はかるさんが入室しました
はかる : (――仲春の節。 スカイロードではささやかながら賑やかを増す。
はかる : (いわく、天誕祭だとか。
はかる : (元々は天界の習わしであるが、天界人の多いスカイロードでもその慣例は生きている。
はかる : (祭りは一ヶ月かけて行われる。縁結びのご利益があるといわれ、数々のカップルや友人達が多く訪れるという。
はかる : (これは、そのある一日の、ある夜の、ある空の呟きである――
はかる : ――ああ。 天よ。
はかる : また一組。 カップルの成就を見守りました。
はかる : 少しだけ背を押しましたが……何、青い春にささやく、そよ風のようなものです。
はかる : ええ。 不安と期待に揺れる心。今にも泣き出しそうな表情。
はかる : 永遠のような2人の時間――…… ええ。 とても、良きものでした。
はかる : 今後、幾多もの障害が待ち受けましょう。 道を分かつこともありましょう。
はかる : 人生とは清濁併せ持って進むもの。
はかる : ですが、あの瞬間、あの心とあの言葉は、紛れもない真実だと。
はかる : (驚くほど雲は少ない。 大きな月を背に、群青色の夜空に腰掛ける。
はかる : ええ。 とても尊きものでした。(瞑目し
はかる : …………(天を仰ぐ
はかる : ……少しは。
はかる : ほんの少しでも、近付けたでしょうか。
はかる : …………
はかる : いえ。 まだまだ。 まだまだですね(ふ、と笑い
はかる : ……
はかる : (そういえば。 誰だかに言われたことがある。
はかる : (何故そのようなコトをするのかと。 何が原動力なのかと。
はかる : (自己犠牲や殉教のつもりかと。 一体、何になるのかと――
はかる : ……
はかる : ……指先からつま先まで、この身は天の為に。
はかる : 自己犠牲ではありません。奉仕でもありません。
はかる : 茨の道などと、どうして言えるでしょう。 私は誰にも譲るつもりはありません。
はかる : あのお方も妙なことを言う。 私はやりたくてたまらないと云うのに。
はかる : (それが少しでも、天の為になるならば――
はかる : ……(ふと、空から町並みを見下ろす。 生活の灯り。美しい愛と平和の残滓。
はかる : (ふぅ、と物憂げに息をつく。
はかる : ……天のためなら、この身は喜んで薪となりましょう。
はかる : ……ですが。 この感情は、何と形容するのでしょうね……
はかる : ……
はかる : ……(ふ、と微笑む。 答えはわからないが、それでいい。それでもいい。
はかる : ……天よ、その生誕に祝福を。(呟き
はかる : (夜の空へ、一つの影が吸い込まれていく――
はかるさんが退室しました
最終更新:2020年02月08日 01:10