彩 とりどりのみらい [ディッセ ロレ]

ディッセさんが入室しました
ディッセ : (――昼下がりのキアシス。 某ドーナツショップのオープンテラスにて
ディッセ : (先日バスが激突しかけた…のも過去の話。
ディッセ : (目先に迫った夏の晴天。 けれども風が涼しいのは目先を流れる運河のおかげか。
ディッセ : …、(ローブの男が買い物袋の数々を降ろし、自らも席に着く
ディッセ : (ローブから除く両腕は包帯で包まれており……簡単な動きぐらいは出来るようだ。
ディッセ : (しかし、戦闘や、細かい作業は厳しいだろう。
ロレさんが入室しました
ディッセ : (――武器に頼らず、人ならざる”血”を全開に回した結果。
ディッセ : (故にようやく辿り着く境地と、その引き換えとしては――
ロレ : (ディッセの対席にちょこんと腰掛ける小さな…少女?
ディッセ : ……。(平穏に流れる運河、街路の人々、最後にロレを見て
ディッセ : ……悪くないものだ。
ロレ : (紙袋一つを傍に置く。…怪我明けなのに結局ほとんど持たせてもらえなかった。
ロレ : …?(ディッセの言葉に少し顔を上げる
ディッセ : …ん。 ああ、いや。
ロレ : … 街、だね。(真似のように街路に視線をやって呟く。他に感想は出て来ないが
ディッセ : こうして見るのは、初めてか?
ロレ : ううん。 ずっと昔に、見ていた筈だけど…
ディッセ : そうか……(ロレを見遣る。 白いブラウスに、新緑のロングスカート
ディッセ : (いずれも小さく花の刺繍が入っており……北欧というと語弊があるが、いわゆるポウフェナテイスト。
ロレ : …その頃の思い出は、なんだかぼやけてて。 同じ街って、実感もあんまり。
ロレ : (…そして、自身の装いを見遣る。まだどこか着慣れない様子だが
ディッセ : これから拾い集めていけば良い。自由を得たとは、そういうことだからな。
ディッセ : じきに夏も本番だ。 ここ<キアシス>は夏場でも夜は涼しい。
ディッセ : 近く、星祭りもある。 ……そうやって馴染んで行けば良いさ。
ロレ : …うん。 …そう、だね。(テラスに吹き込む風を受けながら
ロレ : ……… 自由。 自由、かぁ。(扱いあぐねるように、自分の中でその言葉を転がす
ロレ : ……ディッセ。(どこか不安げに名を呼び
ロレ : ディッセは、 どういう風に…生きてるの?
ディッセ : ……難しい質問だな(ふむ、と
ロレ : …ごめんなさい。 …わからないから、参考にしたくて…。
ディッセ : ダンジョン巡りにトレジャーハント、街の依頼も受けつつ生計を立てて……といったところだが
ロレ : (――彼女はこれまでずっと、誰かに添ってきた。そういうやり方で生き残ってきた。
ディッセ : これは”何をして”生きているかという話で、少しズレた回答だな。
ロレ : (故に、わからない。何からどう始めたらいいのか。どう一歩を進めたらいいのか。
ロレ : ……ダンジョン。トレジャーハント。…冒険で身を立てているのね。
ディッセ : ああ。 今どき少ないようだがな。
ロレ : ふぅん。 …なんで、それをやってるの?
ディッセ : ………。
ディッセ : ……きっかけは、師匠のためだ。
ロレ : ……お師匠様。
ディッセ : 俺の血は……少し、珍しくてな。
ディッセ : (遙かなる祖、日の光を克服した種が居たという。いわゆる、デイ・ウォーカー。
ロレ : …そうなの?(素朴に
ディッセ : (しかし、その話は――)――ああ、今は割愛するが。まぁ、それで怪我したところを師匠に拾われてな。
ディッセ : 魔術なり、生きる術なり、人史なり、何かと教えてもらった。
ロレ : そうなんだ…。
ディッセ : 俺の師は人理の護り手だった。 昔、抗魔や、異種神とも前線を切って戦ったらしい。
ディッセ : ……まぁ、詳しくは聞けていないが。 昔話が苦手らしくてね。(――ちょくちょく記憶が飛んで暴走していた所為であるが、彼は知る由もない――
ロレ : そっか。……すごい人だったのね。
ディッセ : ああ。
ロレ : …ディッセにとって、おとうさまのような存在?
ロレ : ぁ、おかあさまかもしれないね(ハ、と
ディッセ : ……難しいな。父かと云われると。(…あっちのが若そうだし
ディッセ : 人生の導き手であったのは確かだ。 …故に師匠と呼んでいるのかもしれないな。
ロレ : …そっかぁ。
ディッセ : だが今は隠居だ。 前線で戦える状態じゃない。
ロレ : 、……。
ディッセ : ……追い詰めたのは、人々だ。 …護ってきた諸人にな。
ディッセ : あそこまでの腕を持ちながらも、そこまで追い詰められた。 ……皮肉なのか、運命なのか。
ロレ : …(表情を曇らせ
ロレ : …それで、冒険を?
ディッセ : ……そうだな。 ”特効薬”探し半分、世界を見て回るが半分、だな。
ディッセ : …ロレ。 俺が”疾刀”を撃った時、どう思った?
ロレ : …… どう、って?(思考を巡らせる。かの激戦、最後に放たれた一撃を思い出す。
ディッセ : ……まぁ、ロレがそこまで斜に構えるとは思わないが。
ディッセ : 多くの人は 助かった、 そう思うだろう。
ロレ : ………うん。 奇跡みたい、と思ったよ。
ディッセ : ……。そうだな。  皆の協力あってこその突破口だったが。
ロレ : …何か、わるい事があるの?(訊ねられた事を不思議に思うように
ディッセ : ……俺の師匠も、同じように驚異を打倒して戦った。
ディッセ : 人々を救った、救いに救って、掌で救いきれないほどに。
ディッセ : ……だが、待っていたのは人々の怠惰だった。
ディッセ : 何かあっても彼が何とかしてくれる、奇跡があれば何とかなると。
ロレ : ………。
ディッセ : 殉教と言えば聞こえは良い。 ……師匠は、懶惰と嫉妬で編まれた茨の道を突っ走った。
ディッセ : ……救っては来たが、導いては来なかった。 その定めだと。
ディッセ : ……師匠は、最後まで人を責めることはなかったよ。
ロレ : ……… そっか。
ディッセ : ロレが困ったらアレを撃ってくれ、と安易に思うような性格じゃないのは判ってるが
ディッセ : …まぁ。 人は、色々だからな……
ロレ : ……。そうだね。(それは判る、という風に
ロレ : …秘密にする。 …反動も、大きいみたいだし…(ディッセの両腕に視線を遣って
ディッセ : (助かる、と瞑目する
ロレ : …ディッセは、お師匠様とはちがう道を行くのね。
ディッセ : そうなる…な。 続きを、俺なりの方法で歩んでいるとも言えるが
ディッセ : ただまぁ……そうだな。
ロレ : …?
ディッセ : 夜、焚き火をしながら見上げた星空や、塔から雲と街並みを見下ろした時
ディッセ : 半月掛けて登ったのに、まるて頂上が見えない切り立った山など――
ディッセ : そういった景色や情景を見た時、 ああ、悪くないな……と、そう思う。
ロレ : ……。
ディッセ : こういった平和な街並みも好きだがな。 …それよりも(ロレを見て
ロレ : (つられて自分を見遣る
ディッセ : ただただ、人々が生み出したものを斃して行くものかと思っていた。
ロレ : …。
ディッセ : 全てが奪われ墜ちていく命が、今は俺の前でドーナツをまっている。
ディッセ : それは、ああ。悪くない。(ふ、と軟く
ロレ : ……、(どう返したらいいのかわからない様子
ロレ : 悪くない、悪くないなら……良い事?
ディッセ : ああ、そうだな。
ロレ : そっか…。(心なし安堵した様子で
ディッセ : 何も手前味噌を褒めてるわけじゃない。 ロレが、自身で前を向いて生きていることを喜ばしく思う。
ロレ : ……「わたしたち」はずっと、人間の魔力を狙っていた。(ポツリと
ロレ : …それは多分、「わたしたち」が人間の中で生きていたから。その中で生きる術を探していたから。
ディッセ : ………
ロレ : でも、今は………(ふと周囲を見遣る。 昼下がりのテラスは賑やかで、談笑の声がざわざわと聞こえる。
ディッセ : 今は…どうだ?
ロレ : ……同じように、人の中にいるのに。全然違う気持ち。
ロレ : …ううん、芯のところは、あんまり変わらないのかもしれないけど……。
ロレ : …ごめんなさい、自分でも言ってる事、わからないかも。 …でも、
ディッセ : ……
ロレ : ……今、こうしていられるのは、ディッセのお陰、だと思う。
ディッセ : そいつは、重畳だ。 少し擽ったいぐらいだが(満更でもない声色で
ロレ : ……うん。 悪くない、よ。
ディッセ : …ああ。
ロレ : …うん。これからとか、自由とか、わからないけど…
ロレ : 今の気持ちは、…悪くない。(自分で確かめるように繰り返し
ディッセ : ……(見遣って満足気に
ロレ : …さっきディッセが言ってた星祭り、行ってみようかな。
ロレ : お祭りなんて、随分…ひさしぶり。
ディッセ : ああ。そうだな。それもいい。
ディッセ : 住処も連盟が手配してくれるそうだ。
ディッセ : ロレさえ良ければずっと住んでも構わないのだと。
ロレ : …! …そうなの?
ディッセ : ああ。 それと……これから何をするか探すなら、学園に通うのはどうだ?
ロレ : ………学園?(考えもしなかった、という顔
ディッセ : ああ。これからの選択肢を増やす為にもなる。
ロレ : ……。 そっか。…そうだね、確かに。(考えこむ なかなか頭が追い付かないが…
ディッセ : まぁ、学園に行くかどうかも自由選択の一つだ。 今すぐ決めることもない。
ロレ : …ううん、わたしだけじゃ本当に、何もわからなかったから…。
ロレ : 住むところも、この先の事も。 …。
ロレ : (彼は決して強制するのではなく、意に添わせ従わせるでもなく、そっと背中を押すように、差し示してくれる
ロレ : …ディッセは、わたしの導き手だね。
ロレ : …ありがとう。(ふ、と。やっと少し表情を崩して
ディッセ : ――――、
ディッセ : …………、
ディッセ : ……。 ああ。(包帯巻きの手で額を抑えて
ロレ : …ガントレット、もうしばらく借りていてもいい?
ディッセ : ああ。気が済むまで使うと良い(しばらく俺には扱えないものだしな――……
ロレ : …ありがとう。(今は変形してブレスレットになっている。指で撫ぜながら
ディッセ : ……。
ロレ : 霊体癒着はなんとかなったけど、まだ不安定だし、…アルバもあんな感じだしね。(…彼は今裁判待ちの身だ。
ディッセ : まずは安静だが……例の裁判も結論ありきの既定路線だろうな(ふむ、と
ロレ : …うん…。何にせよ、しばらくは様子を見ないとかも。
ロレ : ……。(視線を落とし、ふと黙り込んで
ロレ : …… ディッセは、また冒険に行くの?
ディッセ : ……。
ディッセ : …そう、だな。 しばらくは慣らしで近場からだろうが。最終的には。
ロレ : そっか。 …。 …お師匠様の為、だもんね。
ディッセ : …………
ロレ : ……、 ぁ、ち、違うの。 大丈夫。大丈夫だよ(はっとして慌てて
ロレ : …ディッセには、 最初にワガママ聞いて貰えて、
ディッセ : ………
ロレ : それだけじゃなくて、…色々、たくさんしてもらえて。 この服も、ガントレットも…
ディッセ : ……
ロレ : ……だから、これ以上ワガママ言わないの。
ディッセ : 
ロレ : 落ち込まないのは、…今はちょっと難しいかもだけど、……大丈夫だから…。
ディッセ : ロレ。
ロレ : 、っ
ディッセ : ……―――。
ディッセ : 一緒に、……暮らそうか。
ロレ : 、――……。
ディッセ : ――~~~…………。。(凄い、複雑な表情をしてる。多分、照れてる。
ロレ : (大きな目をまんまるくしてディッセを見つめる 涙の気配があったのか、少し頬が赤い
ディッセ : 、いや。 ロレさえ、よければ、だが。
ディッセ : 学園に通っても良い。普段誰かと遊びに行くのも良い。
ディッセ : 俺のリハビリがてらのディグアウトに付いてくるのも良い。
ディッセ : ロレにやりたい事が見つかる迄でも良い。
ディッセ : ……俺の完治の方が早かったなら……その時また考えれば良い。
ロレ : 、………――(瞳が潤む さっきとは、真逆の理由で
ロレ : ……、ぃ、 ……ぃぃの…?
ロレ : ディッセ、無理、してない? 本当はわたしと居たくないのに、自分に嘘ついて、。ない?
ディッセ : ……正直言うと、気後れはして、いる……幼いとはいえ妙齢の女性だ。
ロレ : ……わたし、ワガママ言って、、無理に言わせてる…?(不安から訊ねてしまう。それは、彼女の過去にあった事。
ディッセ : そんなことは、ない。 事実ワガママを言ってはないだろう。
ディッセ : ……いや、、俺のワガママか。(眉をひそめ、ふう、と溜息を
ディッセ : ロレ、これは俺がしたいことだ。
ロレ : 、…。 ……、(涙溜めてディッセを見つめて
ディッセ : (わかる、理屈は、わかる。 彼女に必要なものも、一人にできない理由も、いくらでも考えられる
ディッセ : 理屈が無くて……悪いんだが……
ロレ : ……わ、悪いなんてない!
ロレ : ……いい、よ。 うれしいよ。わたし、ほんとに…っ
ディッセ : ……俺は、ロレにとって英雄でも、犠牲になる盾でも、影から見守るわけでも
ディッセ : 父や母のように振る舞ったりは出来ないだろうし、笑いを取ることも苦手で……
ディッセ : 支える、、というには、、、少し、語弊があるとは思うが……
ディッセ : その彩色の瞳が何を映すのか、一緒に見ていたいと……思、う。
ロレ : ……、……(虹色の瞳は潤み、揺れている。何色をも映し、移り変わる
ロレ : ……ディッセの、言ってた、
ロレ : 焚き火をしながら見上げる星空とか、 塔から見下ろす雲と街並みとか、
ロレ : 頂上の見えない山、 平和な街並み、 大きな学園、魔術書を埋める文字…
ロレ : …そういう物を、たくさん見たいの。 …一緒に。
ディッセ : …………ああ。
ロレ : …わたしの知らない、世界にあふれた沢山のものを、教えて欲しいの。
ディッセ : ああ。俺も、見せてあげたいと……そう思う
ディッセ : (――ああ。そうか……
ディッセ : (貴方も、こんな気持ちだったんだろうな……
ディッセ : (廻り廻って……救われたのは――
ロレ : ………っ(ポロポロと涙を零し、しかし口許は微笑んで
ディッセ : …ロレ。(あの時の、師と同じ表情で微笑って
ディッセ : ……これからも、よろしく。
ロレ : ―――。
ロレ : ――うんっ(涙流しながら、これまでに見せた事の無いとびきりの笑顔で
ディッセ : (無色透明の涙色。 運ばれてくる紅茶は深い琥珀色。
ディッセ : (ドーナツにかかった蜂蜜色を照らすのは、彼女の瞳と同じ色の、八角形の羽。
ディッセ : (明日は何を見よう。 何を映そう?
ディッセ : (彼女の未来はきっと、言葉にできないほど綺麗な色で輝いていると信じて――――
ロレさんが退室しました
ディッセさんが退室しました