マイグレーション [ソウマ アイス ひばり]

ソウマさんが入室しました
ソウマ : (――フォーデン・ホロセウム内 廊下
ソウマ : ……(治療ルームの扉を開き、廊下に出てくる男
ソウマ : (片目の隠れた黒髪。太い黒縁の度の強いメガネ。少し猫背気味の、やや小柄寄りの姿。
ソウマ : (フォーデンの闘技場には、あまり似合わぬ見目だが…?
ソウマ : ……(ふぅ、と息を吐く
アイスさんが入室しました
アイス : (同刻、廊下を歩き、ソウマの方――否、治療ルームに向かってくる
アイス : 、(ソウマの姿を認めて
ソウマ : …(目が合い) …キミは確か、Bチームの。
アイス : ……。あぁ、そうだけど。
ソウマ : ロゼさんの様子を見に? …それなら出直しだね。まだ人と会えるような状態じゃないって。
アイス : ……そうか。 それは、どうも。
アイス : …まぁ、それも、そうだろうな……。(先程の――第一試合の様子を思い起こして
ソウマ : ……。
アイス : …。 ……所で、お前は。
ソウマ : …… 霖、蒼真です。
ソウマ : …中城瑪瑙サンの、立場上の保護責任者で。(首から下げ胸元に留めた入館証を持ち上げて
アイス : ……あぁ、(こいつが、ナガメさん、か。
アイス : それで、ロゼとも知り合い……関わりがある。
ソウマ : ……あぁ。 …そうだね。
アイス : …挨拶が遅れたな。 僕はアイス・ホワイトローズ。
アイス : ロゼとは遠い親戚筋に当たる。 …まぁ、元って事になるけど。(腕組んで複雑気に
ソウマ : そう。 ……出奔したんだよね。それで、旅に出て。
ソウマ : こんな所で、こんな戦いに参加してた。
アイス : ……… (腕組んで、廊下の壁に凭れる
アイス : …自分の持って生まれた、「恵まれた地位」を捨てて。 新しい世界に身一つで飛び出して。
ソウマ : ……。
アイス : (―――脳裏に蘇る。先の試合。 鈍い打撲音。水音。やがてスクリーンに赤が広がって――
アイス : (――…思わずそこで顔を背けてしまった。 当の本人は、それでも闘志を捨てていなかったにも関わらず。
アイス : ……なんで、
アイス : そこまで、やれるんだろうな……
ソウマ : ………。
ソウマ : ……さぁ、……なんでなんだろうね。(自分にはきっと、それを推し量る権利も無いだろうけど
アイス : ……、(横目にソウマを見遣り) あいつ(ロゼ)とは、どういう?
ソウマ : …。 キアシス、一時期大きな騒動があったでしょ。…その時に。
ソウマ : 街を護る為に……ロゼサンには、色々と協力して貰ったんだ。
アイス : ………あぁ、半年ほど前になるか。(あれは後世に残る大事件だった。かの老公が画策した、キアシスを揺るがす大事件。
ソウマ : …それで、新技術の試用にも協力してもらってる。 …まぁ、そういう間柄、だよ。
アイス : そうか… (見遣る横顔。表情こそあまり窺えないが―…顔色は悪いし、不安が色濃く見える
アイス : (…そして、あのマスコットと。鮮烈な蒼と―…
アイス : (…はぁ。と小さく息を吐く。 …最近人の人間関係邪推してばっかだな…
ソウマ : ……ファイターの戦いには、あまり通じてなかったけど、
ソウマ : ……また、独特だね。 …陰惨なワケでも、命が懸かるワケでもないけど。
アイス : ……。鎬を削る、って奴か。
アイス : ………。心配?
ソウマ : ……、まぁ、喜ばしくはないよね。 こういう事に、なるのは。
ソウマ : …でも、彼女が自ら飛び込んだ世界だから。フォーデンも、武者修行そのものも。
ソウマ : だから……あんまり可哀想がるのも失礼だと思う。
アイス : ……ま、それもそうか。
ソウマ : ………
ソウマ : ……ねぇ。 
ソウマ : 貴族って、どの家も面倒な物なの?(唐突に
アイス : 、 。 ………さぁ。家によるんじゃないか。
アイス : (腕組んで、視線逸らし落とし気味に 何か居心地の悪そうな仕草で
アイス : カレイドローズ家は、……ロゼは、色々、あったみたいだけど。
アイス : (幼いながらに察する所はあった。そもそも自分みたいなのと腐れ縁なのだって、はぐれもの同士故だ。
ソウマ : ………。うん。(視線落として
ソウマ : ……最初に会った時、あの娘、迷子の子どもみたいでさ。
ソウマ : 何かに倦んでて、藻掻いてて。…何とか力になれたら、と思ってた。
アイス : ………。
ソウマ : ……何時までもそんな扱いしてちゃいけないんだけどね。(少し苦い微笑で
アイス : ……そう。(何と返すべきか、考えあぐねるが
アイス : …まぁ、あいつ自身はそういうの嫌がるだろうな。 …負けず嫌いだし、気強いし。
アイス : ……でも……
アイス : (…どんなに嫌がったって、足掻いたって、強いふりをしたって、取り繕ったって、
アイス : (…簡単に変われやしない。どこまでも矮小だと、逆に思い知る事ばかりだ。
アイス : …お前にとってはそういう存在だったんじゃないの。 ……どうしようもなく。
ソウマ : ………。
ソウマ : ………少なくとも、街に居た頃はね。
アイス : ……。へぇ、今は違うって?
ソウマ : そうだね。 …違う部分も、ある。
アイス : 煮え切らないな…
ソウマ : ……パキッと変わるモノでもないでしょ。
アイス : …まぁ、それもそうだけど。
アイス : ………
ひばりさんが入室しました
ひばり : (廊下の向こうからカップ両手にやってくる人影
アイス : …、ん(人影に気付いて
ひばり : 次の試合まで時間かかるみたい。リング設備、総取っ替えだってさ。
ひばり : (カップの一つをアイスに。 そこの自販機で買ってきたカフェモカだ。
アイス : ……そっか。 まあ、あれだけ派手にやればな…。
アイス : 、 …どうも。(受け取って
ソウマ : …(ひばりに小さく会釈
ひばり : …、 はじめまして(会釈し
ひばり : ………………
ひばり : ……ナガメ、ソウマさん?
ソウマ : 初めまして。 …ナg、
ソウマ : ……はい。
ひばり : 雲城です。 彼女とは同じチームで。(どうも、と続けて
ソウマ : ……霖蒼真です。 中城瑪瑙サンと、ロゼサンの…関係者、かな。
ソウマ : …というか、良く分かったね。
ひばり : …、はい。 ロゼさんや、メノウさんから話を伺っていて……(アイスをチラ見して
ひばり : ひょっとしなくても、そうかな、って(視線を戻す。
アイス : …、(視線向けられて ん、と
ソウマ : …そうだったんだ。 雲城さんも、ロゼさんの様子を見に?
ひばり : (……丸くなったとは言え、見ず知らずの人と井戸端するような性格じゃないだろうし。
ひばり : (……会話してる時点で超関係者なのは明らかだ。 そこから推察するに……という次第であった。
ひばり : (……本人には言えないケド
ひばり : 、はい。 その様子ですと、まだ面会できず?
ソウマ : …うん。まあ―… 激戦だったからね。さもありなんだ。
アイス : …(何だったんだ今の視線……
ひばり : そうですか……。 彼女……メノウさんから聞いています。
ひばり : 何でもお忍びで来られたとかで……
ソウマ : ……。あぁ、うん、そうだね。(彼女なんでも喋るよな……
ソウマ : …まぁ、一回戦のコト(暴走)もあったし。クルーズの関係者にも会っておきたいなって。
アイス : …(なんとなく物言いたげにソウマを見てる
ひばり : そうですか…… …、どうかした?(そんなアイスに
アイス : 、…、 いや、何でも…。(敏いな…
ひばり : ……。 (アイスと挟み込むような位置で座って
ひばり : ……会い辛いですよね、彼女とは。
ソウマ : …、
アイス : …(だろうな、と。 反応で半ば確信して
ソウマ : …会うつもりでは、あるよ。 折角来たんだしね。
ソウマ : ……それが良い事なのかも、
ソウマ : …会って何を言うべきかも、わからないけど。
ひばり : ……彼女の想いには、おおむね気付いてるんですね
ソウマ : ……。
ひばり : 喜ぶと思いますよ。彼女も逢いたがっていますし。言葉には、しないでしょうけど。
ソウマ : (概ね、どころか確信している。 消された筈の音声ログをサルベージしてしまった時に。
ひばり : ……好かれたから、って。
ひばり : 好きになるかどうかってのは、別だと思いますよ(ポツリと
アイス : 、…(無言で、少し視線を余所に逸らす
ソウマ : … ………
ひばり : 彼女から見た貴方が魅力的でも、ナガメさんから見た彼女はどうか、という話ですし。
ひばり : お互いが必要としないと、そこは、ね……
ひばり : ……まぁでも、意識はしちゃいますよね。 どうしても。
ソウマ : ……その、前の問題だよ。(ポツリと
ひばり : それ以前の……?
ソウマ : ……キミ達って、今歳はいくつ?
ひばり : ……二十歳ですけど…
アイス : …僕は19だけど…?
ソウマ : …そっか。 …微妙なトコだね。 
ソウマ : 彼女は16歳。 本来なら親の庇護の下で、何の憂いも無く学んでいる年頃で…
ソウマ : 恋をするには早いなんて、言わないけどさ。
ひばり : …………
ソウマ : …まっとうな大人は、彼女の想いに応えないでしょ。
ひばり : ……ナガメさん。 それって理由、ですか? それとも条件、ですか?
ソウマ : ……。変わった聞き方するね。
ひばり : 応えないための理由なのか、応えるための条件なのか、って話です。
ひばり : 例えば……そうですね。 4、5年経って、彼女がハタチそこらになったら、どうですか?
ひばり : 彼女の想いに応えます?
ソウマ : ………
ソウマ : ――……正直、その時になってみないと、わからないかな…。(息吐き気味に
ひばり : ……まぁ、そうですよね。 歳が離れすぎてるから、って別の理由が出てくる可能性もありますし。
ひばり : 初めて女性として見れるようになった、という事にもなるかもしれないですし。
ひばり : ……ロゼさん、前のめりですもんね……
ソウマ : ……今すぐに。は、どうしてもダメなんだ。
ソウマ : 今のロゼさんに手を出すような自分は厭だし、…そんな自分が彼女の隣に立つのも厭だ。
ソウマ : …だからって、待ってて欲しい、とも言えないでしょ。 好きになる保障も無いワケでさ…
ひばり : …… フったら、ダメなんですか?
ソウマ : …、……
ソウマ : …一度は、そうしたよ。 …そうしたつもりだったんだけど。
ひばり : ……。 ロゼさん しぶとかったパターンでした?
ソウマ : …… どうだろう。言い方が悪かったかもね…
アイス : ………
アイス : …… いや、……… 
アイス : …… お前、 さぁ…… (何か抑え込むような抑揚で
ソウマ : 、……
ひばり : ………
アイス : だったらなんでノコノコこんな所に来た?
ソウマ : 
アイス : お前の思う「最善」とやらが解ってるんだろ? そういう口振りだもんな?
アイス : だったら何で変に期待持たせる真似してんだよ?
ソウマ : 、 それは……
ひばり : ……裏切りたくはない、とか?
ひばり : あるいは傷つけたくない、とか。
ソウマ : 、……… 、(眼鏡をずり上げて顔押さえて
アイス : ……… 見合い話とやら、さっさと受けてしまえば完膚無きまでにフれるだろ。
アイス : そうしてやったらどうだ?(ぁ? と
ソウマ : ―― ……・・・
ソウマ : ………  ゎっ、 たよ
ひばり : 、アイス……(珍しくヒートアップする彼を宥めるように
アイス : …、(制されてハッとして 頭振って前髪ぐしゃる
ソウマ : ………… 断った、よ。 ……もう……
ひばり : ………
アイス : ……… は、…。
ソウマ : …………(はーー、と深々溜息
ひばり : キープしたいわけじゃ、ないんですよね。 そういう風には見えないし
ソウマ : ……… そんな理由でお見合い断る?(自嘲気味に
ひばり : そりゃまぁ。そういう人も、中にはいますし……
ひばり : 教師との恋愛とかも、ウチじゃよくあったかな……(不倫含めて……
ひばり : ……まぁ、ナガメさんにその気がなくて
ひばり : ロゼが相変わらずアタックしてくるなら……それこそちゃんと言うべきかも、ですね。
ソウマ : ………
アイス : …… あれだろ、お前、…
アイス : ……何を選んだらいいのかわからなくて、何も選ばないように動くんだ。
アイス : そしたら気付いた時には一番最悪な事になってるんだ。
アイス : ……よくあるよ、そういうの、ホント…
ひばり : …………。
ソウマ : ………、……(顔拭って、眼鏡を掛け直し
ひばり : …こっ酷くフっても、大丈夫ですよ。 会って数日の感想ですけど……彼女、強いですし
ひばり : 応えるなら応えるでも。 年齢は……大丈夫じゃないかな、とは……思いますけどね。
ひばり : どうなっても……二人にとっては、良い経験なんじゃないかな、って……
ひばり : ……恋愛も失恋も経験無いあたしが言うの、説得力ないですケド……(半目で
ソウマ : ………
アイス : …… 別に、どういう基準で、どういう選択をしてもいいだろ。
アイス : ただ、 ……お前が、決めろよ。
ソウマ : …………。 うん。
ソウマ : うん。 ……そうだね……。
ソウマ : …(俯けて額に手当てて、はーー、と大きく息を吐いて
ソウマ : ちょっと……、頭、冷やすよ。(長椅子から立ち上がって
ソウマ : …ゴメンね。 ……ありがとう、2人共。
アイス : …(見遣って
アイス : まるで礼を言われる筋合いは無いけどな。(本当にな
ひばり : 同じくです。けど。 応援してますよ、二人共。
アイス : 、(ひばりに視線遣って
ソウマ : …(じゃ、と軽く片手挙げて、廊下を歩き去っていく
ソウマさんが退室しました
ひばり : ……(見送り
アイス : ……(見送り
アイス : …僕は別に応援はしてないけど。(小声
ひばり : ……手厳しいね。 彼女(ロゼ)のことだから余計に?
アイス : …っは、成就するもしないも勝手にしろって事だよ。(あ、コレ応援してるわ
ひばり : ………(そっか、と。
アイス : ……、しかしまあ、……(ぬるめのカフェモカに口を付けて
アイス : …… 大分、勝手に、色々言ったかもな……(今更である
アイス : ……全然偉そうな事言えた立場じゃないのに……ていうかあいつ結構偉いよな……(今更である
ひばり : 天下の貴族で社長補佐なのに?
アイス : 、、…
アイス : ゃ、まぁ、人生……、そんな語れる程生きてないからさ……
アイス : (そう、恋愛も失恋も経験無い。そんな事は堂々言えないお年頃だが
ひばり : ……そう、かな。 的を得てたと思うけど。
アイス : ………そう? 
ひばり : ……アレは。 実体験から?(俯き気味のアイスに傾げて
アイス : ……… …うん。(やや躊躇い気味だが
ひばり : ……。そっか。
アイス : ……自分がやる事に自信が無くてさ。「自分がやる事」自体を避けるんだ。
ひばり : …………。
ひばり : 最近キツくお灸をすえられた気がするな、ソレ。
アイス : 。(ひばりの方向いて
アイス : ……。そっか。
アイス : …責任は手を離れて、一時は楽だけど…、
アイス : ……段々、ドツボに嵌っていく感じがあるんだよな…
ひばり : …ま。 お陰様で。 首突っ込んでアレコレ話しちゃったけど、さ。
ひばり : ……それが良いか悪いかは置いとくとして(ふう、と立ち上がり
アイス : …… そうだな……。
ひばり : そろそろ、意識ぐらいは戻ってるんじゃないかなー……(治癒室を見遣って
ひばり : フォーデンだし、パイソンさんとこの医療班もいるなら尚更……もう治ってたりして
ひばり : 受付で話、聞いてこよっか。(来るよね?とアイスを誘い
アイス : …至れり尽くせりだもんな。戦闘都市なんだからそうじゃないと困るけどさ。
アイス : (ん。と頷き了承 元より行くつもりだったようで
ひばり : (それじゃあ、と二人して受付の方へ
アイス : (片手ポッケでひばりと共に受付へ歩いていく
ひばり : ……(そんなアイスを横目で見遣り
ひばり : 良かったんじゃない。 言っておいて。
ひばり : (はたして何に掛かった言葉か。 表情崩すと視線を戻し、そのまま受付へ
ひばりさんが退室しました
アイス : ――― 
アイス : そうだと、いいな。(僅かに口元緩めて――
アイスさんが退室しました