平和への楔 [パイソン]

―――さんが入室しました
――― : ――フォーデン大会 開始 より 388,800カウント〈4日半〉
――― : ――港より北東1.5キロ。 ミド・デリー川中央流。
――― :     『覇海進轟天号』
――― : (深夜。暗がりのメインブリッジには何人ものクルーが揃っていた。
――― : (表示灯が照らしあげる輪郭は真剣そのもので、誰もが神妙な目つきでモニターに食い入っている。
――― : (その中で一人、陽気な声でブリッジを歩く男がいる。この集まりの中心人物、パイソン・ヴァンキッシュだ。
―――さんが退室しました
パイソンさんが入室しました
パイソン : さ。今宵の締めに大仕事。(手をパン、と叩き合わせて
パイソン : シドリーに続いて2回目だが、気を抜かずに行こう……ってオイオイ、半分冗談だ、肩の力抜けよ。(スタッフに声をかけつつ
パイソン : 「座標位置に付きました」 (――スタッフの一人が報告する。相変わらず視線はモニターに張り付いたままだ
パイソン : 底にでかいナマズは?
パイソン : 「河床探索開始...問題ありません」
パイソン : 「地盤も事前調査通り。」「地下迷宮じゃないんですから」「そん時は結衣さん呼ばないとな」
パイソン : (雑談で少しほぐれた現場に笑いつつ、パイソンが定位置につく
パイソン : (メインメンバーは大会中ということもありホテル住まい。……そういえばシドリーの時も、皆不在のタイミングだったか。
パイソン : よし。 ……やるか。
パイソン : ――
パイソン : 「大将のお許しが出たぞ。アンカー、ロック」
パイソン : 「投錨確認。下部メインバレル、ロック解除。軸合わせフタマルヨンヨンロク」
パイソン : 「射角確認。レイヤー1よりレイヤー7まで開放。インダストリーズHQと接続」
パイソン : 「通信確認。セッション開放。転送ゲート開きます。」
パイソン : 「転送確認。ライフリング回転開始。」
パイソン : よーし…………  楔を打ち込め。
パイソン : 「2号棟…… 守護牽引機構棟<レイライン・アンカー> 射出!」
パイソン : (水面が転送光にうねり照らされる。 翠色の光は海蛍などの生体発光に近いが、より強く人工的な光だ。
パイソン : ――
パイソン : (――それは、槍か柱と呼ぶには、あまりに長大な建造物。
パイソン : (穂先だけで十数メートルはあるか。明らかに船体を超えるサイズの柱が、川底に向かって沈降していく。
パイソン : (水中は暗く、深く、もはや海に等しい。
パイソン : (ゴボリと気泡を起こしながらゆっくりと、確実に沈んでいった――
パイソン : ――
パイソン : 「河床到着を確認。穿孔開始します」
パイソン : 「予定位置まで4…3…2…1…」
パイソン : 「予定位置到着」「穿孔機能停止」「概念浸漬確認」
パイソン : ……(よし、と手をたたき) ハッピーバレンタイン、ってね。
パイソン : (”作戦”は無事完了。 ほっと息をつく者、よし、と小さくガッツポーズを取る者など反応は様々だ。
パイソン : (軽く拍手しつつ)おつかれ、おつかれさん。 よくやったな。
パイソン : やったなロブ、ドンピシャだ。 シドリーじゃ15mもズレたからな(お互いを指先で差してからかいつつ
パイソン : 10分休憩、継続監視。 それが終われば……呑みに行くか。(ふぅ、と
パイソン : 「肉が良いです、肉」「いつから肉食主義に?」「試合見てたら感化されちゃって」
パイソン : (十色の反応を聞きながら……腕を組み水面を見つめる
パイソン : …………
パイソン : (”彼らは”……不器用だった。 もちろん、求める結果は賛同できるものではないが。
パイソン : (ただし、アプローチの手段としては参考になった。 ……異邦者から知見を得るのは少々悔しさを覚えるが。
パイソン : ”ボクら”は、うまくやるさ――。
パイソン : ――――――
パイソンさんが退室しました