車椅子さんが入室しました
車椅子->(ある貴族の家の
車椅子->(ある一室で
車椅子->(小奇麗に片付けられたベッドの隣に
車椅子->(置き去りにされる車椅子
車椅子->・・・・・・・
車椅子->(その上に座らされる冷えた死体
車椅子さんが退室しました
ウルウさんが入室しました
ウルウ->(召使用の部屋。
ウルウ->(自室のベッドで、重い瞼を開ける。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->(長い夢を見ていたのか。目覚めが重い。
ウルウ->今日は…何時でしょうか……
ウルウ->いえ…いつから何時に……
ウルウ->今は…
ウルウ->(文章にならない自問を呟き、
ウルウ->(重い、重い体を起こす
ウルウ->…………………
ウルウ->起きなければ…いけませんね…
ウルウ->もう何日…こうして居た事か…
ウルウ->あの日から…ずっと…既に…
壁さんが退室しました
璃雨さんが入室しました
璃雨->(コンコン、と控えめなノックの音がする
ウルウ->…………………
ウルウ->どうぞ。
璃雨->…。(カチャ、とドアノブが回り
璃雨->…失礼するわ。(ゆっくりと、探るようにドアが開かれる
璃雨->……。(ドアを半開きにしたまま、ベッドの上の漆を見る
璃雨->………余り、
璃雨->回復はしていないみたいね。
ウルウ->…………………
ウルウ->そうですね。
ウルウ->想定以上に…いえ、本来ならすぐに立ち上がらなければならないのですが…
璃雨->…。良いじゃない、別に。
璃雨->一日中寝倒したって、それも新たな『道』よ。
璃雨->(真面目な顔で言う
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->そう、でしょうか………
璃雨->掃除なんかはしばらく私がやるから。大人しく休んでいて。
ウルウ->それは………
璃雨->あなたみたいな人は、どうせ復調したらしゃかりきに働き出すわ。
ウルウ->そうですね…おそらくそうでしょう。(妙に納得したように
璃雨->…だから、今の内に貸しを作っておくだけよ。
ウルウ->…………………
ウルウ->では、…
璃雨->……様子を見に来ただけだから。
璃雨->、……何かしら?
ウルウ->いえ、
ウルウ->回復するまでは、お言葉に甘えさせて………
ウルウ->頂きます………(言い慣れていないであろう口振りで
璃雨->…えぇ、そうしてちょうだい。
璃雨->それじゃあ、…休養の邪魔をするのも何だし、そろそろ出るわね。
ウルウ->・・・・・・・
璃雨->……。……そうだわ、
璃雨->あなた宛の郵便物が幾つか届いているのだけれど、
璃雨->此処に持って来た方が良いかしら。
ウルウ->…………………
ウルウ->そう、ですね。心当たりは少ないですが、良ければ………
璃雨->わかったわ。…じゃあ、少し待っていて、
璃雨->(言って、半開きの扉が閉じられる
璃雨->(暫しの間の後
璃雨->(ノックでの確認の後、ドアがカチャリと開く
ウルウ->…………………
璃雨->……これよ。(漆の傍まで歩き、
璃雨->(幾つかの封筒を手渡す とりわけ、封蝋で閉じられた古風で立派な封筒が目につく
ウルウ->これは…?(真っ先に古風な封筒に手を伸ばし
ウルウ->(すぐに封を切って開ける。
璃雨->……中を見たりはしていないけれど。…見た所、
璃雨->招待状、かしらね……。
ウルウ->………(内容を読み
ウルウ->招待状、ですね。
ウルウ->蒼菖蒲壱葦様と、金鳳花或在様の、結婚式の招待状です。(読みながら伝える
璃雨->……………… そう。
璃雨->(返事は淡々と、無感動に
ウルウ->…………………
ウルウ->おそらく、璃雨、さんにも、届いているはずです。
璃雨->………………。
璃雨->私は受け取っていないし、返事を出す事もできないから。(淡々と
璃雨->……漆さんは出席されるの?
ウルウ->…………………
ウルウ->出席すべきだと考えます。
ウルウ->………璃雨さんは?
璃雨->…… あの人は嫌いじゃないわ。
璃雨->そうね、でも。 あえて私が出席しなければならない理由が見出せないわね。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->壱葦様には…大恩がある。
ウルウ->そうでなくとも、当主であり、尊敬すべき兄で、あります………
ウルウ->………私は、行くつもりです。
璃雨->……ええ、あなたはそうでしょうね。
璃雨->立派な長兄かつ当主を持って、……良い事だと思うわ。
ウルウ->………
璃雨->………それに、私は、
璃雨->もう『金鳳花璃雨』で居る心算は無いの。
ウルウ->………そう、でしょうね。
璃雨->……当日は留守番くらいしておくわ。
ウルウ->…………………
ウルウ->誰とも、
ウルウ->…会う気にはなりませんか?
璃雨->…………。
璃雨->(俯き、険しい表情で
璃雨->会わない方が良いと思っているわ。
璃雨->あの『家』の私は、偽りの笑みと優しさと、包容を振り撒いていただけ。
璃雨->何の信頼も、関係も、築けてはいないから。
ウルウ->…………………
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->(哀しい自嘲。きっと、真意は別にあっても、今は、
ウルウ->それなら、この家に残るのも…新たな………
ウルウ->(『道』 本当にそうだろうか
ウルウ->…………………
ウルウ->いえ、
ウルウ->やはり会いに行きましょう。
璃雨->、
璃雨->……漆さん?(怪訝そうに漆を見つめて
ウルウ->しかし…『金鳳花家』としてではなく………
ウルウ->正式に………別の場所に住まう許可を頂くため。我々の当主様に。
璃雨->、
璃雨->……(明らかに苦虫を噛み潰したような顔で
璃雨->私は、
璃雨->あれと同じ空気を吸うのも苦痛。
璃雨->……だけれど、あなたは、それを解って言っているのよね。
ウルウ->…はい。
璃雨->……。
ウルウ->…必要な事です。
璃雨->……呆れるくらい真面目ね、あなた。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->これでも緩くなったほうです。(静かに
璃雨->…………
璃雨->言われてみればそうね。(ふぅ、と溜息混じりに
璃雨->……仕方、無いわね。
璃雨->最近は、私があなたに我を通してばかりだし。……偶には言う事を聞いてあげるわ。
璃雨->あのクソ当主ついでに一発殴ってやる。
璃雨->それでいい?(漆に
ウルウ->はい。
ウルウ->…………………
ウルウ->無理なお願いに付き合って頂き………、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->……感謝、、、致します。
璃雨->……。例を言われる事ではないけれど、そうね。
璃雨->…どういたしまして。
ウルウ->私も壱葦様にお伝え致します。
ウルウ->その時を最後に、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->この家を出ましょう。
璃雨->、(少し目を丸くして
璃雨->…………これから、何処に行くの?
ウルウ->…………………
ウルウ->…………………それを決める『道』でしょうか。
璃雨->……。…………。
璃雨->それも良いわね。(ふっと笑って
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->はい。
璃雨->少し気が楽になってきたわ。(笑み浮かべたまま
ウルウ->…………………
ウルウ->共に結婚式へ向かいましょう。
ウルウ->蒼菖蒲家と金鳳花家の、結婚式の舞台へ…………………
璃雨->……ええ。
璃雨->……必要な事だから。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->…………………
ウルウ->、(ふと頭抑えて
璃雨->…、
ウルウ->郵便物の確認有難う御座いました。おかげで、大切な招待状に気づけました。
璃雨->……いえ。
璃雨->ごめんなさいね、お疲れの所。
璃雨->それじゃあ、…私はそろそろ。
ウルウ->……はい。
璃雨->……。お大事に。(呟くように言うと
璃雨->(さっと扉に歩いて行く
ウルウ->………はい。
ウルウ->………有難う御座います。
璃雨->……。(礼の言葉を背に受け
璃雨->(扉を開き、閉じる
璃雨さんが退室しました
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->この家と
ウルウ->(布団に入り、天井を見上げ
ウルウ->長く住んだこの家と、
ウルウ->(目を瞑り、
ウルウ->永く仕えた黒様に、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->お別れを、しなければなりません。
ウルウ->(眠りへと着く
ウルウ->(極寒の地からこの場所へ戻ってきて、
ウルウ->(眠っているばかりだ
ウルウさんが退室しました
車椅子さんが入室しました
車椅子->(別室の小奇麗に片付けられたベッドの隣に
車椅子->(置き去りにされる車椅子
車椅子->(その上に置いて有る死体
車椅子->・・・・・・・
車椅子さんが退室しました
最終更新:2016年02月03日 19:16