イチイさんが入室しました
イチイ->(結婚式 二次会会場廊下
イチイ->(人並みから抜け出すように一人廊下に出てくる新郎
イチイ->(タキシード姿だが、式の時より幾分シンプルな薄いグレー ブートニア等の小物も微妙に変わっている
イチイ->(所謂披露宴用の姿。
イチイ->…ふぅ。(やっと一息、といった様子で
イチイ->(先程まで彼が行っていたのは、
イチイ->(各所への挨拶回り。各人への挨拶回り。とにかくとにかく挨拶回り。
イチイ->(予想できた事ではあるが、元々社交的な事が人間的にそこまで得意ではない彼。疲れるものは疲れる。
イチイ->(挨拶回りもようやく落ち着いてきて、一息入れようと出てきた所。
ウルウさんが入室しました
ウルウ->(壱葦の元へ静かに歩んでくる濃い紺色スーツの男性
ウルウ->…………………
ウルウ->…お疲れ様です。壱葦様。
ウルウ->(イチイの近くまで来て立ち止まる
イチイ->あぁ、漆。(声の方を向いて微笑む
イチイ->漆もお疲れ様。 嬉しいよ、来てくれて。(他意のない言葉を向ける
ウルウ->いえ……改めまして、結婚おめでとうございます。壱葦兄様。(丁寧に一礼をする
イチイ->…ありがとう。(笑みを浮かべて漆の礼を受ける
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->今、少しだけ、お時間を宜しいでしょうか。
ウルウ->お伝えするべき事が御座います。
イチイ->……(改まった様子の漆を見て
イチイ->うん。…何かな? 聞かせてくれ。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->…………………
ウルウ->蒼菖蒲壱葦様、
ウルウ->私めは・・・・・・・
ウルウ->本日を持って、あの家での職務を終え、新しい『道』を歩もうと、考えております。
ウルウ->今まで、
ウルウ->今まで・・・
イチイ->………。
ウルウ->今まで、何度も、蒼菖蒲壱葦様が、私めの為に、無理を通して来て頂けたのは存じております。
ウルウ->今回、ご結婚される前に蒼菖蒲家の兄弟を集めた時でさえ、
ウルウ->私めに、何かを、強要する事は無かった。
ウルウ->・・・・・・・
イチイ->……。(漆が全てを伝え終えるまで、静かに待つ
ウルウ->私めは、
ウルウ->蒼菖蒲家に初めて与えられた職務に、固執しすぎておりました。
ウルウ->・・・・・・・その事を、
ウルウ->今更後悔するべき事などありえません。ありえませんが、
ウルウ->…………………
ウルウ->新しい『道』の為、
ウルウ->・・・・・・・玄源武家での職務を終えさせて頂きたい。
ウルウ->勝手を承知で…お願い致します。(深々と壱葦に頭を下げる
イチイ->………(驚きと、様々な感情の入り混じった瞳で、その頭を見下ろす
イチイ->……。
イチイ->ぼくはね、
イチイ->きみに職務を「終えさせない」事が、きみの救いになるのだと、……ずっとそう思っていた。
イチイ->けれどそれはただ、「傷付けない」だけの手段で、
イチイ->…いや、違うね。ただぼくには、きみを傷付ける勇気が無かったんだ。
イチイ->……けれど、
イチイ->きみはいつの間にかそうやって、自分自身の力で、
イチイ->新たな『道』を選べるまでに、なっていたんだね……。(漆を見つめて
ウルウ->…………………
ウルウ->今まで、「傷付けない」で守って頂けたのは、真に感謝しております。
ウルウ->ですから。
ウルウ->ですからこそ。これは。身勝手な決断です。
ウルウ->蒼菖蒲壱葦様、
ウルウ->私、蒼菖蒲漆めに、
ウルウ->新たな『道』を選ぶことを、お許し下さい。
イチイ->……。ひとつ、
イチイ->一ツだけ、訊いても良いかな。
ウルウ->…………………はい。(頭を下げたまま
イチイ->その道は、
イチイ->…孤独では無いかい?
ウルウ->はい。
ウルウ->(迷いなく答える
イチイ->そうか。(微笑んで
イチイ->なら、ぼくには何も言う事は無いよ。
イチイ->きみの選んだ『道』を…歩んでほしい。
ウルウ->…………………
イチイ->身勝手な事を、言うけれど、
イチイ->良かった。(笑って
ウルウ->…………………
ウルウ->(その言葉を受けて
ウルウ->畏まりました。
ウルウ->(顔をあげ
ウルウ->蒼菖蒲家の名に恥じぬよう、"生きて"参ります。
ウルウ->(壱葦に丁寧に伝える
イチイ->うん。(顔を上げたウルウを見つめて
イチイ->今までありがとう、漆。
イチイ->……そして、
イチイ->これからも、よろしく。(微笑んで
ウルウ->はい。
ウルウ->…………………
ウルウ->これからもよろしくおねがいいたします。 蒼菖蒲壱葦兄様。
ウルウ->(壱葦を真っ直ぐ見つめて伝える
イチイ->うん。(笑って
ウルウ->…………………
ウルウ->では、
ウルウ->失礼致します。お忙しいところ貴重なお時間を有難う御座いました。
イチイ->ううん。こちらこそ、ありがとう。
イチイ->また…
イチイ->いつでも家においで。(笑って
ウルウ->、
ウルウ->…………………はい。
ウルウ->失礼します。(一礼して
ウルウ->(一歩下がって、頭を上げ、背を向けて、
ウルウ->(歩み出す
イチイ->(新たに歩み出すウルウの背を、そっと見送る
ウルウさんが退室しました
イチイさんが退室しました
ウルウさんが入室しました
ウルウ->(壱葦と別れ、
ウルウ->(廊下を歩く
ウルウ->…
ウルウ->(廊下を歩いて歩いて
ウルウ->………
ウルウ->(庭へ出て
ウルウ->………
ウルウ->(蒼菖蒲家の敷地内を歩きまわる
ウルウ->…………………
ウルウ->(空を見上げ
ウルウ->この道は、
ウルウ->…………………
ウルウ->孤独ではない。
ウルウ->(壱葦に問われ伝えた言葉を繰り返す
サンゲさんが入室しました
サンゲ->あれ? でも独りじゃない?
ウルウ->― ― ―
ウルウ->(背筋が凍るような想いを振り払い、背後から聞こえた声に振り返る
サンゲ->ははッ、久しぶりだね。(ふにゃっと笑い
サンゲ->(モノクルつけた燕尾服 アノトキ と変わらない姿でそこに居る
ウルウ->・・・・・・・
サンゲ->あれ? 僕の事忘れちゃった?
ウルウ->いえ。
ウルウ->もちろん覚えておりますよ。参華様。
サンゲ->ははッ 良かった。
ウルウ->(参華を見つめて
サンゲ->(ウルウの立ち姿を見て
サンゲ->今日はおっきな忘れ物してたみたいだったから、
サンゲ->一緒に忘れられちゃったのかと思ったよ。(ふにゃっと笑み
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->忘れたことなど、ありませんよ。
サンゲ->え。そうなんだ?
サンゲ->僕は忘れないとやってらんないから。
サンゲ->全部忘れるようにするんだけどな。
サンゲ->死んじゃった人の事なんて。
ウルウ->よく覚えておりますよ。
ウルウ->黒様の事は勿論、
ウルウ->黒様に仕えていた参華様の事も、
ウルウ->玄源武家だけでなく蒼菖蒲家だけでなく、
ウルウ->参華様に追従していた、私めの事も。
ウルウ->(参華を見つめて静かに
サンゲ->あれ?
サンゲ->あれあれ?(ウルウ見て
サンゲ->でももう辞めるんだ。死んだ子連れて回るの。
サンゲ->ははッ、忘れちゃった方が良いけどね。でも。
サンゲ->『僕が教えたウルウ』が無くなっちゃうのはちょっと寂しいな。
ウルウ->いえ。ご心配なく。
ウルウ->『兄上を止めれなかったウルウ』は。
ウルウ->今も貴方の前に居ますよ。
サンゲ->え?(ウルウ見て
ウルウ->(静かな足取りで参華に近づき、
ウルウ->(首を抉るような水平突き
サンゲ->(動き出しをステッキで弾く
ウルウ->(逆の手でステッキの持ち手へ手刀を放つ
サンゲ->(動き出しを逆手の手刀で弾く
ウルウ->(屈みながら下がって水面蹴り
サンゲ->ははッ!(技を放つ前にウルウを蹴り上げる
ウルウ->っ、(蹴り上げられ、
ウルウ->…………………(着地して距離を取る
サンゲ->はははッ! どうしたのさ?
サンゲ->珍しいね? そんな好戦的になって?
サンゲ->(ふにゃっと笑って
ウルウ->貴方様に教わった技です。
サンゲ->うん。サボって無かったんだね。(嬉しそうに
ウルウ->はい。
サンゲ->でも、同じ技なら動く前にわかっちゃうよ?(楽しそうに
ウルウ->いえ………私めは…貴方とは違います………
ウルウ->「忘れた」事などありません。
ウルウ->後悔しなかった事もない。
ウルウ->逃げる事はあっても目をそむける事はあっても。
ウルウ->真面目に愚直に…主従に陶酔する事はあっても。
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->蒼菖蒲参華の"三度目"を止めれなかったのは、私めの責任です。
サンゲ->はははッ・・・
サンゲ->何それ?
サンゲ->じゃあ僕は悪くないって事? 君が止めれなかったのが悪いから? ははッ!
サンゲ->変なの。変だよそんなの。変さ、漆。
ウルウ->・・・・・・・
サンゲ->黒様を殺しちゃったのは僕だもん! ははッ! 忘れられるワケ無いじゃん!
サンゲ->だから君は悪く無いっ!(左腕を振るい
サンゲ->(視認しづらい幾重ものピアノ線がウルウを縛る
ウルウ->、(縛られ
ウルウ->丁度こんなふうに
サンゲ->縛って
ウルウ->縛られて
サンゲ->黒様は死んじゃったっ!
ウルウ->止めることが出来なかった。
サンゲ->はははッ・・・
ウルウ->(ピアノ線に縛られ、参華を真っ直ぐ見つめて
サンゲ->変なの。
サンゲ->変だよ。
サンゲ->漆は黒様が死んだおかげで、
サンゲ->ずっとずっと黒様に仕える事が出来て、
サンゲ->技術を教えて、拠り所を作った僕を、恨んでなかったと思ったのに。
サンゲ->変。変だよ漆。
ウルウ->(参華を真っ直ぐ見つめて
サンゲ->孤独を満たす術で、君に黒塗りの世界を作って、僕らはアノトキ一旦完成したはずなのに、
サンゲ->変。ははッ変だよ漆!
ウルウ->・・・・・・・(参華を真っ直ぐ見つめて
サンゲ->やっぱり変。なんで?なんで?死んだ子置いてきちゃったの?
サンゲ->なんで僕と共に陶酔の主従を遂行しないの?なんで?
サンゲ->やっぱり僕が全部悪いの?
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->ええ。悪いです。
ウルウ->にんげん、は、そんな事を、しません。
ウルウ->蒼菖蒲家は、蒼菖蒲家の名に、恥じない行いを常とします。
サンゲ->え?
ウルウ->貴方も、私めも、にんげん、失格です。
ウルウ->(参華を真っ直ぐ見て、伝える
サンゲ->『解放される術―――(左腕を大きく引き
ウルウ->―誰が死んでも、世界は哀しむ。』(動き出しに合わせて重ねる詠唱
ウルウ->(土から生み出た死霊の腕が、ウルウを土の中へと引きずり込む
サンゲ->――っ?(ピアノ線がすべて解かれ、腕先の重みが無くなる
ウルウ->「封解かれよ、(地中から聞こえる声
ウルウ->―死霊の――
サンゲ->嫌だッ!!
サンゲ->(地中からの声を掻き消すように叫ぶ
サンゲ->僕の生き方は僕が決める!
サンゲ->それで良いって! それで良いって壱葦も弐棋も!
サンゲ->兄サン達は言ってくれたッ!
サンゲ->だからッ!!!(地を大きく蹴って
サンゲ->(跳躍して、どこかへ奔って行く
サンゲさんが退室しました
ウルウ->…………………
ウルウ->(地中からゆっくり出てくる
ウルウ->っ、(斬鋼線に擦り斬られた部位から血が滲み
ウルウ->(何事も無かったかのように平静に、
ウルウ->(土埃を払う
ウルウ->…っ、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->、
ウルウ->・・・・・・・
ウルウ->(空見上げ
ウルウ->…………………
ウルウ->申し訳、御座いません。
ウルウ->(蒼菖蒲家の敷地を彷徨う
ウルウさんが退室しました
最終更新:2016年02月17日 18:10