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掲げるは我が心 [マリア 紫水]

マリアさんが入室しました
マリア : (南大陸 東砂漠 
マリア : (ルプ・ウへの道中、先の事情により一晩を砂漠で過ごす事となった一行は、
マリア : (小さなオアシス地帯に轟天港を停め、拠点を作り一夜を明かす事となった。
マリア : (轟天港とテントの傍では焚火が燃え、明かりの無い砂漠の夜を唯一照らしている
紫水さんが入室しました
マリア : (そこから少し離れた所で、焚火に照らされるオアシスの水面を眺めている
マリア : ……
紫水 : (遠くから近づいてくる足音
紫水 : ……。
紫水 : ここにおられましたか。(手にはマグカップを二個持っている。
マリア : 起きていましたか。(声に…と言うよりは気配に振り向いて
マリア : 少し火から離れていました。 …(マグカップ2個持ちの姿にほんの少し目を丸くして
紫水 : ……。姿が見えなかったので少し。
紫水 : (少しと言いつつかなり探したようだ。マグカップの中のスープが冷え切っている。
マリア : … えぇ、失礼したわね。 火の方に戻りましょうか。
紫水 : ご無事なら何も問題はありません。
紫水 : 妙な気配は感じませんが、いつ何があるともわかりませんので。
紫水 : ……。
紫水 : 何か考えごとを?
マリア : まあ。私が拐かされるとでも? このような大事な日を目前に。(ふふ、と冗談めかして
マリア : 
紫水 : 
マリア : … そうね。直ぐに寝入る心境では無かったのは確かです。
マリア : 明日の昼はルプに着きますからね。 愈々気を引き締めねば、という所です。月並みですけれど。
紫水 : …。
紫水 : そうでしたか。
紫水 : ……。
紫水 : ルプを最後に、私たちの旅も終わるのですね。
紫水 : 「帰るまでが遠足だ」という言葉もありますが…。
マリア : …えぇ、そうね。どう転んでも最後です。
紫水 : …ならば全力を尽くしましょう。私が言うまでもないですが…。
マリア : えぇ、勿論ですよ。 特にお前と私は、直接本丸に乗り込むのですからね。
紫水 : (ところで、紫水は万里愛様のこと、好きだったんですね?(万里愛に聞こえないように耳元で紫水につぶやく
紫水 : (……というつい先日の光景が急に脳裏によぎる。
紫水 : …。騎士道。(ぼそりと
マリア : …… どうしました。紫水さん。
紫水 : いえ、心に迷いが生じたので、つい。
マリア : お前もそういう時があるのですね?(ふふ、と
紫水 : ––––––––
紫水 : ……ええ。今日は特にそのようです。
マリア : そうですか。 …それで…(受け取った冷めたマグを両手で弄ぶようにして
マリア : このような夜分に、私の姿を探していたのかしら。
紫水 : ………。
紫水 : (見抜かれている、か…。
マリア : …まあ、大きな事を起こそうという時ですからね。揺れるのも致し方ありません。
マリア : ですが、聞きますよ。 お前にも何か「考え事」があるのではなくて?(見上げて
紫水 : 決戦の前に我ながら不覚ですが…。
紫水 : 「考え事」…。(フムと考える。
紫水 : 「恋とは恐ろしいものだ」。…紅玉様にはよく言われたものです、
紫水 : その言葉の通り彼は恋によって自らの身を滅ぼしたわけですが…。
紫水 : 私は、恐ろしいのです…。
マリア : ……。雨月藍玉紅玉。 えぇ、那菜葉の兄君の話は聞いています。
マリア : …。どうしてかしら?(続きを促すように
紫水 : それが原因で貴方を守れなくなってしまったならば…。
紫水 : ……と、つい悪い方に想像してしまうのです…。
マリア : …。
マリア : お前は感情に流され道を誤るような人間では無いわ。 少なくとも、私はそう見定めていますが。
紫水 : 成程。
紫水 : 貴方がそう言われるのなら、私もそうありましょう。
マリア : えぇ、そうよ。 だからこそ、
マリア : お前は私に直々に乞われて、今ここに居るのよ。
マリア : お前だけは唯一、私が自ら選びました。 …お前なら成すべき事を成してくれると。それを出来る、力と心を持っていると。
紫水 : …。
マリア : そう「信じている」からよ。
紫水 : そう、ですか。
紫水 : …お見苦しいところを見せてしまいましたが、
紫水 : 貴方がそう言ってくれるのならば、私はどこまでも冷静でありましょう。
マリア : …えぇ、例え何があっても。
紫水 : …雨月藍玉家を滅ぼした理由が一人の男の恋であったにせよ、私はそれに打ち勝つでしょう。
紫水 : 例え、…何があったとしても。(一瞬躊躇する。
紫水 : …。
紫水 : (万里愛の身にもしものことがあった時、自分は冷静でいられるのだろうか。
紫水 : (この身を犠牲にしても、戦況が度外視しても助けようとしまいか。
マリア : ………
マリア : (例え残酷であろうと。私はそれを為せと命じよう。ひとときの騎士であるお前に。
マリア : 何と引き換えにしたとしても、…
マリア : あの街を――…世界を、護ってくださいね。 蒼菖蒲十継。
紫水 : ……。たとえ貴方と引き換えにしても…、
紫水 : 
紫水 : 否、私は騎士です。
マリア : 、…
紫水 : 貴方を守り、街を守り、世界を守ることにしましょう。そうできるようにどこまでも足掻いてみようと思います。
紫水 : 貴方への想いによって身を滅ぼすのでなく、その想いによって一段と鋭い剣を奮いましょう。
マリア : ………
マリア : …えぇ。そうね。 人間の、心の……想いの力という物は。
マリア : 道筋さえ違えなければ、とても強い力を持つ物です。
マリア : ふふ、けれどね。それはとても難しい事よ。 心を正しく揮う為の、より確かな心の強さが必要になります。
マリア : お前はそれを為すというのね?(微笑み見上げて、確かめるように
紫水 : 「守るべきものの為、己の全てを投げ出すべし」。
紫水 : …ええ、為してみせます。
紫水 : …。
マリア : ―…忌むべき家に連なるモノの家訓ではありますが。
紫水 : ム…。
マリア : …こうして聞くと、実に頼もしく響くものですね。(うん、と
紫水 : それは、良かった…。(いつもは怪しい笑みばかり浮かべているが、めずらしく爽やかに笑う
紫水 : ……。(……ですが、万里愛様、あなたはここで何を考えていたのですか。
紫水 : (気づけば己の話ばかり。
マリア : …恋に身を滅ぼした雨月藍玉紅玉。 愛で身を滅ぼそうとしている愚妹<メシア>。
マリア : 彼等に打ち勝てるのは、やはり、お前が言うような正しい想いなのでしょう。
紫水 : 正しい、想い。
紫水 : …………。
マリア : …えぇ。 何かを犠牲にする事無く、破全てを護り通そうというのは、正しい事でしょう。
紫水 : …。成程。
マリア : …。いけないわね。 私とした事が、悲観的になっていたのかもしれません。
紫水 : …。大丈夫、ですか…。
マリア : 考えてみれば、始めから犠牲を前提とするようでは敵うものにも敵いません。
マリア : 大丈夫です。 お前のお陰で目が覚めました、紫水さん。
紫水 : …! (驚く。
マリア : お前の理想主義とも言える信念に、今私は助けられたという事です。
マリア : …意外と情熱的なのですね?(などとからかうように笑って
紫水 : (蘇生した死者の土気色の肌がさっと赤くなる。
紫水 : ……不穏、也…。
マリア : (ふ、と笑んで
マリア : … 私の気は晴れました。 そろそろ戻りますか?
紫水 : …そうですね。戻りましょう。
紫水 : (歩みを進めるがはたと立ち止まる。
紫水 : 情熱ついでに、再び土くれに戻る前に言っておきましょう。
マリア : …… まあ、何かしら?
紫水 : 万里愛様、私は貴方を愛しています。
紫水 : 故に、勝ちます。
マリア : ――――……
マリア : ………――えぇ。(視線は前を向いたままで
マリア : 知っていますよ。
マリア : ……お前のその想いを、明日、示しなさい。
紫水 : 御意に。
マリア : (―――そうして、月がしらじらと輝く夜は更けていき、
マリア : (―――明日が、来る。
マリアさんが退室しました
紫水さんが退室しました
最終更新:2020年12月14日 04:47