分からんがな。
 それを確かめる意味でもロージェノムは自らが生み出した世界からの脱出を望んでいたんじゃないのか」

現にヴィラルが覚醒を果たした時点で会場内の機能は崩壊を早めた。
その上桃色の光という視覚的にも顕著な違いが見られたためにルルーシュ達は天元突破は成ったと考えたのだ。
天元突破。真なる螺旋力。
ロージェノムの提唱した概念に、新たな名を与えたのはルルーシュだ。

『違うな。間違っているよ』

アンチ=スパイラルが返したのは否定だった。
気のせいか会話の運び方が普段ルルーシュが取っている手法に似ているように思える。
真似をされているようで、少し気分が悪かった。

『螺旋王が求めたものはもう少し条件が限定される。すなわち、我々が干渉不可能な世界を創造可能な螺旋力、だよ。
 戦うための力などではない。千年の倦怠に沈んだ男が、そんな前向きな思想を抱くものか。
 逃げ、隠れ、息を潜めて生きていくための、かつて名を馳せた螺旋の戦士の発想とも思えぬ卑小な箱庭だ。

 そんな都合の良いものなど、ありはしないよ。
 いかにあらゆる道理をねじ曲げる螺旋の力と言えど、その根本にあるのはより高みを目指そうとする上昇の力だ。
 地に這いつくばり、自ら穴蔵に閉じ籠ろうとするのでは、螺旋力も手を貸しはせんだろうさ』

これだけ言えばもう分かるだろうと、アンチ=スパイラルは最後にそう締め括った。
吐き捨てるような声にほんの僅か含まれていた寂しげな感情さえ、ルルーシュは気付くことができない。
己の手が震えていることを知りながら、対処方を思い出すこともできなくなっていた。
ああ、絶望とはこういうものなのかと今更ながらに思う。


くどくどと説明されるまでもない。ルルーシュにももう分かった。
つまり。
ロージェノムの求めた真なる螺旋力とは。
ルルーシュが目指した天元突破とは。


『考えてみれば実に弱者に都合の良い世界だな。仇敵の脅威に怯えることはなく、それでいて自分達の繁栄は約束されている。
 いかにも敗残兵らしい、夢想的で空想に満ちた理想郷だよ』


挫折の海に沈んだ一人の男が抱いた憐れな妄想に過ぎなかったというのか。


(どこまで生き恥をさらすつもりだ、ロージェノムゥゥゥ……!?)


今にして思えばロージェノムの用意した世界は何から何まで滅茶苦茶だ。
パワーバランスを無視して溢れ返る機動兵器、用途などまるで考えちゃいない雑多な至急品の山。
多ければ良かろう、選択肢が増えれば可能性も高まろうという愚かな思考停止が生み出した浅慮の塊だ。
資料に再度あたって気付いたことだが、あの会場はブルーアース号、大怪球フォーグラーといった道具を螺旋力と共に用いれば脱出できるように作られていた。
だが実際はどうだ。規格外の戦力では均衡など生まれるはずもなく、あろうことか会場は力技で崩壊。枷となるべき首輪は自壊する始末だ。

(敢えて言うぞロージェノム、お前の世界は粗悪な模造品に過ぎん……!
 貴様は優秀な科学者でも何でもない。妄想にすがり、偶然舞い込んだ『前例』の輝きに目を曇らせた、ただの大馬鹿者だ!)

それに踊らされた結果がこれだ。
交渉のためのカードは失効してしまった。そもそもカードですらなかった。
進退窮まったピエロはこうして水際に追い詰められている。

「俺たちは螺旋王の一人相撲に巻き込まれたって訳かよ。冗談にしちゃ気が利きすぎだぜ、まったく」

だらりとした姿勢で腰掛けていたスパイクが誰に言うでもなく呟いた。
虚空に吸い込まれていく言葉にルルーシュも全力で同意したい。

『文句の一つも、とでも言いたげ様子だな。何なら会ってみることもできるが?』

アンチ=スパイラルはそんなことを言った。絶望に沈むルルーシュ達に慈悲でもくれようと言うのか。
今なら何となく表情も読めそう気がした。あれは意地の悪い笑顔、というやつだ。
誰からも答えがなかったにも関わらずアンチ=スパイラルは勝手に話を続けた。どうやら最初から返事など期待していなかったらしい。

『フィナーレに主催が不在では収まりが悪かろう。招いてあるよ。これがかつての螺旋王、ロージェノムの現在の姿だ──』

◇


肌を撫ぜる湿っぽい風に生臭さが混じり出したので堪らず口を覆った。
少し吸っただけで背骨の下の方にざわざわとした嫌な感じがする。悪い予感、というようなものではない。単純に衛生環境が悪すぎるのだ。
必要とあらば足を運びもするが、いわゆる貧民窟と呼ばれる悪所の空気はそう簡単に慣れるものではない。
もっともそんな場所に追い込んだのは自分達なのだが、と手でぱたぱたと顔を扇ぎながら遠坂凛は思った。

(……遅いね、凛)
(あら、もう待ちくたびれちゃったの?ここは任せてくれって言われたんだもの、邪魔するのは野暮ってものよ)

とは言えフェイトが心配するのも分からなくはなかった。今回の追撃の要となった老人が単身ロージェノムの潜む屋根の外れかけた小汚い小屋に入ってからもう大分経つ。
一体一で話がしたいという強固な意志を尊重した形で、二人は二箇所からの見張りに徹しているのだがこうなると最悪の可能性も頭をよぎった。
心身ともに衰弱しきっているだろうロージェノムにどれ程抵抗する気があるかは不明だが、全くの無音というものはそれだけで悪い想像をかき立てる。

あと五分、凛がそう念話を飛ばそうとした瞬間に、見計らったかのようなタイミングで粗末な木の扉が軋みをあげた。

「無事でしたか、良かった……」
「ロージェノムは?」

出てきたのは老人だけだった。落ち着いた足取りに安心しながら凛とフェイトが駆け寄る。
成果を問われた老人は目を細め、小屋の中に目を遣りながら答えた。

「おぉ心配かけちまったか。ロージェノムは……」

老人はそこで言葉を切ると噛み締めるように天を仰いだ。
そうして続けられた声は小屋の中に溶けていくように、あるいはずっと昔に置いてきた何かに語りかけるように聞こえた。

「ロージェノムなんて奴ぁもういなかった。ここにいたのはただの――」



◇



見るも無惨な姿だった。それでいて、情けなくなるような貧相さがあった。

「うっ……!」

誰かが嗚咽を洩らした。無理もない。
ルルーシュも一時期より線の細さはましになったとは言え、直視すれば胃のむかつきは抑えらそうになかった。


アンチ=スパイラルが突きだした首だけのロージェノムは、積み重なった絶望を一層一層丁寧に塗り込んだように、醜怪で、陰惨で、そしてとても小さかった。


『もう何度目になるだろうな。己が欲望に溺れる螺旋生命体を、度し難いと感じるのは。
 無意味に積み重ねられていく失敗に神経を磨り減らし、少しずつ精神に変調をきたしながら、まるで諦めようとしない。
 発見は偶然だったが、思わず目を疑ったよ。かつての隆盛を知るものとしては、尚更ね』

せめて潔く最期を迎えさせてやるのが慈悲と言うものだろう、とアンチ=スパイラルは嘯いた。
どこまで本気か、知れたものではない。逆流しそうになる腹を手で押さえた。
ルルーシュたちの苛立ちと恐怖をよそに、アンチ=スパイラルの弁舌は留まる所を知らない。


次に語られたのは、ルルーシュ達の認識の外で行われ、関与する術もないまま終わってしまった物語だった。

『他にも、どこで嗅ぎ付けたのか我々の手下を標榜する存在もいてね。
 それに対抗するような集団まで現れ、果てに両者はここから最も近いあの惑星において全面戦争をするに至った。
 場所を提供したのは我々だがね。螺旋生命体の行動サンプルの足しになれば程度の気持ちだったが、結果は両者全滅という酷いものだったよ。
 螺旋の輝きなど一切見られなかった。無駄死にだよ。やはり、ロージェノムの実験には何か仕掛けがあったようだな』

それはルルーシュたちとは直接の関わりを持たず、それ故反応のしようもない、アンチ=スパイラルのためだけに語られた少しだけ過去の話である。

言い終えるとアンチ=スパイラルはロージェノムヘッドを無造作にぽいと放り捨てた。
用が済んだのでもういらないと言わんばかりだ。やはり最初から見せるためだけに持ってきたらしい。
首はべしゃりと音を立て、ルルーシュの背後で誰かが震える気配がした。

『戦闘の影響であの星は軸が少々傾いてしまったが、それだけだ。元々住んでいた螺旋生命体にはいささか住みづらくなるだろうがね』

良いだけ喋っていたアンチ=スパイラルはそこでん、とでも言うような仕種で首を傾げた。
どうやら、ようやく自分ばかりが喋っていることに気付いたらしい。

『我々としたことが少しばかり悪趣味が過ぎたようだ。用も済んだことだしそろそろ去るとするよ。
 君たちは、まぁ放置しても問題ない程度の無価値な螺旋生命体だ。我々も興味はないので、好きにすると良い。』

今更過ぎる反省の言葉だ。ルルーシュたちのことを歯牙にもかけていないことがありありと伝わってくる。
呻くように言った。沈みきった表情になっているのが自分で分かった。

「……一つだけ聞かせろ。
 天元突破者に価値が無いというのなら、何のために俺の前に現れた。
 単に絶望を与えるためだけにこんな手の込んだ真似をしたというのなら、お前達は本物の悪趣味だぞ」

こんな、のところでちらりとロージェノムの首に目をやる。かつての威風堂々とした佇まいは、もうそこには見られない。
どれだけの絶望を突きつけられればこんな顔ができるのだろう。
今のような状況でも、まだ足りないと言うのだろうか。
このままでは。帰ることなど。

『もちろんそれだけじゃないさ。そこに眠っている獣人はありがたく頂いていく。
 価値は無いと言ったがそれは我々の脅威足り得ないという意味だ。
 螺旋力発現の一つのサンプルとして見れば、いくら言葉を尽くしても足りない程に興味深い存在だよ、それは』

ふと見れば足元に転がしてあったヴィラルはいつの間にか居なくなっていた。
視線を上げるとアンチ=スパイラルが肩に担ぐようにしている。そのように人間臭い仕草が必要とも思えないが。
言った通り、本当に持ち帰るつもりらしい。

『実を言えば我々も最初はロージェノムの提唱したような螺旋力が発現したのかと思っていたのだよ。
 緑に混じった桃色の輝き、あらゆる多元世界を含めても初めて目にするものでね。発現に至った道程もイレギュラーの塊だ』

去ると言っておきながらアンチ=スパイラルは尚も言葉を重ねた。傍目にも分かる知的興奮に今更ながら人間を感じる。
改造を受けた獣人。
発現するはずのない螺旋力。
人ですらない魔術プログラム。
触媒と思われる『愛』なるおもばゆい感情。
魅力的な素材、ではあるのだろう。

『もっとも我々の仕掛けた多元宇宙迷宮で甘い夢に浸っているようでは、その力も知れているがね。
 とは言え穴があっては台無しだ。じっくり観察させてもらうとするよ』
「……多元宇宙迷宮とはなんだ」
『認識すると同時に発生するのが多元宇宙だ。そこに囚われたものにすれば現実と何ら変らない。いや、まさしく現実そのものだよ。
 あの金色の魔物も、肉体が先に滅びなければさぞ心地よい世界で暮らせただろうにね』

他にも多元宇宙迷宮とやらを仕掛けた相手がいるような口ぶりだった。
それはともかく、ヴィラルの死にそうで死なない奇妙なしぶとさの理由もこれで分かる。駒は最初から敵の術中にあったのだ。
一方的に弄ばれていたことに今更ながら強烈に実感し、ルルーシュは力なく崩れ落ちる。

言うまでもなく、交渉は失敗だ。相手は遊びにきたような気楽さでしかないのだから、当然だ。
アンチ=スパイラルは嫌味なくらいゆっくりとこの場を立ち去ろうとしている。
肩に担がれた獣人の虚ろな目がルルーシュの視線を空しく照り返していた。

全て仕舞いである。
帰還の目は完全に絶たれた。


「ちょっと待ちなよ、アンタ」


そう思ったルルーシュの背後で、声が上がった。

「さっきから人が黙って聞いてりゃネチネチねちねちと……
 何かに似てると思ったら、あれだ。昔あたしの本に付いた、タチの悪いクレーマー」


ねねねだった。怒りに満ちた表情で、ゆっくりとルルーシュの横を通りすぎる。
ふと見ると、終始我関せずを決め込んでいたギルガメッシュがこの時だけ目を開けていた。


「偉そうに無意味だ無価値だ並べ立てて、アンタがどんだけ凄いかなんて知らないけどさ、何様のつもり?あぁ?
 ロージェノムとアンタとの関係なんか知らない。やろうとしたことがどれだけ無茶苦茶だったのかも知らない。知りたくもない。でもね」


ギルガメッシュだけではない。スパイク・スピーゲルも鴇羽舞衣も小早川ゆたかも、さっきまで絶望に暮れていた者たちが一様に顔を上げ、ねねねを見ていた。
ルルーシュもまた同じく、握り締められた拳を振り上げる姿に目を奪われる。


「アンタにも、アンタ以外の誰にも、他の連中のやってきたことを否定する権利なんてないっ!
 あたしたちの話はあたしたちの物なんだから、あいつらの頑張りをなかったことにするなんて許さないっ!
 あたしがっ、あたしが死んでもそんなこと、絶対にさせない!!」


振り上げられた拳は、眼前まで迫っていたアンチ=スパイラルの顔面目掛けて、泣きたくなる程真っ直ぐに放たれ。


「外野は……とっとと、帰れ!!」


それを巻き込むように姿を消したアンチ=スパイラルによって、虚しく空を切った。


『存外に楽しかったよ。ではな、滅ぼす価値さえ持たない、異形の螺旋の戦士たちよ』


その言葉が、置き土産だった。


◇


「うっ……くぅ……!」

空振った拳を痛むように抱えながら、静かにねねねは倒れ込んだ。
必死の抵抗だったのだろう。手を付き、堪えようにも堪えきれない嗚咽を漏らしている。
肩が、小刻みに揺れていた。

「これで終わり、なの……?」
「……そうらしいな」

舞衣の震えた声、スパイクの平坦過ぎる声が聞こえる。
完敗だった。

「私たちって無意味、なんですか……」

価値はない、意味はない、害にしかならない。
あの存在はルルーシュ達をそのように散々に評した。まるで害虫を潰して苦しむのを楽しむように、じわじわと、露悪的にだ。
螺旋王が恐れたのもうなずける。奴らは徹底的で、そして容赦がない。
何より的確に人間を苦しめる方法を知っている。

「そんな訳ないでしょうがよ……」

ねねねの言葉にも、もう力はなかった。形だけの抵抗であるのは明らかだ。

じくじくと湿った針で心臓を刺される思いだった。
親友の早すぎる死も。妹の元に帰るという願いも。
ルルーシュが頼りとしたものは、全て否定された。

(俺のしてきたことが……スザクは無駄死にだと言うのか……!)

この戦いにおいてだけではない。ルルーシュの人生全てが否定されたのと、それは同義だ。
帰還は叶わず、ルルーシュたちはこのまま朽ちていくしかないのだろう。あるいは殺戮の続きを演じでもするかだ。
しかし、ルルーシュの為したことに敵意を感じる程に余裕のある者もいない。
環境の激変したであろう惑星に降り立ち細々と暮らすという目もあった。
知り合いの居ない世界で、穴倉に閉じこもった生活。
まさに螺旋王そのものではないか。惨めだ。あまりに惨めで笑えてくる。

そんなものは生きているとは言わない。ブリタニアに人質として売られ、妹と共に日本に渡った頃の生活と一緒ではないか。
助けてくれるものなど誰も居ない。
ならばどうする。あのとき自分は何をした。

(そんなことがあってたまるかっ……!!
 俺とスザクの人生を踏みにじっておきながら、それを無価値と断ずるなど!
 あぁそうだ。あの女の言うことは正しい。言ってくれたなアンチ=スパイラル。よりにもよって俺のやろうとしたことを否定するとは!
 ナナリーが静かに暮らせる世界を作ることに意味がないと言うとは……!!
 そんな発言の存在は……断じて許されてはならないッ!!)

妹のために。
そう。

反逆を誓ったのだ。


「違うなぁ!!間違っているぞ、アンチ=スパイラルゥ!!」

絶望が深ければ深いほど、反発しようとする力も大きくなる。
人間とは確かに度しがたい存在だった。


◇

気が付くとルルーシュは叫んでいた。全身全霊の限りを振り絞って、聞くものがいるかすら分からない虚空に向けて叫んだ。


「貴様が俺たちを捨て置くというのなら、俺はこの場にいる全員を殺害し、自殺する!!」


まともに相手にされる可能性など無いに等しい。
それでも言わずにはいられなかった。

「貴様はヴィラルが覚醒した能力を観察によって見定めると言ったな!!99%脅威とは成り得ないことを知りながら、敢えてだ!
 矛盾じゃないのか?何故俺達に対してはそれをしない!?
 何故俺たちに1%の脅威もないと、貴様らは知っているんだ?どこでその情報を得た?また多元宇宙とでも言うつもりか?
 違うな。貴様が自ら執り行った実験とやらは失敗したのだろう?つまり貴様らは俺たちのようなサンプルについての知識はないということだ。

 ならば俺たちが無価値であることもまた、貴様らはまだ断言することはできんはずだ!!たとえその可能性がどれだけ小さくてもなぁ!!
 分からないとは言わせん!!少し話しただけで理解できたぞ、貴様らの神経質なまでの慎重さをなぁ!!」


もしかしたら、言い掛かりに等しいのかも知れない。ルルーシュの認識が見当外れの方向を向いている可能性もあった。
賭けにすら、なっていないのかも知れない。
だが、今は突くしかなかった。
奴が僅かに垣間見せた、頑迷な研究者としての側面を。

「貴様には俺たちを長期的、かつ特殊な刺激の少ない場所に移す義務がある!!
 もしこのまま俺たちに死なれたら、困るのはお前だ!!

 それとも、未だに俺たちがどれだけ貴重か理解できんか?ならば教えてやろう。
 ……手がかりは貴様の言った言葉の中にある。言っていただろう?『螺旋の輝きを見せるものはいなかった』とな。
 そう、あらゆる者にその可能性があると言われる螺旋力と言っても、それに目覚めぬ世界が大多数を占めている。
 だが俺たちはどうだ。螺旋王の仕掛けだろうがなんだろうが、ぽんぽんと螺旋力に覚醒した。
 『これだけ言えばもう分かる』だろう?この違いはなんだ?知る必要はないのか?
 怖いんだろう、螺旋力が?

 万が一、俺たちが巨大な螺旋力の温床となっていたらどうする?貴様を滅ぼすものの萌芽が既に生まれていたとしたらどうする?
 俺たちが居なくなれば、今後生まれるかも知れんその可能性を摘み取ることもできなくなるぞ?
 今お前が見せた怠慢が、めぐり巡ってお前達をまたしても打ち滅ぼすかも知れん。手痛い敗北だな。

 だがそれも仕方ないな。何せ、俺たちくらい特殊なサンプルは!滅多に手に入らないんだからなぁ!?」


既に、全員の視線がルルーシュに注がれていた。

戦火の中、激しい意志とともに螺旋力を掴んだ者。
戦いに拠らず、昂る精神からその力に目覚めた者。
幾多の修羅場をくぐり抜け、未だ発現に至らぬ者。
そもそも発現の可能性すら疑わしい者。

それら全てが、ここにいる。


「答えろぉ!!アンチ=スパイラルゥゥ!?」


ルルーシュの左目に宿るギアスの刻印が、眩い光を放って輝いた。


◇


男は言った。マタタビを殺したのはお前か、と。

俺は肯定した。ニアという少女にギアスをかけ、間接的にマタタビが死ぬように仕向けた。

女は言った。何故清麿を殺した、と。

言い訳する気はない。生きて帰りたかっただけだ。俺がそう言うと女は辛そうに顔を背けた。


それが、二人から聞いた最後の言葉だ。


俺は一人きりになり、誰もいなくなった場所でただ天を見上げている。


脱出の鍵となった英雄王は無言のままその姿を消した。

誰より早く螺旋の輝きを身に付けた少女は自らその意識を手放し。

あろうことかギアスを自力で打ち破った女もそれに続いた。

俺はほうと深い溜め息を付く。

ひどく、疲れた。

だがまだ最後の仕上げが残っている。

そう言えばまだ自分にギアスをかけたことはなかったなと、俺はふとそんなことを思った。

走馬灯のように、これまでのことが思い返される。

スザク、C.C.、カレン、シャーリー。

顔触れは多い。だが、最後に浮かぶのはたった一人だ。


ナナリー。


俺はとんとんと肩を叩かれた。

「あの、ねねね先生達かんかんです。いつまで休憩してるんだって」

俺の心地良い回想を邪魔したのは、眠り足りないのか目に隈を残し、えらく怖い顔になった鴇羽舞衣だった。

苦笑を洩らし、俺は歩き出す。

「すまない、すぐ戻る……とは言え俺はろくに睡眠もとらせてもらってないんだがな」

やれやれ、人使いの荒いことだ。

ああそうだ。


俺は、アンチ=スパイラルを説き伏せた。




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