燦山 : (夢の世界。
燦山 : (世界中から買い付けた品種がごった煮で飾られた冗談みたいに広い庭と、豪勢すぎてバカみたいなオブジェの数々が
燦山 : (視界に広がっている。
燦山 : ……いや~。 改めてまじまじ見ると本当に酷いなこの庭。
四天女 : え?そう~? 派手派手でキラキラしててあたし結構好きかも~!
四天女 : あれとか宝石敷き詰められててちょー豪華そう!どこのお土産なんだろ~~?
燦山 : あー、サンガル現地で採掘された宝石をうんぬんかんぬん…だっけねぇ。忘れちゃったけど。
燦山 : 現地から職人引き連れてきて作らせたんだっけか。いやーこの手のわりと理解あるよねえ君。
四天女 : え~?だってキレイな物はキレイじゃ~ん。(楽しそうに笑っている
四天女 : この家の庭って、燦山のおにーちゃんの趣味なんだっけ?
燦山 : ん~、父さん半分、壱王兄さん半分…ってとこ?あ、ここじゃないけど崇卿ゾーンもあるよ。
四天女 : ふ~ん。じゃー燦山ゾーンって無いの?あたしそこが一番見たいな~!
燦山 : 無いって。あんまり興味無いしさぁ。(笑って答える
燦山 : (―――家の庭の勢力は、家の勢力の象徴だ。敢えて競うように金を投資し、領土を広げる。
燦山 : (わざわざそこに割って入ろうなんて事は考えてないのだ。それこそ生まれた時から。
四天女 : ……ふ~ん。そうなんだ?
燦山 : うん。(――― しかしまあ。 それにしても。
燦山 : (―――時は少し前に遡る。 大会の全行程が終わり。、閉会式が終わり。
燦山 : (チームとしても個人としても、大活躍って言って良い結果だったんじゃない?
燦山 : (壱葦さんも或在姉さんも弐棋くんも、わりと皆褒めちぎってくれたし、おれも柄にも無く褒めちぎったりね。
燦山 : (正直こんな上出来すぎる結果になるとは思って無かったし。
燦山 : (そのまま調子乗って夢が終わるまで勝者ムーヴしてるのも、悪くはなかったんだけど。
燦山 : …(隣に視線を遣る。金鳳花家の悪趣味な庭を眺めてる横顔。
四天女 : ちょっと勿体無くない~?せっかくなら建てたらいいのに。高級カードの樹とか!
燦山 : もうそれ無理矢理庭に当てはめてるだけじゃん??(苦笑して
燦山 : (――ココ(夢)に来てるって事は分かってたから。
燦山 : (しれっと二人だけで合流して。しれっとパーティ会場を抜け出して。
燦山 : (まあ、「付き合い」も長いからさ。そういうのは慣れてるよね。
燦山 : (まあ、それはさ。その心算でいたんだけど。
燦山 : (それで、何だったっけ?とりあえずどっか行こうか~ってなって。
燦山 : (「せっかくだし夢でしか行けないトコ行く?」って。軽口。――ぁぁ、コレが切っ掛けじゃん。
四天女 : ふ~~~ん、そっか~~(一通り庭を眺めて満足したのか、渡り廊下の手すりに預けていた身体を起こす
四天女 : ありがと、燦山。またお願い聞いてくれて!(燦山の方を向いて、屈託無い笑顔を向ける
燦山 : いやあ、このくらい普段のアレコレに比べたら。っていうか庭眺めるだけでいいわけ?
燦山 : この感じガチの無人だし、屋敷の中も全然案内出来ると思うけど。
四天女 : ホント?じゃあ行く~!(即答
燦山 : はいはい。良い返事だねえ?(笑って、渡り廊下を先導し歩き出す
燦山 : (――……「夢の中でしか叶えられないお願い」。
燦山 : (確かにね。参加選手の或在姉さんも、パーティー参加の観戦きょうだい達も、わざわざこんな時に実家に戻りやしないし。
燦山 : (使用人も誰も見てはいない無人の屋敷。「燦山のお家をちゃんと見てみたい」なんて我儘を叶えるにはうってつけだよ。
燦山 : (―――……なんでそれが我儘になるんだ、って? そんなの――
四天女 : ――・・・・燦山?
燦山 : っ、うわ。びっくりした。 何、どっか気になる所あった?
四天女 : ん-ん!ただ… えーっと…(心配そうに顔を覗き込んで
四天女 : ……燦山!
燦山 : …ん。何よ何よ?
四天女 : え、えっとね…あたしね!(慣れない様子で
四天女 : な、なんか~、金鳳花家のすっごい茶器で、お茶したくなっちゃった~~~…!
燦山 : …(ああ、歯切れの悪い我儘は大体嘘。バレバレだけど。…。
燦山 : …はいはい。すっごい茶器ね?じゃあめちゃくちゃ派手なやつ選んであげよっか。(やれやれって感じで
四天女 : ……うん!底にすっごい模様とか描いてるのがいい!
燦山 : じゃ、応接室に案内するよ。お茶持ってくからちょっと待ってて?
四天女 : え? …あ、そっか燦山が淹れるんだ~!?
燦山 : そりゃ誰も居ないし。誰か淹れるしかないじゃん?(苦笑して
四天女 : じゃああたしお茶淹れるの見てる~!
四天女 : え。ていうかすごくない?燦山自分でお茶淹れられるんだ…!
燦山 : はは、滅多にやんないから渋くなっても知らないよ~。(とか何とか言いつつ
燦山 : (大概の事に関して小器用な人間だ。金鳳花式のお茶だってそつ無く淹れてしまえる。
燦山 : (そんな訳で、底にすっごい模様が描いてある上に宝石らしきものが埋め込まれててお茶を注ぐと花の形が浮き出るティーカップを本当に発見し
燦山 : (これまた派手な模様の彫りこまれたガラスのティーポットに茶葉の花を開かせて、
燦山 : (2人分のお茶の用意と共に、応接室のテーブルについた、2名。
四天女 : (準備の一切を手伝わず、ただにこにこ楽しそ~に眺めていた生粋のお嬢様
四天女 : (「これがいい!」と選んだ茶葉は当たり前のようにラインナップの中で最高級品だった。天然の目利き力を持つ女。
四天女 : いただきまーす♪(ティーカップを傾け、遠慮無くお茶を飲む
四天女 : …あ!なんかヤバ良い香りするかも!ちょー良い感じじゃん!(味の感想の語彙はヤバいが
四天女 : (良いモノを見極める能力は確か。生粋のお嬢様である。
燦山 : はは、気に入ったなら何よりで~(瞑目気味に、同じくティーカップを傾けて
燦山 : …(さて。それで。
燦山 : (お茶したい、って言いだしたのは、この場を作り出したかったからで、まーつまり、話したい事があるんでしょ?
燦山 : (そこまで瞬時に読めて、促すまでは出来ず、されど拒否もはぐらかしもしない。…しないように努める。
四天女 : ……。
四天女 : …えっと、燦山。(カップを見つめる視線を上げて
四天女 : 遅くなっちゃったけど・・・・試合お疲れ様!
四天女 : 燦山、ちょ~~~すごかったじゃん!!
燦山 : あ。 どうも?(へら、と笑って
燦山 : (そう。この夢で、この話題にならない訳が無くて。そしてそれこそが、なんとなく避けてた事でもあった。
燦山 : いや~でも君の愛するお姉さんに討ち勝っちゃったからねえ。あんまり自慢するのもどうかな~ってね?思ってたんだけど。
燦山 : (そして話題に上ったからには先回りで言及する。
四天女 : ……そ~~~なの!ゴッキーが敗けちゃったのは悔しいから四天女様的にはフクザツ・・・!(><
四天女 : でも、燦山がちょ~すごくてちょ~かっこよかったのは嬉しくって!
燦山 : はは、そっかそっかあ。
燦山 : ま、ちょっと出来すぎだったよねえ?そもそも勝ったって言っても一人じゃ無理だったし。
四天女 : うん。ムコっちと、…あと糸目もおまけ!で、みんなで上手く行ったってコトは、なんとなくあたしにもわかったけど…
四天女 : でも…それでも!あたしも嬉しかったし、燦山も・・・・嬉しかったのかなって。
燦山 : …
燦山 : うん。…まあね。
燦山 : あの子に勝てた事無かったから。 一回勝ちたかったんだよねえ。
四天女 : ・・・・そーなんだ?
燦山 : (…この話題をなんとなく避けてたのは、この話をきっとする事になるって解ってたからで。
四天女 : ま、ゴッキーって最強にちょ~強いもんね!
燦山 : そーね。それに…まあ、本気の本気で戦う機会ってなかなか無いじゃない?
燦山 : 元々敵同士でもないんだし、大人になるにつれて、段々やりにくくなってくんだよねえ。
四天女 : ん~、、そう?ゴッキー戦うの好きだし、頼んだらいつでも受けてくれると思うけど…??
燦山 : その素直さがおれには無かったわけよ。毎回粘着質に喧嘩売って買ってもらうとかそういうのね?
四天女 : ぅゎそれアイツじゃ~ん…… でも、そっか。そーだったんだね。
四天女 : なんか、ちょっと意外だったかも。全然そんな感じ無かったから…
燦山 : そーだよねえ?あんま野心無さそうでしょ?庭も作んないし。(頬杖ついてへらっと
燦山 : (名門貴族の三番目。それなりの地位と資産と教養は始めから与えられていて。
燦山 : (学業でも軍隊でも、至極「優秀」。それなりのポジションには大した努力をせずとも居る事ができた。
四天女 : でも・・・・ゴッキーにはそんなに勝ちたかったんだ?
燦山 : んー、厳密にはちょっと違うんだけどねえ。・・・(少し遠い目をして
燦山 : なんだろ、なんて言うかな~・・・
燦山 : 「本気で挑んだらなんとかなるんじゃないか」…っていう幻想?
四天女 : …(キョトンとして
四天女 : ・・・・?
燦山 : ぁ、うん。やっぱそうなる?(笑って
燦山 : ま~これはホント、おれの気持ちの問題だからねぇ・・・(――本気で挑めば?本気で獲ろうとすれば?本気で手を伸ばせば?
燦山 : (そんなやりもしない「もしも」を燻らせて、幾数年。まあ随分と引き摺ったものだと思う。
四天女 : ・・・・
四天女 : でも……燦山、
四天女 : 「なんとかなった」…んじゃないの?今日。
燦山 : …ぁー。(それ、自分から言うんだ。…なんか、ホント……
燦山 : そーだねぇ。なんか、上手く行っちゃった。
四天女 : 、。じゃあ・・・・
燦山 : いやまあ、さっきも言った通り一人じゃ無理だよ。(あっさりと
四天女 : そ、そうなの????
燦山 : うん。(……それに。
燦山 : (――「オレ様の”本気“を受け続けろよ。”本気“でな。」
燦山 : (――「・・・出来るモンならなァ!!!」
燦山 : (…あぁ、全く。 多分、こういう所なんだよなぁ。 (本気で立ち向かって。本気で砕け散って。そしたらきっと綺麗さっぱり。 …そういう儀式だと、心のどこかで思ってたけど。 (…そうじゃないんだよね。 (おれは、最初から、今の今まで、ずっと本気で戦ってる。
燦山 : …(幻想ももしもも、無かったんじゃない。上手く行かなかったり、日和ったり、単にしょぼかったりしたけど、
燦山 : (……「ずっと本気だった」。
燦山 : (それは「ようやく本気出して砕け散る」よりも、よっぽど諦めの付く清算で。
燦山 : …ま~~~、良い機会だったな、って思うよ。
四天女 : ・・・・そ~、なんだ。(腑に落ちてはいない様子だが
四天女 : よく分かんないけど…良かったんだ?燦山にとって。
燦山 : うん。 だからさぁ・・・ …
四天女 : ・・・・
燦山 : …うん。
四天女 : …??
燦山 : そろそろ結婚する?
四天女 :
四天女 : ・・・・
四天女 : え?
燦山 : あれえ、いい頃合いかな~って思うんだけど(へらりと 笑ってしまうのは余裕の逆だが。
四天女 : え????
四天女 : ちょ、、え、、??あれ?えっと、、あれ、、、??
四天女 : で、でもっっ、でもでもでもっっっ
四天女 : 、、、、
四天女 : ……いいの?
四天女 : 燦山はまだ、ゴッキーの事、、、
燦山 : …うん。好きだったよ。今でも好きかもね。
燦山 : (そこは有耶無耶にしない。面倒だし楽じゃないけど。
燦山 : でも、今はもっと君の事が好きだよ。
四天女 : ・・・・へ?
四天女 : ・・・・
四天女 : ????
燦山 : ・・・あー、うん。やっぱそうなる?(苦笑する 自嘲だ
燦山 : (このバカに素直な女の子に、伝えた言葉をすんなり信じてもらえないのは、自分の普段の行いでしかなく。
四天女 : ……な、なるよぉ。だって……
四天女 : なんで、って…… なるじゃん……?
燦山 : ま~…… それはそうね? いや、…だってさあ。
燦山 : …それこそなんでかわかんないけど、君ってめちゃくちゃおれの事好きじゃん
燦山 : 多分世界で一番ってくらい、何年も、ずっと。
燦山 : …だから絆されちゃったし、順当に心変わりしちゃったんだけど。 …変?
四天女 : ・・・・………
燦山 : (この自信家で天真爛漫な女の子に、こんな風に不安そうな顔をさせ続ける事とか、
燦山 : (似合わない下手な嘘をたくさん吐かせる事とか、
燦山 : (「恋人」の家にあがる事まで「わがままなお願い」にさせてしまう、とか。
燦山 : (いい加減そういうのもう止めようかなって。…常識とか、ほんと楽じゃないけどね。
四天女 : … へ、変じゃない……
四天女 : ・・・・けど・・・・
燦山 : …
四天女 : ――あたしのは、なんでかわかんないって事は…無いじゃん??
燦山 : はい?(そこ???
燦山 : いやまあさ、わかるはわかるよ?あの子が軍隊除隊した時に色々あったからでしょ?
四天女 : …も~!始まりはそうだけど!それだけなワケ無いじゃん!
燦山 : え。 …そうなの?
四天女 : も~~~~!(プンスカ
四天女 : 燦山はずっと、、……あたしの事そんなに好きじゃなかったし、色々ヒドかったけど・・・・
燦山 : ・・・まあ、・・・うん(返す言葉も無い
四天女 : それでも燦山は、楽しいことも、嬉しいことも、あたしにたくさんくれたから……
四天女 : やっぱりずっと好きだったし… そんな最初の思い出だけじゃ、無いっていうか……
四天女 : と、とにかく!四天女様の超超超好きをもっとちゃんと自信持って受け取ってよ~~・・・・!!
燦山 : あ、あー…うん。 ごめんって・・・え、ていうか何この流れ?
燦山 : なんでおれの方が口説き直されてるの・・・?!(片手で口元押さえ気味に
四天女 : も、もうっ だって燦山が…燦山の方が突然言うじゃん…!(だんだん瞳潤ませて
燦山 : ・・・、うん、……それはそうね…(納得してしまう
燦山 : ・・・ま~、そうだねぇ。今更信じるのも難しいかそりゃ。
四天女 : っっ(ブンブンッと首振って
四天女 : ううん、、、信じるっ
四天女 : 信じるし、、嬉しいっっ
燦山 : 、
四天女 : でも、、、
四天女 : 夢から覚めたら、もっかい言ってっ、!(長い睫毛の縁取る瞳から、ついに大粒の涙がぼろぼろ零れ落ちて
四天女 : てゆーか、もっかいじゃなくて、何回でも言って・・・・!
四天女 : 今まで言ってくれなかった分もっ、何年分も、これからも全部全部っ、、
四天女 : いっぱいいっぱい好きって言ってよお・・・・!
燦山 : ―――。
燦山 : ・・・うん、(ソファから立ち上がって、四天女の方へ
燦山 : …うん。(隣に腰掛け、零れる涙を指先で拭って、
燦山 : (泣きじゃくる彼女を胸に抱き寄せる
燦山 : …ずっと、待たせてごめんね。天ちゃん。
燦山 : 大好きだよ。
四天女 : 、、、、やっと、 ・・・・ぅ゛ 、う、、、
四天女 : うわぁぁぁぁぁぁぁぁん・・・・・・・・!!
最終更新:2023年09月28日 10:11