ニカさんが入室しました
ニカ : ………
ニカ : ……
ニカ : …はぁ。
ニカ : (キアシス 夜。
ニカ : (後味の悪い交流会から退散し、寮に戻ろうかという所で
ニカ : (更にテンションを鬼下げする連絡が入る。
ニカ : (キアシス街のとある区画。
ニカ : (元老院を始めとする魔術名家。…特に表に出たがり権威を振りかざしたがる系の名家の邸宅が建ち並ぶ区画。
ニカ : (キアシス流貴族街とでも言えばいいか。
ニカ : ……(整然と並ぶ石畳の床を踏み締め、俯きがちに歩く
ニカ : ……くっそだりぃ。
二カ : (引きずるような歩みはやがて、区画の奥地の、一際大きな敷地の前で止まり。
二カ : ………
二カ : はぁ。。。(溜息一つ付いて中に入っていく
ニカ : (ロンズディール邸・内部。
ニカ : (無駄に広く長く、無駄に豪奢な魔術灯が控えめに照らす廊下を歩き
ニカ : (とある扉の前で立ち止まる
ニカ : ………
ニカ : ……はぁ。(また溜息吐いて
ニカ : (コンコン、とノック
扉さんが入室しました
扉 : 『はい。どうぞ。』(扉越しに声がする
ニカ : ……
ニカ : …入る。(ぶっきらぼうに呟き、ドアノブを回し中へと
扉さんが退室しました
イオンさんが入室しました
イオン : (完璧に整頓された、塵一つ無いようにさえ見える清廉な室内
イオン : ふふ。良かった。来てくれたんですね。(嬉しそうに微笑む長髪の男性
ニカ : …や。来させたのアンタだろ。 …なんだよあの文面。
イオン : ふふ、そんなに気になる文面でしたか? まあまあ、お入りなさいよ。
ニカ : ………(無言で中へと
イオン : ……「実行委員会に報告有り」。私が送ったのはそれだけなのに。
イオン : 二霞くんは、随分活動熱心な部員なんですね。
ニカ : ……はぁ。そんなん人の勝手だろ。
ニカ : 「学業のみならず、学内活動にも積極的に従事する」生徒のが、家もアンタも嬉しいんじゃねーのかよ。
イオン : それはそうですね? ふふ、でもその様子なら…
イオン : 仲の良いお友達も沢山できたんでしょうね?
ニカ : ………は?
ニカ : 何だそれ。嫌味で言ってんのかよ。(溜息気味に、瞑目気味に
ニカ : リー大の偏屈魔術師に友達なんか出来る訳ねーだろ。
イオン : それは流石に主語が大きくありません??何かあったんです??(逆に心配そうに
ニカ : ……… や。別に。あっても言わんけど。
ニカ : リー大生のコミュニケーション手段は煽りとディスりと嫌味しか無いんで。
イオン : あ、あのう……(オロオロ
ニカ : 到っていつも通りですけど。…んで?
イオン : …ええ。いえ。まあ、…いいのですよ。 それならば逆に。(眉間に指当てて、気を取り直して
ニカ : ……わざわざあんな思わせぶりな連絡。 一体何なんだよ?
ニカ : (言う通りにホイホイやって来るのはあんまりにも癪だ。だが、だからと言って無視もできない。
ニカ : (コイツは――リーズベルト大学の教授。「大学祭実行委員会」の現在の「活動内容」を知っている側の人間だ。
ニカ : (そんな人物「報告」は、停滞した現状を僅かでも打破する足掛かりに成り得る、…かもしれない。…死ぬ程気分が乗らなくても、致し方なかった。
イオン : あのですね。私、夏頃から二霞くんに、言いたい事があったんです。
イオン : 辞めません? 大学祭実行委員会。
ニカ : は?
ニカ : 嫌だが。(思わず即答して) …や、何だよ?
ニカ : ……何で急にンな事言い出す?(…まともに取り合うべきではない、頭では解るが、どうにも理解が追い付かなすぎる。
イオン : だって、あの委員会…いえ、組織は、とうに学生の領分では無いですよ。
イオン : 大学脅かすものは学内の人間で対処する。その方針には私も従う心算です。ですけど…
イオン : 二霞くんが、わざわざそこに加担する必要はあるんですか?
イオン : …貴方には将来があるんですから。こんな些事に足を引っ張られず、励んだ方が有益だと思いませんか?
ニカ : ……いや、言ってんだろ。全部俺の勝手だろうが。
ニカ : ああでも、一応、アンタの流儀にのって喋るなら。…この「活動」、最終的に成功さえすれば、
ニカ : みんなの大好きな「世間の評価」も跳ね上がるだろ。…別にそっちに都合悪い話、無いんじゃねーの。
イオン : ……そういう考え方もできるでしょうね。(頬に手を当てて瞑目し
イオン : でもね、二霞くん。 そういう一発逆転的な理想は…
イオン : 劣等生集団にありがちなものですよ。
ニカ : 。
ニカ : (思わず唖然と目見開いて
イオン : …学内の「落ちこぼれ七連星」に、「グリアスの娘」と呼ばれる異端の生徒達。
イオン : ああ、ミカエル女史は非常に優秀な生徒ですが…今は「堕天」されているとか。
ニカ : ・・・
イオン : 彼等彼女等が、貴方の魔術師としての成長に寄与する存在だとは…
イオン : …すみません、どうしても思えないんですよ。(心から申し訳なさそうに、心配そうに
ニカ : ・・・
ニカ : (何かもう逆にびっくりして言葉が出てこない。
ニカ : (恥ずかしげもない、清々しいほどの選民思想。 この従兄、昔からそういう所はあった気もするが…
ニカ : ………教師とは思えない発言だな。(……ここまでだったか?
イオン : ……教師の立場であれば、流石にもう少し発言を選びますよ。
イオン : 今の私は、純粋に従兄として貴方に話をしています。
ニカ : ……
ニカ : アンタは、俺が「優秀な跡取り」になってくれないと困るんだもんな。
イオン : ……ええ。 二霞くんがロンズディールを継ぐべきですからね。
ニカ : …… だからって。
ニカ : (「勝手に人に成長を押し付けるな?」…そんなんは今更だ。家の人間にも言われ尽くしてる。
ニカ : ……、、、ッ(じゃあ、何がこんなに―――
ニカ : …「血筋」以外に、俺を当主にできそうな要素が無いんだよな。…何もかもアンタの方が優れてる。
イオン : ……… そんな事は…
イオン : ありません……よ。 当主を継ぐような才覚なんて、私には。
ニカ : ………(自分で言ってて死ぬ程情けない。相手の、否定になっていない否定も。
ニカ : ……だから血筋に執着してんのか?(――だから、あんな風に部員達(あいつら)を――
イオン : …………
ニカ : ……てめえの勝手な価値観押し付けんなよ。これ以上――…
イオン : それの何がおかしいんですか?
ニカ : は?
イオン : ええ。 …だって、血筋<ソレ>が正しいでしょう?
ニカ : …… …は?
イオン : ……ええ、私、そう教えられたんです。
イオン : 血筋。血統。 『人種による不公平こそが真実だ』 …と。
ニカ : … … … え?
ニカ : (何言ってんだコイツ???
ニカ : (いや。 …待て。 何で聞き覚えがあるんだ。このフレーズ。
イオン : ――…… 何かおかしいですか?
イオン : ……人脈も、学歴も、称号も、私を救ってくれやしなかったじゃないですか。
イオン : 私を「次期当主」の重荷から解放してくれるのは――……信心<コレ>だけなんですよ。
ニカ : ――――……(『人種による不公平こそが真実』
ニカ : (―――『彼は今、芥川家よりも、』
ニカ : (―――『PURE本部に潜伏してます。』
ニカ : お前……… まさか、PUREに――……
イオン : …… ・・・
イオン : ……… 周りには内緒にしてくださいね。 あまり外聞が良くない事は、承知していますから。
ニカ : ……いやっ、そんな事はどうでもいーよ。…(…正気と狂気が入り交じってる。どう考えてもイカレてるのに、妙な所で冷静で。
ニカ : ………そんな事はいい。 それより…
ニカ : ……つまり、お前は、 芥川綺麗を知ってるよな。
イオン : ええ。彼は私のゼミ生ですから。
ニカ : ……… アンタも、……委員会<ソッチ>側、って事か?
イオン : いいえ。
イオン : 芥川くんの思想には共感を抱きますけどね。『生徒会』そのものの活動には加担していません。
ニカ : …………(…PUREが『生徒会』の黒幕、って訳じゃないのか?…それはそうか。噛み合わない部分も多い。…
イオン : ……ですから。(ふぅ、と
イオン : ここに君を留め置くのも、『生徒会』に味方する為ではないとご承知おきくださいね。
ニカ : ―― は?
ニカ : (――殆ど同時に。ポケットに入れたスマホが震え出す。
ニカ : っ、――、ッ(咄嗟に携帯をチェックする。 とある委員から。敵の行動を確認・急遽学園に向かう旨。
ニカ : てめえ、まさかっ……(嫌な予感を抱えながらも、入口の扉に振り向き
イオン : 『スロウ』。(どこか悲しそうに呟くと、
ニカ : ――(ニカの身体に異変が起きる。
イオン : 『クイック』。(もう一つ呟くと、ニカの行動を先回りし扉の前に立っている
ニカ : 、、ッ
イオン : …ココは私の部屋(領域)ですからね。
イオン : 君には己の身体を大事にして欲しいんですよ。…魔術師の手は、大事でしょう?
ニカ : ――最初からこの心算で呼び付けたってのか!? (手にしたスマホを翳し―
イオン : (その動作よりも早く。ニカの手首を掴んで動きを止めている
イオン : ………はぁ。(溜息吐いて
ニカ : 、、、っ、(『刻魔法』と呼ばれるイオンの魔術。その力は、自身も当然知っている
イオン : ……君が私の妨害を乗り越えてくれるくらい優秀だったなら。
イオン : そもそもこんな事をせずに済んだのに……
ニカ : っどこまで自分勝手なんだよ!?!?(悉く神経を逆撫でしてくるこの従兄に
ニカ : (――この領域にあって己に為す術が無い事も、悲しいかな知っている。
ニカ : ……っくそ、ふざけんな。ふざけんなよ……!!(―――こうして。仲違いの夜に。遂にの決戦に。駆け付ける事もできないまま
ニカ : (刻々と夜は更けていく。
ニカさんが退室しました
イオンさんが退室しました
最終更新:2022年12月06日 00:00