anko3069 死んで花実が咲くものか - ふたば系ゆっくりいじめＳＳ@ ＷＩＫＩミラー

『死んで花実が咲くものか』 1KB
小ネタ 餡娘ちゃんお誕生日おめでとうございます

夏の終わりが近づいてきたある日、突き刺さるような日の光が降り注ぐ中、バスケットボールほどの大きさの緑饅頭が向日葵畑に転がっていた。
その周りには、同じような大きさの金黒紫の三色饅頭もいくつか横たわっている。
そのどれもが酷く傷つけられており、中には目と思しき物が抉り出された饅頭も見受けられた。
しかし、饅頭たちの惨状とは裏腹に、向日葵は何事もなかったかのように太陽を見つめ、夏の日差しを茶色の混じった萎びた葉で受け止めている。
一体ここで何があったというのか、それを知るのは彼ら向日葵だけであろう。

不意に緑饅頭が動き出し、天に聳え立つ向日葵を見上げる。
実際には天に聳え立つ、という表現は緑饅頭から見た視点の話で、向日葵は大して大きくもなく、聳え立つ、というほど生気を溢れさせているわけではなかったが。

自身に深く突き刺さった木の枝が地面と擦れ、緑饅頭の中身を掻き混ぜる。
屈してもおかしくないほどの痛みが、襤褸切れのように消耗した緑饅頭に容赦なく襲い掛かるが、緑饅頭はまるで何も感じていないように、ただ向日葵のみを見つめていた。
その身を貫く枝だけではなく、生首饅頭と呼んでも差し支えないその体のあちこちに出来た切り傷から、蜂蜜色の液体が流れ出す。
彼女たちにとっての命が静かに、しかし着実に流れ出していた。
それでも、緑饅頭はただ向日葵のみを見据え、まるで慈しむように微笑んでいた。
その目には、目前に迫った死への恐怖など存在していない。大事なものを守りきれた安堵と、向日葵への愛情だけが輝いていた。

日が沈むまで、緑饅頭は向日葵を見つめ続け、そして日が昇る頃、緑饅頭は息絶えた。
光を失った緑饅頭の目に朝露が涙のような膜を張り、地平線からほんの少し身をはみ出させた太陽が向日葵畑を照らす。
いつしか向日葵は皆、頭を垂れて緑饅頭を見つめていた。

日が高く昇っても、向日葵はずっと緑饅頭を見つめ続けている。

緑饅頭のそばに、花びらが一枚落ちた。

もうすぐ秋が来る、そんなある日の出来事だった。