編集後記 「親に恩返しするためにベンチャーに行く」
親にお世話になったため、親を悲しませたくないし、安心させるために、
安定した大企業にいきます、という声を毎年のように耳にします。
そんな中、昨年、一人のある学生が
「大企業になんか言ったら、
これまで育ててくれた親に申し訳ないので、
ぼくはベンチャーに行きます」
と言いました。
(彼は外資戦略コンサルの最終面接にまで残るほど高学歴で優秀な学生でした)
普通であれば、大企業に行きます、と言いそうなものだが、彼は違った。
なぜ、そう思うのか?と聞くと、
大企業は、真面目な人であれば誰でも、ある程度働いて結果を出せるような
お膳立てが整った環境にあるため、自分が行っても誰が行っても変わりない。
自分は親に私立の中高一貫を経て、一流大学・大学院まで学費を出してもらって、
相当に教育投資を受けた身であると。
その自分が、自分の安定のためとか、多少給料が良いからとか、安心だからとか
いう「つまらない理由」で大企業に行くのは申し訳ないと。
これだけ教育投資を受けたからには、お金を出してくれた親のためにも、
社会のために新しい価値を提供する仕事をしなければいけない。
社会に貢献する働きをすることこそが、親への恩返しになるだろうと
考えたそうです。
社会に貢献する、世の中のためになる仕事をダイレクトにするためには、
ベンチャー企業で具体的に事業創造できる力を若いうちに身につけて、
30代前半までには経営者としての力を身につけて、世の中の問題を解決できる
起業家や経営者になるという目標を達成するためには、やはり、はじめから
ベンチャー企業に行かなければと考えたそうです。
大企業で安定志向の連中とのんびり研修など受けている余裕はないと。
彼は私が昨年会った学生の中でも、最も印象に残る学生の一人ではあるが、
相当に彼が特殊なわけではなく、他にも、同じような考えをして、
大企業の内定を蹴って、ベンチャー企業に飛び込んだ猛者が何名もいます。
10-20年後の日本を創るのは、間違いなく彼ら・彼女らではないかと
私は確信しています。
最終更新:2009年05月11日 21:28