璃雨さんが入室しました
璃雨->(北方の街 ツァラド都市連合
璃雨->(彼女が居るのは、都市と呼ぶには些か閑散とした場所 雪面と凍り付いた大地に覆われた辺境
璃雨->(レクロマクシスとの境にほど近い、小さな小さな町
璃雨->(扉から差す薄い灯り。広い聖堂の両端にずらりと並んでいるのは、無数の氷の棺桶
璃雨->………。(扉の前に立ち、振り返るようにしてそれらを眺め
璃雨->(観音扉を開き、外へ出る
璃雨->(時刻は明朝。あまりに静謐すぎる空間 雲一つ無い青白んだ空と、温度の無い空気が出迎える
璃雨->………(さく、と、霜の立った地面を踏み
璃雨->(ゆっくりと歩き出す
璃雨->(さく、さく
璃雨->(音の消えた町に足音を落としながら、どこか虚ろな足取りで
璃雨->(歩を進めると、広く澄んだ湖が見えてくる
璃雨->………(さく、さく、
璃雨->(何も見ていないような白んだ顔で、ゆっくりと湖面に歩み寄る
璃雨->(水面を覗き込む
璃雨->(映るのは、いつもの笑みすら失せた、生気の無い白い顔
璃雨->………
璃雨->そう、私、
璃雨->こんな顔してたのね。
璃雨->………
璃雨->死んでるみたい。(ぽつりと
璃雨->あの棺に眠る人たちの方が……
璃雨->余程、安らかだわ。
ウルウさんが入室しました
ウルウ->(さく、さくさく
ウルウ->(璃雨の遥か後方から微かに響く足音
璃雨->………(足音が耳に届く。
璃雨->(町の人間が起き出してきたのだろうと、深く気に留める事も無く
ウルウ->(さくさく、さくさく
ウルウ->(璃雨の元へまっすぐと向かう足音
璃雨->………
璃雨->(足音が近付き、こちらに向かってきている、と認識する
璃雨->(町の人間だろうか。かつて馴染みのあった町。数人とは会話も交わした。
璃雨->(そう思い、ながら、警戒も、期待も無く
璃雨->(後ろを振り向く
ウルウ->(そこに立つのは
ウルウ->(雪と氷にまみれた服を来た―どこかで見た召使い
璃雨->、
ウルウ->…(吐く息は白く、極寒の地に似合わぬ出で立ちで璃雨の方を見ている
璃雨->・・・・・・(ゆっくりと、立ち上がり
璃雨->(こんな極寒の地に、いるはずのない出で立ちの、いるはずのない人間の姿を、目に収める
ウルウ->…………………
ウルウ->(前に歩みを止め、じっと璃雨の前に立つ
璃雨->………(一瞬、目を丸くして、ウルウの姿を見つめたまま
璃雨->………………、(言葉が出てこない
ウルウ->此処に、居たのですね…………………
璃雨->………、
璃雨-> ど、うして 。
ウルウ->(今朝の天気にそぐわない雪と氷にまみれた服を来て璃雨の方を見る
ウルウ->…………………
璃雨->(どうしてここまで、どうしてそんな格好で、どうしてそんな風になってまで、どうして、 あなたが、 此処に、
ウルウ->此処が、
ウルウ->…………………
ウルウ->此処が貴女の居場所ですか?
璃雨->………………
ウルウ->(ウルウの背には町の情景が広がる
璃雨->………此処に来てからは、(ぽつりと、絞り出すように
璃雨->…とても静かよ。もう、何年も経ったみたい。
璃雨->………
ウルウ->そう、ですか…
璃雨->それだけ。
ウルウ->………
璃雨->………これが、逃げ場なのかしらね。
ウルウ->この地には………
ウルウ->安息できましたか?
璃雨->………
璃雨->何にも無いのね。
璃雨->静かで平穏な場所に、安息はあるのだと思っていたけれど。
璃雨->………何にも。
ウルウ->はい………
ウルウ->此処は恐らく、違うのでしょう…
璃雨->………
ウルウ->貴女の居場所では、無かった。
ウルウ->(静かに、断言する
璃雨->………
璃雨->私の生きてきた場所は、とても少ないの。
璃雨->ここと、あの家くらい。(ぽつりぽつりと
ウルウ->…………………
璃雨->………元々、
璃雨->何処にも無かったのかもね。(自嘲するように笑って
ウルウ->いえ………
ウルウ->「あの家」こそが……貴女の居た居場所です。
璃雨->………っ、(睨むように漆を見て
璃雨->…あなたまさか、その為に此処に来たの?
ウルウ->…………………はい。
ウルウ->(睨まれるのも覚悟していたように
ウルウ->(静かに見つめ返し
璃雨->……… そう。
璃雨->それはご苦労な事ね。
ウルウ->…………………
璃雨->………、(しゅる、と上着の紐を解き
璃雨->(ばさりと水色の上着を取り去り、白の中華服姿に
璃雨->(己の着ていたそれを、ばさ、と乱暴に漆に掛ける
璃雨->帰って。
ウルウ->いえ。
ウルウ->帰るべきは貴女です。(掛けられた服を右手で掴んで前に差し出す
璃雨->嫌。(漆を睨み、一言
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->私は、あの家の人間と性質が違うの。
璃雨->あんな風にしておいて、何も考えず戻ってきてのうのうとしていられる程、
璃雨->能天気でも無神経でも無いのよ!
ウルウ->そうでしょうね。
ウルウ->それでも。
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->………互いの生き方には、干渉できないと、
璃雨->あなたは言ったはずよ。
ウルウ->…はい。
ウルウ->あの場所は、
ウルウ->長年、抗い続けてきた場所です・・・・・・・
璃雨->……放っておいてよ。
ウルウ->私は、
ウルウ->一度仕えた命<メイ>に、尽くすべきだと考えて、おりました。
ウルウ->たとえ人生の根幹に触れるような事が起きたとしても・・・・・・・
璃雨->………
ウルウ->続けるべきだと、考えておりました。
ウルウ->止めたら、終わってしまうから。
璃雨->………、
璃雨->何を、言ってるの
璃雨->……それじゃあまるで、
璃雨->今は違う、と言っているみたいじゃない。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->(璃雨を見て
ウルウ->そう、考えて、
ウルウ->此処へ辿り着き、貴女を見つけた。
ウルウ->貴女に会い、
ウルウ->「貴女は貴女の居場所へ戻り、自らの歩みを続けるのだと」伝えに…………………
ウルウ->その、つもりで。
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->………………
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->それを、伝えるために、
ウルウ->…貴女に会いに来ました。
璃雨->………
璃雨->そう。(息を吐くように
璃雨->その為に、わざわざこんな所まで。
ウルウ->…………………
璃雨->………訳が分からないわよ、
璃雨->こんな遠くて虚しいところに、こんな極寒の地にそんな出で立ちで、そんな風になってまで、
璃雨->そんな強情を押し付ける為だけに来たっていうの!?
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->……何よ、何で、そんなに、
璃雨->いっそ何もしないでくれたら、、諦められるのに。 何も信じないで、期待しないで済むのに……
璃雨->死なせてもくれない!逃げさせてもくれない!
璃雨->あなた、、、本当に、
璃雨->私に何がしたいのよ……ッ!!
ウルウ->…、
ウルウ->本当に…………………
ウルウ->…………………
ウルウ->本当に・・・・・・・
ウルウ->貴女に会い…たかった…?
璃雨->………(勢いで息を荒げ、白い息を吐きながら
璃雨->……っ 何……?
ウルウ->いえ…、私は、…会って貴女に…、今までの道を歩んで欲しい、と…伝えるために………
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->……私が、「元に戻った」として、
璃雨->あなたに何の得があるっていうのよ。…その強情な心がほんの少し、満足するだけでしょう
ウルウ->いえ、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->戻る以外にも・・・・・・・
ウルウ->道は、あります、
璃雨->………?
ウルウ->「死ぬ」わけでもない・・・・・・・
ウルウ->今までの道を歩むわけでもない…………………
ウルウ->っ、
璃雨->………どういう、事。
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->新たな『道』……? 軽々しく言わないでよ(苦し気に目を逸らしつつ
璃雨->それとも、
璃雨->あなたが示してくれるとでも言うつもり?(漆を睨みつけ
ウルウ->はい。(静かに
璃雨->、
璃雨->え?
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->…………………
ウルウ->私自身、そう、歩みを、変えるべき、時、なんでしょうね・・・・・・・
ウルウ->貴女に「今までの道へ戻るように」と言いながら、
ウルウ->私自身・・・・・・・(雪と氷にまみれた召使いの服を着たまま
璃雨->………、
ウルウ->私の「今までの道」とは、違う道へ来ているようです…………………
ウルウ->貴女が、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->いえ。貴女も。「今までの道」へ戻れない。と言うのであれば・・・・・・・
ウルウ->…………………
ウルウ->私と一緒に、探して、頂けませんか?
ウルウ->(璃雨へと静かに伝える
璃雨->…………っ(目を見開き
ウルウ->歩んだことの無い道の歩き方を………・・・・
璃雨->……歩んだ、ことの、無い、
璃雨->新しい道…………(ぽつりと
璃雨->っ、、(瞳を潤ませ、零しはせず
璃雨->……一緒に迷ってくれるって言うの?(震えた声で返す
璃雨->……そう、
璃雨->信じていいの……?
ウルウ->…はい。
ウルウ->果てしない迷い路かもしれません…ですが、
ウルウ->・・……………
ウルウ->どうか、ご一緒させてください。
璃雨->……っ、、(漆を見上げて
璃雨->っ、(ぼろっと両目から涙を零し
璃雨->、(俯き、両手で目元を覆う
ウルウ->(さく、さく、
ウルウ->(璃雨へ近づき、、、背中から先ほどの服をかける
璃雨->、
璃雨->……………、
璃雨->ゎ、(顔を俯けたまま
璃雨->私の方こそ、
璃雨->お願い、するわ。(なんとか絞り出すように
ウルウ->はい。
ウルウ->・・・これから、
ウルウ->お願い致します、り(璃雨様――…?)
璃雨->……(顔から手を離し、掛けられた上着を手で手繰りながら
ウルウ->これからお願い致します。璃雨、さん。
璃雨->………うん。
璃雨->よろしくね、漆さん。(小さく、今までに無かった微笑み方で
璃雨->……
璃雨->ありがとう。(小さな声で
ウルウ->―………
ウルウ->(さく、
ウルウ->………・・・・
ウルウ->(一歩歩み
ウルウ->いえ、・ ・ ・ ・ ・ ・…(何か言いかけて
璃雨->………?(漆を見上げて
ウルウ->…(安らかな表情を浮かべて璃雨を見て
ウルウ->―――(今日が1歩目。これから歩むまだ見ぬ道の、ほんの1歩。
ウルウ->・・・・・、……
ウルウさんが退室しました
璃雨さんが退室しました
最終更新:2015年12月05日 09:08