憂は何も言わなかった、弱音を吐かなかった、寂しいの一言も打ち明けなかった
私は憂の家に泊まりに来ている、時には純と一緒に、時には純がという風に
憂は寂しがり屋だ、唯先輩が修学旅行中の泣きそうになったので充分わかった、だから純と話し合って程よい頻度で泊まりに行こうと決めた
今日は私一人で、憂の作ってくれた夕飯も食べお風呂も済ませた
ベッドはなんと憂と一緒で一緒に寝る、ちょっとドキドキする
そして憂の温かさを隣で感じながら眠りにつく
?「……っ…く…ぐす…………」
梓「…ん………?」
憂「…ぅっ……ぅ…」
梓「(憂………)」
憂が泣いていた
気付かれたくなかったのか、掛け布団に顔を押し付け私を起こしてしまわないようなるべく声を出さないように
寂しいよね、ずっと一緒だったんだもん、突然一人暮らしするって言われて憂のショックは計り知れなかったと思う
それに一年我慢して同じ大学へ行きさえすれば唯先輩とまた暮らせる…………これはそんな話じゃない、それじゃ一人暮らしを始めた意味がない、これは良い意味で憂とはもう一緒に暮らさないと言われたようなものだから、多分憂も分かってると思う
私…私は唯先輩じゃない、唯先輩の居なくなった寂しさは埋めてあげれない、でも私は…私という立場で寂しさを埋めてあげたい、中野梓として
梓「憂……」
梓「我慢しないで寂しいなら寂しいって言って…私も先輩達が卒業して寂しい…憂の寂しいとは違うけど気持ちはわかるから、憂の寂しい気持ち私が埋めるから。唯先輩の温かさには及ばないけど頑張る………憂、私ね…」
唯先輩の妹だからじゃない、唯先輩に似てるからじゃない、「平沢憂」一人の女性として憂に告白する
梓「憂が好き」
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【憂視点】
寂しい…
寂しいよ…
お姉ちゃんが一人暮らしを始めて凄く静かになってしまった家での日常
虚無
今はただ生活をするために何となく家事をしてるだけ
前は楽しかった、お姉ちゃんの笑顔を見る為、学校や部活を終えたお姉ちゃんへ温かいご飯を食べて貰うため、ギターの練習やお勉強を快適に集中してできるように
お姉ちゃん中心…でもお姉ちゃんが居なくなり、何かを見失ってしまった………
そんな中、梓ちゃんと純ちゃんが来てくれるようになった
私に気を使ってくれてるんだよね…ありがとう
純「今日も差し入れ持ってきたよー」
憂「うん、ありがとー」
寂しい…
梓「今日は凄いね、料理一杯」
憂「うん、2人が来るから張り切っちゃった」
寂しいよ……
憂「純ちゃん、これ運ん…あっこら」ニコニコ
純「あはは、美味しそうだったから、つい」ベ
梓「純、早く持って来て」
ごめんね、2人とも来てくれてるのにやっぱり寂しい……
比べてるつもりなんてない、でも……お姉ちゃん……
梓「こんばんは、今日も来たよ憂」
憂「いらっしゃーい、あがって」
梓「うん、はいお菓子」
憂「ありがとう、梓ちゃん」
今日も来てくれた、嬉しいな…そしてごめんね
夕飯にお風呂、雑談と今日も2人で楽しく過ごせた、その楽しい時間はすぐに過ぎあっという間に寝る時間になった、梓ちゃんが赤くなってる気がしたけど気のせいかな?
可愛いな、梓ちゃん
そして…強いね
夜は昼間と違って静か……
だから冷静に自分を客観的に見れたり、人の状況とかをよく考えられる
お姉ちゃん、家事大丈夫かな?怪我してないよね?戸締まり大丈夫かな?学校楽しい?私は梓ちゃん達と楽しくやってる、梓ちゃんが泊まりに来てくれてね、隣に梓ちゃんが寝てるんだ………お姉ちゃん…みたいに…………寂しいよ…寂しい…
憂「…ぐす…寂しい……」
憂「梓ちゃん達が…来てくれてるのに…私…」
憂「!?…梓…ちゃん」
起こしてしまった
それよりバレてしまった、泣いてた事…また心配かけてしまう、迷惑かけてしまう
でも、梓ちゃんが言ってくれた言葉は気遣うものでも可哀想だからというものでもクラスメートとしてでもなかった
お姉ちゃんしか見てなくて支えてくれてた人がくれたその言葉は私にお姉ちゃんがくれた温かさとはまた別の温かい気持ちにさせてくれた、気付かせてくれた
そして私の返事は……
憂「梓ちゃん、こんな寂しがり屋な私だけど梓ちゃんが側にいてくれたら…もう…大丈夫」
お姉ちゃんの代わりじゃない、中野梓ちゃんという一人の女性として
「私も梓ちゃんが好き」
最終更新:2010年10月29日 01:41