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- 黎にしずむ - [夕陽 ぼたん グリアス ルヴァン ウツセ]

夕陽さんが入室しました
夕陽 : (チリーン、と入店。
夕陽 : (午前2時過ぎ。奇妙な時間だが、夕陽にとっては大事な相手との待ち合わせ。
夕陽 : (他に客はおらず、店員もサボっているのか姿が見えない。
夕陽 : ………、。
夕陽 : 誰も、いないわね…。
夕陽 : ……。(とりあえず椅子に座り、コーヒーを注文し、物思いにふける。
夕陽 : (……そういえば、
夕陽 : (やっと買ったスマホでぽちぽちとメッセージを打ってから、随分と経ってしまった。
夕陽 : (「花見に行きませんか。たまには外を出歩けって言っていたし。」
夕陽 : (返事はない。
夕陽 : (「忙しいんならいいけど、夏凛さんも誘って、どうかしら。」
夕陽 : (返事はない。
夕陽 : (返信は何もない。既読マークも表示されない。
夕陽 : ……、はぁ……。
夕陽 : (今までもこのようなことは度々あった。
夕陽 : (たいていはアルバが研究にのめり込んでいることが原因だった。
夕陽 : ……。
夕陽 : (だけど、
夕陽 : (結局自分はアルバにとってその程度の人間なのか…、と思ってしまう。
夕陽 : ………、。
夕陽 : (ゆっくりした速度で心が沈んでいく。
夕陽 : (そして、なんとなくアルバに愛想が尽きてくる気がする。
夕陽 : (本当に愛想が尽きてしまうことはないのだが…。
夕陽 : ……
夕陽 : ……はぁ、つまんないの。
夕陽 : (テーブルに肘をついて、だらっとしたポーズ。
夕陽 : (するとその時…
ぼたんさんが入室しました
ぼたん : (チリーン、と入店のベルの音が。
夕陽 : (背筋をぴしっと伸ばす。
ぼたん : (夕陽にゆったりと近づき…、
ぼたん : …、はじめまして。金星ぼたんです…。金星淡の妹、です。
夕陽 : ……、こんにちは。初めまして。(夕陽に出来る限りの笑みを浮かべるが、どこか強張っている。
夕陽 : とにかく、座ってください…。(ぎくしゃくとした表情で
ぼたん : (夕陽の向かいの、出口側の席に座る
ぼたん : ……、  ……。(ぐっとスカートの裾を握る
ぼたん : あの……。お兄ちゃんは生きてますか…?
ぼたん : ずっと……探してたんですけど……
ぼたん : 消息がわからなく……なっちゃって……
夕陽 : ー ー ー ー ーー ー ー ー ー
夕陽 : (この子に、自分はなんと答えるべきだろうか。
夕陽 : (気まずい時間が流れる。
夕陽 : (慎重に言葉を探していく夕陽。
夕陽 : ……。
ぼたん : ……
夕陽 : ……、単刀直入に言うと、あなたのお兄さん…。
夕陽 : 金星淡は第二次対抗魔戦争のなかで死にました。
夕陽 : (………空気が凍りついた気がした。
夕陽 : (………彼にはキアシスにそんな義理はなかっただろうに。
夕陽 : (それを聞いてから徐々に、ぼたんの表情が崩れていった、ように見えた。
ぼたん : …… ……(顔を手で隠して
ぼたん : ………、(机に崩されるような体勢に
ぼたん : ぐす…ぐす……、(そして、すすりなく音が聞こえてくる
ぼたん : (うつむきながら涙を流しているのか、ぼたんは全く顔をあげない。
ぼたん : そんな……なんで……ぐすっ……
夕陽 : …………、。
夕陽 : (この子に、自分はなんて言えばよかったんだろうか。
夕陽 : (手の間から見える肌に、明白な疲労の色が見える。いや、もっと顔色が悪い、とさえ言えそうだ。
夕陽 : (兄の消息を追ってここまで来たのだから……仕方ないことだろう、と思う。
夕陽 : 淡 : (右胸に大きな穴が空き、口から血を流している)
夕陽 : 淡 : ………………、。(ヒュー、ヒューという呼気が口から漏れる
夕陽 : (淡が死ぬ寸前の姿が明確に脳裏に浮かぶ。
夕陽 : (その南国なまりの口調、声色、徐々に小さくなる吐息と一緒に。
夕陽 : ––––––––––––––––––––––––––-
夕陽 : (夕陽は、言葉をひとつひとつ丁寧に選びながら…、
夕陽 : (淡が自分にとってどれほど特別だったか、そして優しく勇敢だったかをゆっくりと語っていった。
ぼたん : (ぼたんはずっと啜り泣きながら、話を聞いている。
ぼたん : (会話も終わりに差し掛かった…
夕陽 : (そのように思えたその時だった。
ぼたん : ………
ぼたん : お前の…、
ぼたん : ……お前のせいだ…
ぼたん : (明らかに敵意のこもった低い声で
夕陽 : ………えっ。
ぼたん : ……お前が
ぼたん : ……お前が、お兄ちゃんを…殺したんだ……
ぼたん : ……ぐすっ、
ぼたん : なんでそんな何もなかったみたいに喋れるの……?
ぼたん : ……なんの感情もなく、淡々と…。
ぼたん : 死んでも何とも思ってないんでしょ……?
ぼたん : ………
ぼたん : いや、違う。
ぼたん : 利用したんだ…
ぼたん : ……きっと能力が欲しかったから利用して殺したんだ……。
夕陽 : (言われている言葉がうまく頭に入ってこない
ぼたん : なんで、こんな奴に……。
ぼたん : ……
ぼたん : お兄ちゃん……
ぼたん : ………絶対に許せない……(敵をむき出しにした声で夕陽をなじる
ぼたん : ……こんなの…、私ここにこなきゃ良かった…
ぼたん : (そして突然ガタッ、と立ち上がる。
ぼたん : (素早く踵を返し、さっと出口へと。 
ぼたん : (そのまま立ち去ろうとする。
夕陽 : (–––––過去がフラッシュバックする。
夕陽 : 淡 : いつかぼくの生まれた島を案内するよ。人なんていないけど、ぼくの生まれた島を見せたいんだ。何もないけど、悪いやつもいないから。
夕陽 : 淡 : そこでその……、(声が小さくなって口ごもる)。
夕陽 : 淡 : 指輪とか…………渡そうかな…………(ほとんど聞こえない音量。
夕陽 : (なんども、
夕陽 : (なんども直接に淡の口から聞いた、大事な妹の話ーー
夕陽 : (だからこそ、どう取り繕えば、
夕陽 : (どう誤解を解けばいいのかわからないけど、
夕陽 : ……私はこの人に嫌われたくない(心の中で小さく呟く
夕陽 : ………
夕陽 : ーーー待って…!(珍しく大きな声で
ぼたん : (去る足をぱたりと止める
夕陽 : (ぼたんのほうに駆け寄る。
夕陽 : (だが、顔つきは無表情のまま、強張って、うまく動いてくれない。
夕陽 : (少しだけ涙で目元が滲むくらいだ。
夕陽 : (こんな時でも、ほんの少しだけ。
夕陽 : お願い、待って…!(ぼたんに追いつく
夕陽 : (大声を出しながらぼたんの肩をガッと掴み、
夕陽 : (そして無理やり振り返らせる。
夕陽 : (–––––そこで、異変に気づいてしまった。
夕陽 : ーーーえっ…?
ぼたん : (白目を剥いている。ずっと机でも突っ伏したフリをして白目を剥いていたかのようですらある。
ぼたん : えへぇ…ぽふぅ…(白目を剥きながら、ニタァと笑み。
ぼたん : (舌をべろべろべろべろ、と高速で動かしている。
ぼたん : ……べろべろべろべろ、
ぼたん : べ  ろ  べ  ろ  べ  ろ  べ  ろ  … …
ぼたん : ば   ー   ー ー   ー  っ … …(言うと同時にぼたんの右手が夕陽の首筋を狙って一撃
ぼたん : (手には件のアンプルが握り締められている。
ぼたん : ( ぐ  さ  り  、
夕陽 : ………… …… …、あっ
夕陽 : ………、  …… … (床に血がしたたる
夕陽 : …… …
夕陽 : 
グリアスさんが入室しました
グリアス : ば ー ー ー ーっ … …
ぼたん : (魔本による催眠に加え、スフィアを通じた遠隔操作魔法。
グリアス : ーーー今は使われてない古びれた映画館。
グリアス : (スクリーンいっぱいに、夕陽が力なく倒れていくところが映し出されている。
グリアス : ………ぎゃっはっはっはっはっは(ポップコーン食べながら腹を抱えて笑ってる。
グリアス : はぁ、くだらん話じゃった…。つまんな〜…。キアシスの英雄(偽物)はとんだコミュ障じゃったのぅ…。
グリアス : ランドール賞ものの演技上手のワシもさすがにキツかったわい。ほっほっほ……。
グリアス : わしは知っとるよ。(優しげな笑みをたたえて
グリアス : 嬉しい、悲しい、寂しい、腹が立つ、お主にも感情はある。
グリアス : でも表現できないんじゃよなぁ…。 悲しいのぉ…。
グリアス : 自分の気持ちを押し殺して、偽物のヒーロー気取り。ご苦労様じゃ。
グリアス : そういう癖がついてるんじゃのぅ…ふぉっふぉ
グリアス : しかし、どういう育てられ方をしたら、そんな生き方へたっぴになるんじゃ?(首をかしげる
グリアス : 自己表現なんて簡単なもんじゃろ。
グリアス : そういうママの教育方針じゃったのかな?
グリアス : ………。
グリアス : あ、わしが育てたんじゃった。
グリアス : (ズズーーーーーーッとでかい容器に入ったコーラを一気に啜る
グリアス : きゃっきゃきゃきゃ!!(年甲斐も足をドタバタしながらなくはしゃいでる
グリアス : 傑作…、傑作じゃて(腹抱えて笑ってる
グリアス : それにしても、なにやら目が滲んでおったけど、それでも涙はこぼれんじゃのぅ。悲しいのぅ〜。
グリアス : これで小娘も人間の感情を少しは学べるといいのぅ〜!!
グリアス : 必要な教育じゃよ、教育ぅ〜!
グリアスさんが退室しました
夕陽 : ーーそして場面はEMに戻る。
夕陽 : (鈍い痛みが首筋に。
夕陽 : (白目でべろべろしてるぼたんを見ながら、意識が途切れていく
夕陽 : あぁそうか…、
夕陽 : この子は…何者かに操られて…。
夕陽 : ……。
夕陽 : なんだ、良かった、
夕陽 : 本当に……。
夕陽 : ……………
夕陽 : (ドサリ、と。
ぼたん : よ〜し!午前2時に踏み切りにしゅうごーう!!(白目をむきながら
ぼたん : 大げさな荷物も持って行こうーッ!!(意識のない夕陽をずずず…っと引きずって行こうとする
ぼたん : (…が、店奥から爆発する鎖がその行く手を阻む
ルヴァンさんが入室しました
ルヴァン : ……おいおいマジか…(サボりから戻ってきた
ぼたん : ……ケキャキャキャキャ!(白目を剥きながら、けたたましい笑いとともに走り去っていく。
ぼたんさんが退室しました
ルヴァン : おい、大丈夫か…?(ペチペチと夕陽の頬を
ルヴァン : だめだ…これは……、病院に連れてかないと……
夕陽 : (ここで夕陽の記憶は一旦途切れる
ルヴァンさんが退室しました
夕陽 : (–––––––––数時間後…、意識が回復すると
夕陽 : (キアシス市立病院の一室だった。
夕陽 : (ーーーあれからどれほど経ったのかよくわからない。
夕陽 : (夕陽の体は、魔力吸収アンプルの効果によってその自由をほとんど奪われていた。
夕陽 : ……、…。
夕陽 : (それから一人ぼんやりと過ごす時間がすぎていく
夕陽 : (時間だけすぎる中、頭の中が整理されてきた。
夕陽 : アルバ……、…
夕陽 : (アルバの身が危険に違いない。
夕陽 : (きっと何かの事件に巻き込まれたに違いない
夕陽 : (ようやくそのことに意識がいく
夕陽 : (今すぐ、助けに行かないといけないのに…。
夕陽 : (もう私には、何もできない……、
夕陽 : ……、
夕陽 : (……体は何もいうことを聞いてくれない。
夕陽 : (付き合いベタのせいか、病室には誰もお見舞いに来る気配がない。
夕陽 : ……アルバ…。
夕陽 : (ぐっ、とシートを握ろうとするが思うように動かない。
夕陽 : また、私は……
夕陽 : 大事な人をなくしてしまうのか……、。(諦めに似た笑みがこぼれる
夕陽 : (じんわりとした無力感。
夕陽 : (半身だけやっとのことで起き上がり、窓の外を眺める。
夕陽 : (ーーーオレンジ色の西日がガラスから差し込んでいた。
夕陽 : …………、。(さっきは流れなかった涙がつーっと一雫頬を流れる。
夕陽 : (夕日が沈む寸前の光景だ。
ウツセさんが入室しました
ウツセ : (……と、その時。
ウツセ : (廊下にたったったった、と響く軽快な足音。
ウツセ : (ガラガラガラ、っと勢いよくドアが開けられる。
ウツセ : ………お見舞いっス。
ウツセさんが退室しました
夕陽さんが退室しました

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最終更新:2019年04月29日 06:10