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新しい世界 [ジョン]

ジョンさんが入室しました
ジョン : (時間は遡る。ヴァール・ハイト戦の最中にジョン・リーズベルトが消えたその先のこと。
ジョン : (そして1000年以上の間、幾度となくジョン・リーズベルトはその道を歩んだことを後悔した。これはその先の話。
ジョン : ……、少しは感慨がわくかと思ったが、
ジョン : 案外そっけないもんだね。
ジョン : (ーーー閉鎖次元。
ジョン : (目の前には、今から消し去るヴァースに残存するほぼ全ての抗魔金属が存在する。さらに、この空間を依代に発動する術式も加えれば、ヴァース上の全ての抗魔金属が跡形も痕跡もなく復元不可能な仕方で消え去ることとなる。
ジョン : (この量が集まった理由はヴァール・ハイトによるものだが、実はそれだけではない。
ジョン : (ジョン・リーズベルトはすでに抗魔金属が微弱な意思には満たない思いようなものを持ち、一所に集おうとする性質を持つことを知っていた。
ジョン : (奇しくもレウカの一件のなかで垣間見られたように。
ジョン : (その機会を彼は実に千年以上待ち続けていた。
ジョン : (彼にとってそれは退屈するには長すぎ、絶望するには短すぎる時間だった。
ジョン : (同時にそれは彼が死別した自らの最愛の妻の顔をもはや思い出せなくなるほどの年月だった。
ジョン : …………
ジョン : さて、仕事といこうか。
ジョン : (抗魔金属は余波を免れることはできない。次元そのものが消失した場合、抗魔金属はその余波によって消失する。これは現代魔術の初歩。
ジョン : (魔術師ジョン・リーズベルトはそこから千年以上、思案と実験を重ねた。
ジョン : (彼が繰り出すもの。それは、もはや魔術ではない。あるいは氣でも魔人能力でもない。さらにいえば「独自術式である」という規定すらも逃れ去る把捉不能・参照不可の、彼以外の誰にも名を知られることのない術式。
ジョン : (奇しくもキアシスに魔術と誤解して氣の入り口にたった術者がいるが、そのはるか先に彼はそれを見つけた。そして誰にも教えるつもりがない。
ジョン : (さらに、この術式は千年以上かけて構築された無効化・改ざんを含めたありとあらゆる不足の事態への対処に彩られている。もっともそれは彼の凝り性というにはいささか狂いすぎた性格に由来するのだが。
ジョン : (また、老魔術師が心を砕いた点は、それが今存在するヴァースという世界、そこに生きる人間、生物、無生物。あらゆるものに全く影響を及ぼさない、という点にあった。
ジョン : (ここで術式の準備が終えられた。
ジョン : ………
ジョン : (ところで、
ジョン : (この無比無窮の術式の構築の目的は、
ジョン : (きわめてシンプルなことばに収斂する。
ジョン : 「どうかもう誰も苦しまない、こんな金属なんてない世界を…。……あなたが作って。」
ジョン : …シンシア。
ジョン : (膨大な光が辺りを包む。顔を忘れても未だ愛する彼の亡き妻の名前によって術式は発動された。
ジョン : (そのとき、光の中に彼は見た。1000年経ち、いつの間にか思い出せなくなってしまっていた彼の泣き妻の顔を。ありありと。
ジョン : (もちろん、そこにいるはずはないのだが。
ジョン : (光の中の、いるはずのない彼女は彼を優しく抱擁し、こう言った。
シンシアさんが入室しました
シンシア : ……ありがとう、約束、守ってくれて。
シンシア : 長いこと、ご苦労さま、ね。(柔らかく微笑み
ジョン : ……あ、あぁ。
ジョン : (一筋の涙がジョンの頬を伝い、彼はヴァースへと離脱する。
ジョン : (その涙は、はたして彼の千年を贖うには十分なものだっただろうか。
ジョン : (……かくして、抗魔金属はあらゆる仕方の参照・召喚を含め、もはや復元不可能になった。
ジョン : (そして抗魔金属へのありとあらゆる仕方の参照・召喚が全くもって無害なものへと常にずらされることとなった。
ジョンさんが退室しました
シンシアさんが退室しました

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ログ 2019Q3
最終更新:2019年10月20日 06:48