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  • 月下流麗 -月光蝶-

アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki

月下流麗 -月光蝶-

最終更新:2021年12月10日 04:12

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月下流麗 -月光蝶- ◆2kGkudiwr6


綺麗な、そして作られた夜空の下。
セイバーはのんびりと、満月を眺めながら寝転がっていた。

「ふぅ……」

漏らした息に苦しげな様子は無い。
その体に付けられていた傷は、既に半分ほどが塞がっている。
元々セイバー自身に備わった治癒能力に、アヴァロンの自然治癒。その二つの恩恵だ。
本来ならば、鞘を持ったセイバーは吸血鬼と同等かそれ以上の再生力を誇る。
身体能力を始めとしてサーヴァントには様々な制限が掛かっているこの場でさえも、常人より遥かに高い治癒力を発揮できるのだ。

「…………」

何事も言わず、セイバーはゆっくりと鞘を持ち上げる。月へとかざすように。
この二時間、彼女は特に肩と腕の治療に重点を置いていた。
銃創も塞がり、鞘を振るのに支障は無い。魔力もそれなりに回復している。
『約束された勝利の剣』ならともかく、風王結界程度なら使用に何の問題も無い。
このような回復をしたのは、訳がある。

「…………全く」

セイバーはちらりと岸の彼方を見ていた。溜め息と共に。
そこには、同じようにのんびりと寝転がっている小次郎がいる。
剣を持っていないことを示せば諦めてどこかへ行くかと思ったのだが、そんな様子は全く無い。
それどころか自分の剣技を見せつけ始め、終えた後もそこに残った挙句セイバーと同じように地面に寝転がりだす始末。
どうやらのんびりとセイバーがどうするか眺めるつもりらしい。
現代日本ではストーカーと表現するのでしたか、とはセイバーの愚痴である。

「本来は放送まで休むつもりでしたが……」

溜め息を吐きながらセイバーは立ち上がった。
放送まであと一時間も無い。予定より少し早いが、休息は十分取れた。
それに、セイバーは一騎討ちを挑まれて退くようなタイプでもない。

「いいでしょう。ここで、片を付けます」

■

「……見事な月だ。例え作り物であろうと、その美しさは変わらぬ」

佐々木小次郎はそう、ゆっくりと気だるげに呟いていた。
寝転がったその姿勢とは正反対に、残った片腕はまるで月を掴もうとするかのように天へと伸ばされている。
……否。事実、かつては掴もうと伸ばされていたのだ。その腕は。

「……あの月もまた斬れようか、などと思ったこともあったものよ」

くっくっ、と喉が音を漏らす。その瞳は細く鋭く、遠い過去を懐かしむように。
言うまでも無くそんな事は叶わなかったし、彼もやめた。
もっとも無理だと分かったからではなく、そんなことをすれば趣が無くなるからである。
彼はそういう男であった。

「だが、落胆などせぬ。
 今、それに比するモノを斬れるのだから」

不敵な笑みを浮かべながら、小次郎は立ち上がる。
彼の目前には、水の上を歩いてくるセイバーの姿。彼にとって、これほど嬉しいことはない。
しばらくのんびりと眺めていた彼だったが、数間ほどの距離までセイバーが歩いてきたところで口を開いた。

「ふむ、そのような特技もあったか。
 化仏か、それとも何かの権現の加護でも受けているのか?」
「……私の真名を知っている割にはアーサー王伝説に疎いのですね。
 私に聖剣を授けたのは湖の精霊。つまり、私は湖の精霊に守られているということ」
「それはすまぬな。
 私の召喚者は死合いに絡むことしか説明せなんだ。
 それに……私も、それにしか興味が無い」

にやりと小次郎が笑みを浮かべる。だがその笑みは、空気を張り詰めさせる類のものだ。
顔こそ優男のそれだが、少しでも心得があるものならば気付くだろう。
その表情から発せられるは、獣さえも寄り付かぬ鋭き剣気。
だがセイバーはそれをいとも易々と受け流しながら言葉を返していく。

「よくもまあ言う物です。
 露骨に剣技を見せていたその様――誘っているのは明らかだ」
「別に誘っているわけではなかったのだがな?
 私は以前戦った覚えがしっかりとあるが、そなたは私と会ったことさえ無いと言う。
 故に、私だけが相手の剣を知っていることになる。それは死合うのに不公平であろう。
 ――それよりも、傷は問題ないか」
「……隻腕の貴方に言われたくはありませんが。
 アーサー王伝説に曰く、聖剣の鞘を持った騎士王は血を流すことはなく。
 そして、鞘を失ってからその王国の崩壊は始まった。そういうことです」
「成程、自然治癒か。便利なものよ」
「ええ。
 そして伝承の通り――鞘があるならば私に負けは無い」
「ふむ。だが剣は無い様だが……む」

肝心の得物がないだろう……そう指摘した小次郎の口は、光を透過し始めた鞘によって縫い止められていた。
憮然としながらセイバーは小次郎から少し離れた岸へと上がり、言葉と共に腕を振り上げる。
横にあった街灯へ向けて。

「侮らないでいただきたい」

鈍い金属音、そしてそれに続く破壊音に小次郎の顔が喜色に染まる。
その視線の先にあるのは不可視の剣によって両断され倒れた街灯である。
断ったのは風王結界――アヴァロンに風を纏わせ剣と成した物。
元が元のためエクスカリバーには大きく劣るが……それでも剣としては十分だ。

「成程、ただ剣を隠す為だけの鞘ではなかったか」
「この風はただの鞘ではない。切れ味を増す効果もある。
 少なくとも、人一人斬るのに差し障りの無い程度の威力は保証しましょう」
「それは重畳。そのような使い方もあったとはな」

小次郎が竜殺しの名を冠する大剣を持ち上げる。
時は満ちた。空に浮かぶ月と同じように。
一陣、旋風が吹いた。まるで場の空気に耐え切れず、怯えたかのように。
その中で、セイバーは高々と腕を掲げ名乗りをあげた。

「我が名はアーサー・ペンドラゴン。セイバーのサーヴァントにして、ブリテンの騎士王。
 剣舞を始める前に今一度この名を名乗り、そして御身の名を問おう」
「――ふ、今宵は先に言ってきたか。よかろう。
 アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。剣しか取り得の無い、つまらぬ男だ。
 もっとも――」

ゆったりと、流れるような口調で名乗り返す小次郎。
しかし、着々とその剣は持ち上がっていく。

「名など関係ない。
 我らに求められるは、ただ剣のみ――違うか、セイバーのサーヴァント?」
「――同意します。ならば」

答えるセイバーの鎧が鳴る。
ほんの微かな音だが――死合う合図としては大きすぎる物。故に――

「ここで倒れる覚悟もあるか、アサシンのサーヴァントよ――!!!」

その瞬間、セイバーは烈風と化した。

■

得物は不出来。だが扱い手は最優。
使い手は隻腕。しかし得物は大業物。
最速の剣舞が荒れ狂う。おそらく、常人には視認することさえ不可能だろう。
両者の剣は人を斬り払い断ち貫くに足る威力。だがその剣は未だ微塵も両者に傷を付けていない。
それも自然。二人の剣は必殺のみを狙った物。傷が付くときが戦いの終局である。
秒さえ待たずに十を軽く超える剣撃が奔り、交差する。
互いの剣が届くのは互いの剣がぶつかり合う所まで。
拮抗した技と力は、ほんの僅かな傾きさえ戦況という天秤に与えはしない。

「チィ――」

舌打ちしたセイバーが烈しい気合と共に鞘を叩き付けた。
鞘が纏う暴風は龍と化し、竜殺しの名を冠する鉄とぶつかり合う。
風が小次郎に届くことはない。そのことに猛り狂ったかのように、
叩きつけられた鞘が地面を沈ませる――そう、セイバーではなく、小次郎の足元を、だ。

「――ふむ」

割れた地面に引き摺られるように小次郎の躯が沈む。
沈んだのはほんの数センチ。だがこの剣舞の場において、足場の乱れは致命的。
それでもなお、彼は笑いながら左より迫り来る鞘を迎撃する。
横薙ぎに振るわれた一撃は、沈みかけていた小次郎を易々と浮かばせる。
だが、セイバーの鞘に手ごたえはない。それもまた当然。
小次郎は衝撃に身を任せ、自ら跳んで間合いを外していた。

「――まさかな。剣の重量差を無視するほどの力とは思わなんだ。
 受け流すことを主体とする我が邪剣では気付かなかったが」
「一度も私の剣を――不可視である剣をまともに受けずに戦い抜いた、と?」
「一度まともに受けたが、物干し竿はそれだけで曲がってしまってな。
 剛剣中の剛剣とは分かれど、どれほどの差があるかまでは測っておらぬ。
 ――否、そのような余裕など無かった」

小次郎の表情は相変わらずだ。飄々とした、殺意も何もかも流すかのような笑み。
それはまるで、彼の剣を表すかのごとき顔である。
そのままゆらり、と柳のようにその大剣を持ち上げ。

「――おかげで、剛剣とはいかなるものかとよい手本になる」

騎士王の剣技は模倣できると、最期まで野に生きた剣士は言い切った。

「見せてもらいましょう」
「言われずとも」

それだけ言うと共に、セイバーは一瞬で小次郎の視界から消えていた。
小次郎は目視さえせず、あまつさえ月を眺めたまま後ろへ剣を舞わす。
結果は見るまでも無い。金属音が攻撃と防御の可否を伝えている。
そのまま慣性に身を任せて小次郎はセイバーへと向き直り、その手を反転させた。
その様、まるで持っている大剣に引き寄せられたかのよう。

「……おかしな剣技を使う」
「当然。隻腕になってから思いついた急場の物だ」

翻された小次郎の手首が大剣を返す。竜殺しに相応しい勢いを乗せて。
防御したにも関わらず、小柄のセイバーは後ろにずらされていく。
距離が離れたとはいえ彼女に安穏とする余裕などない。
まるで駒のように小次郎は回転しながら、勢いのままに――いや、勢いを倍化させて一歩を踏み出す。
風のようになどという形容詞は通用しない。その様――最早風よりも速い!

「くぅ……!」

竜殺しが奔る。龍の首を刈り取るべく。
セイバーに考えている余裕など無い。息を吐きながら反射と身に染み付いた技で以って迎撃する。
小次郎が繰り出すは面、逆袈裟、胴、袈裟。必殺と呼ぶべき勢いを乗せた四連撃。
頭部を断たんとする一撃を流し、上半身を切り離す斬撃は力で以って防御。
腹から脊髄を狙う凶器を突きで逸らし、心臓を狙う剣を寸前で避けきり反撃へ移る――刹那。
袈裟への攻撃を防がれたと見るや、ほんの一瞬、僅かな動作で小次郎は首へと五撃目を繰り出す――!
反撃を狙ったはずのセイバーの剣は筋を変え、大剣を間一髪のところで受け止めた。
鍔迫り合いにはならない。いや、なりようがない。
衝突した瞬間には既に大剣は違う部位を狙わんとして飛んでいる。
何かに当たろうと当たるまいと関係が無い。小次郎の大剣は留まることを知らない。
それは柳枝の極み。清流のごとき剣はいとも簡単に次の攻撃へと移り、濁流のごとく相手を飲み込まんとする。
そして柔だけではない――剛もまた、その剣筋は内包している。
かの大英雄、ヘラクレスとさえ打ち合えるセイバーが吹き飛ばされたのがその証拠である。

(これが我が剣を模倣した結果とでも言うわけか……
 だが、違う! あくまでこれは私の剣を参考にしているに過ぎない)

金属音を立てて防御しながらも、セイバーは思考する。
周囲の万物が――空気さえもが吹き飛ばされるのは気にも留めない。
首を刎ねんと迫る大剣を幾度も跳ね返しながらも、その頭は冷静に論理を組み立てる。

(少なくとも筋力では私の方が上。それは確かだ。
 私ならわざわざ妙な剣技など扱わずとも、あのような大剣片手で振り回せる)

考えつつも、鞘で大剣を受け止めて流す。脇にあった電信柱が粉砕された。
わざわざ見せ付けてきたどこか妙な鍛錬。最初は寧ろセイバーの方が押していたのに、逆転しつつある剣速。押されている鞘。
様々な要素をセイバーの脳裏を駆ける。
しかし。

「――考え事とは余裕だな」
「っ!!!」

小次郎の声が飛ぶ。
同時に、竜殺しがセイバーの髪を数本撒き散らしながら掠めていく。
文字通りの、間一髪。だからこそ、それは思考をも断つ。
更にコンマ1秒さえ置かず、心臓への返しの一撃――!
結果を示したのは、火花――アヴァロンに纏わせた風王結界は突破されていた。

(腕の回復を優先したのは正解だった。闘いの最中で傷が開かれては困る)

意識のうち9を戦闘に集中させつつも、残りの1でセイバーは打開策を模索する。
彼女に備わった直感を頼りに、セイバーは鞘を大剣にぶつけて逸らす。
左、右斜め下、真上、1秒の間に火花がかち合う。風王結界が斬られ、霧散する。
だが小次郎の大剣は衰えるどころか、いよいよ加速していく。
歯を噛み締めてセイバーは後ろに跳ぶ。しかしそれさえ無駄。
小次郎は剣を回した勢いを利用し、体の向きを変え加速。そのまま神速の一歩。
そのまま独楽のように回転し、更に――

(――独楽の、ように)

セイバーの脳裏に、一つの言葉が稲妻のように走る。
そう、独楽だ。回転する独楽。そして、回転する物の周りには何が働く?

(遠心力か!)

小次郎の剣を受け流しながらも、セイバーはついにその結論に達した。
小次郎は「流す」達人である。その本来の剣は切っ先で相手の剣筋を逸らし、避けるか受け流すというもの。
そして今の彼はその技術を、自身の体に利用したのだ。
相手から受ける衝撃だけではない。自分自身の勢いをも上手く流す、柔の極み。
その勢いを上手く流し、竜殺しという大剣を伝え、動かす。
そしてその勢いを上手く制御し、逆に加速するための動力源にして体を動かす。それが今の小次郎の剣。
故に戦いが長引けば長引くほど、セイバーが接近を試みれば試みるほど、小次郎が剣舞は苛烈を極めていく。
もはや剣を振り回しているのでも剣に振り回されているのでもない。
小次郎の腕が大剣を導き、大剣が小次郎の躯を導く。
蒼い光に刀身を光らせ舞うその様――まるで月光蝶。

「ふむ、こうしてみれば意外と手に馴染む」
「……くっ!」

腕だけでなく全身を動かしながらも、小次郎の顔は好奇心に溢れている。
まるで、新たな玩具を得た子供のように。彼にとって、この玩具とは新たな剣技だ。
草が千切れ飛ぶ。石が弾ける。アスファルトが抉られる。風が吹き荒れる。
いよいよ小次郎の剣は激しさを増し、剣圧だけで周囲のものを吹き飛ばしていく。

だが種が割れた以上、セイバーも黙っているわけではない。

■

(……風の強さが増した?)

剣を振りながら、ふと小次郎は眉を釣り上げていた。
セイバーが作り出した風の剣、一時は弱まっていたはずのそれ。その力が増して来ているのだ。

(構わぬ。策があるというならばそれでよし。
 それごと斬って捨てるまで)

そうほくそ笑み、小次郎は剣を加速させる。体をいなし、引き絞り、反動や隙を攻撃のための活力とする。
本来なら在り得ない技術。もっとも、「一本の剣を三本に増やす」などというものに比べればよほど現実的だろう。
今までの中でも最高速の斬撃を小次郎はセイバーへと振り上げ――

瞬間、セイバーの鎧が消えた。

「何ッ!?」
「風王結界!」

セイバーが叫ぶと同時に、突風が吹き荒れた。但し、セイバーへ向けて、だ。
突風は小柄なセイバーの体を易々と吹き飛ばし、そのまま彼女は道路脇の電信柱の側へと着地した。
いくら小次郎と言えど、追いきれないほどの距離だ。
そしてそうなれば自然、小次郎は剣を――勢いを止めざるを得なくなる。

「――成程。そう意趣返しをしてくるか」
「勢いに乗った貴方を止めるのは難しい。
 ならば、一度離れて止めさせればよい。簡単な理屈です。
 もっとも持っている得物の長さの差がある以上、一度斬り合いを始めれば離脱するのは難しいことですが……
 このように、できないわけでは、ない」

満月の中、再び鎧を再構成しながらセイバーは告げていく。小次郎の剣の弱点を。
その言葉に小次郎もほくそ笑んでいた。そうでなければ張り合いが無いと言わんばかりに。

「ふむ。だが逃げてばかりでは勝てんぞ、セイバーよ」
「ええ、貴方の言う通りだ」

同時に、セイバーの腕が奔る。月光が照らす十数閃。
それは彼女の脇にあった電信柱を易々と砕き、一本の尖った長い棒を斬り出した。
長さはセイバーの身長を上回り、太さは彼女が持っている鞘にちょうど納まりそうなサイズに調節されている。
何の神秘も無く切れ味も碌にないであろうそれをセイバーは拾い上げ、魔術も使用して鞘にしっかりと固定した。

「何のつもりだ?」
「あいにく、私は『剣士』ではなく『騎士』だ」

小次郎の眉が吊りあがる。その目はセイバーしか見ていない。無残にも倒れていく電信柱など完全に意識の外だ。
それを無視するかのように、セイバーは腰だめに片手を先端である鞘に、もう一つの手を後ろ側である棒に添えた。
その構え――まさしく槍兵のものである。
同時に、鞘は再び風王結界を纏い切れ味を帯びていく……鞘だけが。
刃を先端だけに生み出したそれは、紛れも無く槍を模したもの。

「何の遊戯だ、『セイバー』?
 その名が冠する意味、忘れたとでも言うのか?」
「遊戯かどうかは、受けてみてから判断するがいい」

それが合図。
だん、と踏みしめる音とともに、セイバーが立っていたアスファルトが砕けた。
足場を砕くほど踏み込んだ跳躍はまるで銃弾。
竜殺しで受けた小次郎は、その剣ごと吹き飛ばされながらも衝撃をいなし、返す。
そのまま勢いを付けて反撃を行う――しかし、彼の戦法は、既に崩されていた。

(……間合いが変わったか!)

小次郎の目が見開かれる。
セイバーは、既に引いていた。小次郎の攻撃範囲の外へ。
華麗なまでのヒット・アンド・アウェイ。
先ほどの得物、剣だったならば成り立たない。多少の後退は小次郎の鋭い踏み込みの前に無意味と化すからだ。
だが今はリーチが違う。剣よりも長い間合いが、離脱を容易に可能とする。
それでも、平時の小次郎ならば例え槍でもあっさりと追撃できただろう。
しかし隻腕、慣れぬ大剣というツケはここにも出る――
勢いを付けてしまった腕は止まらない。竜殺しは、むなしく空を斬る。
そのまま二撃目を加えることもなく咄嗟に小次郎は後ろに跳び、間合いを外していた……いや、外させられていた。
一瞬前まで彼がいた場所には渦を巻いた暴風が土を巻き上げ……
その蒼い髪が数本、うっすらと夜風に吹かれて宙に漂っている。

「ロンゴミアント、という槍を知っているか」

セイバーは追撃せずに、鞘に風を纏わせたまま口を開く。
贋物の『ランス』を構えたままで。

「アーサー王伝説を紐解けば分かるはずだ。
 騎士である以上、私の得物は剣だけではない――
 モードレッドを討ち取った聖槍ロン。それもまた我が武器の一つ。
 宝具と呼ぶには遠いものだが――それでも、私が槍を扱ったことには変わりない」

故に、我が得物は剣だけにあらず。
風の槍に殺気と周囲から吸い上げた魔力を纏わせて、セイバーはそう告げる。
生半可な者ならそれに中てられるだけで縛り付けられるであろう、尋常ではない空気。
しかし臆することなく、あまつさえ笑みを浮かべながら小次郎はセイバーの槍を評し始めた。

「ふむ……成程、確かに野武士や凡愚の類は及びも付かぬか。
 だが、『ランサー』と言うには遅すぎるな。クー・フーリンとやらはもっと速かったぞ?」
「――なるほど、貴方はアイルランドの光の皇子と戦ったことがあるのか。
 ならばその感想もまた当然だ。我が剣に比べれば所詮小手先の技術に過ぎない。
 私が当てはまるクラスはあくまで『セイバー』の一つのみ。
 貴方が万全ならば一瞬で斬り捨てられていよう……万全ならば。
 だが今の貴方の剣は、本調子となるまでにはある程度振り回し勢いを付ける必要がある。
 故に、間合いの長さから離脱しやすい槍こそが今の貴方の弱点だ。
 貴方の剣はエンジンのかかりが遅い自動車のようなもの。
 勢いが付いていない段階なら、私程度の槍でも何とかなる」

セイバーの言葉に、小次郎は柳眉を吊り上げた。
隻腕の相手には槍でも十分である、そう剣士は告げたのだ。
……これほど屈辱的なことは無い。

「嘗められたものだ」

小次郎はドン、と竜殺しを地に叩き付け。
巨大な剣は地面を揺らし……刹那。

「そもそもその兜が気に喰わん。
 せっかくの美貌、そのように隠しては意味があるまい?」

セイバーの兜に亀裂が走り、地に落ちる。
思わずセイバーは息を呑む。今の一瞬のうちに斬られたというわけでは当然ない。
無論、兜は地面を揺らされた程度で割れ落ちるものでもない。
答えは一つ――先ほどの一瞬の交錯の中、セイバーさえ気付かぬうちに兜を断っていたのだ。

「…………ッ」

セイバーは歯を噛み締めながらも、槍を構え直す。
それを一瞥して、小次郎が前進する。
セイバーの今の得物のリーチは竜殺しよりやや上。だからこそ、セイバーは打って出ない。
彼女の得物の弱点は柄。ただの棒切れなど、竜殺しの前では紙切れに等しい。
故に、まともにぶつけ合えるのは先端部分の鞘のみなのだ。
柄を使った薙ぎ払いが出来ない以上、懐に潜り込まれれば負けるのは彼女。
だからこそ迎撃に徹し飛び込んでくる相手を迎え打つ――定石である。

「その程度では、私は止められん」

しかし、小次郎はそう告げた。そして、この言葉は決して虚勢などではない。
セイバーの返答は高速の打突。心臓と脳漿、この二点を狙う打突を小次郎は瞬時に流し、避けながらも足を踏み出す。
……踏み出せた距離はほんの僅かに過ぎないが。
彼が足を踏み出した時には、既にセイバーが槍を返している。次は穂先による薙ぎ払い。
それを弾き、小次郎は再び僅かに前進する。
セイバーの槍が風を切る。その刃は文字通り風と一体化していた。
ただでさえ刃の部分が不可視なのだ、常人ならば反応さえできはしまい。
それを小次郎は防ぎ、それどころか前進している。

顔面へと奔る突きを避け、腹部を狙った一撃をいなし、首を刎ねんとする払いを防ぐ。
セイバーが後退しようとする。だが遅い。
ここで引かれれば竜殺しを以ってしてもセイバーを斬ることはできないが、得物を断つことは十二分に可能。
槍の柄というには貧相な棒を断とうと大剣を振り上げた小次郎は。

槍の柄が消えた……いや、見えなくなっているのを見た。

「なに!?」
「そこぉ!」

セイバーが見えなくなった柄で薙ぎ払いを仕掛けたのと、小次郎が飛び退いたのは全くの同時。
小次郎の衣服の一部が舞い散る。もし飛び退いていなければ……柄が纏った風王結界によって体を両断されていただろう。
機を逃すまいとセイバーが前進する。
一息も吐かせずに繰り出した一撃に、小次郎の体勢が崩されていく。

先ほど後退の素振りを見せたのはフェイントだ。小次郎に勝利を確信させるための。
風王結界を槍全体に纏わせることは難しいことではない。むしろ容易いことだ。
それを敢えてしなかったのは、できないと思い込ませるため。
懐へ潜り込ませて油断させ、風王結界で切れ味を増させた柄で薙ぎ払う。
柄というには貧弱すぎる棒。セイバーの力では、こんな棒で殴ったところで有効打になるどころか棒が折れる。
しかし、風王結界を纏わせればそんなものでさえ凶器と化すのだ。

セイバーの追撃は終わらない。小次郎には体勢を直す暇さえない。
どこか仰け反ったような姿勢で足を後退させながら大剣を受けるのが限界だ。
瞳へと突きつけられた一撃が小次郎の眉を掠める。
臓腑を抉らんとする追撃が服を切り裂いていく。
脊髄ごと両断させる薙ぎ払いはその寸前でやっと竜殺しに止められた。
小次郎からの反撃は無い。明らかにセイバーが押している。
しかし、彼女の直感は警報を鳴らしていた。

(また加速し出している……!)

ギリ、と歯を噛み締めたのはセイバー。
体勢は崩れ防御で手一杯。そんな状況でさえ、小次郎は勢いを流し調節することを忘れない。
遠心力を活かした剣技は、再び小次郎の体を、大剣を加速させている。
これ以上長引かせれば攻めあぐねる……速さに乗り出す前に仕留める!
そう確信したからこそ、彼女は大きく振りかぶり。

「はぁっ!!!」
「ぬう……!」

次の一撃は、渾身の一手を繰り出した。魔力を今まで以上に放出し、噴射する――!
風が吹き荒れる。セイバーの前髪が吹き上がり、穂先が当たってもいない地面を抉るほどの一撃。
それを大剣で受けた小次郎はいとも簡単に吹き飛ばされ、体勢を崩す。
セイバーはとどめを刺すべく前進し……

突如脳裏に走った悪寒に、足を止めた。

「秘剣――」

小次郎の呟く声が、セイバーの悪寒を増大させる。
そう、小次郎の体勢は崩れたのではない。
渾身の一撃を受け流し、活かし、衝撃を溜めるためにその身を引き絞ったのだ。
まるでバネのごとく、今までの勢いを全て凝縮するかのように。
そして、限界まで圧縮されたバネは。

「――燕返し!!!」

失われた片方の腕を代用するまでの勢いを、大剣に与えるのだ。
剣が「二つ」走る。完全同時の二連撃。
今回吹き飛ばされたのはセイバーの方だった。
かろうじて体勢は保ったものの、土煙を上げながら後退する。

「ほう――防いだか」

表情を変えることなく、小次郎は呟く。
セイバーの得物はいつのまにか二刀へと変わっていた。
あの一瞬のうちに素早く鞘と棒を分離させ、二つの剣を同時に受けたのだ。
もっとも、棒の方は竜殺しに耐え切れず半分にへし折れていたが。

「……馬鹿な」

小次郎とは正反対に、セイバーの顔は驚愕に染まっていた。防いだにも関わらず。
かつてと同じか――そのことににやりとした小次郎は、
ほんの些細な好奇心からかつてと同じように説明してやろうと思い立った。

「燕は大気の振るえを感じ取り飛ぶ方向を変える――ならば逃げ道を囲めばよい。
 一の太刀で燕を襲い、避ける燕を二の太刀で取り囲む。
 しかし連中は素早い。事を成したければ、一息で剣を振るわなくてはならぬ」

気だるげに、月を眺めながら小次郎は語る。
一の太刀は、頭上から股下までを断つ縦軸。
二の太刀は、一の太刀を回避する対象の逃げ道を塞ぐ円の軌跡。
それを以って、いかなる者も逃がさぬ剣技と成す。
それが小次郎が秘剣、燕返し。

「今の剣はそんな簡単なものではない――あの瞬間、貴方の剣は二本あった。
 多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)。
 何の魔術も持たず宝具も無く――ただ剣技だけで魔法の域に」

多少の差異はあるものの、セイバーの反論はかつてと、そして未来と同じものだった。
そのことににやりと笑いながらも、小次郎は続けていく。

「だがまだ私は未熟――この剣を使いこなせてはおらぬ。
 燕返しの軌跡は本来三つ。
 出すのが遅れるどころか、三の太刀を振ることさえできぬといううつけぶりよ。
 しかも――限界まで勢いを付けた状態でしか放てぬと来ている」
「なるほど。私の一撃の衝撃を上手く流して自分の攻撃に転用したと言うわけですか」

そう、二つでは燕返しは不完全。三の太刀、左右への離脱を阻む払いが無くてはならない。
事実、先ほどの燕返しが完全同時の三連撃ならばセイバーの体は両断されていただろう。
しかしそんなことを残念がる様子も無く、小次郎はゆったりと声を掛けていく。
まるで雑談をするかのように……いや、その様子は真実ただの雑談に過ぎなかった。

「私としては、いくら衝撃を加えても抜けぬのに先ほどはあっさりと抜けたその棒が気になるのだがな?
 私がこうして原理を教えたのだ、そなたは話す気はないのか?」
「……何のつもりです」
「純粋な興味よ。もっとも、聞かせる気がないのならそれでよい。
 理屈がどうであろうと結果が変わるわけでもあるまい」
「……いいでしょう。
 単純な話です。鞘の内部の気圧を風王結界でコントロールしています。
 衝撃で抜けることはそうそうありませんが、私が抜き放つことは自由にできます」
「なるほど……まるで宮本武蔵だな、セイバーよ?」
「?」
「伝承に曰く、宮本武蔵は決戦場に遅れてやってきた。
 曰く、宮本武蔵は二刀流の使い手である。
 曰く、宮本武蔵は船の櫂(かい)を削り物干し竿よりも長い木刀を持ち戦った――
 恐らく容姿は全く違ったのであろうが、それでもこの場はまさしく巌流島の決戦に比するべきものなのであろうな」

遠い昔を懐かしむかのように、小次郎は語る。
しかし、セイバーは小次郎の言葉に怪訝な表情になっていた。
彼が本物の佐々木小次郎ならば、この言い方は明らかにおかしい。

本物、ならば。

「……であろう? まるで人事のような口ぶりですね、小次郎とやら」
「アサシンでよい。所詮偽りの名だ」
「偽り?」

彼の答えは自らを偽者と告げるものだった。
その言葉に眉を上げたセイバーへ、剣士はまるで下らない話でもしているかのように朗々と続けていく。

そう――過去にセイバーに告げたように。
将来、セイバーに言うように。

「そう驚くことでもなかろう。
 佐々木小次郎というものはな、もともと存在しない剣豪なのだ」
「架空の、英霊――ですが、貴方は」
「そう、アサシンだ。アサシンというサーヴァント、それを演じるためだけに違反者――
 キャスターの英霊、魔女メディアが呼び出した亡霊が私というだけの話。
 私はただ、伝承にある佐々木小次郎という役柄を演じることができる――
 燕返しを使えるという一点で呼び出された、『佐々木小次郎』という名を架せられた無名の剣士。
 ――そら、意味など初めから無いだろう?
 たとえいかなる偉業を成したところで、報酬は“佐々木小次郎”には残らぬ。無である私にとって、あらゆる事は無意味だ。
 この身は自分すら定かではない。アサシンという役柄を演じるだけの、ある人物の虚像にすぎん」

風が流れる。佐々木小次郎の――アサシンの髪が靡く。大剣が揺れる。
その気配は一言で表すならば、幽玄。決して世界には在り得ぬ存在。

「――――だが。
 その私にも唯一意味があるとすれば、それは今、この戦いこそが――」

視線を真上へと向け、遠い月を悠然と眺めながらアサシンは言う。まるで、思いを馳せるように。

そう。
佐々木小次郎の名を被っただけの亡霊に、もし願いがあったとすれば。

「――我が望み!」

――かつて佐々木小次郎(ホンモノ)が戦ったような剣士との死合いを、夢見ていたのではなかったか。

顔を下ろしたアサシンが跳ぶ。言葉よりも早く。大剣が奔る。音より鋭く。
満月夜に響くは、もう何度も繰り返された高き金属音。
折れた棒を再び収め短槍と化した鞘が、寸前でそれを止めていた。
互いの得物越しに、セイバーと小次郎の視線がかち合う。
先ほどまでの様子が嘘のように、小次郎の目は鋭く尖っていた。

「あの時の問いをもう一度問おう。
 むしろ解せんのはお前だ、セイバー!
 何を望んでこの戦いに挑む。何が――お前に剣を握らせる!?」
「!? 私は……」

セイバーが息を呑む。
彼女の頭に浮かぶのは、遠い誓い。
……そう。選定の剣――勝利すべき黄金の剣を、抜いた時の。


戦うと決めた。
何もかも失って、みんなにきらわれることになったとしても。
それでも、戦うと決めた王の誓い。
結果は無残だった。決して、全て遠き理想郷などではなかった。
――王は、国を守れなかった。だから。


「ぬ…………!?」
「私はぁあああああああああ!」

魔力が放出される。その量、人一人吹き飛ばすに足る。その勢いだろう。思わずアサシンは後退していた。
いや、この言葉は間違っているだろう。セイバーから発せられる剛き闘志にアサシンは怯んでいたのだ。そう、あの時以上に。
急な魔力放出の代償として、名も無き棒はそれで砕けた。残るは鞘のみ。
当然の摂理である。宝具ならともかく、路傍の残骸がセイバーの魔力放出に耐え切れるはずもない。
しかしセイバーは引かず、体勢が崩れたアサシンを狙うべく鞘を叩きつける――!

「ふむ――再び剣舞か!」

二つの剣が月光の下で爆ぜあう。
奔る剣閃数十合。輝く星空よりも激しく、雄雄しく火花が散りあう。
完全に、全くの互角で剣が交差しあう。
セイバーの剣が轟音を上げ、アサシンの大剣が夜空に響く。
しかしそれではセイバーは勝てない。長引けば長引くほどアサシンの剣は勢いを増す。

……それは、セイバー自身も分かっている。

アサシンの剣が地面を裂きながら振り上げられる。足元から脳天までを両断する斬り上げ。
その剣は既に勢いに乗り出している。セイバーの力を上回るほどに。
真っ向から受け止めたセイバーは、まるで人形のように高さ数十メートルを越える空中へと吹き飛ばされた――否。
セイバーは自分から飛び上がったのだ。それを示すかのように、セイバーは防具を全て解除していた。
少しでも高く飛び上がって時間を稼ぐため、そして防具の魔力を切り札となる攻撃として開放するために。
アサシンならば「地上の」数十メートル程度はあっさりと詰め、風を解き放つ隙を与えないだろう。
だが、上空の数十メートルとなれば話は別だ。だからこそ、セイバーは跳んだ。
彼女の目論見はただ一つ。今まで鞘を覆っていた風王結界による、上空からの遠距離攻撃のみ!

「アサシン――私は貴方に勝つ!
 それが王である、私の債務だ!!!」
「よかろう、これで最後だ!!!」

二人の声が唱和する。月光蝶が二人を照らす。
セイバーが空中で動く手段は風王結界による加速一つのみ。
その風王結界を飛び道具に回す以上、セイバーに動く手段は無い。
地上に落ちればその隙にアサシンに斬り捨てられる。それは必定。
故に――セイバーの放つ攻撃は、必殺を期するものである。
だからこその最後。ここで互いに繰り出すのは、正真正銘の最強の一撃でしかありえない。

「――――風王」

夜空の瞬きを背負い、セイバーが風を開放する。
風王結界。宝具に分類されているものの、これは正確には魔術である。故に、フレキシブルな使用が可能なのだ。
例えば剣を覆う鞘となり、切れ味を鋭くする。
あるいはセイバー自身を吹き飛ばし、空を翔るための推進剤となる。
そして、もう一つ。暴風と化し――遠く離れた敵を両断する。単純にして明快な効果だ。
暴風は渦を巻いていく。まるで、龍のように。

「秘剣――――」

月光の下、アサシンが体を引き絞る。
燕返し。宝具ではない、ただの剣技。しかし、その剣技は英霊の宝具にさえ匹敵する。
多重屈折現象――一つしかない剣で三つの剣筋となす、世の道理さえ断ち切る剣。
渦を巻く龍を討ち取らんと、竜殺しが猛り狂う。

「結界――――!!!」
「燕返し――――!!!」

龍が放たれる。竜巻が螺旋を描いてアサシンを両断するべく奔る。
竜殺しは舞う。迫る風の龍を討ち取るべく。
二つの剣が爆ぜあい……轟音を、夜空に響かせた。

■



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