――― : ―――(キアシス地下牢獄。
――― : (悪人のなかでも最も警戒すべきモノたちが収容されるのが、この地下施設である。
アルバ : (その中に見えるは、――過去の英雄。だったのももはや過去の話か。
アルバ : (彼が此処に収容されて、もう4年が経とうとしている。
アルバ : (独房の中には相変わらず、魔術書と資料の紙面が何枚も。ティーセットも相変わらず鄙びた様子で置かれている。
アルバ : …………はぁ。
アルバ : …この本前に読んだな…(四年前と変わらず。否、覇気の無さに拍車が掛かった様子で。
アルバ : (牢屋の内側で、囚人用のローブを身に纏い、とっても暇そうにしている一人の男性。
アルバ : …… ―ぅん? (懐中電灯の一条の光が牢獄に差し込み――眩しさに目元を歪める
アウスター : (ちゃりちゃりと鍵の音を立て、わざとらしく靴の音を響かせながら誰かが階段を降りてくる。
アルバ : …… あぁ、
アルバ : どうも。巡回ご苦労様だね…
アウスター : よ~~ぉ、アルバトロス君。
アウスター : 友達のご来訪だよぉ~、っと。
アルバ : アルバトロスってどこの姓だったっけねぇ…(聞き慣れているのかまともにツッコまず
アウスター : (若い赤髪の背の高い男。この危険な牢獄の看守の一人だ。
アウスター : あれ、アルバトロスじゃなかったっけかぁ~~いやぁ間違えちまったな~~
アルバ : いやはや本当に。ぼくの所に毎日毎日顔を見せてくれるのは君くらいだよ友よ。(覇気無く乗って
アウスター : (ちなみにこのくだりはもう何十回と繰り返している。
アウスター : 近くによぉ~~うめぇ屋台ができたんだよなぁ~~
アウスター : (こんがり焼き上がったチキン片手に
アルバ : いやはや…ぼくに余計な地上の情報を与えてくれるのも君くらいだよ友よ。
アウスター : うめぇから見せに来てやったんだよ~~
アウスター : ま、嫌がらせくらいしかすることないのよぉ~俺たちゃ
アルバ : 看守が普通に持ち込みするのアリなのか?キアシスは案外自由なのか?
アウスター : 看守なんてならず者の集まりだろ マトモな神経じゃつとまらねぇよ
アルバ : 相変わらず開き直りの良い事で…。
アウスター : 俺たちゃお前らに飼われてるようなもんよぉ~~
アウスター : どっかの英雄さんみたいなならず者がいなけりゃ、俺らみたいなならず者は生きていけねえのさ
アルバ : はいはい。そりゃならず者冥利に尽きるなあ。…で。
アルバ : 本日の目玉はおいしそ~~な香りのチキンだけか?友よ。
アウスター : はっはっは。そう焦るなよ、アルバトロス君。
アウスター : おもしれ~もんが届いたたんだよな。中身まだ見てねえけど。
アウスター : 普通に届けられる前に俺が配達ボックスから引っこ抜いてやったぜ
アルバ : …ええ? 何?ぼく宛って事?
アルバ : うーわ!職権乱用看守!? まあ検閲はあるだろうけどさぁ…
アウスター : お前に何度も手紙出すやつとか一人だろぉ~~?中身ずっと気になってたんだよな。
アウスター : どうせくだらねぇ仕事の話とかかぁ~~?
アウスター : (と言いつつ懐から丁寧に包装された手紙を出す。
アルバ : ………うわ。 なんかまさか。。。
アルバ : ものすご~く嫌な仕打ちを受ける予感がするぞ・・・
アルバ : ……え? 読むの? 公開検閲?
アルバ : やめとけよそれは! 死ぬぞ!?
アルバ : (なんかほざいているがここは牢獄!彼は檻の中! 手の出しようはないのである!
アウスター :
アルバへ
前の手紙から少し時間が経ってごめんなさい。
もう頬も土みたいに痩せこけたかしら。
もうすぐ牢屋暮らしもおしまいね。正直に言うと、アルバにもうすぐ会えるなんて実感はないけど。
(中略 近況報告とキアシスの話。アルバへの当て擦りの中に深い愛情が見える)
……何年か自分の為に生きてみたけど、つまらなかった。
キアシスのためとかもう今はあまり考えていないけど。
私、あなたが牢屋にいる4年間で重い女になったから。
覚悟しておいてね。
夕陽
アルバ : ………
アウスター : …………
アウスター : あぁ、ここに来た時そういやそんなこと言ってたなぁ…
アルバ : 何を黄昏てるんだ。これを野郎に音読されたぼくの気持ちを考えているのか?
アルバ : ぁぁ゛~ーーーーー………(色々感情がごっちゃになって整理が付かず
アルバ : (両手で頭抱えて項垂れる
アウスター : 考えてねぇよぉ~~~……考えたかもねぇ……
アウスター : (と言いつつ牢獄の中に乱暴に手紙を投げる
アウスター : 俺もモテてぇよ……アルバトロス君よぉ~~
アルバ : (考え辛い俊敏さを見せてシュパッとキャッチする
アルバ : はーーー……… そっかぁ…………(手紙片手に深々と感慨深げな息を吐く
アルバ : 4年かぁ~~…………(深々
アウスター : 合コン行ってもひかれるだけだもんなぁ…あん時、新入りだったけどよぉ~…もっと大胆に引き剥がしゃよかったぜぇ~~……
アウスター : サンセットちゃぁん……
アルバ : はあ………ぼくが感傷に浸ってる隣で俗な思い出を呟いてる奴がいる……
アウスター : あぁ?面会でイチャイチャしてた時の話だろ?
アウスター : 邪魔すりゃよかった……人の幸せが憎いぜ……
アルバ : ん??? サンセットちゃ…ってまさか…!?
アルバ : こ、このならず者め…!人の面会相手に俗なニックネームを付けるなんて…!
アルバ : (ここで「面会相手」としか言えないのがアルバの悲しい性分である
アウスター : 俺は誰一人まともな名前で呼ばねえよ?!!!
アウスター : はぁ……俺この仕事辞めるわ…
アウスター : なんかすげぇ虚しくなった
アルバ : えぇ……判断早……
アルバ : ちなみに再就職先は…?
アウスター : 無えよ…そんなんよぉ~~…
アウスター : 地位もコネも金もないよぉ~~ん
アルバ : お、おう……… まあ……うん……
アルバ : 犯罪おかさなきゃなんとかなるよ…(雑…
アウスター : ありがてぇお言葉だぜぇ……はぁ……
アウスター : じゃあなぁ……(露骨に肩を下げてしょぼしょぼ階段を上がっていく
アルバ : お、おう。……お、お元気で??
アルバ : …………(見送って
アウスター : 俺もモテてぇよ~~~~!!アルバトロス君よぉ~~~!(牢獄に響き渡る声で
アウスター : (そして去っていく
アルバ : ……うるさ!! 響くんだぞココ!?(両耳塞いで
アルバ : ………
アルバ : ……
アルバ : ………(先程の手紙に視線を落とす 封筒に丁寧な字で書かれた宛名。
アルバ : (先に読まれた上に音読されたのは心の底から癪だけどまあそれぼくが囚人だからだしな~~~~~というモンヤリを復唱し昇華して
アルバ : ………はぁ。(溜息。
アルバ : (4年。 …4年かぁ。長いのか短いのか分からないけど……
アルバ : (……本当に出所するのか、ぼく。 予定通りなら、確かリー大の創立祭の頃だっけ。
アルバ : (……本当に、会うのか。彼女と。
アルバ : (4年経って、ぼくは少しは変わっただろうか?何の代わり映えも無い生活が続いただけだけど。
アルバ : (4年経って、彼女はどうやら変わったらしいけど。
アルバ : (「重い女になったから。」「覚悟しておいてね。」
アルバ : …………
アルバ : (心構えは、まだできない。 けれどまあ幸いな事に、時間はありすぎるほどあるわけだ。
アルバ : ………
アルバ : 4年かぁ……………
アルバ : (代り映えのない独房で、一人うだうだし続けるアラサー
最終更新:2023年04月27日 16:04