『自由な時間の使い方』
唯先輩達が卒業してから早3ヶ月。
新生軽音部の新入生歓迎ライブの成功もあってか、新入部員2名が加わり現在軽音部は計5名で活動中。
部員が増えるのは嬉しいことだ。
演奏の幅が広がるし、部も活気付く。
ついでに言うと面倒な顧問の相手をしてくれる人も増えるし。
でも、心の中に少しだけモヤモヤがあった。
「梓ちゃん、お茶どうぞ」
「ありがと、憂」
「どうしたの、さっきから難しい顔してたよ」
「そ…う?」
「うん、なにかあった?」
今部室には私と憂だけ。
純は予定があるとかで来れなくて、一年生は学年で実習があるようで来れない。
「えっと、憂は軽音部大変じゃない?」
「練習は難しかったりするけど、楽しいから大変じゃないよ」
「そっか、実はね…無理やり私につき合わせちゃってるんじゃないかって」
「そ、そんなことないよ」
「でも、せっかく自由な時間が出来たんだから好きなことに使って欲しいし…」
「それなら大丈夫だよ」
「…え?」
「私、好きなことに時間使ってるよ」
「憂の好きなこと…って?」
「私、軽音部大好きだよ」
「憂………」
「それに…」
「それに…?」
憂は少しだけ顔を伏せて
「梓ちゃんと…もっと一緒に居たいから…」
「な、ななな!?」
「そんな理由じゃだめ…かな?」
照れ笑いを見せながらぶつけられた質問に私は動揺することしかできなかった。
「だ、だめじゃないよ!だ、だめだなんて誰が言うもんですか!」
「ありがとう、梓ちゃん」
「れ、練習しよう!ほ、ほら、新生軽音部はまじめにいきます!」
「うん!」
心のモヤモヤは違った色のモヤモヤになりました。
終わり
最終更新:2010年10月09日 02:40