藍住麗 : ーーーーー
藍住麗 : ーーー
藍住麗 : 「藍住麗。エリア⑥から移動するよ。」
藍住麗 : (そう伝えた藍住麗は
藍住麗 : (拍打式音律術。
藍住麗 : (「音」を用いた不思議な移動方で目的の場所へ移動を開始していた
藍住麗 : (自分の降り立った位置はエリア?の中でも右下側の場所
藍住麗 : (ニシキ② 燦山③ イツキ⑨ 藍住麗⑥
藍住麗 : (と。
藍住麗 : (右側に偏った落ち方。
藍住麗 : (合流を目指すだけなら⑥に留まり味方に来てもらう方が良いだろう。
藍住麗 : (ただ、個々のユニットの力を分解すれば、それが正着でない事にも気付く。
藍住麗 : ……
藍住麗 : (藍住麗自身がこのチームで1番機動力のあるユニットという事もあるが(五姉様は自分の方が疾いと言うかもしれないが、一旦置いておこう。)
藍住麗 : (機動力だけなら敵チームにも優れたファイターは多数存在する。
藍住麗 : (藍住麗の機動力と諜報力を最も生かす最大のルートは……
藍住麗 : 敵全員の位置を把握した後……無傷で味方に合流する……
藍住麗 : 嗚呼……出来すぎた台本だね……
藍住麗 : (ひとまず目指すはエリア⑤
藍住麗 : (真ん中から各地に繋がる道を探る
藍住麗 : (そんな。
藍住麗 : (初手の妨害爆発にめげず、冷静な作戦遂行を実施しようとしている藍住麗の元に通信が届く。
藍住麗 : (「教えて差し上げますわ。妹より美しい兄など存在しないという事を!」
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : (エリア⑨で五姉様と次五紅郎兄様の闘いが始まってしまった。
藍住麗 : (万能に近い力を持つ五姉様には戦闘以外での活躍の場も幾らでもあるはずだが…
藍住麗 : (エリア⑨での一対一の決闘なら邪魔は入りづらい。決めに行くつもりか。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : (エリア⑨なら近い・・・・・・偵察を中断して増援に向かうべき・・・・・・?
藍住麗 : (そんな折。
藍住麗 : (「こちらニシキ。ラピエル氏に会敵。」「……撤退する。」
藍住麗 : ……!
藍住麗 : (実はこの勝負。勝ち負けの交換をし続ければ良い簡単なものではなくなっている。
藍住麗 : (暫定2位の貴族会ブルーチームは9ポイント。
藍住麗 : (暫定1位のフォーデンレッドチームは11ポイント。
藍住麗 : (フォーデンチームに直接対決で負けるのは1番優勝から遠のく避けなければ行けない一手。
藍住麗 : 嗚呼……でも、聡明な撤退だね……
藍住麗 : (その辺の勘定なら完璧主義のニシキが間違う所は無いだろう。ひとまず最悪の危機は脱したようだ。
藍住麗 : (そんな折。
藍住麗 : (『せっかく弐棋君を出し抜いて、こうしてご対面できてるんだし?』『楽しく燃えちゃおうよ、獄姫ちゃん!』
藍住麗 : (またも愉しそうな通信が聞こえる。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : (いや。状況は悪い。
藍住麗 : (諜報員である藍住麗が全員の位置を把握し、点数差での逆転を注視しながら、
藍住麗 : (燦山を中心に構築した罠ゾーンに相手の無理攻めを強いるのが理想の台本だ。
藍住麗 : ……
藍住麗 : (それがよりによって世界最高峰の白兵戦ユニット三獄姫姉様に当たるなんて。
藍住麗 : (撤退した直後のニシキも近い。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : (今度こそ・・・・・・合流して迎え撃つべき・・・・・・?
藍住麗 : (悩みながらも脚は進めていた。エリア⑤は近い。
ーーー : ―――
ーーー : (多くの選択肢に悩む藍住麗の鋭敏たる聴覚に
藍住麗 : (ここから斜め「く」の字に曲がってエリア③を目指しても……
ーーー : (飛び込んでくる新たな情報。―――エリア?中央部方向からの
ーーー : (超高速――音速にも近しい速度で迫り来る、飛来物の接近の気配。
藍住麗 : ……!?
藍住麗 : (自分の位置が気付かれている……?そんな事は考えづらい。それならば単に高速移動による偵察……?
藍住麗 : (もしくは…
藍住麗 : (別の戦闘からの離脱……?
ーーー : ―――――(空より来る”何か”は、偶然にも麗のほど近くに迫り来る軌道で飛来してくる
藍住麗 : 、(咄嗟にビル陰に隠れる
ーーー : ―――― っ(巨大な弧を描いたような軌道で落下してくるソレは、やはり人。敵チームの選手の一人のようだ。
藍住麗 : (通信状況的に100%味方ではない。
藍住麗 : (誰であれ敵チーム。敵の誰なのか。
よつば : ――― チッ(空中にて、ライフル銃を片手に地面を睨み舌打ち
よつば : (遮蔽物の多いビル街エリアだ。落下中を狙い撃ちにされてもおかしくない。――
藍住麗 : ・・・・・・
よつば : ――――(【空間把握】。人の気配の無いビルに囲まれた中、感覚を総動員
藍住麗 : (しよーー(よつば様だ……(【空間把握】に優れるユニット。不意打ちは不可能(射程と火力があり正面からの撃ち合いは間合いの差で不利。(でも機動力なら?(あの空中移動は“彼”の望んだ状況?(・・・・・・いいえ。(それならば今、この時のみが絶好のーー(……いいえ。(諜報か合流を優先すべき(・・・・・・違う。
藍住麗 : ・・・・・・(私は。“彼”にだって、心配されないぐらいの【理想】<強さ>を造るんだ。
藍住麗 : 音速秘奥義……(ビル陰でレイピアを構える
よつば : (―お初の土地で、正確な位置や選手が誰かまでは掴めない。でも―― 「居る」「あの辺に」―(それが分かれば十分!
藍住麗 : (僅かな挙動。達人の域に至った者でなければ気づかないだろう。不運にも相手がソレだが。
藍住麗 : (しかし、もはや関係ない。
藍住麗 : (姿勢不十分の相手に音速で突撃する。狙いは空中ではなく、着地直前。
よつば : そこ!(そこに居る事を――「不意打ちされる」先を読んだように、麗の隠れるビルの壁に向かって
よつば : (空中で身を捻り、散弾を機銃掃射
藍住麗 : 嗚呼。(大きく円を描くように高速のステップで銃弾を回避
よつば : ―― ッ 麗!
藍住麗 : あくまで、優雅に。(狙うはその身ではなく風船。銃撃姿勢の方から大きく回って頭へレイピアを向け。
よつば : (躱されるのは予想の範疇だった。大会には自分の技能を知っている者も多い。
藍住麗 : ……静極刺曲。(着地寸前のよつばの。頭に向けて音速で突撃していく
よつば : (にも。関わらず。
よつば : …―(動揺した。 接敵した相手が”彼女”であった事に。
よつば : (よつばではない”誰か”が、一瞬、躊躇した。
よつば : ―――(そしてその一瞬は、『彼』を前にして命取りだ。
よつば : ―――(誰が居るかが判って。 何が、どれほどの速度で迫り来るかは、判った。 ――それは恩恵。
よつば : (だが、それを綺麗にいなす程の猶予は、躊躇によって失せ。
よつば : ――(――どう捌こうとしたんだっけ。攻撃範囲はごく狭いが、自身の空中制御で避けるには無理と判断して。
よつば : (――――だから迫る剣先の方を、見切るっていうよりは無理矢理―――
よつば : (――――(とにかく。
よつば : (ビル街に響いたのは、風船の甲高い破裂音じゃ無かった。 それは僥倖。
藍住麗 : ぇ。
よつば : ・・・・、、、、(代わりに、なんて言うのかしら。……刃が肉を貫く、ちょっと粘っぽい、…うん。
藍住麗 : (「愛用する武器の感触は手に取るようにわかる。」なんて陳腐な言葉があるけれど。
藍住麗 : (まさに今それだ。
藍住麗 : (“わかる事”が常に最良とは限らないのは、対人関係も戦闘中も同じらしい。
よつば : ………(よつばの右目を綺麗に刺し貫き、頭蓋を貫通する。 あまりにも鋭利な音速の一撃。だった。
藍住麗 : んっ、、、
よつば : ・・・・ぁーぁ。、、、
よつば : 信じらんない、、、 、 ホント、雑魚…!(思わず笑ってしまう。この状況で。
藍住麗 : っ、、、
よつば : 、、 っ(レイピアの刃を手袋越しに掴んで、
よつば : (頭を後ろに引いて無理矢理引き抜く
藍住麗 : ぁ。
よつば : (栓になっていた刃が抜け、当然のように血が噴き出す
藍住麗 : (レイピアを掴まれた(血が出て(目が潰れ(なんでそんな表情(もう見えな(治り(早く(えっと(その(どうして
藍住麗 : ・・・・・・
よつば : ・・・・はっ。(―――……本当に馬鹿。「出来れば当たりたくない」なんて。思ってたらこのザマよ。
よつば : (いい加減にしなさいよ。そういう甘っちょろい感傷やめたらどうなの。『史葉』。
よつば : (この子は――…… こうして、ちゃんと……
藍住麗 : ・・・・・・(今にも泣き出しそうな表情で“よつば”を見つめている
藍住麗 : (【藍住麗】の最大の弱点。【理想】の精神状態を保てないと【藍住麗】として活動出来ない。
藍住麗 : (兄姉に激励され、貴族組織に後押しされ、合理を振り払った決意で達した一撃だった。
藍住麗 : (が。これが、その、結果・・・・・・?
よつば : ――……(……なんて顔してんのよ。 この負傷。この間合い。追撃のチャンスでしょうに。
よつば : (でも。…流石に『アタシ』は、ここで呆けるほどじゃない。史葉<アイツ>のプライド、ちょっとは守ってやらないと。
藍住麗 : っ、、、(レイピアから手を離してしまい
よつば : ――……ちょっと、
よつば : 「近い」わね。 今。(2人の間に、下手で何かが投げ込まれ――閃光弾が炸裂
藍住麗 : ぇ?!(閃光に視界を奪われる
よつば : っ、、、!(閃光と破裂音で二感を封じる間に、近場のビル陰に走り、潜み隠れる
藍住麗 : っ・・・・・・
よつば : ――、、、っ、、 アハ、ほら……(血の滴る片目を押さえ、肩で呼吸。
よつば : 近距離戦は、アタシの流儀じゃないから。ね?(―――否。まともに顔を合わせる余裕も無い。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : そんなに血を流してたら・・・死んじゃうよ・・・
藍住麗 : (ようやく出てきた台詞は負傷への心配。
よつば : (コンディション?ハッキリ言って最悪。 潜み合い隠れ合いでも分が悪いかもね。でも、・・・・
よつば : ・・・・
よつば : ……あらやだ。まだそんな事言ってるの?
よつば : この舞台は、楽しい本気のお祭りで。……アタシ達、敵同士でしょ。…今は。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : (舞台……。
藍住麗 : (全く、何度目だろうか。
よつば : ……(「できれば戦いたくない」?…そんなこと考えてる奴も居たわね。…でも、こうしてぶつかっちゃったんだから…
藍住麗 : (こうやって、味方ならずも敵の人々まで、気弱な私を鼓舞してくれる。
藍住麗 : 嗚呼……そうだね・・・・・・
よつば : ・・・・(片目が熱い。もう一つ心臓があるみたいな血の流れを感じる。…仕方が無い、にしても随分な負傷。
藍住麗 : (表情も思考もグチャグチャ。絶好の機会に決められなかった自分に今更“理想の台本”なんておかしな話。
藍住麗 : それでも。(足で地を踏む。足音をビル街に響かせる。
藍住麗 : (レイピアは手元にない。さっき掴まれて離したから。
藍住麗 : (他の銃火器も無い。Evとしても紅椿家としても訓練は受けてきたが、自分の【理想】にハマらなかったから。
藍住麗 : それでも。(足で地を踏む。足音をビル街に響かせる。
よつば : ………(壁を背に、足音を感じる。一定の、個性的なリズム。
藍住麗 : (ビル街に響く無数の音(一つ観客を魅了している事(【空間把握】を研ぎ澄ます今なら(一つ相手が自分を見ている事(視覚情報が半分削り取られ音を聞かざる終えない今なら(一つ理想の私である為に。
よつば : …(腹、括れたのかしら。……ぁーぁ。ホント。
よつば : (――……人の世話、焼いてる場合じゃ、無いのにね。(壁に手を触れ、ふらりとビル街を移動し始める
藍住麗 : それでも史葉。
藍住麗 : 今日だけは・・・・・・私に勝たせて。
よつば : (静寂の街に、靴音は良く響く。 聴覚は音に集中し続ける。
よつば : ――――
よつば : ・・・・それは。
藍住麗 : 儀式-拍打式音律術。『バグ』
よつば : ……誰の望みだ?
藍住麗 : (「私が」「【理想<私>】を」「超える為の願い。」(よつばの耳にのみ届く肉声
藍住麗 : ♫ジャジャーン♪
藍住麗 : (謎の聞き慣れたSEと共に、よつばの逃げた場所の目の前に現れるグランドピアノと藍住麗
よつば : ―――― ・・・・そっか。
よつば : ………じゃ、
よつば : ……しゃーねェな。(殆ど、誰にも聞こえないような呟き。放送にも拾われないだろう。
藍住麗 : (グランドピアノを弾いていたはずの藍住麗がよつばの目の前に。『バグ』技のように瞬間移動している。
よつば : (―――ここで。最後の悪あがきのように備えていた反撃の手を、
よつば : (彼は意識的に、やめた。
藍住麗 : 今日だけ・・・・・・ね。
藍住麗 : (空の手をよつばの頭上に向ける
藍住麗 : (レイピアを持たないはずの手。『バグ』ってしまった攻撃技のように。
よつば : ……知ってるよ。 滅多に我儘言わねェし。
藍住麗 : (見えないレイピアの存在しないはずの攻撃判定だけが、風船を貫く
よつば : (――――「……ぁ~ぁ。せっかく、形作りだけでもさせてやろうと思ったのに。」
よつば : (――――「…ホンット。どーしょーもないわね。そろそろ周りにも取り繕えないんじゃない?」
よつば : (――――「ま、―――……」
よつば : (「ある意味良い薬かもね。」) (――――ぱ ぁ ん っ
よつば : (剣を持たぬ手に、今度こそ優雅に風船を貫かれ、
よつば : ・・・・
よつば : (捨て台詞も何も浮かばず、 そもそも言う気にもならず、
よつば : (姿が虹に溶け、消えていく
藍住麗 : ・・・・・・ぁは。
藍住麗 : ・・・・・・
藍住麗 : ふぅーーーーーー。
藍住麗 : っ、っ、っ、っ、っ、っ。(呼吸と足の打音で心を整える。めいいっぱい。
藍住麗 : 「通信。」
藍住麗 : 「藍住麗がよつばを討ち取った。」
藍住麗 : ……。
藍住麗 : 「五姉様。」
藍住麗 : ・・・・・・。
藍住麗 : (五にだけ届く個人通信にわざわざ切り替えて
藍住麗 : 「私が、史葉を倒したよ。」
藍住麗 : (見方次第で、ほぼ同じ内容をわざわざ言い直す。
藍住麗 : ……。
藍住麗 : (つま先で地面を何度か叩き
藍住麗 : (平静に。作戦通りに。動揺は捨てて。自信と経験だけ蓄積しよう。
藍住麗 : (この演目をやり遂げる為に。
藍住麗 : 「藍住麗。エリア⑥から移動するよ。」
藍住麗 : (チームメイトに“音”を届けて、
藍住麗 : (姿が消える。
藍住麗 : ーーー ーーー
最終更新:2023年07月19日 10:45